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Discogsではわからない~Barbra Streisand, Greatest Hits Volume 2のUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

しばらく前に、近所のハードオフのジャンク・コーナーを掘っていたときに拾ってきたバーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)の"Greatest Hits Volume 2"が出てきた。
マトは1G/1Gのテレホート工場プレスだが、一応USオリジナル(Columbia FC 35679)だ。

買って帰ったときにディプレイ・ラックにのディスプレイに重ね置きしたまま、すっかり忘れてしまっていたのだが、手前のレコードを片付けたら、ひょっこり顔を出したのである。

ジャンク・コーナーに転がっていたわりには、ジャケットは比較的綺麗だったが、盤はかなり汚れていたので、しっかり洗浄して聴いてみた。


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バーブラのレコードは、そんなに持っているわけではないので、ベスト盤のわりには聴いたことのないものも収録されていて、思った以上に楽しめた。
B2に収録されている"Sweet Inspiration / Where You Lead"のメドレーは、1972年にリリースされたライブ盤"Live Concert at the Forum"からのものだが、これがなかなか素敵だったので、"Live Concert at the Forum"のUSオリジナルをレコード店で見つけたときには必ず買おうと決めた。

こういった編集盤は音質的にはあまり期待できないし、このレコードも特別良い音というわけではないが、エンジニアの腕を感じる瞬間というのもあって、思わず送り溝を確認してしまう。

バーブラのレコードは、TMLカッティングのことが多いので、これもそうかと思いきや、違った。


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この筆跡(とくに「る」に見える「3」)は、バーニー・グランドマン(Bernie Grundman)である。
この時期(このレコードのリリースは1978年)のバーブラでBGカッティングって、わりと珍しいよねぇ。
どういう経緯で、BGに依頼されたんだろう?

それはともかく、歌詞の印刷されたインナースリーブにも、マスタリング・エンジニアのクレジットはないから、Discogsにも、BGカッティングであることは書かれていない。
送り溝について、手書き(etched)とあるから、コロンビア・スタジオでのカッティングではなく、外部委託であることはわかるが、それ以上はわからない。
っていうか、BGカッティングの場合は、送り溝を見て筆跡鑑定してみないとわからないものって多いよねぇ。

彼のカッティング、ボクはとても好きである。
ってことで、Discogsを見てもわからないようなBGカッティングの好盤を御存知の方は、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m

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Grease OSTのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

まだまだ、オリビア(Olivia Newton-John)追悼は続く。
あっ、でも、ハードオフ&ブックオフめぐりで入手したオリビアのレコードは、これで最後か。

映画『グリース』のオリジナル・サウンドトラックは、なにせ通算3000万枚以上の驚異的なセールスを記録したらしいので、日本盤でよければ当然入手できると思っていたが、ボクは日頃の行ないがヒジョーに良いせいか(笑)、幸運にも、USオリジナル(RSO RS-2-4002)を入手することができた。
ブックオフの格安盤コーナーで税込み110円である。


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このレコード、初めて聴いたのだが、いやぁ、良いねぇ。

『サタデー・ナイト・フィーバー』が大ヒットしたとき、トラボルタに似てるとかってからかわれたのがトラウマになって(自分では似てないと思うのだ)、『サタデー・ナイト・フィーバー』はもちろん、『グリース』も観てないんだよねぇ。
映画も観たくなってきたよ。

このレコードが気に入ったのは、もちろん内容が素晴らしいからなのだが、音もとても良いんである。
いつものように送り溝をのぞきこむと、そこには見慣れた文字が(笑)


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5をひっくり返したような2は、間違いなくバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)の筆跡である。
クレジットがないかと探したら、インナースリーブに明記されていた。


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BGさん、このレコードでも、良い仕事をしているのである。


このレコードには、もう一つ、興味深い特徴がある。
ロサンジェルスにあったモナーク工場(Monarch Record Mfg. Co.)でプレスされているのだが、このレーベルなのである。


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下記記事でボクの仮説は明らかにしている。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2019-06-23

モナーク工場でプレスされたレコードについては、1975年から1976年にかけての頃、二段レーベルが登場する。
ただし、その時点で、すべてのレコードが二段レーベルになったわけではなく、1978年頃までは、昔からの一段レーベルでプレスされたものも存在する。

