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『夢の轍』で新発見 [さだまさし]

しばらく前から、さだまさしさんのLPを掘っている。

中学生の頃、フォークギターを買ってもらって、あれやこれやと弾き語りの練習をしていた頃、さださんの『案山子』が流行った。
この歌にこめられた想いを中学生だったボクがちゃんと理解できていたかと言えば甚だあやしいが、とにかくボクはこの歌がすこぶる気に入ったし、ぜひとも弾き語りができるようになりたいと、当時猛練習したのであった。

猛練習の甲斐あって素晴らしい弾き語りができるようになったかどうかはさておき(笑)、『案山子』をきっかけにボクはすっかりさださんのファンになり、過去作品にさかぼって聴きまくったし、1981年のアルバム『うつろひ』くらいまで、かなり熱心に聴いていた。

そのあたりの思い入れの深いアルバムを一番良い音で聴いてみたいという思いが、いまもボクを「さだ掘り」に駆り立てる。

で、今日は、『夢の轍」で新発見をしたってお話である。
って、「『夢の轍』は、『うつろい』の後でしょうがぁ」って声が聴こえてきそうだが、いいのである。
なにしろ『償い』が入っている。
一番良い音で聴きたいじゃないか。

このアルバム、ボクはずっと通常盤で聴いていたのだが、つい先日、見本盤を手に入れることができた。


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見本盤は、ホワイト・レーベルである。


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この写真に送り溝の文字が写り込んでいるのでわかるかと思うが、この字体は東芝EMIのものだ。
つまり、この盤、東芝EMIカッティングである。

このFFR-12505-1の反対側には、ラッカー番号/マザー番号/スタンパー番号を示す刻印2-B-3がある。
隣には逆向きだが、PM2-Yも見える(2-Yだから1982年11月製造で、見本盤だから当然といえば当然だが、発売日(1982年12月11日)の前月製造盤ということになる)。
これは、東芝EMIプレスで間違いない。


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ちなみに、Side 2も含めたマトとPMは、以下の通りだ。

Side 1 2-B-3 2-Y
Side 2 2-A-9

マト2というのはともかく、見本盤にしては、マザー/スタンパーが微妙に進んでいる気がするが、まぁよしとしよう。


さて、では、これまで持っていた通常盤はどうか。

レーベルは、おなじみフリーフライトレコードの黄色いレーベルだ。


20200424-4.jpg


この写真に写り込んだ送り溝の文字の字体は、見本盤と同じである。
つまり、東芝EMIカッティングだ。
ただし、この盤には、TOの刻印がない。

反対側のラッカー番号/マザー番号/スタンパー番号を示す刻印4-A-3も、少なくとも4-Aのところまでは東芝EMI工場での刻印だろう。


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しかし、この盤の送り溝にはPMがない。

ちなみに、Side 2も含めたマトは、以下の通りだ。

Side 1 4-A-3
Side 2 4-A-3

ボクは、最初、この盤もまた東芝EMIプレスだと思っていた。
PMがないのは、マトが進んでいるせいで、ある年代になると東芝EMIプレスでもPMが消えるんだろうと思ったわけである。
つまり、もとから持っていた通常盤は、相当にレイトだと決めつけたわけだ。

しかし、この通常盤、相当にレイトな盤にしては、音は悪くない。
というか、個々の楽器の音色やボーカルの実在感などに限れば、かなり鮮度の高い音がする。
マト4のくせに(笑)

確かに、見本盤のほうは、通常盤のそうした鮮度の高さにくわえて、ふわ~っと音が広がる感じがなんとも素晴らしく、もう一段階上の音がするのだが、通常盤のほうが相当にレイトだとはどうしても思えない。

で、あっちからこっちからと眺めていたら、こんなものを発見してしまったのであった。


20200424-6.jpg


レーベル上に浮き出ているのは、東洋化成プレスのPMである。
しかも、写真だと判別しにくいかもしれないが、これ、2TYである。
そう、1982年11月製造盤、つまり、見本盤と同じく、発売月の前月に製造されているのだ!
鮮度が高いわけである。

