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『夢の轍』で新発見 [さだまさし]

しばらく前から、さだまさしさんのLPを掘っている。

中学生の頃、フォークギターを買ってもらって、あれやこれやと弾き語りの練習をしていた頃、さださんの『案山子』が流行った。
この歌にこめられた想いを中学生だったボクがちゃんと理解できていたかと言えば甚だあやしいが、とにかくボクはこの歌がすこぶる気に入ったし、ぜひとも弾き語りができるようになりたいと、当時猛練習したのであった。

猛練習の甲斐あって素晴らしい弾き語りができるようになったかどうかはさておき(笑)、『案山子』をきっかけにボクはすっかりさださんのファンになり、過去作品にさかぼって聴きまくったし、1981年のアルバム『うつろひ』くらいまで、かなり熱心に聴いていた。

そのあたりの思い入れの深いアルバムを一番良い音で聴いてみたいという思いが、いまもボクを「さだ掘り」に駆り立てる。

で、今日は、『夢の轍」で新発見をしたってお話である。
って、「『夢の轍』は、『うつろい』の後でしょうがぁ」って声が聴こえてきそうだが、いいのである。
なにしろ『償い』が入っている。
一番良い音で聴きたいじゃないか。

このアルバム、ボクはずっと通常盤で聴いていたのだが、つい先日、見本盤を手に入れることができた。


20200424-1.jpg


見本盤は、ホワイト・レーベルである。


20200424-2.jpg


この写真に送り溝の文字が写り込んでいるのでわかるかと思うが、この字体は東芝EMIのものだ。
つまり、この盤、東芝EMIカッティングである。

このFFR-12505-1の反対側には、ラッカー番号/マザー番号/スタンパー番号を示す刻印2-B-3がある。
隣には逆向きだが、PM2-Yも見える(2-Yだから1982年11月製造で、見本盤だから当然といえば当然だが、発売日(1982年12月11日)の前月製造盤ということになる)。
これは、東芝EMIプレスで間違いない。


20200424-3.jpg


ちなみに、Side 2も含めたマトとPMは、以下の通りだ。

Side 1 2-B-3 2-Y
Side 2 2-A-9

マト2というのはともかく、見本盤にしては、マザー/スタンパーが微妙に進んでいる気がするが、まぁよしとしよう。


さて、では、これまで持っていた通常盤はどうか。

レーベルは、おなじみフリーフライトレコードの黄色いレーベルだ。


20200424-4.jpg


この写真に写り込んだ送り溝の文字の字体は、見本盤と同じである。
つまり、東芝EMIカッティングだ。
ただし、この盤には、TOの刻印がない。

反対側のラッカー番号/マザー番号/スタンパー番号を示す刻印4-A-3も、少なくとも4-Aのところまでは東芝EMI工場での刻印だろう。


20200424-5.jpg


しかし、この盤の送り溝にはPMがない。

ちなみに、Side 2も含めたマトは、以下の通りだ。

Side 1 4-A-3
Side 2 4-A-3

ボクは、最初、この盤もまた東芝EMIプレスだと思っていた。
PMがないのは、マトが進んでいるせいで、ある年代になると東芝EMIプレスでもPMが消えるんだろうと思ったわけである。
つまり、もとから持っていた通常盤は、相当にレイトだと決めつけたわけだ。

しかし、この通常盤、相当にレイトな盤にしては、音は悪くない。
というか、個々の楽器の音色やボーカルの実在感などに限れば、かなり鮮度の高い音がする。
マト4のくせに(笑)

確かに、見本盤のほうは、通常盤のそうした鮮度の高さにくわえて、ふわ~っと音が広がる感じがなんとも素晴らしく、もう一段階上の音がするのだが、通常盤のほうが相当にレイトだとはどうしても思えない。

で、あっちからこっちからと眺めていたら、こんなものを発見してしまったのであった。


20200424-6.jpg


レーベル上に浮き出ているのは、東洋化成プレスのPMである。
しかも、写真だと判別しにくいかもしれないが、これ、2TYである。
そう、1982年11月製造盤、つまり、見本盤と同じく、発売月の前月に製造されているのだ!
鮮度が高いわけである。

しかし、この発見には、正直ボクも相当に驚いた。

つまりはこういうことだ。

東芝EMIでマト2とマト4が同時にカッティングされ、マト2は東芝EMIの工場でのプレスに使用され、マト4は東洋化成の工場に送られてプレスされた。
東芝EMIプレスのマト2も、東洋化成プレスのマト4も、いずれも初回プレスなのである。

おそらく、自社工場をもたないワーナーの場合、さださんのようにかなり売れるアーティストのレコードは、東芝EMIへの委託だけ、あるいは、東洋化成への委託だけでは足りず、両方に同時に委託する必要があったのだろう。

まるで、アメリカの工場違いのような状況が、この日本で生じていたわけである。


で、少なくともこの盤については、東芝EMI工場プレスのマト2が真のオリジナルと言っていいんだろうと思う。

では、さださんの他のアルバムもみんな同じパターンだったかというと、違うのである。
時期によっては、初回盤に東芝EMIカッティング&プレスと東洋化成カッティング&プレスが存在するというパターンもあったりする。

かなりのところまで解明できているのだが、まだ全容が解明できていないので、この続きはまたそのうちに(笑)


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