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Eagles, The Long RunのUSオリジナル [STERLINGの仕事]

昨日の記事に書いたように、イーグルス(Eagles)"The Long Run"については、うちのUSオリジナル(Asylum Records 5E-508)の音はしょぼい。

しかし、音はしょぼくても断捨離できない理由がある。
って、その話は後まわしにして、先ずは、音がしょぼい理由である。

もちろん、うちで比較したときの日本盤との歴然とした差の一番の要因は、スタンパーのくたびれ具合だと思うが、US盤の場合にはプレス工場による音の違いもある。
東部か西部か中部かという違いは、まぁ、好みの問題とすることもできないわけではないと思うのだが、このレコードの場合は、それだけでは済まされない事情があるのだ。

このレコードがリリースされた1979年というのは、実は、アサイラムが利用しているプレス工場に大きな変化があった年である。

エレクトラ/アサイラムの親会社にあたるワーナーが1978年に買収した東部のスペシャルティ・レコード(Specialty Records Corporation - SP)については、もともと利用していたプレス工場だったので変化はなかったのだが、翌1979年に買収した西部のアライド・レコード(Allied Record Company - AR)はそれまで利用してこなかったプレス工場である。

アライドを買収する以前については、ワーナーの傘下に入ってからはコロンビアのサンタマリア工場をメインで利用していたし、1976年にPRC(PRC Recording Company)のコンプトン工場(PRC-W)が開設された後はそこをメインで利用していた。

つまり、1979年のエレクトラ/アサイラムのプレスは、東部のSPと中部のPRCは従来通りだったものの、西部についてはARにメイン工場が変更になったのである。
このメイン工場の変更は、このレコードでも、西部のプロモ盤がARで製造されていることからわかる。

もっとも、当初のARはキャパシティが十分ではなかったようで、このレコードについては、PRC-Wプレスの盤が存在するし、モナーク(Monarch Record Mfg. Co.)プレスの盤まで存在する。

で、うちのはモナーク・プレスである。


20230223-01.jpg


レーベル中央左のレコード番号の隣にMONとあるのが、モナーク・プレスだ。

おそらく、この時期のワーナーの西部プレスは、ARではまかないきれない場合にPRC-Wに委託、それでもまかないきれない場合にモナークに委託していたんじゃないかと思う。
もし、そうだとすると、モナーク・プレスは、US盤の中では音質的に最も不利な可能性がある。

って、昔は、こんなこと、まったく気にしなかったんだけどなー
誰のせいだろうなー(笑)

ところで、送り溝のSTERLING刻印だが、US盤は10枚以上ラッカーが切られているようなので、いろいろあるかもしれないが、うちのは両面にSTERLING刻印とTJというサインがある。


20230223-02.jpg


テッド・ジェンセンは、やっぱり10mm刻印(0.5mm刻みのゲージで測ると正確には9.5mm)だ。


さて、最初に書いた「音はしょぼくても断捨離できない理由」の話である。

このレコード、表ジャケットは、グラデーションが入っているとはいえ、バンド名とタイトルだけで、そっけないものなのだが、内ジャケットがすこぶるかっこいい。
その内ジャケットが、日本盤とUS盤では、単なる色味の違いで片付けられないくらい違うんである。


20230223-03.jpg


手前が日本盤で奥がUS盤である。

まぁ、色味の差には違いないのだが、まったく雰囲気が違っていて、どちらも持っていたくなるじゃないか。
やっぱり、断捨離はできないよねぇ。

タグ:Eagles
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Eagles, The Long Runの日本盤 [STERLINGの仕事]

<TLでのやりとりで気づいたことをちょっとだけ加筆しておきました。>(2023年2月23日11:30)
<ラジオデイズレコードさんのツイートを誤読して勘違いしていた部分があったので修正しました。>(2023年2月24日17:30)

今朝、TLで、名古屋のラジオデイズレコードさんが、イーグルス(Eagles)"The Long Run"のUS盤( Asylum Records 5E 508)と日本盤(ワーナー・パイオニア Asylum Records P-10600Y)を比較するツイートをしているのを見かけた。

ラジオデイズレコードさんて、まだ一度も行ったことのないレコード店なのだが、名古屋に行く機会があったらぜひ行ってみたいお店なので一方的にフォローしているのである。

で、"The Long Run"についてだが、要するに、日本盤もUSカッティングで輸入ラッカーを使用しているのでUSオリジナル同様に音が良いし、もっと言えば、日本盤の方が各楽器の音にやや深みがある気がして好みだという。
それで、どうして、こういう音の違いが起こるのかを考察していた。