しかし、この発見には、正直ボクも相当に驚いた。

つまりはこういうことだ。

東芝EMIでマト2とマト4が同時にカッティングされ、マト2は東芝EMIの工場でのプレスに使用され、マト4は東洋化成の工場に送られてプレスされた。
東芝EMIプレスのマト2も、東洋化成プレスのマト4も、いずれも初回プレスなのである。

おそらく、自社工場をもたないワーナーの場合、さださんのようにかなり売れるアーティストのレコードは、東芝EMIへの委託だけ、あるいは、東洋化成への委託だけでは足りず、両方に同時に委託する必要があったのだろう。

まるで、アメリカの工場違いのような状況が、この日本で生じていたわけである。


で、少なくともこの盤については、東芝EMI工場プレスのマト2が真のオリジナルと言っていいんだろうと思う。

では、さださんの他のアルバムもみんな同じパターンだったかというと、違うのである。
時期によっては、初回盤に東芝EMIカッティング&プレスと東洋化成カッティング&プレスが存在するというパターンもあったりする。

かなりのところまで解明できているのだが、まだ全容が解明できていないので、この続きはまたそのうちに(笑)


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7インチを飾る [アナログ・コレクターの覚書]

新型コロナ・パンデミックのせいで、完全に在宅ワークに移行しているのだが、うちには書斎というものがないので、リビングが仕事場と化している。

まぁ、メインのオーディオで音楽を聴きながら快適に仕事ができるので、悪くはない。

仕事をしていてふっと顔を上げたときの目線の先には、フランシス・ウルフ(Francis Wolff)の写真集が飾ってあって、その日の気分で開くページをかえるのだが、その隣に、なんとなく7インチを飾りたくなった。

で、こうなった。


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飾ってある7インチは、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)のセルジュ・ゲンスブール(Serge Gainsbourg)とのデュエット"je t'aime... moi non plus"のフランス・オリジナル(Fontana 260.196 MF)だが、日焼けがこわいので、もちろん現物ではない。

最初は、7インチをスキャンして印刷してみたのだが、カラー調整をどれほど工夫しても、満足のいく印刷ができない。
もう適当なところで妥協しようかと思ったとき、ふっと閃いた。

普通に、カラーコピーしてやりゃいいんじゃ?

で、スーパーファイン紙にカラーコピーしてやったら、けっこう現物に近いものができた。
まあ、紙質とか違うんで、近くで見ればコピーだとわかるが、こんなふうに飾るには十分だ。

こうして、在宅ワーク・リビングの環境が少しだけ向上したのでありました。

タグ:Jane Birkin
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誕生日カレンダー Kleine Freunde [ETC]

すっかり忘れていたが、ジェーン・クラウザー(Jane Crowther)の絵があしらわれた誕生日カレンダーKleine Freundeの方も、ひと月以上前に、無事到着している。
(速攻で到着したCatsの方の記事はこちら―https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2020-02-29


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Catsと同じく、表紙は、テクスチャーでエンボスだ。
(中身については、すべてテクスチャー加工はされているが、文字のみエンボスで、絵はエンボス加工されていない。)


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エンボスになっているのがわかるだろうか。

いやぁ、ホント、テクスチャーにエンボスって、アナログコレクターのマニア心をくすぐる仕様である(笑)


この誕生日カレンダー、ドイツ製なので、タイトルもドイツ語でつけられている。
"Kleine Freunde"というのは、英語にすれば、”Little Friends"だ。
日本語だと、「かわいいともだち」ってところかな?

