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色つきの女でいてくれよ [思いを馳せる]

思いを馳せるべきレコードを手に入れた。

ザ・タイガースが「同窓会」と銘打って行った再結成の際にリリースした『色つきの女でいてくれよ』(JULIE 7DX1160)である。


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PSには、サインペンで「THE TIGERS 岸部一徳」と書かれている。
でも、何故、一徳さんだけなんだろう?

当時は「推しメン」なんて概念はなかったし(まぁ、誰が一番好きってのは、もちろんあったんだろうけど、それがシステム化された「推しメンのサインだけもらうサイン会」なんてのはなかったはず)、イベントでサインをもらうなら、全員のサインだよねぇ。

なんか、すごーく個人的なルートでもらったサインだったりして。
いろいろ妄想してしまうのである(笑)


それはそうと、久しぶりに聴いてみたら、この歌、けっこう刺さる。


     ♪ さよなら ぼくの美少女よ
     ♪ きりきり舞いの美少女よ
     ♪ いつまでも いつまでも
     ♪ 色つきの女でいてくれよ


「さよなら」って言うんだから、「ぼく」を「きりきり舞い」させた美少女は、「ぼく」のもとを去っていくんだな。

記憶ってのは色褪せていくもんだから、彼女の記憶だって、色褪せてしまうのは必然。

色褪せないでくれと願ったって(「色つきの女でいてくれ」ってそういうことだよね?)、それは無理な話というもの。

だいたい、色褪せてくれなかったら、次の人にいけないじゃん。

ん?次の人に無理に行く必要なんてないのか?


そこでふっと、映画『いま、会いにゆきます』を思い出した。

巧にとって澪の記憶は、一生色褪せないだろう。

巧は心からそれを望んでいるし、その願いはきっと叶う。


さて、ボクをきりきり舞いさせた彼女の記憶は、果たして色褪せるんだろうか?

もうずいぶん会っていないが、いまのところ、まだ、まったく色褪せていない(笑)

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初盤道に触発されて・・・ [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

レコード・コレクターズ10月号の発売まで10日もないこの時期になって、9月号がらみの話題である。

というのも、9月号掲載の初盤道第41回に触発されて発注したレコードが、ようやくアメリカから届いたからだ。


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(二枚写っているが、一枚は以前から持っていたステレオのプロモ盤。)



「初盤道第41回で取り上げられてたのはジョビン(Antônio Carlos Jobim)の"Wave"(A&M LP2002(mono)/SP3002(stereo))なんだから、そっちを買えよ」って声が聴こえてきそうだが、"Wave"については購入予定リストに入っているものの、実は聴いたことがないので、「どうしても欲しい~」モードにスイッチが切りかわらない(笑)

一方、"Wave"と双子みたいなレコードであるウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)の"A Day in the Life"(モナーク工場のメッキ処理番号を見ると、"Wave"のモノラル盤△10832→"A Day in the Life"のモノラル盤△10833→"Wave"のステレオ盤△10834→"A Day in the Life"のステレオ盤△10835となっていて、両者の製造が同時に進められたことがわかる)については、以前にもこのブログで取り上げたことがあるように(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2019-04-29をごらんください)、ずっとボクの愛聴盤である。

ずっと愛聴盤なのだが、RVG録音&カッティングとはいえ、これをモノラル盤で聴きたいと思ったことはなかった。

しかし、紙ジャケ探検隊は、"Wave"のモノラル盤を「レコードという形態での一つの完成形」「ジャズの魂が宿っている」とまで評した。
この評に触れて、"Wave"のモノラル盤を聴いてみたくもなったのだが、どうしても聴いてみたい衝動にかられたのは、"A Day in the Life"のモノラル盤の方である。

なにせ"Wave"とは双子みたいなレコードだ。
"A Day in the Life"のモノラル盤だって、「レコードという形態での一つの完成形」で「ジャズの魂が宿っている」に違いない。

ということで、"A Day in the Life"のモノラル盤(A&M LP2001)なのである。


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下にずらして裁断すれば上にステレオ表記が現れ、上にずらして裁断すれば下にモノラル表記が現れる、この頃の典型的な作りのジャケットだ。

モノラル表記が現れる下部を拡大しておこう。


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このレコードにもコロンビア・カットが存在するが、ボクが手に入れたのはもちろんRVGカットである。


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「レコードという形態での一つの完成形」で「ジャズの魂が宿っている」のはRVGカットの方なんだから、VAN GELDER刻印は絶対になきゃいけないんである。

まぁ、ボクが入手したのはWLPなので、たぶんRVGカットしか存在しない。

しかーし・・・


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なんじゃこりゃぁ!?



