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『ジョンの魂』UKオリジナルのジャケットのこと [John Lennon]

<英EMIの天表記ジャケットについて、ちょっと不正確な記述があったので追記したのですが、それも不正確だったので修正しました。失礼しましたm(_ _)m>
<ほかにもいろいろ間違いがあるかもしれません。お気づきの点がございましたら、ぜひお知らせください。>(2019年12月15日14:30)


『ジョンの魂』のUKオリジナル(Apple Records PCS 7124)については、もう一つ注意が必要なことがあるので、記事にしておこう。
それは、ジャケットに関することだ。


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前回の記事にも書いたことだが、『ジョンの魂』UK盤のジャケットは、70年代の後半に至っても、フルラミネートのもので、一見したところではファースト・プレスのジャケットと同じだ。
しかし、実は同じではない。

ファースト・プレスとレイト・プレスを比較すると、重大な違いがあることに気づく。


ファースト・プレスのジャケットは、貼り合わせがこのようになっている。


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表ジャケットのほうに糊代があり、裏ジャケットに貼りつけられているのである。
この貼り合わせを「後貼り」と呼ぶことにしよう。

一方、レイト・プレスのジャケットは、このような貼り合わせになっている。


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ファースト・プレスのジャケットとは逆で、裏ジャケットのほうに糊代があり、表ジャケットに貼りつけられているのだ。
この貼り合わせを「前貼り」と呼ぶことにしよう。

この違いは、おそらく70年代初頭に英EMI系のジャケットの仕様が変更になったことと関係しているんだと思う。

70年代初頭から、英EMI系のジャケットでは、背表紙だけでなく、天にもアルバム・タイトルとアーティスト名が表記されるものが出てくる。
(いつからなのかは知りません。少なくとも、"Band on the Run”のファースト・プレスでは、すでにこの仕様になっています。)

で、この天の表記は裏ジャケット側に印刷され、その上が糊代になっていて、貼り合わせは前貼りになるのだ。

『ジョンの魂』の前貼りジャケットも、英EMIのジャケットにこの天表記仕様が出てきた後に、(天表記ではないにもかかわらず)同じ方式で製造されたものと考えるのが合理的である。

そんなわけで、ファースト・プレスのジャケットとしては、「後貼り」であることがとても重要だと思うのである。


<追記>
”Band on the Run"と”Mind Games"のファースト・プレスが天表記の前貼りだったので、いつのまにか天表記ならすべて前貼りかと思い込んでしまっていたが、"Band on the Run"もレイトでは後貼りの天表記になる(字体も細く小さな字体に変わる)し、Queenのファーストも(確か初期盤は前貼りだったと思うが)手持ちは後貼りの天表記だったことを思い出した。
たぶん、天表記ジャケは、当初(1973年頃?)は前貼り仕様で製造されていたが、後に後貼り仕様に変更になったのだろう。
もっとも、”Band on the Run"と”Mind Games"のファースト・プレスでは前貼り天表記なので、『ジョンの魂』の前貼りは、”Band on the Run"や”Mind Games"がリリースされた1973年秋頃以降の製造だろうという推論に変わりはない。


それから、もう一つ、昔から気になっていることがある。
『ジョンの魂』のUK盤ファースト・プレスのジャケットと、この二枚のUKオリジナルのジャケットの間に、一つの共通点があるのだ。


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"Abbey Road"(Apple Records PCS 7088)は、いわゆるレフト・アップルのジャケットで、ファースト・プレスの一種だ。


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"Let It Be"(Apple Records PCS 7096)のほうは、ボックスものではないが、レッド・アップルのジャケットなので、単体リリースのときの初回出荷分だろう。


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この3枚のジャケットの共通点は、背表紙が押しつぶされたように狭くなっていることである。
比較のために、"Imagine"を上にのせて写真を撮ってみた。


