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トパーズ色の街 [風]

大久保一久さんの曲でボクが一番好きなのが『トパーズ色の街』だ。

ちょうどいまの季節にピッタリということもあって、昨夜は、『海風』の繰り返し再生から、そのうち『トパーズ色の街』にだけ繰り返し針を下ろしていた。

一曲にだけ繰り返し針を下ろすのはかなり面倒なのだが、その面倒さも追悼の儀式めいていて、苦にはならなかった。


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「トパーズ色」という表現が、キラキラした夏の名残を少しだけ含みながら、紫外線が弱まって淡くなった陽の光に照らされた感じを、とてもうまく表していて、夏と秋が交差する季節のどこか切なさを漂わせた街並みが、自ずと思い浮かぶよね。


     ♪ 今ではトパーズ色の街が
     ♪ 誰かを淋しくさせてしまう


夏の出来事が思い出になってしまった人は、みんな「誰か」なわけで、当然「僕」も淋しくさせられてしまうんだな。


     ♪ 秋だと云うのに街は
     ♪ いまだ夏のかおりを残しているから
     ♪ 僕はあの娘思い出してしまうのさ


大して記憶に残らないひと夏の恋もあれば、永遠に忘れられない夏の出来事もある。

ボクにも、夏の終りの忘れられない出来事が、なんだか蘇ってきてしまったよ。

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海風 [風]

大久保一久さんが亡くなった。
9月12日のことらしい。

大久保さんの訃報に接して伊勢正三さんが出したコメントの中に、こんな一節がある。


  久保ヤンのやさしさがなかったら、「風」は存在せず、
  僕はただの孤独な男に過ぎなかったのです。


大久保さんの包み込むような優しさは、レコードを聴いていても伝わってくるよ・・・

今夜は、初めて買った風のレコード『海風』を繰り返し聴いている。


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中学生のとき一番聴いたレコードかもしれない。

ロサンジェルス録音で、マスタリング&カッティングはArtisan Sound Recorders。
西海岸のAORの音である。

素晴らしい音が部屋中を満たす。


大久保一久さん、心からご冥福をお祈りいたします。

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風―ファースト・アルバムの謎 [風]

今日は、風のファースト・アルバムの話である。

風のこのファースト・アルバム(CROWN RECORDS PANAM GW-4013)をボクは二枚持っている。


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二枚あるのは、一家に一枚では足りない名盤だからではない(笑)
単に帯付きでマトが若い盤を見つけたから追加で買っただけである。
この「マトが若い盤」というのが、このレコードの謎にかかわってくるのだが、それは後で話題にしよう。

帯付きもとくに珍しくはないが、うちの帯にはこんなプライスタグが貼られている。


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前所有者は三越で購入したようだが、そこはかとなくどころではなく、強烈に昭和感を醸し出すプライスタグだ。
なんだか猛烈に所有欲をそそられてしまった。

ジャケットがテクスチャー加工されているのもいい。


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この頃のフォークのレコードには、自分で弾き語りができるように、歌詞カードにコード付きの譜面が載っているものが多かったが、このレコードでは、歌詞インサートに加えて、弾き語り用ブックレットになるおまけ(手前)がついていた。


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両面印刷の4つ折りで開くとこうなる。


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二つあるので、一つ作ってみた。


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このブックレット見ながら、これからの引き籠り生活、弾き語りの練習でもしようかしらん。
中学生の頃を思い出して。

インナースリーブも凝っている。
レーベルが見えるように、正やんの顔が無残にくり抜かれているが・・・・


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実は、カスタムレーベル上に正やんの顔が印刷されているので、レコードを入れるとちゃんと復元されるのである(色は違うけど)。


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レコードを入れる向きを間違えると、双子の大久保さんが出現してしまうが(笑)


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さて、いよいよ、このレコードの謎の話に入ろう。
大した話じゃないんだけどさ。

しばらく前に、『ザ・ビートルズ完全日本盤レコード・ガイド』(https://ameblo.jp/bp-jrg/)というとんでもない情報量のサイトを発見したのだが、そこに東芝盤以外のプレス・マーク(PM)のことも詳しく書いてあって、この頃のCROWN RECORDSが基本的には東洋化成プレスであることが確認できた(テーマで「日本盤レコードについて 」を選択すると、東洋化成のPMに関する3つの記事が見つかるはず)。

このレコードがリリースされた1975年6月の時点では、東洋化成のPMは、送り溝ではなく、レーベル上に刻印されている。

手持ち盤のマトは次の二種類だ。

①Side A 1-A-20 / Side B 2-A-13

②Side A 1-B-5 / Side B 2-B-1

どちらもラッカーは同じ(A1/B2)だが、①のほうは両面ともマザーがAでスタンパーが20/13、②のほうは両面ともマザーがBでスタンパーが5/1ということだろう。

では、①と②では、どちらが若いのだろう?

