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David Lindley, El Rayo-XのUSオリジナル [TMLの仕事]

<Kaori Eさんから、日本盤の発売日情報をいただいたので、修正しました。>2023年3月6日9:00

この週末は、浜松の両親のところに行っていたので(夕べの記事については、土曜の朝、出発前に、写真だけ撮っておいた。)、デヴィッド・リンドレー(David Lindley)の『化けもの』(El Rayo-X)は、スマホ(Spotify)で聴いていたのだが、帰宅後あらためて、アナログで聴いた。


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『化けもの』のタイトルがついた日本盤(ワーナー・パイオニア P-11016Y)の方ではなく、USオリジナル(Asylum Records 5E-524)の方である。

昨日の記事の写真でもわかるように、うちの日本盤は見本盤で、スタンパーも両面1-A-1なのだが、音質的にはUSオリジナルに軍配があがるからである。

Wikiによれば、"El Rayo-X"の米本国でのリリースは1981年4月なのだが、日本盤は、見本盤のPMが1-5で1981年5月プレスであることや、小倉エージさんの解説の脱稿が4月になっていることから推測して、おそらく6月リリースであるKaori Eさんからの情報によると5月25日だったようです(残念ながら、見本盤レーベルに発売日は明記されていなかった)。
そうすると、日本盤は、本国から2カ月1か月ほど遅れての発売になるので、鮮度的なハンディがあることは否めない。

それに、USオリジナルは、TMLカッティングなのである。
裏ジャケに明記されているように、マスタリングを行なったのは、ダグ・サックス(Doug Sax)とマイク・リーズ(Mike Reese)だ。
弾むように鳴る低域が実に心地良い。

初回盤のレーベルは、まだクラウズである。
ブラック&オレンジ・レーベルに変わるのは、1984年だと思う。


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この頃ののアサイラムは、東部のスペシャルティ(SP)と西部のアライド(AR)でプレスが行われていたが、うちのはアライド・プレスだ。
ウエスト・コースト・サウンドは、やっぱり、西部プレスで聴かないとね(笑)

Discogsを見ると、スペシャルティ・プレスのマトは両面数字がついていないSP、アライド・プレスのマトは両面1ARしか登録されていない。
2セットしかカッティングされなかったんだろうか?

刻印は、アライド・プレスの両面1ARは、TML-S/TML-Mである。


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写真を撮ってはじめて気づいたのだが、Side 2の方、微妙に塩ビ焼けしてるのかしらん?
まぁ、音に影響が出てないからいいか・・・

話を刻印にもどすと、スペシャルティ・プレスは、両面TML-Mのようだ。

TML-MとTML-Sはカッティング・レースの違いだが、どのように使い分けられていたのか、いまだにさっぱりわからない。

何かご存知の方(あるいは、仮説を立てている方)、ぜひ教えてくださいな。

タグ:David Lindley
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Whitney Houston, Whitney HoustonのUSオリジナル [TMLの仕事]

今日は、紙ジャケ探検隊、urbantango82さん、ハルちゃんの三人がうちに遊びに来てくれて、新年会だった。
「新年会って、もう2月やないかいっ!」って声が聴こえてきそうだが、ほら、年末年始はうちが新型コロナで隔離状態だったので、仕切り直しになったのである。

この新年会、紙ジャケ探検隊がいるんだから、毎年のことだが、そりゃもうディープである。
今年も、真っ白いレーベルにマジック書きの盤やら、BBCって書いてある白緑レーベルの盤やら、物凄い音のイタロのオリジナルやらが飛び交っていた(笑)

そこで宿題をもらったり、紙ジャケ探検隊からとても貴重な手土産をもらって新たな発見をしたりしたのだが、それらについては、もう少し整理した後で報告することにしよう。

みんなが帰った後、今日2月11日はホイットニー(Whitney Houston)の命日なので、このレコードをターンテーブルに載せた。


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1985年にリリースされたファースト・アルバムのUSオリジナル(Arista AL 8-8212)である。

このレコードについては前にも取り上げたことがあって、TMLの素晴らしい仕事であることは、すでに紹介済みだ(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2017-02-12 をどうぞ)。

ただ、今日初めて気づいたことが二つある。

一つは、Discogsを見て知ったのだが、このUS盤、音源の差替えが行われてるんだそうだ。
B4の"Greatest Love of All"が、初回盤におさめられていたピアノのイントロではじまるアルバム・バージョンから、シンセのイントロではじまるシングル・バージョンに差し替えられているのだという。

"Greatest Love of All"がシングル・カットされたのは1986年3月だから、差替えはそれ以降だろう。
差替え盤はSTERLINGカッティングらしいので、1987年のセカンド・アルバムのリリースに合わせてリカッティングが行われたんじゃないかと推測する。

一瞬、差替え盤を探そうかと思ったが、シングルを買えばいいだけの話よね(笑)


もう一つ気づいたことがあるのだが、それは、Discogsにはまったく書かれていない。

実は、うちの盤、透っけ透けなんである。


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RCAのインディアナ工場プレスなのだが、このレコード、インディアナ工場プレスであればすべて半透明盤なのか、それとも、インディアナ工場プレスには透ける盤もあるという程度なのかはわからない。

貴方の家のホイットニーは透けますか?