小鳥やウサギみたいな小動物だけなら「ちいさなともだち」でもいいんだが、ロバとかまでいるので「ちいさな」ではないかなと。

4月のこれも、子供ならそんなに大きくないかもしれないが、それでも小動物じゃないよね(笑)


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小さな昆虫もしっかり描かれている。
子パンダくんのわきの下のあたりだ。


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さて、『4月になれば彼女は』の彼女の誕生日、書き入れるべきかやめとくべきか・・・
う~ん、悩むなぁ(笑)

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差はあるのか?―Hall & Oats, H2OのUSオリジナル [Bob Ludwig(RL)の仕事]

ホール&オーツ(Daryl Hall & John Oates)"H2O"のUSオリジナルのことは、以前記事にしたことがある。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2018-04-30

このときにボクが持っていたのは、ファースト・プレスの方もマトR2/R1のRCAインディアナポリス工場産だった。
で「当然R1/R1もあると思うが、差はない気がする」なーんてことも書いた。

これは本心だったので、とくにマトR1/R1を探していたわけではないのだが、見つければ当然買う。
安レコなので、買わない理由はないのである。

ってことで、手許にUS盤が3枚になった。


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あっ、でも、最近レコード・ショップには行けてないので、手に入れたのはずいぶん前の話だ(去年の夏頃だったかなぁ?)。
この手のネタは山ほどあるのだが、書くのが面倒なので、放置しているのである。

放置ネタは、すっかり忘れ去ってしまうことが多いのだが、今日、たまたまツイッターで話題になったので思い出した。
思い出したときに書かないと、また忘れてしまいそうなので、書きとめておくのである。

ってことで、ホール&オーツ"H2O"のUSオリジナル、マトR1/R1の話である。
前の記事を書いたときに持っていた盤と違うのはSide A(ちなみに、裏はSide Bではなく、Side Oneで、いわゆる両A面だ。Side Oneのマトの末尾はB- R1だけどね。)のマトである。


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A-R1が燦然と輝く(そんな大したもんじゃない 笑)。
Side AにのみMASTERDISK RL刻印があることも、RCAインディアナポリス工場産であることも、マトR2/R1盤と同じである。

とはいえ、マトR1/R1はマトR2/R1と同じくセカンド・プレスにも存在する。
ファースト・プレスと認定されるためには、いくつかの関門をくぐりぬけなければならないのである。

まずはジャケットだ。
マトR1/R1盤は、最初の集合写真では一番手前である。
「全部同じだろー」って声が聴こえてきそうだが(実際、写真じゃ全部同じに見えるだろうし)、以前の記事に書いたように、ジャケットにも光沢があるものとマットなものがあって、光沢があるのが最初だ。
で、マトR1/R1盤が入っていたジャケットは光沢ありだった。
ファースト・プレスの第一関門突破である。

マトR1/R1盤に付属のインナースリーブは、光沢があり、右下にREはなく、曲順が"ONE ON ONE"→"ART OF HEARTBREAK"と収録順とは違っている。


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ファースト・プレスの第二関門突破である。

そんなわけで、無事、ボクが入手したマトR1/R1盤はファースト・プレスに認定された・・・と言いたいところなのだが、最大の関門が残っていた。
そう、レーベルである。

マトR1/R1のレーベルを見てみよう。


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なんだ?これは?

ファースト・プレスはこういうレーベルのはずである。


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"1981 RCA RECORDS"が棒線で消されて、上に"1982 RCA RECORDS"と追記されている。

以前の記事でセカンド・プレスとしたものは、そもそも"1981 RCA RECORDS"は印刷されておらず、"1982 RCA RECORDS"が追記ではなく最初から印刷されていた。

しかし、この両者は、レーベル上に印刷されている文字のフォントや配置などは同じだった。

今回ボクが入手したマトR1/R1盤は、文字のフォントや配置などが全然違う。
Stereoなんて表記もついている(ってことで、このレーベルをStereo付きレーベル、以前からボクが持っていたものをStereoなしレーベルと呼ぶことにする)。
それに、このStereo付きレーベル、よく見ると、RCAロゴがどこにもないんである。
なんとも不思議なレーベルというほかない。

