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Billy Joel, Songs in the AtticのUSオリジナル [STERLINGの仕事]

"Songs in the Attic"(訳せば「屋根裏部屋の歌」で、この直訳でもなかなか秀逸なアルバム・タイトルとなる気がするが、日本のレコード会社は売れそうにないタイトルだと思ったのかこれを採用せず、邦題は原題をそのままカタカナ表記にした『ソングズ・イン・ジ・アティック』だった)は、ビリー・ジョエル(Billy Joel)がデビュー10周年にして初めてリリースしたライブ・アルバムである。

デビュー10周年ということは、リリースされたのは1981年で、収録されている音源も前年すなわち1980年のアメリカ・ツアーのものだが、大ブレイクした"The Stranger"以降のアルバム(つまり、”The Stranger"、"52nd Street"、そして当時最新作だった"Glass Houses")の曲は収録されておらず、初期4枚のアルバムからの曲のみで構成されている。

そういうひねくれたライブ・アルバムなので、素直なボクは、当時は完全にスルーした(笑)

もちろん、当時のボクの判断が誤りであったことは言うまでもない。
「屋根裏部屋」に置いてあるのは、たいてい思い出深い大切なものなわけで、スルーしていいわきゃないんである。

実際、このアルバム、ライブの熱さをそのまま真空パックしたような出来栄えで、収録されている曲も佳曲ばかり、まさに名盤と呼ぶにふさわしいものなんじゃないかと思う。

ターンテーブルに載せて音量をあげれば、冒頭のシンセがグイーンと鳴り響いて部屋を満たした瞬間、1980年アメリカのライブ会場にテレポーテーションだ。

そんなアルバムなので、とりあえず買ったUSオリジナル(Columbia TC 37461)のマトが2AB/2ABと二桁であること(ちなみに西海岸のサンタマリア工場産)は気になっていた。
この盤、低域が微妙に膨らんでいて、若干音がかぶっている感じもある。
マト一桁盤なら、もっと音が立ってそうな気がした。

ところが、このレコード、デビュー10周年記念特別価格とやらで日本盤も2000円でリリースされたせいか、どうも輸入盤があんまり入ってこなかったようだ。
日本盤はどこにでもザクザクあるが、US盤があんまり出てこないのである。

で、ずいぶん長いこと探していたのだが、最近ようやく、マト一桁盤を入手することができた。


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向って左が以前から持っていたマト二桁盤で、右が今回入手したマト一桁盤である。
今回入手した盤のジャケットのほうが暗い色調で「屋根裏部屋」っぽいが、これはたぶんただの個体差だろう。

盤は中部のテレホート工場プレスで、マトはSide 1が2Dで、Side2が2Cである。


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テレホート工場は1982年に閉鎖されたので、1981年リリースのこのレコードの場合、テレホート工場プレスなら比較的初期盤である。
もっとも、テレホート工場で使われていたスタンパーは、後にキャロルトン工場にまわされたので、Tと刻まれていても、Gもいっしょに刻まれていたらレイトだけどね。

まぁ、ピットマン工場プレスが一番なんだろうし、サンタマリア工場プレスのマト一桁盤も聴いてみたいので、引き続きレコード店でUS盤を見かけたときは、送り溝を確認するのである。
アガリへの道は遠い(笑)

とはいえ、このテレホート工場プレスだって、流石マト一桁盤である。
低域は沈み込んでタイトだから、他の音にかぶるようなことはないし、全体的に音が立っている。
ライブの熱気がグイグイとせまってくる良い音だ。

このレコード、US盤には珍しく、インナースリーブのほかに見開きの歌詞インサートがついている。
このインサートには、ジャケット裏から続くビリーのセルフ・ライナーの続きが載っているから、欠品は許されない(笑)

で、このインサートによると、マスタリングはSTERLINGでテッド・ジェンセン(Ted Jensen)が行っている。


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しかーし、送り溝のSTERLING刻印の隣にTJのサインがないのである。

TJのサインが刻まれている盤があるのかとDiscogsに登録されているUS盤を地引網調査してみたが、一枚も発見できなかった。
ってことは、TJのサインのある盤は存在しないのかもしれない。

でも、テッド・ジェンセンは1954年生まれだから、このレコードがカッティングされた当時はまだ27歳かそこらで、マスタリングだけしてカッティングは弟子にまかせるという歳でもなさそうな・・・
自分でカッティングしたんだけど、インサートにしっかりクレジットされてるから、不要だと思ってサインしなかったのかなぁ?


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(Side 1のSTERLING刻印は、ギュッと詰まって幅が狭く、6mm弱ほどしかない。)

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(Side 2のSTERLING刻印は、文字間が少しあって幅があり、10mm弱ぐらいある。)


それはそうと、STERLING刻印て、ギュッと詰まって幅が狭いやつと、文字間がある程度とられた幅の広いやつがあるよね。
大きさも前者の方が小さいので、前者を小STERLING、後者を大STERLINGと呼んで、区別することにしよう。
このレコードの場合は、Side 1が小STERLINGで、Side 2が大STERLINGだが、もう一枚のマト二桁盤のほうは、逆に、Side 1が大STERLINGで、Side 2が小STERLINGだった。

この刻印の使い分けって何かルールがあるのかな?

何か知っている方、もしいらしたら、ぜひ教えてくださいm(_ _)m

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