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ノイズを放逐する [オーディオ]

DOLBY ATMOSの導入に際して、もう一つ購入したものがある。
それは、映画部屋のサラウンド・システムにおける最大のノイズを放逐するものである。

映画部屋のサラウンド・システムにおける最大のノイズとは、プロジェクターの冷却ファンの音だ。
発する音自体はエアコンと同じくらいだと思うのだが、何せ頭上のかなり近いところにある。
映画を観ているときはそんなに気にならないのだが、音楽を聴いているときは、かなり気になる。

しかも、DVD AudioやBlu-ray Audioなどを聴くとき、スクリーンに表示されるのは基本的に静止メニュー画面なわけで、プロジェクターで大画面表示する必要はまったくない。
小さなモニターで十分である。

そう、映画部屋のサラウンド・システムにおける最大のノイズを放逐するものとは、プロジェクターのかわりにメニュー画面を表示する小さなモニターだ。

さらに、音楽を聴くときには小さなモニターを使うようにすれば、プロジェクターのランプの寿命も延びることになるので、まさに一石二鳥なのである。

って、そんなことは前からわかっていたのだが、何故だかボクはずっと、19型くらいで手ごろな価格のテレビを探していた。
テレビといえば、なんとなく、パナソニック、シャープ、SONY、東芝あたりのメーカーじゃないとなぁと(何故だかわからないが)思ってしまう自分がいて、そうすると、そこそこの値段ではあるわけで、静止メニュー画面を表示するためだけのモニターとしては割高感が否めない。
そんなわけで、これまで導入に至らなかったのであった。

しかし、考えてみれば、静止メニュー画面を表示するだけのものなのだがら、テレビである必要はまったくない。
PC用モニターで十分なのである。
PC用モニターなら、メーカーへのこだわりも全くない。
価格的にも、いまや1万くらいで手にはいる。
ノイズ対策&プロジェクター・ランプの寿命延長という効果を考えると、割安感すらある。

そんなわけで、映画部屋で音楽を聴くときのメニュー画面表示用に、I-O DATA製のこのモニターを導入したのであった。


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いやぁ、プロジェクターの冷却ファンの音から解放されるのは、想像以上に快適である。
いままで、マルチ音源に対してそこまで高く評価できなかったのも、この冷却ファンの音のせいだったかもしれない。

そんなわけで、ここのところ、映画部屋でのマルチ音源再生にはまっているのでありました。
(ノッティンガムがまだ復活してないというのもあるんだけどね。)

一応、ボクが導入したもののAmazonへのリンクを貼っておこう。



<画像をクリックするとAmazonにとびます。>

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椅子がない [オーディオ]

ビートルズ(The Beatles)『アビー・ロード』50周年記念エディションのDOLBY ATMOSがすごいという話を聞いてからというもの、寝ても覚めてもDOLBY ATMOSのことばっかり考える日が続いていたのだが(大袈裟だっちゅうの 笑)、「カードで買えば、支払いはボーナス後じゃん!」ということに気がついて、衝動的にそろえてしまった(笑)

リビングにピュア・オーディオとの二重システムを構築することも考えたのだが、いろいろ解決しなければならない問題が多すぎて断念。
で、現在、映画を観るのにサラウンド・システムを構築している6畳相当の洋間のシステム入れ替えで対応することにしたら、AVRの買い替えとプレゼンス・スピーカーの設置だけでDOLBY ATMOSが導入できるわけで、こりゃ衝動的に買っちゃうよね(笑)

映画部屋でこれまで使ってきたAVRはMARANTZ SR6007だったので、それと同等かちょっと良いものということで、今回はこれを導入した。


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えっ?型番がよく見えない?


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YAMAHA RX-A1080である。
何故YAMAHAにしたかというと、MARANTZの前はYAMAHAを使っていてDSPがいろいろと楽しめることを知っていたからだ。
MARANTZの音に特に不満があったわけではないのだが、DSPが使えなくなったのは寂しかったのである。

プレゼンス・スピーカーは天井設置やフロント・ハイトの設置が面倒だったので、さしあたりイネーブルド・スピーカーを使うことにした。


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SONY SS-CSEだ。
壁掛けも可能なので、イネーブルドがどうしても不満だったら、フロント・ハイトに設置しても使用できる。

ケーブルはもちろん、大栄電線製赤黒スピーカーケーブルだ。


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ちなみに、フロント・スピーカー(Focal_JMlab Chorus 706S)のケーブルも大栄電線製に交換している。

