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SONNY ROLLINS, ALFIEのUSオリジナル [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

すっかり忘れていたが、思い出したので、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)”ALFIE”のUSオリジナルについて書いておくとしよう。

1966年にリリースされたこのアルバム(モノラルはA-9111、ステレオはAS-9111)、内容も素晴らしいが、音質も素晴らしい。
カッティングは、当然ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)だが、当時のImpulse!の数多あるヴァン・ゲルダー録音の中でも屈指の優秀録音じゃないだろうか。
USオリジナルも高くないので、是非手に入れて聴いてほしい一枚である。
ヴァン・ゲルダーにしてはステレオも素晴らしいので、モノラルにこだわる必要もない。

で、このUSオリジナル・ファースト・プレスについて何が書きたかったかというと、少なくとも日本では定説のように言われている「赤顔がオリジナル・ジャケット」というのは、果たして本当なのか、ということである。

「赤顔」というのは、表ジャケットのタイトル”ALFiE”の”i”の上の点になっているマイケル・ケイン(Michael Caine)の顔写真が赤く塗りつぶされているものを言う。
これが塗りつぶされていないものを「白顔」という。


20190212-1.jpg


ボクは「赤顔」のジャケットは持っていないのだが、何故かというと、どうにも所有欲がわかないからである。
それにボクは「赤顔がオリジナル・ジャケット」説に大いに疑問を持っている。

そもそも赤顔ジャケットは、デザインとして破綻しているとしか思えない。

表ジャケットのタイトルは”ALFiE”となっていて、”i”以外は大文字である。
その赤い文字の中に女優たちの顔が描かれ、それは赤く塗りつぶされているが、この女優たちの顔はイラストもしくは写真をイラスト風に加工したものであるのに対して、マイケル・ケインの顔は写真そのままだ。

どう考えても、マイケル・ケインの顔を赤く塗りつぶすことは、デザイン的にありえない。
この赤顔は、ミスによって生じたエラー・ジャケットにしか思えないのである。
ってことで、ボクは、この赤顔を「オリジナル・ジャケット」とはどうしても呼びたくない。

さて、エラー・ジャケットだとすると、「ファースト・プレスはエラー・ジャケットだった」ということは、よくある話だ。
では、この”ALFIE”もそうなのだろうか。
ボクは違うんじゃないかと思っている。

第一に、Discogsを見てもそんなことはどこにも書いていない。
まぁ、Discogsの場合は、書いてあったとしても俄かに信用できないのではあるが(笑)、逆に、書いてないということは、少なくとも、世界的には赤顔がファースト・プレスというのが定説ではないということだと思う。

第二に、ボクの持っているモノラル盤は、ホワイト・レーベルのプロモ盤なのだが、そのジャケットは赤顔ではなく、白顔である。
ちなみに、Discogsに出ているWLPのジャケットも白顔である。


20190212-2.jpg


もちろん、西海岸か東海岸か中部かわからないが、ミスから生じたエラー・ジャケットがそのまま使用された可能性、したがって、ファースト・プレスの一部に赤顔があった可能性はある。
しかし、すべてのファースト・プレスが赤顔だったとは、どうしても思えない。

それから、これは先日Discogsを見ていて気づいたのだが、キャピトル・レコ―ド・クラブ盤(ステレオはSMAS-91026、モノラルはMAS-91026)のジャケットが赤顔なのである。
そこで、ふと思ったのが、赤顔ジャケットは、このクラブ盤の発注にからんで生まれたエラー・ジャケットなんじゃないかということだ。
もしそうだとしたら、赤顔ジャケットは、ファースト・プレスでもなんでもないことになる。

真相は不明なので、もし「赤顔がオリジナル・ジャケット」説の根拠を御存じの方がいらしたら、ぜひ教えてくださいな。


レーベルによるオリジナルの判定については、下記の記事をご覧ください。

https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-01-14

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The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2 [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

さて、お待ちかねの1506番である(誰も待ってないってばさ 笑)。

ボクの持っている1506番はなかなかに悩ましい。

まずはレーベルを見てみよう。


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レーベルはもちろん青白で、住所表記は両面とも"767 Lexington Ave NYC"だ。
これでいいはずである。

