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Phoebe Snow, Phoebe SnowのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

紙ジャケ探検隊(真保安一郎氏と書くより、こっちの方がシックリくるので、このブログではこれまでどおりでいきます。)の言うとおり、曲良し、演奏良し、音質良し、と三拍子揃った名盤なので、今宵もこのレコードを聴いている。


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フィービ・スノウ(Phoebe Snow)が1974年にリリースしたファースト・アルバムのUSオリジナル(Shelter Records SR 2109)である。
探検隊からアメリカ土産にもらった正真正銘の初盤だ。

前の記事と同じ写真ではつまらないので、今日はAudio TechnicaのカートリッジAT33MLを主役にして撮ってみた。
先週末に突如思い立って付け替えたのだが、AT33MLを使うのって3年ぶりぐらいじゃないだろうか。


さて、このレコード、究極の鮮度感を味わいたいのなら、『初盤道』183頁以下を参考に正真正銘の初盤を探す必要があるが、まぁ、そこまでこだわらなくても、十分に良い音で楽しめる。

クレジットはなく、確証までは得られない筆跡鑑定によるものなので、『初盤道』では言及されていないが、このレコードのカッティングはバーニー・グラインドマン(Bernie Grundman)の仕事だと思う。


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筆跡全体からもBGらしい筆跡だという印象を受けるが、B面のマトの冒頭の”5”をひっくり返したような”2”は彼の筆跡に間違いないだろう。

BGの素晴らしい仕事を、AT33MLが、MCらしく繊細に表現してくれる。
そして、フィービはやっぱり最高だと実感するのである。

タグ:Phoebe Snow
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エレクトラの赤の不思議(続報)~Judy Collins, Hard Times for LoversのUSオリジナルを聴きながら [Bernie Grundman(BG)の仕事]

エレクトラ(Elektra Records)のバタフライ・レーベルからレッド・レーベルへの変遷の詳細について、昨日の記事で、「もうちょっとちゃんと調べてみないといけない」と書いだが、書いたときには、「まぁ、そのうち、ボチボチ調べよう」という程度の気持だった。
その程度の気持だったのは何故かといえば、問題になる時期のエレクトラのレコードってあんまり持ってないからである。

ってことは、「まぁ、そのうち、ボチボチ調べよう」なんてスタンスだと、結局、調べないまま終わるだろうな。
まぁ、後は紙ジャケ探検隊に丸投げというのもアリか。

そう思ったのだが、GWのせいか、なんだか急にやる気が出てしまって、Discogs登録の地引網調査なんぞをやってしまった(笑)
とりあえず、6E128のカーリー・サイモン(Carly Simon)から6E209のピンク・レディー(Pink Lady)まで、US盤の登録画像を全部チェックして、工場ごとにどのレーベルが使用されているかをリスト化した。

時期については微妙な部分はあるが、仮説は概ね裏付けられたんじゃないかと思う。

SPプレス、PRCプレス、PRC-Wプレスの全工場でバタフライ・レーベルが使用されていたのは、6E151のキャロル・ベイヤー・セイガー(Carole Bayer Sager)、6E153のコリエル/キャスリン(Coryell/Catherine)、6E156のスウィートボトム(Sweetbottom)あたりまでだ。
発売日がわかったのはキャロル・ベイヤー・セイガーぐらいで、1978年8月15日だった。

PRC-Wプレスのみレッド・レーベルに変わるのは、6E152のアクエリアン・ドリーム(Aquarian Dream)、6E154のオレゴン(Oregon)あたりからだ。
アクエリアン・ドリームの発売日はわからなかったが、オレゴンは1978年9月のようだ(Wikiは1978年4月になっているが、どう考えても間違い)。

PRCまでレッド・レーベルに変わるのは、前の記事でとりあげた6E160のパトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)からなのだが、実は、1978年中にリリースされたと思われる6E164のレニー・ホワイト(Lenny White)までは、PRC-Wプレスのみレッド・レーベルで、PRCプレスはバタフライ・レーベルだ。
6E166のクイーン(Queen)はカスタム・レーベルだし、6E167のジルベルト・ジル(Gilberto Gil)はPRCプレスのレーベル登録がなかったので、確実に言えるのは6E168のマーク・タナ―・バンド(The Marc Tanner Band)からだが、PRCプレスもレッド・レーベルになる。
そういったところから考えると、パトリース・ラッシェンの発売日は、案外、10月15日ではなく、12月ぐらいだったのかもしれない。
そうだとすると、PRCまでレッド・レーベルに変わるのは1978年の年末ということで、そのほうが辻褄が合いそうな気がする。