これは、どう見ても、モナーク工場のWLPではない。
レーベルは光沢がないザラっとした紙質だし、ロゴに輪郭もない。
送り溝には△10833もMR刻印もない。

送り溝に刻まれているのは、CTLP-2001 CT 2001/CTLP-2001 CT 2002という手書き文字と、Side 1に11-/Side 2に1-という手書きの数字?だけである。
西海岸のWLPがモナーク工場で製造されたとすると、これは東海岸で製造されたWLPなのか?

そう思ってセラーの住所を確認すると、コロラド州デンバーである。
ってことは中部で製造されたWLP?

いずれにせよ、この時期のA&Mのプレス工場は、モナーク工場しか頭になかったので、完全に想定外であったが、ターンテーブルに載せて聴いてみれば、出てくる音はまさにRVGのモノラル・カッティングの音である。

実に暑苦しい、ジャズの熱が伝わってくる。

「モナーク工場以外のWLPなんて、コレクションとしても、ちょうどいいか」なーんてことも思い始めた。
音がよければ、何でも受け入れてしまうのだ(笑)

でも、これって、どこの工場で製造されたものなんだろ?
とりあえず、素性が知りたいと思う今日この頃なのである。

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見本盤のスタンパーが進む理由 [国内盤研究]

見本盤のスタンパーが進む理由について、ボクは一つの仮説を立てているのだが、昨日の記事では、その仮説がどのようなものであるかについては明かさなかった。

現時点では、その仮説を支える根拠は、かなり弱い情況証拠しかないからである。

しかし、考えてみれば、確実な証拠が出てくる見込みがあるわけではないし、むしろ仮説を説明して、どんな証拠を求めているかを明らかにしたほうが、仮説の検証には近道な気がした。

ということで、とりあえず現時点でのボクの仮説を説明しておくことにしたわけである。

ボクの仮説は次のようなものだ。

1.通常盤と見本盤は生産ラインが違っていて、初回プレス枚数が多いレコードでは、通常盤のほうが先にプレスが始まることがある。
2.その場合、見本盤のプレスが遅れて始まる時点で、作成されたばかりの未使用スタンパー(つまり、スタンパー・ナンバーの進んだもの)が見本盤のプレスにまわされる。

この仮説では、見本盤のプレスが通常盤のプレス開始より後になればなるほど、スタンパー・ナンバーが進むことになる。

もう少し詳しく説明しよう。

プレスの開始時期は、発売日とプレス予定枚数との相関関係で決まるはずだ。
たとえば、そのとき、工場の特定のラインで一日に可能なプレス枚数が仮に1000枚とすると(実際の生産能力についてはボクは全く知らないので、あくまで仮の話です 笑)、プレス予定枚数が1万枚なら10日、10万枚なら100日かかる計算になる。

これは通常盤の話で、見本盤は別の生産ラインだとすると、発売日より以前の完成予定日(シングルの場合にはオンエア解禁日が発売日よりかなり早ければそれに合わせるだろうから相当早くなる可能性があるが、LPの場合は発売日とそれほどかわらないかもしれない)までに、普通はせいぜい数百枚をプレスすればよい。

ということで、通常は見本盤のほうが先にプレスが始まるんだろうが、プレス予定枚数の多いレコードの場合には、通常盤よりかなり遅れて見本盤のプレスが始まることがあると思うのである。

ビクターのPMを発見したときに、LPの見本盤の場合、発売日が月後半なら見本盤は基本的に当月プレスなんだと気づいたのだが、同時に、サザンのLPはプレス予定枚数が相当に多かったはずで、通常盤のプレスを当月に入ってから始めたのでは間に合わなかったんじゃないか、とも思ったのであった。
これが、ボクの仮説を支える、かなり弱い情況証拠だ。
というのも、「発売日が月後半のレコードで、見本盤は当月プレスだが、通常盤には前月プレスも存在するもの」を、まだ発見できていないからである。
だから、現時点では、「弱い情況証拠の仮説」どころか、妄想レベルにとどまっているかもしれない(笑)

