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『あんたのバラード』の委託プレス [国内盤研究]

<路傍の石さんからの情報で、『あんたのバラード』の収録音源に関する間違いを訂正しました。>(2021年7月21日)

委託プレス疑惑があった『あんたのバラード』(Aard-Vark Canyon V-31)だが、ささも教授から興味深い情報をいただいた。
ホワイトレーベルの見本盤は、マトが2-A-2/2-A-2で、Side 1にはF刻印があるというのだ。
やはり、F刻印のないうちの盤は別工場への委託プレスっぽい。

しかも、マトが違う。

このキャニオンのマトは、数字(ラッカー番号)―アルファベット(マザー番号)―数字(スタンパー番号)と読むと考えられるので、見本盤はA面マト2で、うちの委託盤(もう決めつけてしまう)はA面マト1ということになる。

もっとも、だからといって、うちの委託盤が見本盤より先にプレスされたものだと言いたいわけではない。
そもそも、うちの委託盤はB面のスタンパーが進んでいる。
ささも教授の見本盤は、両面ともスタンパーが2である。
最初からラッカーは二枚切られていて、見本盤にまわされたのがたまたま両面マト2だっただけだという気がする。

前の記事にも書いたように、『あんたのバラード』は世良公則&ツイストのデビュー曲だが、ポプコンでグランプリをとって、世界歌謡祭に出場し、このシングルにはその際の音源が収録されている。(完全に勘違いしてました。スタジオセッション音源だそうです。)た曲である。
WIKIによれば、その売り上げは50万枚以上におよび、一説では75万枚に達するという。
ってことは、予約枚数も相当なものだっただろう。

予約への対応のために、ラッカーを最初から二枚切らなければならない状況、別工場にプレスを委託しなければならない状況というのが存在したのだ(たぶん)。


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ところで、プレスを委託された別工場ってどこだったのだろう?
それが知りたくてネットをウロウロしていたら、おもしろい情報に遭遇した。

WIKIの「およげ!たいやきくん」(やはりキャニオンからリリースされた)の項目を見ると、その莫大なプレス―オーダーに対応するため、東洋化成だけではなく同業他社のCBS/SONY大井川工場などにまでプレス協力を仰いだというのだ。

「およげ!たいやきくん」がリリースされたのは1975年12月である。
その後、キャニオンにとって、CBS/SONY大井川工場が、莫大なプレスオーダーがあったときの頼みの綱となったんじゃないか。
そんな想像も、それほど見当はずれではないと思うのだが、さて、どうだろう?

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東洋化成プレスか否か? [国内盤研究]

<路傍の石さんからの情報で、『あんたのバラード』の収録音源に関する間違いを訂正しました。>(2021年7月21日)
<kossさんからの情報に基づいて、『あんたのバラード』のマトについての記述を修正しました。>(2021年7月23日)

Cal De Rさんが、東洋化成プレスのSide 1の送り溝に刻印されたFについて探求を始めた。

https://ameblo.jp/caldermusic/entry-12687282208.html

Fは、キャニオン盤以外にもたとえばクラウン盤にも見られるので、キャニオン盤であることを識別するためのものとは言えないだろうが、東洋化成側で何らかの識別のために刻印されたものだというのは間違いない気がする。
とはいえ、それ以上のことはわからない。

そんなわけで、Fの意味についてはCal De Rさんの今後の調査研究に期待するのだが、調査協力のつもりで、うちにある世良公則&ツイストのシングルを引っ張り出してきた。


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『銃爪』(Aard-Vark Canyon V-29)は、当時、テレビだったかラジオだったかで放送されているのを聴いてすごく気に入り、予約して買った記憶がある。
そのわりには、マトは1-D-3/1-A-24とそこまで若くない。
まぁ、売れたレコードだからなぁ・・・

レーベル内PMをなんとか探し当てて確認すると8T7で、東洋化成での78年7月プレスだった。
このレコードの発売日は8月10日なので前月プレスである。
予約して買ったという記憶が間違ってなかったことが証明された(笑)

『あんたのバラード』(Aard-Vark Canyon V-31)と『宿無し』(Aard-Vark Canyon V-28)は、ハードオフのジャンクを漁っているときに、綺麗でスタンパーの若いやつを見つけたので拾ってきたものだ。

『宿無し』のほうのマトは、1-A-11/1-A-11とかなり若い。
しかし、PMは8T4で、このレコードの発売日は4月10日だから、発売日当月プレスである。
うーむ・・・

