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雨の日曜、昭和な午後 [国内盤研究]

3月26日はショーケン(萩原健一)の命日である。

空も泣いている。

1975年8月リリースのファースト・ソロ・アルバム『惚れた』(ワーナー・パイオニア L-10009E)をターンテーブルに載せれば、昭和な雰囲気がリビングを満たす。


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音質まで含めて、なんて昭和なんだろう。

マトは2-B-4/2-A-9の東洋化成プレス。
レーベル内PMを苦労して探すと、5 T 8という刻印が確認できた。
発売当月プレスだ。
まぁ、良しとしよう。

この頃(1975年)のワーナーって、東洋化成プレスしかないよね?
東芝EMI委託が始まるのっていつぐらいからなんだろ?
1976年には、カッティングだけ東芝EMIに委託している盤は確認できているのだが・・・
このあたりもちゃんと調査しないとねぇ・・・

タグ:萩原健一
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何処ブレス?~井上陽水『氷の世界』のレイト・プレスで国内盤研究 [国内盤研究]

出題のレコードが何処プレスであるかは、各レコード会社のレーベル形状がある程度頭に入っている人なら、すぐにわかると思う。


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レーベル形状からわからなくても、左上の送り溝にラッカー/マザー/スタンパーを表す刻印が写っている。
そこから推測が可能だろう。

送り溝の刻印は、Eー3ー※と読める。
拡大してみよう。


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E-3-まではポリドール・プレスの刻印だ。
つまり、ポリドールでカッティングされ、マザーまで製造されたことがわかる。
そのあとの※は、点が2つなのでスタンパー3であることを意味する。
これはビクター・プレスのスタンパー表記方式だ。
つまり、スタンパーはビクターで製造されたことになる。
ってことで、この盤はビクター・プレスなんである。

送り溝には、こんな刻印もある。


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VZと読める。
ほかにPMと思しき刻印があるので、このVZはPMではない。
VはおそらくビクターのVで、Zは委託を表すものなんじゃないかと思う。
つまり、VZは、委託を受けてビクターでプレスされたということを意味しているんじゃないか。

というのも、PMと思しき刻印がこうなっているからである。


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ZIである。

Iは、ビクターPMでは奇数年の9月を表すはずなので、先日、こちらの記事(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2023-03-13)で推測したように、Yが二巡目、Zが三巡目を表すとすると、ZIは1977年9月を表すことになるのだが、それではまずいんである。

なぜなら、このレコード、おそらく1975年(昭和50年)10月に購入されているのだ。


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1975年だと二巡目なので、二巡目ならIの前につくのはYのはずである。
それに、そもそも、初回盤から委託されていれば1975年には二巡目に突入することになるが、ビクターに委託されたのはこのときが最初だったとしたら、その場合、ビクター側から見れば一巡目である。
Yもいらないはずだ。
そう考えると、やはり、Zは、委託プレスであることを意味する記号だと思うんである。

そうだとすると、PMのZIは1975年9月を表すものとして、矛盾なく説明できるのだが、委託プレスを表す記号が、何故YではなくZなのかという疑問は残る。
委託でも二巡目の可能性まではありうるのでYは残しておいたということだろうか。
あるいは、委託の一巡目がYで二巡目がZという可能性もあるか。

いずれにせよ、PMにつくYやZについては、これからも、見つけるたびに、矛盾なく説明できるルールを考えていくしかないだろうなぁ。

そうそう、ビクター・プレスなので、当然、この盤も透ける。


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透ける『氷の世界』って萌えるわ~(笑)

タグ:井上陽水
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『恋するガリア』OST~PM記号Yのこと [国内盤研究]

<PMに使用されたYという記号について、思い出したことがあるので、追記しました。>(2023年3月13日20:00)

昨日の記事で取り上げたMJQとスイングル・シンガーズ(The Swingle Singers perform with The Modern Jazz Quartet)の『ヴァンドーム』(Place Vendome)(Philips SFX-7070)といっしょに買ってきたスイングル・シンガーズのレコードがある。

1966年公開のフランス映画『恋するガリア』(Galia)オリジナル・サウンド・トラックの日本初回盤シングル(Philips SFL-1078)である。

B面の『ガリアのテーマ』にはスイングル・シンガーズは参加していないが、A面の『恋するガリア』(Largo)は彼らのスキャットだ。


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映画『恋するガリア』のことはまったく知らなかったが、このジャケット(PS)に一目惚れして購入を決めた(300円だったしね)。
文字のフォントや色使いが、なんだかとってもフランスっぽくて、お洒落じゃない?
Discogsでフランス盤EP(フランス盤は4曲入り)を見てみたが、日本盤のほうがフランスっぽい感じがする。
でも、それはきっと、ボクが、昭和の日本人が持っていたフランス・イメージを共有しているせいなんだろうな。