後者の例として、上記記事では、アレサ(Aretha Franklin)の"Almighty Fire"(SD 19161)をあげたのだが、これはボクの所有物ではなく、Discogsの登録データに頼ったものだった。

この"Grease"のOSTで、ようやく、「1978年のモナーク工場プレスで一段レーベルのもの」を、ボクの所有物で示すことができた。

しかも、この盤のメッキ処理番号は、この通りなのである。


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△23320である。
一枚目のメッキ処理番号がこれなら、二枚目は当然、 △23321だ。

そして、上記記事で紹介したアレサの"Almighty Fire"のメッキ処理番号は、△23322だった。
そう、”Grease”のOSTは、"Almighty Fire"の直前にメッキ処理されたものだったのである。

まぁ、それだけのことなんだが、なんだか感慨深いのである(笑)

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Michael Jackson, ThrillerのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

<たくさんの方から情報をいただいたので、追記しました。>(2022年1月2日22:00)

超かわいいトラの赤ちゃんが載っているジャケットのレコードは、これである。


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マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の"Thriller"だ。

見開きジャケットの内側とはいえ、流石に、わからなかったという人はいないよね(笑)


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マイケルがペットとしてトラを二匹飼っていて、そのうちの一匹の名前がThrillerだったのは有名な話だが、「このジャケットに載っているのがThrillerちゃんなの?」と思って調べてみたら、Thrillerちゃんは1998年生まれだった。
あかちゃんだったThrillerちゃんを見て、「あのときの赤ちゃんトラにそっくりじゃないか」とThrillerって名前をつけたのかな?
ただの想像だけど(笑)

さて、マイケルのアルバム"Thriller"の話である。
Wikiを見ると、現在までに7000万枚!売れているということで、そのうちどのぐらいがアナログなのかわからないが、とにかく桁違いに売れたレコードである。
したがってレコード店でもよく見かけるが、圧倒的に日本盤が多い。

しかし、このレコードは、やはりUSオリジナル(Epic QE 38112)で持っていたい。
インナースリーブに明記されている通り、マスタリングとカッティングがバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)だからである。


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送り溝の文字も、BGの筆跡だと判定できる。


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ありがたいことにレコード番号が38112"なので、「る」に見える「3」と、「5」をひっくり返したような「2」の両方が確認できる。
BGの筆跡で間違いない。

もっとも、レイトになってもBGカッティングなのかは知らない。
うちの盤のマトは1F/1Gで、両面とも間違いなくBGの筆跡だと判定できるので、マト1GまでBGカッティングなのは間違いないと思うが、その後のことはわからない。

初回盤は、裏ジャケットの"Produced by Quincy Jones"の下に"Co-Produced by Michael Jackson"がないものと言われている。


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この初回盤ジャケットに入っているものならBGカッティングだろうと思うのだが、それも確認できていない。

Discogsを見ると、マトは数字部分が1のものから3のものまであって、ほかにチェット・ベネット(Chet Bennett)がカッティングした盤もあるようだ。
チェット盤は当然BGカッティングではないのでいいとして、マト3までBGがカッティングをしてるんだろうか?

まぁ、マト1はアルファベット部分一桁のものしかないようだし、マト3もアルファベット部分一桁のものしかない(再度確認したらAAまでありました。でも、基本一桁です。)ようなので、二桁マトまであるのはマト2だけなのだが、なにせマト2は頭D(頭Eまでありました)の二桁マトまであるから大量である。
1982年というと、BGはまだA&Mスタジオのエンジニアだから、外部からの委託でこれだけ大量のカッティングを果たして一人でやったんだろうかと疑問に思ったわけである。


<追記>(2022年1月2日22:00)
TLでたくさんの方から情報をご提供いただきました。
どうやらマト3までBGカッティングのようです。
ちょっとビックリしました。

そう言えば、あまり考えずに数字部分を取り上げてマト1~マト3とか言ってしまっていましたが、このマト1~マト3はカッティングの違い以前のマスターテープの違いを意味しています。
米EPICのマトは米COLUMBIAに準拠しているので、数字部分はマスターテープの番号で、アルファベット部分が何番目のカッティングであるかを示します。