全然違うことにあっけにとられて、どっちがファースト・プレスなのか一瞬わからなくなったが、落ち着いて考えれば、Stereo付きレーベルのほうが後だというのはわかる。
"1982 RCA RECORDS"と印刷されているからである。
間違って"1981 RCA RECORDS"と印刷してしまい、棒線で消さざるを得なかった、Stereoなしファースト・レーベルのほうが先だろう。

また、スタンパーとおぼしき刻印も、Stereoなしファースト・レーベル盤がA1のスタンプにHの手書き(A面)/A1のスタンプにfの手書き(B面)なのに対して、Stereo付きレーベル盤ほうはA7のスタンプにNの手書き(A面)/A1のスタンプにRの手書き(B面)である。
微妙と言えば微妙だが、Stereoなしファースト・レーベル盤が先でよさそうだ。

さらに、もう一つの情況証拠として、DiscogsにはStereo付きレーベル盤にRE付きインナースリーブが付属しているものが掲載されている。

問題なのは、Stereo付きレーベルと、Stereoなしセカンド・レーベルでは、どちらが先なのかである。
うちのは、Side AがStereo付きレーベルで、B面にあたるSide OneがStereoなしセカンド・レーベルなので、さらにわけがわからなくなる。
(ちなみに、Side OneのほうもStereo付きレーベルという盤―つまり両面Stereo付きレーベル盤―も存在する。さらに、うちのと逆に、Side AがStereoなしセカンド・レーベルで、Side OneのほうがStereo付きレーベルという盤も存在する。)

まぁ、セカンド・プレスの話なので、どっちでもいいか(笑)


おっと、前置きが長くなった(前置きだったんかーい)。

今日の本題は、Side AのマトR1とマトR2には、差があるのかないのかだ。

結論から言うと、全然違う(笑)
そもそも送り溝の幅が全然違うのである。

R1の送り溝の幅は、13mmほどだ。


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それに対してR2の送り溝の幅は、17mmもあるのだ。


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4mmの差は大きい。

実際、出てくる音はかなり印象が違う。
R1はわりと低域が強調された音で、ベースやドラムの存在感が大きい。
それに対してR2は、低域がぐっとタイトになって、軽やかだ。

ホール&オーツなら、ボクはR2のカッティングが好みである。
まぁ、スタンパーが若いぶん、鮮度感もR2のほうが上だということもあるのだが。

あと、もしかしたら、スタンパーの摩耗に由来するのかもしれないが、R1は内周にいくと少し歪みっぽく感じるところがある。

とはいえ、R2だけ持ってればいいかというとそうでもなく、なんとなくR1を聴きたくなるときもあるような気がする。
どちらも、MASTERDISKのRLカットだしね。

そんな楽しみ方ができるのも、アナログの醍醐味だと思うのである(笑)

タグ:Hall & Oates
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Hendrix in the Westの謎 [アナログ・コレクターの覚書]

<いくつか書き忘れていたことを追記するとともに、妄想の根拠(笑)も書き足しました。>(2020年4月17日12:00追記)

レコード・コレクターズ前号(2020年4月号)の『初盤道』を読んだときの記事で、ジミ・・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)"Hendrix in the West"のUSオリジナル(Reprise Records ‎MS 2049)について、ボクはずっと疑問に思っていることがあると書いた。

前号ではボクの疑問は解消されなかったのだが、さて、今月号ではどうだろう?
ボクの疑問に答えてくれているんだろうか?