しかーし、何かが足りないっ!
そう、DG(Deep Groove)がないのである。
しかも、片面だけではなく、両面にないのである。

気を取り直して、ジャケットのほうを見てみよう。


20160913-3.jpg


裏ジャケの住所だって"767 Lexington Ave., New York 21"だ。
ちょっとシミがあるけど、綺麗なもんじゃないか。
ん?
でも、なんかこの時期のジャケットで使われてた紙とは紙質が違うなぁ。


20160913-4.jpg


ほーら、やっぱり、額縁ジャケじゃない。
っていうか、額縁ジャケの頃と比べると、かなり薄くて軽い。


それでもRunoutを見れば、Matrixはオリジナル盤と同じだと思う(ピリオドはあるけどね)。
写真はSide1だけだが、Side 2のRunoutも同じだ。


20160913-6.jpg


手書きRVG刻印だってある(ちなみに写真には撮ってないが9M刻印だってある)。
これまた写真はSide1だけだが、Side2も同じだ。


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しかーし、何かが足りないっ!
そう、耳マーク(イヤーマーク)がないのである。
片面のみならず、両面にない。
(ちなみにフラットエッジでもない。グルーブガードがしっかりある。)

ってことは、この盤は、プラスティライト社(Plastylite)によるプレスではない。

「当時のブルーノートは2社でプレスしていたようだ」という話も聞いたことがあるが、その根拠はよくわからない。
うちの1506番のようなレコードの存在が根拠だとしたら、かなり怪しい。

というのも、ブルーノートがプラスティライト社にプレスを依頼していたのはリバティ傘下に入る1966年までだからである(大手レコード会社の傘下に入ったんだから、以後はそこのプレス工場が使われたんだろう)。
うちの1506番のようなレコードが1966年以降にプレスされたものだとしたら、当然のことながら、「リバティ傘下に入る前の段階でブルーノートが2社でプレスしていた」ことの根拠にはならない。

いや、でも、リバティ傘下に入ったあとの再発なら、レーベルは"A DIVISION OF LIBERTY RECORDS, INC."と表記されているはずで、"767 Lexington Ave NYC"という住所表記が使われるはずがない、と思われるかもしれない。

あるいは、裏ジャケの住所が"767 Lexington Ave., New York 21"だってのも説明がつかないじゃないかと、思われるかもしれない(当時のブルーノートのオフィスは西61丁目(43 WEST 61st St., New York 23)である)。

しかし、そうとも言いきれないと思うのである。

小川隆夫『ブルーノートの真実』535頁によれば、リバティと契約する際にアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が出した条件は「ブルーノートのカタログをそのまま引き続き発売していく」ということだった。

周知のように、リバティ傘下に入ったあと、ブルーノートの過去のカタログは最終的には"A DIVISION OF LIBERTY RECORDS, INC."表記のレーベルで再発されることになるが、最初からそうだったとは限らない。

ブルーノートがリバティの傘下に入った直後、「ブルーノートのカタログをそのまま引き続き発売していく」約束をしていたリバティは、レーベルもジャケットも、ブルーノートに保存されていたものをそのまま使って再発したんじゃないか。

保存されているジャケットの版下やレーベルは、Lexingtonの時代からずっと廃盤だったようなレコードの場合、当然Lexingtonのままだ。

1966年の夏が始まるころ、"767 Lexington Ave NYC"という住所表記が入ったレーベルのレコードがプレスされ、カタログ請求先が"767 Lexington Ave., New York 21"と表記されたジャケットに入れられて出荷されたということも、十分にありうることだとボクは思うのだ。

うちの1506番に付属していたのがこのCSだったというのも、一つの状況証拠にはなるだろう。
1966年のブルーノート27周年CSである。


20160913-7.jpg


中古盤だからどこかで誰かが入れたってことももちろんありうるが、ボクは、このCSが最初から付属していたんだと思うのだ。

ジャケットの紙質やヴィニールの材質からしても、うちの1506番はリバティ再発初期のもんだと思うのである。

もっとも、仮にボクの仮説が正しくて、うちの1506番がその実体はリバティ盤だったとしても、あくまでそんな盤もあるということであって、耳マークのないブルーノート盤がすべてリバティ盤かどうかはわからない。