このことは、以前、下記記事で説明したことがあります。

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2016-06-25

この記事では、アルファベットは、IをのぞいてAからLまで使われているとしていますが、"Thriller"に関するDiscogsの登録情報をすべて確認したところ、IとLをのぞいてAからNまで使われていることがわかりました。
アルファベットをどこまで使うかは、時期によって違うのかもしれません。

IとLをのぞいてAからNまでだと12文字です。
頭Eの二桁がどこまであるか不明ですが、一桁、頭Aの二桁、頭Bの二桁、頭Cの二桁、頭Dの二桁が、それぞれIとLをのぞいたAからNまであるとすると、マト2でカッティングしたラッカー枚数は、60枚以上あることになります。
これにマト1の分とマト3の分を加えると80枚くらいカッティングしたことになりそうです。
どうやら、それをBG一人でカッティングしたようなのです。


ボクは、このレコードについては、一発でアガってしまったので、その後まったくめくってみたことがないんだよねぇ。

それにしても、BGカッティングのこのレコード、素晴らしい音で鳴るよね。
あっ、でも、もしかして、マト1とマト2って、鮮度的な違いだけじゃなくて、TOTOのファーストみたいに、ガラリと違う音に変わってるのかな?
その可能性もありそうだなぁ。
(上記のように、マトの数字の違いはマスターテープの違いなので、ミックス違いだったり、マスタリングのレシピ違いだったりするわけです。)

誰か調べたことがある方がいたら、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m


そうそう、うちの盤のレーベルには、こんなシールが貼ってある(ジャケットにはない)のだが、これって何?


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ずっと気になってるので、何か知ってる方がいたら、これまた教えてくださいませm(_ _)m

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Karla Bonoff, Restless Nightsをめぐるあれこれ(2)ーUS盤 [Bernie Grundman(BG)の仕事]

さて、では、カーラ・ボノフ(Karla Bonoff)"Restless Nights"のUSオリジナルの話である。
実は、前の記事より先に書き終えていたのだが、記事数を見たら998だったので、どうせなら1000記事めはこのブログらしい検証記事のこちらにしようと、順番を入れ替えた(笑)


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手前3枚がUS盤(Columbia JC 35799)だが、ジャケットの外観については、微妙な差はあるものの個体差にすぎないと思う。
歌詞インナースリーブも現時点では違いを発見していない(日本盤に付属しているものともレコード番号が違う以外は同じで、切り込みや紙質の違いぐらいしかない)。

しかし、この3枚の素性は明らかに違う(笑)

最初に入手したUS盤は、こんなレーベルで、マト1B/1Aのサンタマリア工場プレスだった。


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1A/1Aのほうが気持ちが良いが、1B/1Aでも悪くはない。

それに、この通り、送り溝の文字の中には、「る」に見える「3」が確認できるので、バーニー・グランドマン(Bernie Grundman)=BGの筆跡で間違いない。


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音質的にも、低域が沈み込んでボーカルが浮かびあがり、前後に空間が広がる感じで、音量を上げれば上げるほど、日本盤より好ましく響く。

だから、この盤で満足していたのだが、たまたま1A/1Aの盤を見つけてしまった(当然、サンタマリア工場プレス)。
当然だが、これも、送り溝の筆跡から、BGのカッティングで間違いない。


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まぁ、でも、音質的には大差ないだろうと思いきや、けっこう違う。
ラッカー違いの差というより、スタンパーのなまり具合に起因する鮮度感の違いである。
送り溝のスタンパーらしき記号を確認すると、1A/1A盤はB5/A2で、1B/1A盤はA12/A7だ。
大きな差があるわけではないが、違いはある。

いや、それよりも、こっちのほうが違いとしては大きい。


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1A/1A盤のほうのレーベルには、下部に"Produced by Kenny Edwards"のクレジットがないんである。
こういうクレジットは、あったものを後から削るというのは考えにくい。
それに、再発のPCプリフィックスの盤をDiscogsで確認すると、しっかり"Produced by Kenny Edwards"がクレジットされている。

つまり、初回盤は、レーベルに"Produced by Kenny Edwards"のクレジットがなかったんだと推測されるのである。
そうだとすれば、1B/1A盤と1A/1A盤は、プレス時期に違いがあったということになる。