あと、ついでにUHDBDプレーヤーも導入した。


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SONY UBP-X800M2である。
これ一台でBlu-rayのほか、CDはもちろんSACDやDVD-AUDIOも再生できて、配線はHDMIケーブル一本だから、システムがとてもシンプルになった。
だいたい、これまでのシステムは、アナログ接続のSACDとHDMI接続のDVDやDVD-AUDIOの切り換えって、センタースピーカーを設置してないせいで、設定変更が必要な部分があったので、ちょっと面倒だったのだ。

しかも、このプレーヤーのアップコンバートはかなり優秀である。
普通のDVDがすごく綺麗になって、感動してしまった。

って、そんなことより、DOLBY ATMOSである。
『アビー・ロード』50周年記念エディションのDOLBY ATMOS、確かにすごいぞ。
空間は上下に広がるわ、ものすごい低域は出てくるわ、目を閉じるとなんだか部屋がでっかくなった感じすらする。

とはいえ、映画部屋のリスニング・ポジションに置いてあるのは、背もたれのついたビーズクッションみたいなロー・ソファで、背もたれを倒せば、ほぼ寝転んだ状態での視聴になるようなものである。
これまではそれほど不満もなかったのだが、何せ低くて天井からの距離が遠い。
イネーブルド・スピーカーからの音は天井に反射しているはずだが、少なくとも、音が天井に定位していることをはっきりと峻別できないし、音が降ってくる感じはもちろんない。
(リアのサラウンド・スピーカーが高い位置に設置してあるので、そっちの音のほうが降ってくる感じがある 笑)

聴く位置がもう少し高くなれば変わるかと立ち上がってみると、確かにガラリと変わる。
変わるのだが、立って聴くのも落ち着かないし、そもそもなんだかバランスが違う。
YPAOのセッティングを低い位置でしてるんだから当然である。

イネーブルド・スピーカーで天井設置にどこまで迫れるのかという根本的疑問はあるものの、少なくとも、もう少し高い位置でじっくりと視聴してみないことには、結論は出せない。

で、ちょうどいい椅子(一人用リクライニング・ソファ)を探しにいって、気に入ったものを見つけたのだが、配送は12月半ばになるそうで・・・

それでも、これまでのサラウンドとは違って上下にぐんと広がるDOLBY ATMOSの音場は魅力で、ロー・ソファーに寝っ転がりながら聴いてみるのだが、


     だけども 問題は いまの音 椅子がない~♪


と、思わず替え歌をうたってしまうのでありました(笑)

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初盤道にちなんで『白雁』を聴く [アナログ・コレクターの覚書]

紙ジャケ探検隊がレコード・コレクターズに連載中の初盤道は、先月号(2019年11月号)に引き続いて、今月号(2019年12月号)も、ボクが取材・資料協力をさせてもらったキャメル(Camel)"The Snow Goose"のUKオリジナル(Decca SKLR5207)を掘り下げる「白雁の数奇な運命」である。


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(一番手前は2016年5月号。キャメル特集が載っているということで、紙ジャケ探検隊から―というか編集部からかな?―手土産にもらった。買い忘れていた号だったので、とてもありがたかった。)


今回は、英米のジャケットの違いや英盤の出版社表記の複雑な変遷の理由を、様々な資料を基に読み解いていくというもので、その具体的内容自体は初盤道を読んでいただきたいのだが、最終的な結論(あくまで推論だが)は、いままで不可解だったところがいろいろ腑におちてスッキリするものだったし、なにより紙ジャケ探検隊とあーだこーだと話しながら探求を深めていく過程自体が、ボクにはとても楽しかった。

そんな感慨に浸りながら、レコード・コレクターズ12月号発売にちなんで、『白雁』を聴くのである。
聴くならやっぱり、UKオリジナルだよね(笑)


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(UK盤は、ラミネート・コーティングされたジャケットが美しい。)


手持ちのUK盤は4枚で、以前の記事https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2017-03-04のときからかわっていない。
(UKオリジナルについての詳細は、追加情報もあるので、レコード・コレクターズ11月号掲載の初盤道もご覧ください。)

今回の探求にあたってUS初盤(Janus JXS7016)は入手したのだが、まだ紙ジャケ探検隊のところへ出張中で帰ってきてないな(笑)

UK盤のほかにうちにあるのは、ボクが最初に買った”The Snow Goose"である1982年の日本再発盤(ロンドン L20P1044)だ。
UK盤と違ってラミネート・コーティングされていないので、シミが浮いてきているのが残念。
一時期聴かないレコードをダンボールに詰めて押し入れに放り込んでおいたのがいけなかったか・・・


