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Hendrix in the Westの謎 [アナログ・コレクターの覚書]

<いくつか書き忘れていたことを追記するとともに、妄想の根拠(笑)も書き足しました。>(2020年4月17日12:00追記)

レコード・コレクターズ前号(2020年4月号)の『初盤道』を読んだときの記事で、ジミ・・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)"Hendrix in the West"のUSオリジナル(Reprise Records ‎MS 2049)について、ボクはずっと疑問に思っていることがあると書いた。

前号ではボクの疑問は解消されなかったのだが、さて、今月号ではどうだろう?
ボクの疑問に答えてくれているんだろうか?

ボクはワクワクしながら、発売日の昨日4月15日、朝一番に書店に駆け込んでレコード・コレクターズ(2020年5月号)を手に入れたのであった。


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しかし、残念ながら紙ジャケ探検隊は、謎を解き明かしてはくれなかった。

ってことで、今回は、このレコードに関するボクの疑問について説明しようと思う。


前の記事にも書いたように、ボクの手持ち盤はDiscogs情報を信じるならレイトである。


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Discogsには、レーベル下部に"(P)1972 Warner Bros.Records Inc."が追加されているのは再発盤(Repress)だと書いてあったりするのだが、いくらなんでも再発盤は言い過ぎである。
仮に初盤ではないとしても、せいぜいレイトだ。
つまり、何度目かの追加プレスから、この(P)1972追記のレーベルが使用されるようになったというだけだろう。

ボク自身は、実は、この(P)1972追記レーベルは初盤にもあったんじゃないかと疑っていたりする。

この"(P)1972 Warner Bros.Records Inc."追記は、汎用レーベルに追加されたものだろう。
だとしたら、いわゆる残余レーベル使用ということが起こりうる。
"Hendrix in the West"のときにはすでに(P)1972追記レーベルが使用されていたが、(P)1972なしのレーベルも残余レーベルとして使用されたという可能性もあるんじゃないかと思うのである。

『初盤道』は、Discogsと同じく(P)1972なし初盤説だが、Discogsと違って詳しく検証されているのでぜひご覧いただきたい。
紙ジャケ探検隊のこの検証を前提にしてもなお、ボクは、(P)1972なし残余レーベル使用説も成り立ちうると思っているのだが、さて、どうだろう?

とはいえ、うちの盤はテレホート・プレスで両面マト2なので、仮に(P)1972なし残余レーベル使用説が正しく、(P)1972追記レーベルも初盤でいいとしても、音質的にはさらに上がありそうだ。

でも、片面(Side 2)でもRL刻印があるからいいのである(Side 1はSTERLING刻印のみ)。


20200416-3.jpg


マトや工場のバリエーションや両面RL刻印盤のことなど、ここまで掘るかの詳細は、『初盤道』をご覧あれ。
ボブ・ラディック(Bob Ludwig)カットのこの凄音盤で、一番音の良い盤を探そうと思うなら、必読である。

なんだ、結局、『初盤道』に謎を解き明かしてもらってるんじゃん、と思った貴方!
違うんである。
ボクがずっと疑問に思っているのは、別の話なのだ。

前回の『初盤道』で触れられていたのだが、このレコード、B4の曲名に誤表記がある。
"Voodoo Chile"が正しいのに、"Voodo Chile"と誤表記(oが一個足りない!)されているのである。

この誤表記は上に載せたレーベル写真で確認できると思う。

謎なのは、「この誤表記が何故修正されなかったのか?」ということである。

ジャケットの修正は面倒なので放っておかれることも多いが、レーベルの修正はそんなに難しくないから、気がつけば割とすぐに修正される。
ところが、USオリジナルには、どんなに探しても"Voodoo Chile"に修正されたレーベルがないんである。

「oが一個足りないだけだから、気がつかなかっただけじゃない?」なんて思った貴方!
それは考えが甘い(笑)

これまた前回の『初盤道』に出ているが、通常のUSオリジナルの裏ジャケットの楽曲名クレジットでは、誤表記の"Voodo Chile"があり、一行あけて、"Voodoo Chile"とクレジットされているのだ。
気づいてないわきゃ~ないんである。

だいたい、裏ジャケットはおかしい。
"Voodo Chile"という誤表記をしておいて、そのあとに一行あけて"Voodoo Chile"と正しい表記をするなんざ、いったいどういう了見なのだ?