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”Imagine"の半分くらいしかないのである。

1枚だけなら、何かのミスで押しつぶしてしまったということも考えられるが、3枚出てくると、こういう仕様だったんじゃないかという気がしてくる。

仮にこれが仕様だったとすると、『ジョンの魂』UKオリジナル・ファースト・プレスのジャケットは、後貼りでナロー・スパインのものだということになる。

そう思って調べてみたのだが、調べ方が悪いのか、貼り合わせのこともスパインの薄さのことも、とんとヒットしない・・・

何かご存知の方、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m

タグ:John Lennon
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ジョンの魂 [John Lennon]

昨日はジョン(John Lennon)の命日だったので、このレコードを聴いていた。


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原題は"John Lennon / Plastic Ono Band"だが、日本盤につけられた『ジョンの魂』というタイトルのほうがしっくりくる。
もっとも、聴いていたのは、日本盤ではなく、UKオリジナル(Apple Records PCS 7124)なんだけどさ。

それにしても、生々しい。
内容もそうだが、音も生々しい。
生々しすぎて、夜中に聴いてると泣きそうになる。

「UKオリジナルって、そんな生々しい音だったっけ?」なんて思った貴方!
もしかしたら、貴方のUKオリジナルは似非UKオリジナルかもしれない!
なーんてね(笑)

まぁ、似非は言い過ぎかもしれないが、このUK盤、レイト・プレスは十分に眠い音である。
で、眠い音だというのには理由がある。

まず、ボクがいつも聴いている盤の話をしよう。

レーベルは、こうなっている。


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下部の三行を見てほしい。
"PHIL SPECTOR"と"JOHN LENNON"の間に"Copyright also claimed by MACLEN(Music)Ltd."という一行がある。
レイトでは、この記述が消える。
いつから消えるのかは知らないが。

マトは両面末尾1Uだ。


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もっとも、これはずーっと両面1Uである。
だから、両面1Uだからって喜んでもダメである。

ボクの愛聴盤のSide 1のマザーは1だ。


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スタンパーはGである。


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そう、1Gスタンパーなんである。

じゃ、Side 2もそうなのかというと、これが全然違う。
2ARなのだ。

最初はショックだった。
なんでこんなに違うんだーと叫びたくなった(笑)

でも、Side 2の鮮度感も、Side 1と変わらないのである。
で、ボクは、この2ARは間違いだと思うことにした(笑)

どういう間違いかというと、Aと打たなきゃいけないところをRと打ってしまったので、追加でAと打ち直したもので、ホントは2Aなんだと思うことにしたのである。

これ、妄想には妄想なんだが、まったく根拠のない妄想というわけでもない。
とはいえ、説明は面倒なので割愛する(笑)


さて、では、レイト・プレスの音が眠い理由の話をしよう。

ここに一枚のレイト・プレスがある。
インナー・スリーブは汎用のプレーンなものになっているが、ラミネート・コーティングのジャケットでマトも両面末尾1Uだ。


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では、この盤、いつ頃プレスされたものなんだろうか?
答は、汎用のプレーン・インナー・スリーブの中央下部にある。


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478というのは、1978年4月製造であることを示す。
78年4月でも両面1Uだったのね。

で、この時期にはもう、"Copyright also claimed by MACLEN(Music)Ltd."という記述がレーベルから消えている。


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もっとも、ボクは、初盤から8年も経った後のプレスだから眠いと言いたいわけではない。
もっとも大きな理由はこれだと思う。


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マザー番号1の右下に4という数字が刻印されている。
これはコピー・シェルってことだろう。
マザー1から作られたスタンパーをマスターにしてマザー4は作られたわけである。
眠い音になるわけだ・・・

「UKオリジナルなんだけど、なんか眠い音だ・・・」と思っている方は、レイトのコピー・シェルから作られた盤である可能性を疑ってみたほうがいいかもしれない。

このレコード、アーリー・プレスのUKオリジナルは、泣きそうになるくらい生々しいよ。

タグ:John Lennon
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Andre Previn's Trio, Like Previn! [ジャケ買い倶楽部]

手に入れたのは一月ほど前だが、ジャケ買いしたレコードがあるので、紹介しておこう。

アンドレ・プレヴィン(Andre Previn)がレッド・ミッチェル(Red Mitchell)とフランク・キャップ(Frank Capp)とのトリオで1960年に録音した"Like Previn!"のUSオリジナルである。