前にも書いたように、「当時のブルーノートは2社でプレスしていたようだ」という話も聞いたことがある。
そうだとしたら、プラスティライト社プレスではないオリジナル盤も存在するのかもしれない。

たまたま、うちの1506番はそういう盤ではなさそうだ、というだけの話である。

とはいえ、うちの1506番みたいな盤も存在するわけで、オリジナル盤と間違えて高い買い物をしないように、それだけは注意しないといけない(ちなみにボクは、15年くらい前に、レコードショップでリバティ盤価格で購入しました)。


さて、うちの1506番の音質のほうだが、やっぱりリバティ再発盤の音である(笑)
若干なまっている感は否めないものの、RVGカッティングを十分に堪能できる音だ。
ボク的には許容範囲である。

このレコードにおさめられているのは、1955年のセッション(J.J.ジョンソン(tb)、ハンク・モブレー(Hank Mobley)(ts)、ホレス・シルヴァー(Horace Silver)(p)、ポール・チェンバース(Paul Chambers)(b)、ケニー・クラーク(Kenny Clarke )(ds)のクインテット)からの6曲に、1953年のセッションからの3曲と、1954年のセッションからの1曲を加えた10曲だ。

両面にそれぞれ2曲づつ珠玉のバラード演奏がおさめられているのもバラード好きとしてはうれしい限りだし、1953年録音からの別テイク2曲もブラウニー・ファンとしては感涙なのだが、このレコードの中で一番好きなのは、実はSide 2の1曲目”Groovin'"だったりする。

それぞれのソロもリラックスした感じでいいのだが、テーマ部分でのジョンソンとモブレーの掛け合いとか、ユニゾン部分でからんでくるシルバーとか、まさにGroovin'て感じで大好きなんである。

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The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1 [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

CDでさえ未入手だった1505番は、さしあたりRVGリマスターの紙ジャケを買ってみた。


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1505番の"The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1"と1506番の"The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2"は、1953年リリースの"Jay Jay Johnson Sextet"(BLP 5028)、1954年リリースの"The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2"(BLP 5057)、1955年リリースの"The Eminent Jay Jay Johnson Volume 3"(BLP 5070)という3枚の10インチLP(各盤とも6曲収録)に収録された演奏に、2曲の別テイク(5曲)を合わせた計20曲を、2枚の12インチLPに再構成したものだ。

1953年の録音はNYCのWORスタジオでダグ・ホーキンス(Doug Hawkins)によるものだが、1954年と1955年の録音はハッケンサックでのRVG録音である。

完全に自分用の覚書だが(笑)、10インチLPと12インチLPの曲構成をメモしておこう。

Jay Jay Johnson Sextet(BLP 5028)―1953年
 A1 Get Happy
 A2 Lover Man
 A3 Capri
 B1 Sketch 1
 B2 Turnpike
 B3 It Could Happen To You

The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2(BLP 5057)―1954年
 A1 Jay
 A2 Time After Time
 A3 Old Devil Moon
 B1 Too Marvelous For Words
 B2 It's You Or No One
 B3 Coffee Pot

The Eminent Jay Jay Johnson Volume 3(BLP 5070)―1955年
 A1 Daylie Double
 A2 You're Mine You
 A3 Pennies From Heaven
 B1 Groovin'
 B2 Viscosity
 B3 Portrait Of Jennie

The Eminent Jay Jay Johnson Volume 1(BLP 1505)
 A1 Turnpike
 A2 Lover Man
 A3 Get Happy
 A4 Sketch 1
 A5 Capri
 B1 Jay
 B2 Old Devil Moon
 B3 It's You Or No One
 B4 Too Marvelous For Words
 B5 Coffee Pot