調べてみると、映画『恋するガリア』の公開は、フランス本国では1966年1月26日、日本では同年12月24日だったようだ。

うちの盤の送り溝を見ると、113※と刻まれている。


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マト1のマザー3で、※には点がないので、スタンパーは1だ。
初回プレスっぽい。
「木を見て森を見ず」で、スタンパー1に気をとられて、マザー3の意味を見過ごしていた。
バカ売れするとはとても思えないこんなレコードで、マザー3のスタンパー1が初回プレスなのは、マザー1やマザー2がトラブルとかで使えなかった場合だけだ。
ということは、マザー3に注目すれば、この盤は明らかにレイト・プレスである。


ということで、PMを確認するとY XAとなっていた。


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Yが意味するところが不明なのだが、XAというPMは、偶数年の12月に一度使用されたスタンパーを翌月の奇数年1月に再度使ってプレスされたものであることを示す。
映画の公開日とあわせて考えれば、1967年1月プレスということだろう。

気になるのは、Yの意味するところなのだが、現時点ではまったくわからないので、宿題ということにしておきたい。

以前、ビクターPMに関連して、Zという記号の意味について仮説を立てたことがあったのを、さっき思い出した。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-06-16

Yが二巡目で、Zが三巡目を表すんじゃないかという仮説を立てていたんである。
『ヴァンドーム』みたいに使いまわしスタンパーであれば、特に二巡目であることや三巡目であることを表す記号は必要ないが、新品のスタンパーに最初のPMを打ち込むときには、二巡目であれば、それを示すことが必要になる。
それがYやZだったんじゃないかというわけだ。
80年代にはカタカナPMやひらがなPMが使われていたんじゃないかと考えているのだが(詳しくは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-10-17 をどうぞ。)、それ以前は、YやZが使われていたんじゃないかというわけである。

この仮説を前提とすると、Y XAというPMは、発売が1966年だったとすると、1969年1月プレスであることを表していることになる。
これは、マザー3のファースト・スタンパーの使用時期としても、矛盾がないように思う。


この盤、送り溝写真から推測できるようにかなり聴き込まれているのだが、それでも、サーフィス・ノイズはそれほどひどくはない。
ただ、ボーカルが声を張り上げるような箇所では歪む(ノイズがのる)。
そんなわけで、あんまり楽しめないのだが、まぁ、ジャケットに一目惚れして買ったわけだし、ジャケットだけ楽しめればいいか。

ボーカルが声を張り上げるような箇所で歪む(ノイズがのる)盤てたまに出くわすよね。
あれって、何が原因なんだろう?
溝に微妙なダメージがあるんだろうから、磨耗した針(昔は、安いレコード・プレイヤーだとサファイア針だったよね。)で溝をいためてしまったとかってことなのかなぁ?

そういえば、このレコード、1978年に(個人的にはあまり購買欲をそそらない)別ジャケットで再発されているのだが、何故かモノラルなのよね。
初回盤がステレオで再発がモノラルって珍しいよね。
擬似ステレオなら再発はモノラルだろうけど、これ、リアル・ステレオだからなぁ。
不思議なのである。

おっと、忘れるところだった。
ビクター・プレスなので、シングル盤も・・・


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透けるのである(笑)

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MJQとスイングル・シンガーズ『ヴァンドーム』~衝撃の日本初回盤 [国内盤研究]

『はなればなれに』を読むときのBGMに最適なんじゃないかと思ったレコードとは、これである。


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1966年にリリースされたMJQとスイングル・シンガーズ(The Swingle Singers perform with The Modern Jazz Quartet)のコラボ作品『ヴァンドーム』(Place Vendome)だ。

アメリカのジャズバンドであるMJQがフランスのヴォーカル・グループであるスイングル・シンガーズとともに作り上げた作品なので、ゴタールのフランス映画の原作であるアメリカの犯罪小説を読むときのBGMに最適じゃないかというわけである。