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1960年なので、当然のことながらモノラル盤(Contemporary M3575)も存在するが、写真の通り、これはステレオ盤(Contemporary S7575)だ。

アンドレ・プレヴィンのレコードは、有名なのを数枚持っている程度なので、このレコードのことはまったく知らなかった。
このキュートなジャケットにハートを射抜かれてのジャケ買いである。

もっとも、プレヴィンのピアノなら内容的にはそれほどハズレはないだろうと思ったし、コンテンポラリーのステレオ盤なら音質的に期待できるという判断もあったので、純粋なジャケ買いとはちょっと違うかもしれない。
さらに、コンテンポラリーのステレオ盤に使われている、この黒く光沢のあるレーベルの佇まいが大好きだということもあるので、レーベル買いという側面もある。


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まぁ、でも、これもジャケ買いである(笑)

さて、このレコード、内容は予想通りだったが、音質的にはちょっと期待外れのところもあった。
Side 2は素晴らしい音なのだが、Side 1のほうはそれに比べて若干眠いのだ。

送り溝を見ると、H刻印があってRCAのハリウッド工場産で、両面とも末尾はD4である。
工場的にはこれでいいんだと思うのだが、D4というのは怪しい。
Discogsにも両面D4しか出ていないが、これが初回盤のマトとは限らない。

実際、Side 1とSide 2ではマトの字体が違っている。
エンジニアが違うのか、カッティング時期が違うのか、いずれにせよ、最初に同時に切られたラッカーではないことをうかがわせる。

で、Side 1だけ若干眠い音なんである。
どうもレイト・プレスの匂いがする。

そしたら、レイト・プレスであることを示すはっきりとした証拠を発見してしまった(笑)
附属していたCSである。


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掲載されているレコードのリリース時期をいちいち調べたわけではない。
左下端にカバーの著作権に関するこんなクレジットがあるのだ。


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これはもう1963年プレスに確定である。
初回盤のリリースから3年後のレイト・プレスに間違いない。

まぁ、でも、Side 2は素晴らしい音で鳴るからいいや。

このレコード、Side 2の3曲目に収録された"No Words for Dory"がとにかく絶品なのである。
静かなバラードなのだが、とにかく切なく美しい。

Doryって誰かと思ったら、裏ジャケの解説を見ると、当時の妻ドリー・プレヴィンのことだという。
妻に捧げた曲なのか・・・そりゃ、完璧な曲、完璧な演奏じゃなきゃマズイだろうな。

いや、むしろ、完璧な曲、完璧な演奏ができたから、"No Words for Dory"なんてタイトルをつけたのかもしれないね(笑)

タグ:André Previn
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My Room for Christmasの楽しみ方 [ウィリアムス浩子]

新しいサラウンド・システムで導入したYAMAHA RX-A1080に搭載されたシネマDSP HD3で、「Village Vanguardで歌うウィリアムス浩子さんが仮想体験できる」なんて話を紹介したが、もちろん、このレコードの楽しみ方としては、ピュア・オーディオ・システムでストレートに再生するのが一番である。

シネマDSP HD3で音場生成してやると、まったく別物として楽しめるというだけだ。

しかも、このシネマDSP HD3をかけての再生って、どんな音源でも楽しめるというわけでもないと思う。

ホールやライブ・ハウスの音響を付加して再生しようというものなんで、それに相応しい音源じゃないと、かなり強烈な違和感を感じることになる気がする。
シネマDSP HD3をかけた再生で楽しめるのは、基本的にライブ音源だと思う。

もっとも、ジャズの場合、スタジオ・ライブ的なものが多いので、基本的にシネマDSP HD3をかけて楽しめるものも多いだろう。

そういう意味では、『My Room the LP vol.1』や『My Room the LP vol.2』でも、それなりに楽しめそうな気はするのだが、ただ、オーガニックでアットホームな雰囲気はどうしても削がれてしまうだろうから、いまのところ試してみる気になれない。

そんなわけで、『My Room for Christmas』で試みたわけだが、では、Village Vanguardの音場生成がこのアルバムに最適かといえば、ちょっと違う気がする。