SPプレスまでレッド・レーベルに変わるのは、6E205のアクエリアン・ドリームからで、これ以降は、どの工場もレッド・レーベルだ。
6E205で、SPプレスのWLPが、バタフライ・レーベル・デザインからレッド・レーベル・デザインに変わるので、間違いない。
ピンク・レディーの発売日が1979年6月1日だから、レコード番号順に発売されるとも限らないし、1979年初夏ぐらいと考えておけばいいということになる。

ひとつ、まったく新しい発見があったのだが、実は、PRC-WプレスのWLPは、最初からずっとレッド・レーベルのデザインのホワイト・レーベルなんである。
つまり、PRC-WプレスのWLPには、バタフライ・デザインのホワイト・レーベルが使用されたものは存在しない。
通常盤は、6E156のスウィートボトムまでバタフライ・レーベルなのだが、WLPは、レッド・レーベルのデザインのホワイト・レーベルだということだ。

どういう風に確認したかを説明しておこう。

6E112のクイーン(1977年10月28日リリース)まではサンタマリア・プレスのWLPが存在する一方でPRC-WプレスのWLPは存在せず、6E113のジャクソン・ブラウン(Jackson Browne)(1977年12月6日リリース)からは、逆にサンタマリア・プレスのWLPは存在しない一方でPRC-WプレスのWLPが存在するので、エレクトラ/アサイラムの西部のメイン工場が、この時点でサンタマリアからPRC-Wに変わったことがわかる。

で、それにもっとも近いエレクトラの盤は6E119のディー・ディー・ブリッジウォーター(Dee Dee Bridgewater)なので、そのWLPを確認すると、PRC-WプレスのWLPでも、レッド・レーベルのデザインのホワイト・レーベルが使用されているのである。

以上の調査結果をまとめれば、次のようになる。

1 PRC-Wが西部のメイン工場となった1977年12月時点で、WLPはすでにレッド・レーベル・デザインが使用されていたが、通常レーベルは、SPプレス、PRCプレス、PRC-Wプレス、すべてバタフライ・レーベルだった。
2 1978年9月頃からPRC-Wプレスのみレッド・レーベルに変わる。
3 1978年12月頃からPRCプレスもレッド・レーベルに変わる。
4 1979年6月頃にはSPプレスもレッド・レーベルに変わり、レーベル・デザインの移行が完了する。

いやぁ、地引網的に大量の画像をチェックしたが、テレヴィジョン(Television)とカーズ(The Cars)をのぞけば、持っているのは、6E171のジュディ・コリンズ(Judy Collins)と6E192のリー・リトナー(Lee Ritenour)ぐらいである。
リー・リトナーの方は以前記事にしたことがあるので(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-01-22 今回の記事に合わせて少し修正しました。)、ジュディの方を聴きながら、この記事を書いている。


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うちのはSPプレスのバタフライ・レーベルなのだが、1979年2月リリースなので、すでに、PRC-Wプレスだけでなく、PRCプレスも、レッド・レーベルが初回である。
しかも、このレコード、カリフォルニア録音で、マスタリング&カッティングもA&Mスタジオでバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)が行っているから、PRC-Wプレスのほうがオリジナルなんじゃないかという気がしないでもない。
と思ったら、これの西部プレスのWLPってアライド(Allied Record Company)・プレスなのね・・・
まだ、本格的にアライドには移行してない段階だと思うのだが、不思議だ。
いずれにせよ、見つけたら買ってみよう。

それはともかく、昔は、「レッドはレイトで、初回はバタフライだろー」って信じて疑ってなかったんだけどなー

でも、そんなことに関係なく、ジュディには癒されるよね。
"Desperado"もやってるしさ。

タグ:Judy Collins
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エレクトラの赤の不思議~Patrice Rushen, PatriceのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

火曜日に、近所のブック・オフやハード・オフではなく、ボクを町田へと向かわせたデア・レコーズさんのツイートは、このレコードについてのものだった。


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パトリース・ラッシェン(Patrice Rushen)が1978年10月17日にリリースした、通算4枚目で、エレクトラ移籍後初のアルバムである"Patrice"のUSオリジナル(Elektra 6E-160)である。