それに、RC-DJ100のキラキラとした明るい音色が、MJQの音楽を新鮮に響かせて、実に心地良いのだ。

うちにある『ヴァンドーム』は独自ジャケットの日本盤で、(Discogsを見ると、US盤でも、70年代のMercury再発ー登録は1966年になっているが、レーベルが1972-4年のもの―で一度使用されたことがあるようだが)CDでは採用されたことのないジャケットなので、わかる人はいないだろうと思っていたのだが、ツイッターの方でsentimentalfoolさんに見破られてしまった(お見事!)。

日本盤のアナログは4回リリースされているが、フィリップスからリリースされたもの(Philips SFX-7070)―うちにある盤ーが初回盤のはずである(Discogsでは再発になっているが)。

うちの盤には帯がついていないが、Discogsで見てみると、上部に「MJQ結成15周年」とある。
モダン・ジャズ・カルテットの結成は1952年だから15周年なら1967年である。
その前身であるミルト・ジャクソン・カルテット(Milt Jackson Quartet)の結成は前年の51年なので、そこから数えれば1966年だ。
つまり、1966年か67年にリリースされたものであることがわかる。

フィリップスということはビクター・プレスなのでPMが存在する。
うちの盤は、この通り、111※(※の点が2つだから、スタンパー・ナンバーは3)で、マト1のサード・スタンパーだから、PMから発売日が推測できる。


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最初のPMはWだったから、偶数年の11月だ。
つまり、このフィリップス盤のリリースは1966年の11月か12月だったということになる。
このレコード、録音が1966年9月らしいから、うちの盤は、どう考えても初回盤である。

もっとも、うちの盤が初回盤だというのは、再発盤ではないという意味にすぎない。
というのも、うちの盤の送り溝には、衝撃のPMが刻印されているからである(笑)


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PMは、WXEGHIWADJKLだ。
なんと12個も刻印されているんである。
新記録だぜ(全然嬉しくない 笑)

1966年11月に最初に使用されたスタンパーは、数10枚から100枚ぐらいの単位でのプレスに合計12回にわたって繰り返し使用され、最終的に1969年12月にプレスされたのが、うちの盤なのだ。

60年代は、まだ、二巡目も普通にアルファベットPMを使ってたのね・・・

まぁ、でも、69年12月プレスでも、初回盤は初回盤である。

フランス盤もUS盤もシングル・ジャケットなのに対して、見開きジャケットで、開いたときのデザインもなかなか素敵だ。


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内ジャケからそこはかとなく漂う昭和感にも好感が持てる。


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最後に、お約束だが、ビクター・プレスなので・・・


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透ける(笑)



(画像をクリックするとAmazonにとびます。)

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Françoise Hardy, Françoiseの日本初回盤 [国内盤研究]

昨日1月17日は、フランソワーズ・アルディ(Françoise Hardy)の誕生日だった。

ボクはとくにファンというわけではないので、彼女のレコードは、日本盤を数枚持っているだけなのだが、誕生日にちなんで何か聴きたくなるくらいに好きではある(笑)

ってことで、一日遅れだが、このレコードを聴くことにした。


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日本では1973年にリリースされた(フランス本国では1970年リリース)編集盤『フランソワーズ(Françoise)』の日本初回盤(EPIC ECPM-24)である。

『さよならを教えて(Comment Te Dire Adieu)』が収録されているということで、ボクが最初に買ったフランソワーズ・アルディのレコードだ。
『さよならを教えて』は、最初は三木聖子さんに提供され、後に石川ひとみさんのカバーが大ヒットした、ユーミン作詞・作曲『まちぶせ』の元ネタである。

このレコード、特に音が良いわけでもなく、編集盤なので曲によって音質差があったりもするのだが、Apple Musicのハイレゾロスレス(24bit/96kHz)配信と比べても、音場の立体感や音色の実在感が優れている。
まぁ、うちのシステムではってことだけどさ(笑)

マトがA4/B1だったので、一瞬レイトかと思ったのだが、Discogsに登録されているのもA4/B1だし、うちの盤のマザー/スタンパーは1A4/1A7なので、たぶん、A4/B1が初回マトでいいと思う。


誕生日にちなんで聴くのに、このレコードを選んだのには、もう一つ理由がある。


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透けるんである。

BBA Liveの記事(https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2023-01-14)を書いた後、ツイッターで、1974年リリースのエドガー・ウインター・グループ(The Edgar Winter Group)『恐怖のショック療法(Shock Treatment)』(EPIC ECPM-66)も透けたという報告を受けたし、1970年代前半のCBS SONYプレスは一般に透けるということなのかもしれない。

タグ:Francoise Hardy
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