それにボクの持っているUSオリジナルのジャケットは、こうなんである。


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"Voodo Chile"の誤表記がなく、"Voodoo Chile"の正しい表記だけがクレジットされているのだ。


内ジャケットのクレジットも同じだ。

これまた前回の『初盤道』に出ているが、通常のUSオリジナルの内ジャケット右下にある楽曲クレジットでは、"Voodo Chile"の誤表記になっている。

しかし、うちのはこうだ。


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ちゃんと正しく"Voodoo Chile"と表記されているのである(通常のUSオリジナルと違って、曲順も収録順と同じで正しく並んでいる)

ちなみに、うちにあるこの"Voodoo Chile"表記ジャケット、同じものはDiscogsには載っていないし、ebayで探しまくっても発見できなかった。

正確に言うと、裏ジャケも内ジャケも"Voodoo Chile"のジャケットというだけなら、Discogsで発見できる。
SMAS-94338というレコード番号がふられたキャピトル・レコード・クラブ盤だ。
このクラブ盤、ジャケットにふられた番号はMS 2049だというからややこしい。
じゃあ、うちの盤と同じかというと、違うんである。

Discogsのクラブ盤のところに掲載されている写真と上に載せた写真と見比べたらすぐにわかると思うが、"Voodoo Chile"の下に、うちのは3行しかないが、クラブ盤はさらにその下に3行ある。
それに、曲順表記も通常のUSオリジナルと同じで、うちの盤とは違う。

まぁ、それでも、"Voodoo Chile"が正しい以上、「レイトでジャケットも修正されたんだろう。うちのはきっとレイトなんだ。シクシクシクシク・・・」と、ボクは泣き暮らしていた(ウソです 笑)。

そして、今月号の『初盤道』ではっきりと引導を渡されるのだろうと思っていたのだが、この話はまるっきり出てこないのだ。
仕方なくボクは、自分ではっきりさせようと、レーベルにWロゴがついた完全なる再発盤を探した。
この完全なる再発盤が、裏ジャケ内ジャケともに"Voodoo Chile"と正しければ、うちのも完全に再発ジャケだと断定できるかなと。

しかし、ないのである。
レーベルにWロゴがついた完全なるUS再発盤は、Discogsでもebayでも、さらにはWeb全体で探しまくっても、出てこないのである。

やっと見つけた!
と思ったら、カナダ盤である。
カナダ盤じゃ、なんの参考にもならない。
ん?
参考にならないのか?

カナダ盤では、Wロゴ付きになっても、レーベル上は"Voodo Chile"の誤表記である。
内ジャケ右下の楽曲クレジットも"Voodo Chile"の誤表記である。
裏ジャケにいたっては、"Voodo Chile"の誤表記の下に黒塗りの後が見える。
これは、もしかして、"Voodoo Chile"の正しい表記を消したのか?

ここでボクの発想は転換した。

"Voodo Chile"って表記は、誤表記ではなく、それで「正しい」んじゃないか?

そう考えると、通常のUSオリジナルの裏ジャケの表記の不可解さも説明できる。
"Voodo Chile"のあとに一行あけて"Voodoo Chile"っていうのは、「"Voodo Chile"、これは今まで"Voodoo Chile"って表記されてたものですよ~」って意味なんじゃないか?

"Voodo Chile"で正しいんだとすれば、それで正しいんだから、レーベル上の表記が修正されるはずがない。

そうするとだな、うちのジャケはどうなるんだ?
"Voodoo Chile"ってのは、もともとは正しい表記だったが、この時期というか少なくともこの盤に関しては正しくなくなった表記なわけで、正しい表記から正しくない表記に修正するというのは通常考えられない。

ってことは、この"Voodoo Chile"表記ジャケってのが、一番最初のジャケットなんじゃ?
まぁ、リリース時にはすでに通常出回っている"Voodo Chile"表記ジャケが出来上がってて、何かの間違いで修正前の"Voodoo Chile"表記ジャケが紛れ込んだだけかもしれないけどさ。

なにしろこのレコード、曰く付きの偽装盤である(このあたりの詳細は前号=2020年4月号の『初盤道』をご覧ください)。
通常のUSオリジナルのジャケットでは、この偽装をごまかそうと、あれやこれやのカモフラージュ工作が行われているが、そうしたカモフラージュ工作が行われていないのがうちの盤である。
そう考えると、うちの盤がカモフラージュ前の原型だったという推測も、あながち間違いではないような気もするのだ。

あれ?
妄想がすぎたかな?(笑)

タグ:Jimi Hendrix
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