バラエティに富んだ佳曲が並ぶとても良いアルバムだ。
シングル・カットされたA2"When I Found You"は名曲だと思う。

話をもどそう。
デア・レコーズさんのツイートのどこが引っ掛かったかと言えば、「USエレクトラ赤ラベル」と書かれていたところだ。
最初の画像でもわかるが、このレコード、レッド・レーベルなんである。


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ボクもちょっとだけ協力したレコード・コレクターズ2023年5月号の初盤道で、このレッド・レーベルが話題になっていたが、エレクトラがこのレーベルを一般的に使用するようになるのは、1979年夏頃のはずである。

最初は、「単にレイトってだけ」かと思ったのだが、デア・レコーズさんは、基本的に、オリジナルならオリジナル、リイシューならリイシューと書く。
しかし、"Patrice"のツイートでは、「USエレクトラ赤ラベル」のみで、オリジナルなのかリイシューなのか書いてなかった。

それで気になって、Discogsで確認すると、東部のスペシャルティ・レコード・プレス(SPプレスと呼ぶ。)にはバタフライ・レーベル(最近、エレクトラのレーベルに描かれてているのは、実は、ニシキオオツバメガという蛾だ、とTLに教えてもらったのだが、いまさらモス・レーベルと言っても通じないので、今後もバタフライ・レーベルと呼ぶ 笑)が存在するのだが、西部のPRCコンプトン工場プレス(PRC-Wプレスと呼ぶ。)にも、中部のPRC工場プレス(PRCプレスと呼ぶ。)にも、バタフライ・レーベルは存在せず、初回プレスからレッド・レーベルのようなのである。

単に、PRC-WプレスとPRCプレスのバタフライ・レーベルがDiscogsに登録されていないだけかと思いきや、PRC-WプレスのWLPのデザインがバタフライ・レーベルではなくレッド・レーベルのものだし、PRCプレスのプロモは、ホワイト・レーベルではなく、レッド・レーベルに"PROMOTION COPY"と印刷されたものだったから、PRC-WプレスとPRCプレスは、初回からレッド・レーベルだったというのは間違いないと思うのだ。

しかも、このアルバム、ロサンジェルスのコンウェイ・スタジオ(Conway Studios)録音で、マスタリング&カッティングはA&Mスタジオでバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)が行っている。
西海岸プレスつまりPRC-Wプレスがオリジナルの可能性が高いんである。

さらに調べてみると、Discogsでレコード番号を追ってざっと見てみただけなので確実なことは言えないのだが(レコード番号順に発売されるとは限らないし、発売日がわからないのが多いのですよ。)、どうも、1978年の夏頃にはPRC-Wプレスではバタフライからレッドに移行し、10月リリースのこのパトリースのレコードからPRCプレスもバタフライからレッドに移行し、1979年の初夏頃にSPプレスもレッドに移行するということのようだ。

つまり、西から順に、時期的にずれて、バタフライからレッドに変遷したようなのだ。
あまりにも奇妙なので、このあたりは、もうちょっとちゃんと調べてみないといけないよね。

1976年に一時的に使用されたアサイラムの青レーベル(詳しくは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2018-12-08 をどうぞ。)といい、1978年に例外的に使用されたこのエレクトラの赤レーベルといい、エレクトラ/アサイラムのレーベル変遷は一筋縄ではいかないなぁ・・・

タグ:Patrice Rushen
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Bobby Caldwell, Carry OnのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

一日空いたが、今宵もボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)追悼である。

T.K.Recordsが倒産してしまったので、ポリドールに移籍して、1982年にリリースしたサード・アルバム"Carry On"を聴こう。


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うちにあるのはUSオリジナル(Polydor PD-1-6347)である。

ファーストが好きすぎて、ボビー・コールドウェルを聴こうと思ったときにはファーストをターンテーブルに載せるので、このレコードもあんまり聴き込んでいないのだが、あらためてじっくり聴いてみると、実に良いAORアルバムだ。

スティーヴ・ポーカロ(Steve Porcaro)、ジェフ・ポーカロ(Jeff Porcaro)、スティーヴ・ルカサー(Steve Lukather)、デヴィッド・ペイチ(David Paich)といったTOTOのメンバーが参加しているせいか、ところどころTOTOっぽさを感じたり、あるいは、スティーリー・ダン(Steely Dan)ぽさを感じたりするところもあるのだが、ボビー・コールドウェルが歌えば、しっかり彼の音楽になるんである。