ボクは①のほうが若いと思って追加で買ったのだが、現実には、②が若かった。

東洋化成のPMは、「西暦の一桁部分 T 月」で構成される。1975年5月(6月リリースなら5月が前月製造の初盤である)なら、「5T5」となるわけだ。

で、②のほうが「5T5」だったのである。


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①のほうは「5T9」だったので、そこまでレイトではないが、それでもリリースから数か月後に製造されたものということになる。

このレコードに限って、マザーAより先にマザーBが使用されただけなのか、それとも、最初に複数枚のマザーが作られた場合、スタンパーナンバーを通し番号でふるというのが東洋化成のルールだったのか、現時点では不明である。

ハードオフのジャンクコーナーで地引網調査をしたい衝動にかられるのだが、新型コロナでの引き籠りにくわえて、腰に爆弾をかかえてしまったので、それもできない(涙)
誰かに解明してほしいのである(人任せかいっ!)。

それにしても、ラストにおさめられた『お前だけが』が懐かしい。
フォークギターを買ってもらって、弾き語りを始めた中学時代、この曲でよく練習したなぁ。

     ♪ お前だけが お前だけが
     ♪ お前だけがいてくれたらそれでいい
     ♪ お前のやさしい笑顔がそこにあればそれでいいのさ

なんだか、「お前のやさしい笑顔」、思い浮かべてしまったよ(笑)

いま思ったのだが、この歌の二番の歌詞って、SMAP『らいおんハート』の二番の歌詞に通じものがあるよねぇ。

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4は1に見える?~風『windless blue』の見本盤 [風]

2週間ほど前、風『windless blue』について書いた記事の最後で書いたとおり、手元の初回盤はどうも状態がいまひとつなので、状態の良い初回盤をなんとか手に入れたいと思っていた。

初回盤といえば、その代表格は『プロモ盤』、日本では一般に『見本盤』と呼ばれる、ラジオ局等にプロモーション用に配った盤だ。
もちろん、『プロモ盤』『見本盤』だからといって必ず初回盤かというと、そうでない場合もないわけではないのだが、見本盤用の白いレーベルが使用されていたり、『見本盤』と印刷されているレーベルが使用されていたりする場合は、初回盤である確率は非常に高い。

ってことで、『windless blue』の見本盤を買ってみた。


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レーベルにも、しっかりと『見本盤』と印刷されている。
正真正銘の『見本盤』である。
このブログの用語法で言えば、カスタム・レーベル・プロモ(Custom Label Promo)いわゆるCLPだ。


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状態もすこぶる良い。
なにせ商品説明では、「未使用見本盤」である。

とはいえ、「未使用」というのはちょっと言いすぎだ。
NM(ニアミント)=新品同様だと言うのなら、それを認めるのに吝かではないが、少なくとも「未使用」ではない。

スピンドルまわりに、うっすらとヒゲが確認できるからである。


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まぁ、でも、老眼とかで見えないこともあるか(笑)
(出品者が老眼だったかどうかは知らないけど。)

それより気になったのは、スタンパーナンバーである。

今回入手した盤のスタンパーナンバーは、次のとおりだった。

Side 1:1-A-4
Side 2:2-A-2

それに対して、前回紹介した初回盤のスタンパーナンバーは次のとおりだ。

Side 1:1-A-3
Side 2:2-A-11

Side 2については、2なので、まぁ文句はないが、Side 1の4てのはどういうことだ?
手持ちの通常盤より進んでんじゃんかっ!

ボクは愕然としながら、『見本盤』をターンテーブルに載せた。

ウソです。
そんな細かいことで愕然とまではしません(笑)

実際、スタンパーナンバーが一つ進んでいるSide 1でも、見本盤のほうが鮮度が高い音がする。
よりタイトで、ボーカルや個々の楽器の音色が実に明快だ。
その音質が、このアルバムのAORサウンドを、より一層引き立てている。
ボクはもう十分に満足だ。

とはいえ、なぜスタンパーナンバーが4なのだろう?
そう思ってあらためて送り溝を眺めてみたところ・・・

こりゃ、1に見えるかも?


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写真に撮るとわりとはっきり4だが、光の加減でちょっと離れて見ると、1に見えることもあるかもしれないと思う。
老眼だったら、1に見えても仕方がない気がする。

そんなことを思うと、スタンパーナンバー4の見本盤も、なんだか許せてしまうのである(笑)

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風『windless blue』のオリジナル [風]

かぐや姫の伊勢正三さんと猫の大久保一久さんによって結成された風は、その経歴から「フォーク・デュオ」と言われることが多いが、風がフォークだったのはセカンド『時は流れて・・・』までで、サードの『windless blue』以降は、まったくもってフォークではない。

ボクがリアルタイムで風を聴くようになったのは『海風』からなので、風を「フォーク・デュオ」だと言われると、おそろしく違和感がある。
それに、風がリリースしたアルバム5枚のうち、フォーク・アルバムは最初の2枚しかないのだがら、その意味でも「フォーク・デュオ」というのは違う気がする。