ボクはワクワクしながら、発売日の昨日4月15日、朝一番に書店に駆け込んでレコード・コレクターズ(2020年5月号)を手に入れたのであった。


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しかし、残念ながら紙ジャケ探検隊は、謎を解き明かしてはくれなかった。

ってことで、今回は、このレコードに関するボクの疑問について説明しようと思う。


前の記事にも書いたように、ボクの手持ち盤はDiscogs情報を信じるならレイトである。


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Discogsには、レーベル下部に"(P)1972 Warner Bros.Records Inc."が追加されているのは再発盤(Repress)だと書いてあったりするのだが、いくらなんでも再発盤は言い過ぎである。
仮に初盤ではないとしても、せいぜいレイトだ。
つまり、何度目かの追加プレスから、この(P)1972追記のレーベルが使用されるようになったというだけだろう。

ボク自身は、実は、この(P)1972追記レーベルは初盤にもあったんじゃないかと疑っていたりする。

この"(P)1972 Warner Bros.Records Inc."追記は、汎用レーベルに追加されたものだろう。
だとしたら、いわゆる残余レーベル使用ということが起こりうる。
"Hendrix in the West"のときにはすでに(P)1972追記レーベルが使用されていたが、(P)1972なしのレーベルも残余レーベルとして使用されたという可能性もあるんじゃないかと思うのである。

『初盤道』は、Discogsと同じく(P)1972なし初盤説だが、Discogsと違って詳しく検証されているのでぜひご覧いただきたい。
紙ジャケ探検隊のこの検証を前提にしてもなお、ボクは、(P)1972なし残余レーベル使用説も成り立ちうると思っているのだが、さて、どうだろう?

とはいえ、うちの盤はテレホート・プレスで両面マト2なので、仮に(P)1972なし残余レーベル使用説が正しく、(P)1972追記レーベルも初盤でいいとしても、音質的にはさらに上がありそうだ。

でも、片面(Side 2)でもRL刻印があるからいいのである(Side 1はSTERLING刻印のみ)。


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マトや工場のバリエーションや両面RL刻印盤のことなど、ここまで掘るかの詳細は、『初盤道』をご覧あれ。
ボブ・ラディック(Bob Ludwig)カットのこの凄音盤で、一番音の良い盤を探そうと思うなら、必読である。

なんだ、結局、『初盤道』に謎を解き明かしてもらってるんじゃん、と思った貴方!
違うんである。
ボクがずっと疑問に思っているのは、別の話なのだ。

前回の『初盤道』で触れられていたのだが、このレコード、B4の曲名に誤表記がある。
"Voodoo Chile"が正しいのに、"Voodo Chile"と誤表記(oが一個足りない!)されているのである。

この誤表記は上に載せたレーベル写真で確認できると思う。

謎なのは、「この誤表記が何故修正されなかったのか?」ということである。

ジャケットの修正は面倒なので放っておかれることも多いが、レーベルの修正はそんなに難しくないから、気がつけば割とすぐに修正される。
ところが、USオリジナルには、どんなに探しても"Voodoo Chile"に修正されたレーベルがないんである。

「oが一個足りないだけだから、気がつかなかっただけじゃない?」なんて思った貴方!
それは考えが甘い(笑)

これまた前回の『初盤道』に出ているが、通常のUSオリジナルの裏ジャケットの楽曲名クレジットでは、誤表記の"Voodo Chile"があり、一行あけて、"Voodoo Chile"とクレジットされているのだ。
気づいてないわきゃ~ないんである。

だいたい、裏ジャケットはおかしい。
"Voodo Chile"という誤表記をしておいて、そのあとに一行あけて"Voodoo Chile"と正しい表記をするなんざ、いったいどういう了見なのだ?

それにボクの持っているUSオリジナルのジャケットは、こうなんである。


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"Voodo Chile"の誤表記がなく、"Voodoo Chile"の正しい表記だけがクレジットされているのだ。


内ジャケットのクレジットも同じだ。

これまた前回の『初盤道』に出ているが、通常のUSオリジナルの内ジャケット右下にある楽曲クレジットでは、"Voodo Chile"の誤表記になっている。

しかし、うちのはこうだ。


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ちゃんと正しく"Voodoo Chile"と表記されているのである(通常のUSオリジナルと違って、曲順も収録順と同じで正しく並んでいる)