このアルバムに最適なのは、ヨーロッパの小さな教会の響きなんじゃないか。
そんなことをふと思ったので、再度試してみることにした。


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シネマDSP HD3には、Church in FreiburgとChurch in Royaumontという2つ教会の音場生成プログラムが用意されている。

ってことで、まずChurch in Freiburgを試してみたのだが、これはエコーが深すぎる。
かなりでっかい教会の雰囲気だ。

で、Church in Royaumontのほうに期待したのだが、Church in Freiburgほど深くはないものの、まだエコーが深すぎる。
もっと小さな教会の音響がいいのだ。

マニュアルを見てみると、Church in Freiburgは「ドイツ南部の120m 近い尖塔を持つ大きな教会」だそうで、Church in Royaumontは「パリ郊外のロワイヨーモンに位置する、中世の修道院の大食堂」だそうだ。
やはり、でかすぎる。

そう都合よく最適なプログラムが用意されてるわけもないか・・・

と思ったのだが、この教会のプログラムの次にChamberというのがある。
「宮廷の大広間のような天井の高い比較的広めの空間で、宮廷音楽や室内楽に適した心地よい残響が特長」というのは、ボクがイメージする「小さな教会の音響」にかなり近いんじゃないか。

ってことで、早速試してみた。


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これが大正解だった。
もう完全に、ヨーロッパの小さな教会へとテレポーテーションである。

この音響でこのアルバムを聴くのは、ピュア・オーディオ・システムでストレートに再生するのと遜色ないと思う。
まったく別物になるが、同じくらい素晴らしい。

クリスマスの夜なんかは、絶対に、この小さな教会の音響バージョンで聴きたい。
な~んて思うのである。

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My Room the LP [ウィリアムス浩子]

一昨日の夜のことだが、RS-212DにCadenza Redを搭載して聴く音がきわめて現代的だということで、最近の高音質レコードを聴いてみようと、ウィリアムス浩子さんの『MY ROOM the LP vol.1』(Berkeley Square Music BSM008)をターンテーブルに載せた。


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このレコード、素晴らしい録音で、ボーカルもギターも実にリアルに鳴る。
まるで眼前でウィリアムス浩子さんが歌い、馬場孝喜さんがギターを奏でているようで、わが家のリビングがあっという間にAby Studioにかわるのである。

そんなことをツイッターで呟いたら、Aby Studioのオーナー、ジャズオーディオ普及委員さんが同じレコードをかけて反応してくださった。

Aby Studioには、いつか実際にお邪魔させていただきたいなぁ・・・

そんなことを思いながら、引き続いてボクは『MY ROOM the LP vol.2』(Berkeley Square Music BSM011)をターンテーブルに載せた。


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こちらは、馬場さんのギターだけでなく、ゲストミュージシャンとして、西嶋徹さんのベース、名雪祥代さんのソプラノ、ヤマカミヒトミさんのアルトとフルートが加わって、色彩感がぐっと豊かになる。
そして、やっぱり、眼前で演奏してくれているかの如くリアルだ。

そしたら、ジャズオーディオ普及委員さんは、純白のターンテーブルに『My Room for Christmas』(Berkeley Square Music BSM013)という、まさにシーズンにドンピシャの組み合わせで、ボクの上をいく。

そうきましたか・・・
これにはいろんな意味で敗北感を感じたのだが(笑)、それでも、ボクも精いっぱい抵抗した。


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Interspace HDのグリーンにCadenzaのレッドというクリスマス・カラー(たまたまですけどね 笑)で、『My Room for Christmas』を迎えたのであった。

いやぁ、でも、さすがにオルトフォンのアームである。
Cadenza Redは、以前よりも、さらに本領を発揮してくれていると思う。


で、今夜は何をしていたかというと、『My Room for Christmas』をDSD録音していた。
そう、サラウンド・システムのシネマDSP HD3で音場生成して聴いてやろうという魂胆である。

その目論見は、見事に成功した。

ウィリアム浩子さんが、Village Vangurdで歌ってる!!!








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