それに、このレコード、すこぶる音が良い。
インナースリーブに明記されているように、バーニー・グランドマン(Bernie Grundman)がマスタリングを行なっているのだが、実に良い仕事をしているのである。

BGというサインはないが、送り溝の筆跡は、彼の筆跡で間違いない。


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とくにSのお尻がクルっと丸まっているのが特徴的だ。
つまり、間違いなく、カッティングもBGによって行われている。

ただ、うちの盤、東海岸のハウパーグ(Hauppauge Record Manufacturing Ltd.)プレスなのよね・・・

USポリドールは、レーベル上に工場識別番号が印刷されているが、このレコードは、下部リムの先頭に53という数字が確認できる。


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53は、1981年8月まではキール(Keel Mfg. Corp.)、その後キールを引き継いだハウパーグに割り振られた番号である。

また、送り溝にある、この矢印マークも、ハウパーク・プレスであることを表している。


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西海岸録音でBGカッティングだから、このレコードは、西海岸プレスで聴きたいよねぇ・・・
Discogsで確認すると、西海岸は、PRCのコンプトン工場(PRC Recording Company, Compton, CA)プレスのようだ。
どこかで出会ったら買ってみよう。

タグ:Bobby Caldwell
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Steely Dan, AjaのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

2月20日は、ウォルター・ベッカー(Walter Becker)の誕生日である。

ってことで、このレコードをターンテーブルに載せた。


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スティーリー・ダン(Steely Dan)が1977年9月にリリースした6作目のアルバム"Aja"のUSオリジナルである。

ジャケットには金文字で"DEMONSTRATION NOT FOR SALE"というスタンプがあるプロモ盤だが、盤自体はWLPではなく、通常盤と同じだ。
このレコードのWLPは見たことがないので、プロモ盤はこのタイプしか存在しないんじゃないかと思う(たぶん)。

レコード番号は、もちろんAB-1006である。


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このレコード、AA-1006の盤が非常に多いが(ボクも2枚持っている)、それには理由がある。

Discogsには、発売からおおよそ2週間後に価格改定(LPの価格が1ドル上がった。)があって、レコード番号がAA-1006に変更になったというようなことが書いてある。
AB-1006の背表紙には価格表示がないのに対してAA-1006の背表紙には0798という価格表示があるので、価格改定があったのは確かなようだ。
また、翌月の1977年10月発売のLevon Helm & the RCO All-Starsのレコード番号はAA-1017しか存在しない(AB-1017は存在しない)。
つまり、”Aja”がAB-1006のレコード番号で売られていた期間は、どんなに長くても1カ月くらいのものだったということだ。
AA-1006がわんさか存在するわけである。

ただ、そんな短期間での切り換えなので、初盤というのにこだわらなければ、AA-1006の盤でも初盤と遜色ない音の盤は存在するはずである。
まぁ、プレス時期を特定する方法がないので、聴いてみるしかないのだが(笑)

あと、注意が必要なのは、初回盤も4つの工場でプレスされているという点である。

西部は、コロンビアのサンタマリア工場で、ここでプレスされた盤は、マトの末尾が1Aとか1Bとかになる。
中部は、コロンビアのテレホート工場で、ここでプレスされた盤は、マトの末尾が-1とか-2とかになる。
東部は、キール(Keel Mfg. Corp.)とコロンビアのピットマン工場で、キール・プレスはマトの末尾がない(ユニオンジャックが刻印されているのが通常だが、ないものもあるかもしれない。)が、ピットマン工場プレスは、マトの末尾がP1とかP2とかになっているようだ。

レココレ今月号の初盤道でも指摘されているように、工場による音の違いは、場合によってはかなり大きかったりする。
しかも、このレコードの場合、マトの末尾の違いから明らかなように、工場によって送られたラッカー自体が違う。
アトランティックのように、同じラッカーからとったマザーを各工場に配る場合には、純粋に工場による音の違いだけだが、ラッカー違いだと、名匠バーニー・グランドマンが同じようにカッティングしていたとしても、人間なのでそれなりに違いはあるわけで、工場による音の違いとカッティングによる音の違いの相乗効果で、かなりの違いが出てきそうだ。

まぁ、その中から好みの音の盤を探し出すってのも、アナログ盤収集の醍醐味だよね(笑)

ちなみに、うちのプロモ盤は、サンタマリア工場のマト末尾1A/1Aだ。
タイトでこのうえなくクールな音を奏でてくれるのである。

タグ:Steely Dan
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