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この盤に付属の黒田史朗氏(Shilow Kulodaと表記されている)のライナーは、初盤道でも言及されているが、探求の際の一つの資料になった。

今回の探求の過程で、何か情報が得られないかと藁をもつかむ思いで買ってみたのが、2009年にリリースされたデラックス・エディションのCD(Decca/Universal 531 4614)と2013年の新録バージョンCD(Camel Productions CP0014CD)。


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新録バージョンはオリジナルといろいろ聴き比べられて楽しいが、新しい情報という点ではとくに収穫はなかった。
それに対して、デラックス・エディションに付属していたブックレットに掲載されているマーク・パウエル(Mark Powell)の解説にはなかなか興味深い情報が・・・
このあたりは、初盤道をご覧ください。

いっしょに写っている紙ジャケCD(Decca UICY-9045)は2001年にリリースされた当時に購入したものだが、小西勝氏のライナーは、ポール・ギャリコの短編小説『白雁』のあらすじに1/3弱を割いていて、原作を読んだことがないという人にはとても便利だ。

このアルバム、楽曲が描いている『白雁』の場面を思い浮かべながら聴くと、感動もひとしおなので、本を読むのが苦手という人にも、あらすじぐらいは知ったうえで聴いてもらいたいなぁ思うのでありますよ。

タグ:Camel
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OFF COURSE:SONG IS LOVE [オフコース]

再びEXPRESS/東芝EMIのファースト・プレスの話である。

EXPRESS/東芝EMI盤の送り溝には製造年月が記されているから、リリースの前月(リリースが月初めの場合。リリースが月末に近ければ当月の場合もあると思う。)製造の盤は確実にファースト・プレスだとわかる。

しかし、最初から大量にプレスされた盤なら簡単に前月製造盤も見つかるだろうが、ブレイク前のアルバムのように、レイトが大量にプレスされている一方で初回プレスの数が相当に少ないと推測される場合、前月製造盤なんぞ、そう簡単には見つからない。

オフコース(OFF COURSE)の『SONG IS LOVE』(ETP-72212―1976年11月5日リリース)もそんな一枚である。


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「眠れぬ夜」(1975年12月20日)のスマッシュ・ヒットがあったとはいえ、それは必ずしもブレイクにはつながらず、オフコースの本格的なブレイクといえば「愛を止めないで」(1979年1月20日)のスマッシュ・ヒットに続く「さよなら」(1979年12月1日)の大ヒットの時点だろう。

つまり、1979年以前にリリースされたアルバムは、79年以降にプレスされた盤が圧倒的に多く、79年以前にプレスされた盤は相対的に少ないのである。
『SONG IS LOVE』も79年以前にプレスされた盤は相対的に少ないのだ。

リリース前月製造盤を見つけるのが難儀なこういうアルバムの場合、どこまでをファースト・プレスとみなすかが重要になる。
ボクなんぞ、『SONG IS LOVE』については、●リムならファースト・プレスでいいんじゃないかとさえ思っているのだが、それにはやはり乗り越えなければならない高い壁がある(大袈裟だっちゅうの 笑)。
そう、Matrixだ。
そして、いまのボクは、このMatrixの高い壁を乗り越えられたのかどうか、実に微妙なのである。

少し詳しく話をしよう。

『SONG IS LOVE』も例に漏れず、20年くらい前に帯付き美品で手に入れたものはしっかり★リムのレイトだった。


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送り溝を見ると、1-8とある。
つまり、1981年8月製造である。


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1981年8月といえば、翌月にはベスト盤『SELECTION 1978-81』(ETP-90106)がリリースされている。
つまり、このベスト盤のリリースに合わせての追加プレスである。
こんな風に、ブレイク後は、新譜がリリースされるたびに、過去作も追加プレスされたに違いない。

リリースから5年も経った後の追加プレスだから、Matrixも悲惨である。
Side1の2S4 22というのはともかく、Side2の2S2 70には目が点になった。


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このアルバム、全体が大好きだが、ボクは、Side2の「冬が来るまえに」から「歌を捧げて」への流れが特に好きなのだ。
「冬が来るまえに」のアレンジなんか、絶対ユーロロックやプログレを参考にしてるよね。
「歌を捧げて」だって、ハモンドオルガン使ってるし。
このSide2最後の流れは、個人的に悶絶ものなのである。