ちなみに、本田美奈子『the Cross -愛の十字架- 』や稲垣潤一『NO STRINGS』の場合は、通常盤のプレス予定枚数が多かったわけではなく、別の理由で見本盤のプレスが遅れた気もするのだが、そのあたりの事情についてはよくわからない。

いずれにせよ、重要なのは、生産ラインが別なら、見本盤については、通常盤のプレス開始時期よりかなり遅れてプレスを始めても十分に間に合うんじゃないかということだ。
その場合、そのときに作りたてのスタンパーを使うとすれば、スタンパー・ナンバーがかなり進んだものになるということである。


最後に、「ボクの仮説を支える根拠となる決定的な証拠だ!」と一瞬歓喜したレコードを紹介しておこう。

先日入手したゴダイゴ『ビューティフル・ネーム』(日本コロムビア YX-509-AX)である。


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このシングル、Side 1のマトがA-2で、マザー/スタンパーがA4、Side 2のマトがB-2で、マザー/スタンパーがA1なのだが、薄いPMをエンピツでこすってルーペでのぞいてなんとか解読したところ、L-2だと判定できるように見えた。

L-2なら1979年2月プレスで、発売日(1979年4月1日)の前々月である。
確か見本盤のPMがL-3つまり3月プレスだったはずだから、通常盤のプレスが2月から始まっているとすれば、ボクの仮説を支える決定的な証拠となる。

ってことで、決定的証拠だ~と歓喜したのであった(笑)

しかし、これは月の数字のアンダーラインの存在を忘れていたボクの見間違いで、結局、L-2ではなく、L-3だと判定しなおさざるをえなかった(レーベル上のPMは、薄いと判定がとても難しいのである)。

『ビューティフル・ネーム』なら、前々月から通常盤プレスが始まっててもおかしくない気がしたんだけどなー

ってことで、見本盤のPMより若いPMの通常盤を探しています。
発見した方はぜひご一報を!

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見本盤スタンパーの怪 [国内盤研究]

ここに何の変哲もない一枚の見本盤がある。

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1985年リリースの稲垣潤一『NO STRINGS』(FUN HOUSE 28FB-2013)である。


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レーベルに「見本(非売品)」と印刷された、まぎれもない見本盤だ。


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PMは5-4である。
このレコードの発売日はレーベルにも印刷されている通り5月1日だから、PMの5-4が示す1985年4月プレスというのは、発売日の前月プレスで、辻褄が合う。

しかし・・・


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スタンパーが35って何さ?

Side 2にいたっては・・・


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スタンパーが43って、ぜったいおかしいだろー


以前、本田美奈子『the Cross—愛の十字架―』(EASTWORLD WTP-17895)の見本盤でもショックを受けたが、さらに輪をかけておかしな見本盤に出くわしてしまったのであった。

どうしてこんなことが起こるのか、ボクは一つの仮説を立てているのだが、その話はまたそのうちに(笑)

タグ:稲垣潤一
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WLPクオリティで「秋の気配」を聴く [オフコース]

相変わらず日中は暑いが、朝晩はだいぶ涼しくなってきた。

オフコース(OFF COURSE)の「秋の気配」が聴きたくなる季節である。

そして、ボクの手許には、「秋の気配」を聴くにはうってつけのレコードがある。


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オフコース『JUNKTION/ジャンクション』(EXPRESS/東芝EMI ETP-72269)

もしかしたら、ボクにとってはこのレコードが、先日のハードオフでの最大の収穫だったかもしれない。

見ての通り帯付き美品であるが、レーベルだってこの通りだ。


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重要なのはもちろん美品だということではなく、上部リムが★でなく●であることだ。
(詳しくは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2019-10-27をご覧ください。)

もっとも、●リムってだけなら、(ちょっとボロかったけど)以前から持っていた。
だから、●リムにくわえて、これが重要なのである。


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PMが7-8なのだ。
これは、つまり、1977年8月プレスであることを示している。

『JUNKTION/ジャンクション』の発売日は1977年9月5日だから、発売前月プレスなわけで、これはもう完全に初回プレスである。

それだけではない。

なんと!


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Side 1のスタンパーが1S 1なのである。

Side 2のスタンパーは1S 5だったが、「秋の気配」はSide 1に収録されているんだから、いいんである。

1S 1/1S 5スタンパーなんて、WLPクオリティと言っても過言ではないだろう。

WLPクオリティで聴く「秋の気配」はまた格別なのである。

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