The Eminent Jay Jay Johnson Volume 2(BLP 1506)
 A1 "Daylie" Double
 A2 Pennies From Heaven
 A3 You're Mine You
 A4 Turnpike(別テイク)
 A5 It Could Happen To You
 B1 Groovin'
 B2 Portrait Of Jennie
 B3 Viscosity
 B4 Time After Time
 B5 Capri(別テイク)

これを見てわかるように、1505番は、1953年の一枚目からの5曲をSide1に、1954年の二枚目からの5曲をSide2に配置して、曲順を若干変更したものだが、繰り返し聴いていると、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の意図がなんとなくわかる気もする。
CDになって、Side1とSide2が連続再生になっているのは、こと1505番についてはちょっと違う気がする。
ってことで、とりあえず5曲目が終わったところで一旦停止する(笑)

Side1に収められた1953年のセクステットは、トロンボーンのJ.J.ジョンソンに、トランペットのクリフォード・ブラウン(Clifford Brown)、テナー&バリトンのジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ピアノのジョン・ルイス(John Lewis)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムのケニー・クラーク(Kenny Clarke)が加わったもの。

クリフォード・ブラウンのトランペットにはすでに抵抗できない身体になっているので、まずは彼のソロに耳を奪われてしまうのだが、J.J.のソロも負けず劣らず素晴らしい。
音色的には確かにトロンボーンなのに、ホントにトロンボーンなの?って思ってしまうくらいの超絶技巧である。
バラードの表現力だって、並外れたものがある。

とはいえ、J.J.のトロンボーンをとことん味わうなら、Side2に収められた1954年の演奏である。
ピアノのウィントン・ケリー(Wynton Kelly)、ベースのチャールス・ミンガス(Charlie Mingus)、コンガのサブー(Sabu)、ドラムのケニー・クラークとのワンホーン・クインテットだからね。
コンガがまた良い味を出してるんだな。

うーん、やっぱり、RVGカッティングのアナログで聴いてみたいなぁ・・・
オリジナル・ファーストプレスじゃなくても、手持ちの1506番と同じようなやつでいいから。

えっ?
手持ちの1506番てどんなやつかって?
それは、また次の機会に(笑)

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The Amazing Bud Powell Volume 2 [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

さて、1504番"The Amazing Bud Powell Volume 2"である。
前回の記事でも紹介した通り、このアルバムは、1953年のセッションからの8曲に、1949年のセッションから2曲と1951年のセッションから2曲の、計12曲で構成されている。

1953年のセッションはベースのジョージ・デュヴィヴィエ(George Duvivier)とドラムのアート・テイラー(Art Taylor)とのトリオ録音、1949年のセッションはクインテット編成でも録音されているがそれは1503番のほうに使われ、1504番に収録された2曲はベースのトミー・ポッター(Tommy Potter)とドラムのロイ・ヘインズ(Roy Haynes)とのトリオ録音、1951年のセッションにはマックス・ローチ(Max Roach)とカーリー・ラッセル(Curly Russell)も参加しているが、1504番に収録された2曲はピアノ・ソロで演奏されたものだ(だからフロント・カバーにもこの二人の名前はない)。

つまり、1953年のピアノ・トリオ録音に、1949年のピアノ・トリオ録音と1951年のピアノ・ソロ録音が加えられた構成であり、パウエルのピアノをとことん味わってもらおうというアルバムなのである。

ってことで、とことんパウエルのピアノを味わうのであーる。

これまであんまり意識したことはなかったが、あらためて何回か繰り返し聴いていて気づいたことがある。
1953年録音の8曲も決して悪くはない(っていうか、これまで2曲目のAutumn In New Yorkが一番好きだったんだけどね)が、1949年録音と1951年録音の4曲が、やっぱりなんだかすごいな・・・

おっと、手持ちのオリジナル盤を紹介しておかなきゃね。

まずはジャケットから。


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ラミネート・コーティングなしの額縁ジャケである。

「おいっ!間違えてるぞっ!それは1503番のジャケだろっ!」っと突っ込みをいれたPCの前の貴方。
貴方は正しいっ!