だから、Side2のスタンパー・ナンバーが70というのは、これはもう耐えられないわけだ。
ってことで、とにかく●リム盤を探したのだが、これがホントにない。
ハードオフだけでなく、ディスク・ユニオンとかでも、最近は見かけるたびに確認していたのだが、★リムばっかりである(たまたまかもしれないが・・・)。

それでも何とか一枚、ハードオフのジャンクの中から●リム盤を掘り出すことができた。


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送り溝には、7-5とある。
つまり、1977年5月製造である。
リリースの半年後だ。
悪くない。


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もうこれもファースト・プレスでいいんじゃないかと思ったのだが、話はそう簡単ではない。
Matrixが、2S 27/2S2 1だったのである。


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(見にくいが、2S2と〄のちょうど中間あたりに1と刻印されている。)



★リム盤に比べると、スタンパーがかなり若いので、そのぶんだけ鮮度の高い音はするが、盤の状態がいまひとつということもあって、これ以上の音はないだろうとも言えないような気がする。

それに、スタンパー・ナンバーが微妙である。
ブレイク前でそれほどプレスされていなかったとすれば、リリースの半年後にこのMatrixということは、初回盤もMatrixは2S/2Sだった可能性もないわけではないと思う。
しかし、同じくらいの可能性で1S/1Sが存在するんじゃないかとも思う。
で、1S/1Sが存在するのなら、やはり2S/2Sをファースト・プレスと言ってはいけないだろう。

果たして、1S/1Sは存在するんだろうか?
気になって気になって夜も眠れないのである(ウソです、夜はよく眠ります 笑)。

ご存知の方は、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m

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謎の手書き文字を解読せよ~Tangerine dream, PhaedraPhaedraのUKオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

さて、考レコ学クイズ9の解答編である。


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結論から先に言うと、この手書きの"A"はスタンパー・コードを意味しているんだと思う。

「ちょっと待て。この時期のVirginはEMIプレスだから、スタンパーは刻印であって、手書きじゃないだろー。」という反論が聴こえてきそうなので、少し解説しよう。

もう一度出題画像を見てみよう。


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まず①のところにメインのMatrixが刻印されているのがわかる。

このメインのMatrixを6時に置くと3時方向にスタンパー・コードが刻印されているはずである。
②のところなのだが、これはどう見ても"V"だ。

しかし、EMIのスタンパーにはGRAMOPHLTDというグラモフォン・コードが使われているので、"V"というのはありえない。
では、この”V"に見えるものは何だろうか?
考えられるのは、"A"を逆さまに刻印してしまった可能性である。

もうおわかりかと思うが、スタンパー・コードとして"A"を刻印しようとしたとき、間違えて逆さまに刻印してしまったために、”A"だとわかるように手書きで"A"と書き加えたんじゃないか、というのがボクの推理だ。

ということで、この手書きの"A"はスタンパー・コードを意味しているんじゃないかと思うわけである。

ちなみに、”V"に見える刻印が”A"を逆さまに刻印してしまったものであることは間違いないと思う。

まず、Side AのメインのMatrixは1Uで、9時のマザー・ナンバーは1である。


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で、3時のスタンパー・コードのところは、拡大してもやはり"V"にしか見えないが、180度回転させると、これはやっぱり"A"だろう。


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Side Bのほうを見てみると、メインのMatrixは2Uで、9時のマザー・ナンバーはやはり1だ。


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で、3時のスタンパー・コードは"G"である。


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”Phaedra"のUKオリジナルの初回マトは、確か1U/2Uだったはずだ。
Side Bがマト2Uでマザー/スタンパーが1Gであれば、Side Aがそれに対応しているとすると、マト1Uでマザー/スタンパー1Aが相応しい。
ほら、1G/1G探してると、1G/1Rとか1G/1Aとかも、よく見かけるでしょ?(笑)

"V"に見える刻印は、やはり”A"を逆さまに刻印してしまったものに違いない。

でも、刻印を手書きで修正するというのは割とよくある(Zep ⅠのUKオリジナルとか、すぐ思い浮かぶよね)にしても、普通、修正なら刻印のほうを/とかで消すはずなのに、どうして消してないんだろう?
と最初は思ったのだが、考えてみたら、逆さまに刻印してしまっただけで、間違っているわけではない。
要するに、手書きで書いてあるのは、フリガナみたいなもんなのだ。
だから、消してないんだろうな。

タンジェリン・ドリームって、昔はちっとも良さがわからなかったけど、最近はわりとよく聴いている。
部屋全体が鳴るぐらいまで音量をあげた爆音で音響空間に同化すると、ある種のカタルシスに達するのよね。

タグ:Tangerine Dream
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