このブログでも、これまで何度か書いてきたが、輸入ラッカーや輸入マザーを使用した日本盤は、オリジナルの本国盤より音が良いことが多い。
ビニールの材質が高品質だったり、メッキ処理(これ、TLでノイさんに指摘されて気づいたのだが、けっこう大きな要因かもしれない)やプレスが丁寧だったりする(さらに、一枚のスタンパーからプレスする枚数も品質管理上日本盤の方が少ないんじゃないかという推測もしている。)からだと思う。

ってことで、今宵は、"The Long Run"の日本盤を聴いていた。


20230222-01.jpg


"The Long Run"については、うちにあるUSオリジナルと日本盤では、もう歴然と、日本盤の圧勝である。
タイトに締まって小気味よく鳴る。
US盤の方は、低域がふくらんでいるのが影響してか、全体的に音がぼやけ気味だ。

もっとも、たまたまうちのUSオリジナルが、くたびれたスタンパーでプレスされたショボい音の盤の可能性もあるので、日本盤の方が音が良いと断定するつもりはない。
日本盤と同等のUSオリジナルもたくさん存在するかもしれないし、あるいは日本盤より良い音のUSオリジナルも存在するかもしれないと思う。
ただ、平均的には日本盤の方が音が良い気はする。

日本には、マトLとマト2Lの二組のラッカーが送られてきたようだ。
だから、組み合わせ的には、マトL/L、マトL/2L、マト2L/L、マト2L/2Lの盤が存在するはずである。

ラジオデイズレコードさんが載せていた盤のSide 1にはSTERLING刻印がないということだったが、うちのマトL/2Lには両面にSTERLING刻印があるし、Discogsに登録されているマトL/Lの盤も両面にSTERLING刻印があるようなので、どうやらSide 1のマト2LだけSTERLING刻印がないようだ。 単に刻印し忘れただけの気がするなぁ。
<ラジオデイズレコードさんのツイートを誤読していました。日本盤は、マトLもマト2Lも、両面にSTERLING刻印があります。この誤読の背景には、私の先入観がありました。どうしてそんな先入観が生じたかというと、そこにはとあるレコードの送り溝に関する考察が絡んでくるのですが、その話は、またそのうちに。>

カッティングは、STERLINGのテッド・ジェンセン(Ted Jensen)だが、うちの盤のSide 1のSTERLING刻印には、TJというサインがない。


20230222-02.jpg


しかし、10mm刻印(0.5mm刻みのゲージで測ると正確には9.5mmだが)だし、テッド・ジェンセンの刻印で間違いないだろう。

隣に刻印されているのは東芝EMIのPMだが、これはひっくり返して読む。


20230222-03.jpg


9-9である。
1979年9月プレスということは、"The Long Run"の日本盤発売日は1979年10月6日だから、発売日前月プレスだ。
マザー/スタンパーもL-A-12/2L-A-12と比較的若い。

Side 2の方のSTERLING刻印には、TJのサインがある。


20230222-04.jpg


テッド・ジェンセンは10mm刻印で間違いなさそうだ。


STERLING刻印のバリエーションについては、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-09-03 をどうぞ。
盤にゲージをあてるときには、キズをつけないように、くれぐれもご注意ください(一度失敗しました 涙)。

タグ:Eagles
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Television, Marquee MoonのUSオリジナル [STERLINGの仕事]

全豪オープンは、昨日の女子シングルス決勝に続いて、今日の女子ダブルス決勝でも、ボクの応援している選手&ペアは敗退で、準優勝に終わった。
実に残念なのである。
まぁ、でも、ルバキナ選手にしても、青山=柴原ペアにしても、今年は、大いに活躍が期待できそうだよね。


さて、では、テレヴィジョン(Television)"Marquee Moon"のUSオリジナル(Elektra 7E-1098)の送り溝の話である。
これについては、このブログ的に、どうしても書いておかなければならないことがある。

このレコード、東部ではスペシャルティ・レコード(Specialty Records Corporation)プレスでマトは末尾無し(A SP RE/B SP RE)、西部ではコロンビアのサンタマリア工場プレスでマトは1か2(DiscogsにA-1 CSM RE/B-2 CSM REとA-2 CSM RE/B-1 CSM REが登録されているので、A-1 CSM RE/B-1 CSM REも存在するかもしれない。)、中部ではPRC(PRC Recording Company)プレスでマトは3(A-3 PRC RE/B-3 PRC RE)、でもって、うちのWLPは西部サンタマリア工場プレスのマトA-2 CSM RE/B-1 CSM REなのだが、それは大したことではない。

いや、確か、紙ジャケ探検隊が、「プレス工場で音が違うことを思い知らされたのがテレヴィジョンのUS盤だった」と言っていたので(でも、セカンドの"Adventure"の方だっけ?)、大したことかもしれないが、このブログ的には、もっと重要なことがあるのだ。

それは、これである。


20230129-02.jpg


STERLING刻印が7mm刻印なんである。

このレコード、裏ジャケットに明記されているようにグレッグ・カルビ(Greg Calbi)によるカッティングなのだが、カルビなら10mm刻印のはずなのに、7mm刻印なのだ。
(詳しくは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-09-03 をどうぞ。)
これは前の記事を修正する必要がある事実なのだろうか?