R.I.P.

タグ:Whitney Houston
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TML刻印の変遷(続報) [TMLの仕事]

今月もレコード・コレクターズは発売日に購入したのだが、初盤道でとりあげられている矢沢永吉さんの『ゴールドラッシュ』は、あいにく持っていない。
『時間よ止まれ』はシングルを買うほど好きだったが、アルバム『ゴールドラッシュ』は買わなかったし、友達で買ったやつもいなかったので、考えてみたら聴いたこともない。

初盤道を読んでいたら、なんだか無性に聴きたくなってきたのだが、レコード・ショップに漁盤にでかけることができるほどの時間はない。
でも、近所のブックオフをちょっとのぞいてみる時間ぐらいならある。

ってことで、先週、時間を見つけて近所のブックオフをのぞいてみたのだが、矢沢永吉さんのLPはいろいろあったものの、『ゴールラッシュ』はなかった。
残念・・・

しかし、収穫もあった。
アース・ウィンド・アンド・ファイアー(Earth, Wind & Fire)が1979年6月9日にリリースした9枚目のスタジオ・アルバム"I Am"のUSオリジナル(Columbia ARC FC 35730)を見つけたのだ。
もちろん、ワンコイン(500円)である(笑)


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実は、このレコード、探していたのだ。

1月11日のTHE TRAD@TOKYO FMでデビッド・フォスター(David Foster)特集があったのだが、そのとき"After the Love Is Gone"がオンエアされて、どうしてもアナログで聴きたくなった。

"After the Love Is Gone"収録の"I Am"は売れたアルバムだし、とりあえず日本盤(タイトルは『黙示録』だった。)でもいいかなと思ったのだが、Discogsでちょっと調べてみると、USオリジナルはTMLのマイク・リーズ(Mike Reese)のカッティングなんである。
これはどうしても、USオリジナルで欲しい。

そう思っていたら、こんなにすぐに見つかるとは・・・

まぁ、でも、売れたアルバムだし、きっとアルファベット二桁マトなんだろうなとあまり期待しないで送り溝を見たら、なんと両面1Aなんである。
新年早々縁起が良い。
ボクは神さまに感謝した。
いや、感謝するなら、ブックオフに足を向けさせた紙ジャケ探検隊かな?
ありがとう、探検隊!


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いやぁ、やっぱり、TMLカッティングの(しかもマト1Aの)アナログで聴く"After the Love Is Gone"は最高だー


ところで、このレコードの送り溝には、とても興味深い発見があった。
Side 1はごく普通の見慣れたTML-M刻印だったのだが、Side 2のTML刻印はこんな刻印だったのである。


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通常のTML-M刻印のあとに手書きで-Xと追記されている。
これって、やっぱり、後にTML-Xと刻印されることになるノイマン製レースでのカッティングって意味だよね?
たぶん、まだTML-Xの刻印ができていなかったので、TML-M刻印のあとに-Xを追記したのだ。

下記記事では、TML-X刻印の使用開始時期は、「1979年10月から」としていたが、"I Am"リリースの前月の「1979年5月から」で、当初は"TML-M-X"(TML-M刻印に手書きで-X追記)だったと修正する必要がありそうだ。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-03-13

この推理、間違ってないよね?

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Peter Frampton, Frampton Comes Alive!のUSオリジナル [TMLの仕事]

レコード・コレクターズ10月号の初盤道は、ピーター・フランプトン(Peter Frampton)の名ライブ盤"Frampton Comes Alive!"である。

一家に一枚はある大名盤なので、もちろん、うちにもある。


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まぁ、掘ったこともないので、US盤が一枚(二枚組だから二枚かw)あるだけだが。
しかも、送り溝を確認してみたら、中部のテレホート工場プレスで、マトがT3/T4/T1/T3(Side 1/Side 4/Side 2/Side 3)のうえに、TML刻印もTML-S/TML-M/TML-M/TML-Mときている。
おまけにダイナフレックス(Dynaflex)かってくらい軽い。
量ってみたら105gぐらいしかない。

ダメじゃん・・・

とはいえ、まぁ、US初期プレスの一枚だろう。
最高音質とは言えないかもしれないが、聴いてみると、マイク・リーズ(Mike Reese)の仕事を十分に堪能できる盤だと思う。
軽い盤にありがちな低域不足もあまり感じない。
もうこれでいいか(笑)

さて、TMLといえば、このブログには「TMLの仕事」なんてカテゴリーがあって、12個も記事がある。
初盤道を読むついでに、このブログのそんな過去記事なんかも読んでいただけたら幸いである。