さて、もう1枚のUS盤は、ジャケットにTiming Stripが貼られていないが、裏ジャケットに金文字スタンプが押してあるWLPである。


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このWLPのレーベルにも、"Produced by Kenny Edwards"のクレジットはない。


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やはり、初回盤は、"Produced by Kenny Edwards"クレジットなしで間違いないと思う。

確認のため、DiscogsのUS盤の登録を一応全部チェックしたら、リイシュー盤として登録されているものに、"Produced by Kenny Edwards"クレジットがあるからリイシューだとしているものがあった。
どうやら、一部では認識されている事実らしい。
もっとも、後述するように、このクレジットの追加はリリース後それほど間を置かずに行われたと考えられるので、これをリイシューと言うのには違和感があるが。

そうそう、Discogsには「ジャケットにバーコード無し」で登録していて画像も載せてないのがあるが、あれは間違いだと思う。
このアルバムがリリースされた79年の9月だと、コロンビアはすでにジャケットにバーコードを印刷するようになっている。

さて、音質だが、テレホートのくせにWLPがもっとも鮮度の高い音がする。
マトは、テレホートなんで1K/1Eなのだが、やっぱり同時に切ったラッカーの間には音質差はほとんどないことが多いようだ。
つまり、スタンパーのなまり具合によって生じる音質差のほうが大きいということである。

まぁ、WLPと1A/1A盤は微妙な違いなんだけどね。
レイトの1B/1A盤は、聴き比べると、かなりはっきり違うよ。

ってことで、このアルバムが好きな人は、"Produced by Kenny Edwards"クレジットのないUSオリジナルを探してくださいませ。

ちなみに、US盤のリリースからそれほど遅れずリリースされた日本初回盤(解説の脱稿日が1979年9月となっているので、たぶん、1~2か月後かな?)にはすでに"Produced by Kenny Edwards"がクレジットされているので、US盤にクレジットが追加されたのも、それほど時間が経ってからではなく、リリース後わりとすぐだったんじゃないかと思う。
そんなわけで、"Produced by Kenny Edwards"クレジットなしの盤もそんなに珍しくないものの、市場にはクレジットありの盤も多いので、テキトーに買うとレイトを掴むことも多いかもしれないよ。

タグ:Karla Bonoff
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大貫妙子『MIGNONNE』をハイレゾで聴く [Bernie Grundman(BG)の仕事]

クリスマス・イヴなので、TLで教えてもらったクリスマス・アルバム(Jewel, Joy(A Holiday Collection))をApple Musicで聴いて気分を盛り上げたりしていたのだが、夜になって、大貫妙子さんのアルバムをApple Musicで聴こうと思っていたことを思い出した。

12月21日(火)放送のTHE TRAD@TOKYO FMに大貫妙子さんがゲスト出演していて、彼女のRCA時代のアルバム6作品(『MIGNONNE』『ROMANTIQUE』『AVENTURE』『Cliche』『SIGNIFIE』『カイエ』)がバーニー・グランドマン(Bernie Grundman)によってリマスタリングされ、SACDで発売されているということを知ったからだ。

ボクはとくに彼女のファンというわけではないのだが(だから、SACD化の話も知らなかったのだが)、ものすごーく好きな曲というのは何曲かあって、そのひとつが『突然の贈りもの』で、これは『MIGNONNE』に収録されている曲だ。
リマスタリングされた音源がApple Musicで聴けるのなら、そりゃ聴かなきゃいけないでしょ。

検索してみると、SACD化された6作品はすべてハイレゾロスレスで聴けるようになっている。
これは非常にありがたい。
さっそく『MIGNONNE』を聴いてみた。


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いやぁ、素晴らしい!
Apple MusicのハイレゾロスレスはDSD音源ではないので、SACDとは少々音が違うとは思うが、実に良い音である。
オリジナルのアナログが欲しいなーと思っていたのだが、ボクはもうこれでいいや(笑)

     ♪ 置き忘れたもの なにもかも
     ♪ そのままにあるの
     ♪ 幸せでいたなら それでよかった

貸したまま返してもらってないもの、そのままだけど、幸せでいるなら、それでいいや。

さて、イヴの深夜だから、ウィリアムス浩子さんの『MY ROOM for Christmas』を聴こうかな。

タグ:大貫妙子
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