結論から言えば、さしあたり、前の記事を修正する必要はないと思う。

7mm刻印は、ボブ・ラディック(Bob Ludwig)が使用していた刻印である。
ラディックは、1976年にはSTERLINGを後にしてMASTERDISKに移籍していた。
"Marquee Moon"のリリースは1977年2月8日だから、カッティングは1976年末だと思われ、そのときには、すでにSTERLINGにはいなかったはずだ。

一方、カルビは、ラディックと入れ替わりで、1976年にSTERLINGに移ってきたばかりだった。

もうお分かりだろう。
おそらく、移籍してきたばかりのカルビは、さしあたりラディックが使用していた7mm刻印を使用していた(こともあった)のだ。
それだけのことなんだと思う。

まぁ、でも、まだ確実なことは言えないので、今後も、STERLING刻印を見つけるたびにゲージをあてる調査の旅は続くのである。

タグ:television
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Cheap Trick, In ColorのUSオリジナル [STERLINGの仕事]

昨日12月22日は、チープ・トリック(Cheap Trick)のギタリスト、リック・ニールセン(Rick Nielsen)の誕生日だったのだが、ザ・クラッシュ(The Clash)を聴いていて、チープ・トリックを聴く時間がなかったので、今日、このレコードを引っ張り出した。


20221223-01.jpg


1977年9月にリリースされたセカンド・アルバム"In Color"のUSオリジナル(Epic PE 34884)である。
日本盤タイトルは『蒼ざめたハイウエイ』だった。

おっと、リックの誕生日なんだから、ジャケットは、こっちを写さないとダメよね。


20221223-02.jpg


このアルバムのタイトルって、"In Color"で通ってるけど、"Cheap Trick. In Color. And In Black and White."が正式なタイトルなんだろうな。

ロビン(Robin Zander)とトム(Tom Petersson)のイケメン・コンビに、リックとバン(Bun E. Carlos)のお茶目なコンビの組み合わせって、ルックス的にも絶妙だよね(笑)

     ♪ I want you to want me
     ♪ I need you to need me
     ♪ I'd love you to love me

切実に真剣に焦がれていた頃を思い出すなぁ・・・
彼女、どうしてるだろう?

USオリジナルは、裏ジャケットに明記されているように、STERLINGのジョージ・マリノ(George Marino)がマスタリングを行なっている。

ってことで、お約束のチェックである。


20221223-03.jpg


ジョージ・マリノは5mm刻印。
間違いない。

詳しくは、下記記事をどうぞ~

https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-09-03

タグ:Cheap Trick
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Christine McVie, Christine McVieのUSオリジナル~Ted Jensenの6mm刻印 [STERLINGの仕事]

ボクは、今夜も、クリスティン姐さん(Christine McVie)の追悼である。

今宵は、1984年リリースのセカンド・ソロ・アルバムを聴くとしよう。


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個人的には、ファースト・ソロ・アルバムより、こっちの方が好きなんである。

シングル・ヒットした"Got a Hold On Me"(ビルボードのHot 100チャートで10位、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは1位を記録)は言わずもがなだが、シングル・カットされたもう一曲の"Love Will Show Us How"も佳曲だし、エリック・クラプトン(Eric Clapton)のリード・ギターが聴ける"The Challenge"も自ずと身体がスイングしてしまう。
ラストを飾るバラード"The Smile I Live For"は名曲だと思う。
他の曲も佳曲揃いだ。

ジャケットも素敵だよねぇ。

しかも、STERLINGのテッド・ジェンセン(Ted Jensen)がカッティングしていて、音もすこぶる良いんである。

このSTERLINGのテッド・ジェンセン・カッティングということに関連して、このブログ的には、どうしても報告しておかないといけないことがある。

なんと、テッド・ジェンセンにもかかわらず、6mm刻印なんである。


20221202-02.jpg


インナースリーブにクレジットがあるというだけでなく、刻印の隣にTJのサインがあるので、テッド・ジェンセンのカッティングであることは間違いない。

6mm刻印は、リー・ハルコ(Lee Hulko)だけだと思ってたのだが・・・
いまのところ、まだ一枚しか見つけてないので、テッド・ジェンセンの6mm刻印は、自分の刻印の紛失や破損で急遽リー・ハルコの刻印を借りた可能性も否定できないような気がしている。
ってことで、今後も、STERLING刻印の調査は続いていくのである。

タグ:Christine McVie
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