『あんたのバラード』のほうのマトは、1-A-28/2-A-26でかなり微妙だ。
スタンパーの進み具合が両面で大差ないので、Side 2も最初からマト2だった気がするが確証はない。
(kossさんからの情報で両面マト1が存在するようです。失礼しました。)
スタンパー自体も28とか26とか、まぁそこそこ進んでいる。
デビュー曲だが、ポプコンでグランプリをとって、世界歌謡祭に出場し、このシングルにはその際の音源が収録されている(完全に勘違いしてました。スタジオセッション音源だそうです。)たくらいだから、リリース当初からかなり売れたんじゃないかと推測する。
そうだとすると、このスタンパーは、発売日当月かせいぜい翌月のプレスだという気がするが、レーベル内PMがどれほど探しても見つからない。

それどころか、『銃爪』と『宿無し』の2枚は、Side 1の送り溝にFが刻印されているが、『あんたのバラード』にはFの刻印がないのである。

Fの刻印が東洋化成側でなんらかの識別のために刻印されるものだとすると、F刻印がないというのは、東洋化成プレスではないことを推測させる。
レーベル内PMが見つからないというのも、やはり東洋化成プレスではないことを推測させる。
送り溝のマトの刻印を見る限りは、東洋化成でカッティングされてるっぽいんだけどなぁ。

ただ、微妙にレーベル形状が違う。

『宿無し』と『銃爪』は、センターまわりの平坦になっている部分が若干広く、2.5mmぐらいある。


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それに対して『あんたのバラード』は、1.5mmぐらいだ。


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写真で違いはわかっていただけると思うが、平坦部分といっても明確に境目があるわけではなく、適当に見当をつけて計っているので、うちのは1.8mmだーとか、2.8mmだーとか言わないでね(笑)

さて、この『あんたのバラード』、F刻印がなかったりPMがなかったりすることと合わせて考えると、やはり東洋化成以外のところでプレスされたんだろうか?

この謎も、きっと、Cal De Rさんが解明してくれる・・・はず。

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Andrew Gold, Thank You for Being a Friend [Bernie Grundman(BG)の仕事]

山下達郎さんのサンデー・ソングブック@TOKYO FMは、放送1500回記念ということで、先週と今週の二週にわたって「ありがとう!で棚からひとつかみ」だった。

で、今日(もう昨日か 笑)かかった曲の中で、珍しくUSオリジナル・シングルを持っているものがあったので、引っ張り出して聴いている。


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アンドリュー・ゴールド(Andrew Gold)の"Thank You for Being a Friend"(Asylum E-45456)である。
(この曲は日本でもシングルとしてリリースされていて、邦題は『気の合う二人』だった。)

もちろん、この曲が収録されたアルバム"All This And Heaven Too"のUSオリジナル(Asylum 6E-116)も持っているが、今日はシングルを聴く。

アルバムのほうはインナースリーブにクレジットがあるし、送り溝の筆跡を見ても、バーニー・グランドマン(Bernie Grundman)のマスタリング&カッティングで間違いないが、シングルの方も、送り溝の筆跡からみて、彼のマスタリング&カッティングだと思う。


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Sのお尻がくるっとまわって丸くなっているのは、彼の筆跡の特徴だ。

良い音である。


     ♪ And when we both get older
     ♪ With walking canes and hair of gray
     ♪ Have no fear, even though it's hard to hear
     ♪ I will stand real close and say
     ♪ Thank you for being a friend


ここのフレーズ好きなんだよなー

耳が遠くなったって、別に心配するこたぁないさ。
思いっきり近づいて、耳元で言ってやっからさ。
友だちでいてくれてありがとうってさ。

って感じ?

いつか老人になったら、古くからの友人に実践してみよっと(笑)

タグ:Andrew Gold
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天使の歌声―レイニッチ [ラジオデイズ]

7月15日放送分のTHE TRAD@TOKYO FMの後半を聴いていたら、YouTubeでJ-Popのカバーをアップしていたのがきっかけで世界的な人気に火が付いたという、インドネシアのレイニッチという女性ボーカリストのインタビューが流れた。

これがまた、おそろしく可愛い声で、一瞬で心を奪われてしまった。
ボクは、可愛い声の女性にはめっぽう弱いんである(笑)

インタビューとともに、松原みき『真夜中のドア~STAY WITH ME~』と菊池桃子『BLIND CURVE』のカバーが放送されたのだが、まさに天使の歌声としか言いようがない。
癒されたなぁ・・・

どちらもYouTubeに動画があるので、貼り付けておこう。









で、なんと、この二曲を収録したアナログが出ているんである。



(画像をクリックするとAmazonにとびます。)


早速オーダーしようとしたのだが在庫がない。
HMVの方には在庫があったので、そっちでオーダーしたのだが、クーポン還元目当てのまとめ買いをしたら入荷未定のが入っていたせいで出荷予定日が9月16日になっている。
おいおい・・・