ちなみに、うちにあるこの"Voodoo Chile"表記ジャケット、同じものはDiscogsには載っていないし、ebayで探しまくっても発見できなかった。

正確に言うと、裏ジャケも内ジャケも"Voodoo Chile"のジャケットというだけなら、Discogsで発見できる。
SMAS-94338というレコード番号がふられたキャピトル・レコード・クラブ盤だ。
このクラブ盤、ジャケットにふられた番号はMS 2049だというからややこしい。
じゃあ、うちの盤と同じかというと、違うんである。

Discogsのクラブ盤のところに掲載されている写真と上に載せた写真と見比べたらすぐにわかると思うが、"Voodoo Chile"の下に、うちのは3行しかないが、クラブ盤はさらにその下に3行ある。
それに、曲順表記も通常のUSオリジナルと同じで、うちの盤とは違う。

まぁ、それでも、"Voodoo Chile"が正しい以上、「レイトでジャケットも修正されたんだろう。うちのはきっとレイトなんだ。シクシクシクシク・・・」と、ボクは泣き暮らしていた(ウソです 笑)。

そして、今月号の『初盤道』ではっきりと引導を渡されるのだろうと思っていたのだが、この話はまるっきり出てこないのだ。
仕方なくボクは、自分ではっきりさせようと、レーベルにWロゴがついた完全なる再発盤を探した。
この完全なる再発盤が、裏ジャケ内ジャケともに"Voodoo Chile"と正しければ、うちのも完全に再発ジャケだと断定できるかなと。

しかし、ないのである。
レーベルにWロゴがついた完全なるUS再発盤は、Discogsでもebayでも、さらにはWeb全体で探しまくっても、出てこないのである。

やっと見つけた!
と思ったら、カナダ盤である。
カナダ盤じゃ、なんの参考にもならない。
ん?
参考にならないのか?

カナダ盤では、Wロゴ付きになっても、レーベル上は"Voodo Chile"の誤表記である。
内ジャケ右下の楽曲クレジットも"Voodo Chile"の誤表記である。
裏ジャケにいたっては、"Voodo Chile"の誤表記の下に黒塗りの後が見える。
これは、もしかして、"Voodoo Chile"の正しい表記を消したのか?

ここでボクの発想は転換した。

"Voodo Chile"って表記は、誤表記ではなく、それで「正しい」んじゃないか?

そう考えると、通常のUSオリジナルの裏ジャケの表記の不可解さも説明できる。
"Voodo Chile"のあとに一行あけて"Voodoo Chile"っていうのは、「"Voodo Chile"、これは今まで"Voodoo Chile"って表記されてたものですよ~」って意味なんじゃないか?

"Voodo Chile"で正しいんだとすれば、それで正しいんだから、レーベル上の表記が修正されるはずがない。

そうするとだな、うちのジャケはどうなるんだ?
"Voodoo Chile"ってのは、もともとは正しい表記だったが、この時期というか少なくともこの盤に関しては正しくなくなった表記なわけで、正しい表記から正しくない表記に修正するというのは通常考えられない。

ってことは、この"Voodoo Chile"表記ジャケってのが、一番最初のジャケットなんじゃ?
まぁ、リリース時にはすでに通常出回っている"Voodo Chile"表記ジャケが出来上がってて、何かの間違いで修正前の"Voodoo Chile"表記ジャケが紛れ込んだだけかもしれないけどさ。

なにしろこのレコード、曰く付きの偽装盤である(このあたりの詳細は前号=2020年4月号の『初盤道』をご覧ください)。
通常のUSオリジナルのジャケットでは、この偽装をごまかそうと、あれやこれやのカモフラージュ工作が行われているが、そうしたカモフラージュ工作が行われていないのがうちの盤である。
そう考えると、うちの盤がカモフラージュ前の原型だったという推測も、あながち間違いではないような気もするのだ。

あれ?
妄想がすぎたかな?(笑)

タグ:Jimi Hendrix
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