とはいえ、当時はどう呼べばいいかわからなかったのだが、いまなら、相応しい呼び方が思い浮かぶ。
そう、「シティ・ポップ・デュオ」というのがもっとも相応しいだろう。

今回とりあげるサード『windless blue』も、どう聴いてもフォークではない。
これは、アメリカ西海岸のAORの音だ。
ジャケットだって、思いっきりAORである。


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スティーリー・ダン(Steely Dan)へのオマージュがそこかしこに感じられるアルバムで、とにかくかっこいい。

おまけに名曲『君と歩いた青春』まで入っている。
一家に一枚では足りない。
二枚は欲しい名盤である。
そんなわけで二枚持っている(笑)

なーんて冗談はこのくらいにして、本題に入ろう。

このアルバムを二枚持っているのには理由がある。

すでに書いたように、ボクが風をリアルタイムで聴くようになったのは『海風』からで、『windless blue』は後追いだった。
最初に聴いたのがいつ頃だったのか記憶が定かではないが、レコードを買ったの自体は、数年前のことだ。

当然のことながら、買うならオリジナル・ファースト・プレスである。

このレコードには、ときどき、ジャケットと別テイクの写真が使用されたステッカーが付属していることがあり(わりとよく見るので特にレアではないと思う)、帯とかに「初回限定ステッカー付き」みたいな宣伝文句はないものの、この手のおまけは初回盤についてたものだろうと思った。

で、ステッカー付きを手に入れた。
帯はついてなかったんだけどね。


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この盤、音も悪くないし、とりあえず満足していたのだが、つい先日、帯付き盤を見つけたので盤を確認してみたら、なんと手持ち盤よりスタンパーが若い。
しかも、レーベル形状が違う。
ステッカーはついていなかったし、盤の状態もあまり良くはなかったのだが、安レコだし、とりあえず買ってしまった。

ってことで、うちには二枚あるわけだ。

そう、うちの二枚、レーベル形状が違うんである。

以前から持っていた盤のレーベル形状はこうなっている。


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日本盤ではあまり見ない(よね?)凸リムである。

他方、新たに入手した盤は、フラット・レーベルだ。


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こっちのほうが一般的だよね。

スタンパー情報については、次のような違いがあった。

以前から持っていた盤―凸リム盤
 Side 1: 1-B 9
 Side 2: 2-C 9

新たに入手した盤―フラット盤
 Side 1: 1-A-3
 Side 2: 2-A-14

読み方は、おそらく最初の数字がラッカー、次のアルファベットがマザー、最後がスタンパーじゃないかと思う。

最初の数字が同じなので、要は両方ともマト1/2ということで、同じである。
違いはマザー/スタンパーの進み具合ということだ。

興味深いのは、以前から持っていた凸リム盤の場合、スタンパー・ナンバーの前にハイフンがない。
それだけでなく、Side 1の送り溝に、こんな刻印があった。


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これは、「11 K 6」で6にアンダーバーがついてるんだと思う。
『windless blue』の発売日は、1976年11月25日だから、この刻印はおそらく製造年月を表しているんじゃないだろうか?

最後の6が1976年。
その前のKは、アルファベット11番目で11月。
YMOの『増殖』が凸リムで、送り溝には必ずK刻印があるようだ。ここから、K刻印はプレス工場の識別記号の可能性が高いと推測される。(2021年9月17日20:00追記)
最初の11は、Kと同じく11月を意味するんじゃないかと思う(11日という日付を意味する可能性もないわけではないが、日付までは普通打たない気もする)。

そうだとすると、以前から持っていた凸リム盤も、発売日当月製造盤である。
初回プレスではないかもしれないが、相当に初期プレスということになる。
やはり、ステッカーは初期盤にのみついてたんじゃないかと思う。

ちなみに、フラット盤の送り溝には、この製造年月刻印のようなものはない。
レコード棚にPANAM盤が10枚ほどあったので確認してみたが、凸リム盤は一枚もなかったし、74年くらいまではPANAM盤の送り溝にも製造年月刻印らしきものがあるのだが、凸リム盤のそれとは形式が違っていた。

つまり、ボクが以前から持っていた『windless blue』の凸リム盤は、委託プレスの可能性が高いんじゃないかと思う。

さて、重要なのは、音である。
これがねぇ・・・かなり違う(笑)

凸リム盤は、低域が若干膨らみ気味で、個々の楽器の音やボーカルの輪郭が微妙にぼやけている。
それに対して、スタンパーの若いフラット盤は、低域がタイトで、個々の楽器の音やボーカルの輪郭が実に明快だ。

楽器の音で言えば、A3『3号線を左に折れ』の哀愁を湛えた新井英次さんのトロンボーン、A4『旅の午後』のエモーショナルな水谷公生さんのギターソロが、とりわけ好きなのだが、フラット盤のほうを音量をあげて聴くと、その音色に蕩けてしまう。

凸リム盤も、それだけ聴いていたときは良かったのだが、スタンパーの若いフラット盤のほうを聴いてしまうと、もう戻れない。

しかし、うちのフラット盤、状態がいまひとつなのが残念だ。
安レコだし、状態の良い初回盤をなんとか手に入れたいと思う今日この頃なのである。

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