一番新しい記事(といっても、半年前だが)では、「TML刻印の変遷」を明らかにしているのだが、スタンプのTML刻印、TML-M刻印とTML-S刻印、TML-X刻印の使用開始時期については、まだ確定的に特定できていない。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-03-13

関連情報をお持ちの方は、ぜひお知らせくださいませm(_ _)m

タグ:Peter Frampton
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TML刻印の変遷 [TMLの仕事]

<kaori Eさんからいただいた情報に基づいて、若干修正しました。>(2022年3月13日19:30)
<TML-Xの開始時期について新たな情報を得たので修正しました。>(2023年1月22日21:00)

ジョージ(George Harrison)の"Living in the Material World"に関する記事でUS盤のTML刻印のことを問題にしたのだが、そういえば、この手書きのTML刻印て珍しいよねぇ。

TML(The Mastering Lab)は、1967年12月にダグ・サックス(Doug Sax)とシャーウッド・サックス(Sherwood Sax)の兄弟によってハリウッドで設立されたマスタリング・スタジオだが、当初は、送り溝への刻印は行っていなかった。
それが、手書きのT.M.L.刻印→スタンプのTML刻印→カッティング・レースによって区別されたTML-MとTML-S→TML-MとTML-SにTML-Xが追加と変遷するのだが、具体的にはそれぞれいつ頃変更されたんだろう?
気になったのでちょっと調べてみた。

当初は送り溝への刻印を行っていなかったということについては、ザ・フー(The Who)の"Who's Next"(Decca DL 79182)を思い浮かべる人も多いんじゃないかと思う(関連記事として、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2015-11-01をどうぞ)。
つまり、1971年8月の時点では、まだ刻印がなかったわけだ。
じゃ、いつまでなかったんだろう?

つまり、いつから手書きT.M.L.刻印が現れるのかだが、"Living in the Material World"(Apple Records SMAS-3410)が最初期ではないかと思う。
"Living in the Material World"は1973年5月30日リリースだが、その前月リリースのイーグルス(Eagles)”Desperado”(Asylum Records SD 5068)にはまだ刻印がないからである。
ってことで、手書きT.M.L.刻印の開始は、カッティングはリリースの前月と仮定して、1973年4月からとしておこう。

前の記事に載せた"Living in the Material World"のT.M.L.刻印はちょっとボケていたので、あらためて載せておく。


20220313-1.jpg


次に、手書きT.M.L.刻印からスタンプのTMLへの変更だが、これは以前、バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)"The Way We Were"(Columbia PC 32801)の記事で触れたことがある(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2019-12-28をどうぞ)。

スタンプTMLの画像だけ、あらためて載せておこう。


20191228-05.jpg


少なくとも、このレコードがリリースされた1974年1月時点では、すでにスタンプTMLに変更されていたわけだが、では、スタンプTMLの使用開始はいつだったんだろう?
調べてみたところ、ジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)の"For Everyman"(Asylum Records SD 5067)までは遡ることができた。
このレコードのリリースは1973年10月だから、とりあえず、スタンプTMLの使用開始は、前月の1973年9月としておきたい(たまたま見つかったのがここまでなので、もちろん、もっと遡ることができるかもしれない)。

kaori Eさんから、Kris Kristofferson & Rita Coolidgeの"Full Moon"(A&M Records SP-4403)がスタンプTMLだという情報をいただいた。
このレコードは1973年9月リリースなので、カッティングは前月だとすると、スタンプTMLの使用開始は8月まで遡る。
kaori Eさん、ありがとうございました!

では、カッティング・レースによって区別してTML-MとTML-Sを使用するようになったのはいつか?
確認できたのは、ジャクソン・ブラウン"Late for the Sky"(Asylum Records 7E-1017)が最初である。
このレコードがリリースされたのは1974年9月なので、とりあえず、TML-MとTML-Sの使用開始は、前月の1974年8月としておこう。

"Late for the Sky"にはTML-M刻印のカッティングもTML-S刻印のカッティングもあるが、TML-M刻印のほうを載せておく。


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TML-Xの使用開始は、ノイマン製のカッティング・レースが導入されたときなわけだが、すぐに思い浮かぶのはピンク・フロイド(Pink Floyd)”The Wall”(Columbia PC2 36183)で、これは1979年11月リリースだ。
ってことで、使用開始は、その前月の1979年10月としておこう。

まとめると次のようになる。

①1973年4月まで ― 刻印なし
②1973年4月から ― 手書きT.M.L.刻印
③1973年9月8月から ― スタンプのTML刻印
④1974年8月から ― スタンプのTML-M刻印とTML-S刻印の使用開始
⑤1979年10月5月から ― スタンプのTML-Xの使用開始(但し、当初はTML-M刻印に手書きで-X追記)


以上は、リリース月が確定できるもので調べただけなので、③④⑤については、それぞれもう少し使用開始時期は早いかもしれません。
何か関連情報をお持ちの方はぜひお知らせくださいませm(_ _)m


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