もう一枚、8月28日発売予定のアナログ『RIDE ON TIME』があったので、こっちはAmazonで予約してみた。



(画像をクリックするとAmazonにとびます。)


HMVの出荷予定日が変わらない場合は、こっちの方が先に届くのか?(笑)

タグ:レイニッチ
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Foreigner, ForeignerのUSオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

今日はRSD2021第二弾ということで、TLも関連の話題で賑やかだが、ボクは完全に蚊帳の外である。
家庭の事情で気軽にレコード店に行けない身なので、どんなタイトルが発売されるのかも、あえて見ないようにしている。

ってことで、自宅でおとなしくレコードを聴いている。

とりあえず、昨日ユウを迎えに行った帰りに本屋に立ち寄って手に入れたレコード・コレクターズ8月号の初盤道を読みつつ、フォリナー(Foreigner)が1977年3月8日にリリースしたセルフタイトル(日本盤のタイトルは『栄光の旅立ち』だった)のファースト・アルバムを聴く。


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20年くらい前に、これはUS盤がオリジナルでいいだろーと勝手に決めつけて買ったのが、向かって右側のレコード番号がSD19109のもの。
しばらくして、ゴールドマインをパラパラ見てるときに、これが再発盤のレコード番号だと知り、向かって左のSD18215の盤を買った。

表ジャケットのロゴの下にもインナースリーブにも、SD18215のレコード番号が確認できる。


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レーベルももちろんSD18215である。
しかもプレス工場はPRだ。


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でも、どうやらこれは初盤ではないらしい。
ジャケットが違うというのだ。
(詳しくは初盤道をごらんください。)

でも、うちのは日本盤のジャケットと同じだぞー
日本盤ジャケットの仕様が初盤の仕様ってのが基本じゃなかったのか?
と思ってちょっと調べたら、日本盤に付属の大貫憲章さんのライナーの日付が1977年5月5日になっている。
つまり、日本盤のリリースは6月とか7月とかだったようで(ちなみにボクはリアルタイムでは"Double Vision"から聴き始めたので、ファーストは後追いだ)、そりゃ初盤ジャケット仕様なわけないやね・・・

でも、音が良けりゃ、いいんである。
実際、Side 2はすこぶる良い音で鳴る。
Side 1も悪くないが、なぜかSide 2のほうがはるかに良い。
マトは、Side 1がCでSide 2がEなのだが・・・
まぁ、Side 2に使われたスタンパーが摩耗してない新鮮なスタンパーだったんだろうな。

もちろん、両面とも送り溝にはat/gpの刻印がある。
Side 1の方はat/gp刻印だけだが、Side 2の方には後ろにmのような文字が彫ってある。


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実はこの後に、同じくmのような文字が彫ってある(ただし、こちらは1 mに見える)。
このmのような文字、最初は、何かよくわからなかったのだが、SD19109の再発盤の送り溝を見て気づいた。


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こちらは、SD19109の再発盤の送り溝のat/gp刻印だが、後に続いて彫られているのは、どう見ても11/77だろう。
つまり、1977年11月にカッティングしたことを意味しているのだと思われる。
(at/gp 11/77は両面にあり、Side 1のマトはKでSide 2のマトはJ。)
そうだとすると、1mに見えたのは、1/77なんじゃないか?
3月8日リリースだから、1月にカッティングというのは、時間的に辻褄があいそうだ。

送り溝といえば、このレコードには、"Roman-J"と"Hannah"という刻印がある。


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マトC/E盤では、どちらもSide 2(つまりEの方)にあり、マトK/J盤では、Side 1に"Roman-J"、Side 2に"Hannah"がある。
ちょっと調べてみると、ミック・ジョーンズ(Mick Jones)には二人の息子がいて、そのうちの一人の名前がRomanだそうで、Roman JonesでRoman-Jなんだろう。
だとすると、Hannahも誰かの娘の名前かな?

それはそうと、初回レコード番号盤と再発盤では、ジャケットにちょっとした違いがある。
ジャケット表の右下にあるロゴの色がちょっと違うのである。


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マクロレンズで撮影すると、インクの違いではなく、ドットの密度の違いであることがわかる。


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つまり、初回レコード番号盤では、ロゴとレコード番号の色は、”FOREIGNER”というアーティスト名/タイトルとは意図的に色を変えてあるわけだ。

再発盤は同じ黒で、こちらの方がまとまりがある。
ロゴとレコード番号だけグレイにする意図がわからなかったのだが、初盤ジャケットの仕様を知って、その意図が理解できた。
というか、変更するなら、ロゴの色も変更しなきゃいけなかったのに、見落としちゃったんだろうな。

さて、初盤ジャケット、どうするかなー
安く手にはいるなら欲しいけど、初盤道のせいで値上がりしたら、パスだな(笑)

タグ:foreigner
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