でも、間違えたのはボクではないのである。
ボクの手元に来たときにはこのジャケだったのである。
george duvivier-tommy potter-arthur taylor-roy haynesと青文字で書かれた1504番のジャケットではなかったのである(シクシク)。

って、もともと知ってて買ったんだけどね(笑)
(そのぶん安かったのです。)

ってことで、うちにはおんなじジャケが二枚ある(笑)


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どちらも、ラミネート・コーティングなしの額縁ジャケだ。


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裏ジャケの住所だってどちらも"767 Lexington Ave., New York 21"だ。
(ところどころ掠れて消えかかってるのも同じくらいだσ^_^;)

ってことで、誰か、1503番のレコードが入った1504番のジャケを持ってる人、交換しませんか?(笑)
(世界のどこかに入れ替わった片割れがいるはずだー)


気を取り直して、レコードのほうを見てみよう。


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レーベルはもちろん青白で、住所表記は両面とも"767 Lexington Ave NYC"である。
DG(Deep Groove)も両面にある。
もちろんフラットエッジだ。

ちなみに、こちらは、洗浄中の失敗もないので、滲んでいない(笑)

RVG刻印とか耳マークとかの写真は、マクロレンズを使わないといけないし、面倒だから省略しようと思ったのだが、9M刻印がRVG刻印と並んでいたので撮ってみた。


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写真はSide1のRunoutだが、Side2も同じような位置に刻印してある。

そして・・・


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またもやピリオド付である(シクシク)
でも、ホントに、このピリオドついてるとセカンド・プレスなのかなぁ?
誰か正解を教えてください。

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The Amazing Bud Powell Volume 1 [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

RVG追悼をきっかけに始めたブルーノート1500番台と4000番台の旅、もう一歩くらいは進めておこう。
(昨日書き始めたのに今日までかかってしまったし、このシリーズは時間的に余裕があるときにボチボチ進めることにします。自分用の覚書みたいなもんだしね 笑)

1503番"The Amazing Bud Powell Volume 1"と1504番"The Amazing Bud Powell Volume 2"は、10インチLPとして1951年にリリースされた"The Amazing Bud Powell"(BLP 5003)の収録曲(8曲)と1954年にリリースされた"The Amazing Bud Powell Volume 2"(BLP 5041)の収録曲(8曲)にそれぞれの別テイク(5曲)と未収録曲(3曲)を合わせた計24曲を、2枚の12インチLPに再構成したものだ。

BLP 5003は1949年8月9日録音の4曲と1951年5月1日録音の4曲で構成されたもので、BLP 5041は1953年8月14日録音の8曲で構成されたものだったが、基本的には1503番はBLP 5003を、1504番はBLP 5041をベースにしているものの、単純にそれぞれの別テイクや未収録曲を追加したわけではなく、若干の組み替えを含めた再構成がなされている。

完全に自分用の覚書だが(笑)、10インチLPと12インチLPの曲構成をメモしておこう。


The Amazing Bud Powell(BLP 5003)―1951年
 A1 Un Poco Loco―1951年録音
 A2 Over The Rainbow―1951年録音
 A3 Ornithology―1949年録音
 A4 Wail―1949年録音
 B1 A Night In Tunisia―1951年録音
 B2 It Could Happen To You―1951年録音
 B3 You Go To My Head―1949年録音
 B4 Bouncing With Bud―1949年録音

The Amazing Bud Powell Volume 2(BLP 5041)―1954年
 A1 Reets And I
 A2 Autumn In New York
 A3 I Want To Be Happy
 A4 Sure Thing
 B1 Glass Enclosure
 B2 Collard Greens And Black Eyed Peas
 B3 Polka Dots And Moonbeams
 B4 Audrey

The Amazing Bud Powell Volume 1―1955年
 A1 Un Poco Loco(1stテイク)―1951年録音
 A2 Un Poco Loco(2ndテイク)―1951年録音
 A3 Un Poco Loco―1951年録音
 A4 Dance Of The Infidels(1949年録音―10インチ未収録)
 A5 52nd St. Theme(1949年録音―10インチ未収録)
 A6 It Could Happen To You(別テイク)―1951年録音
 B1 A Night In Tunisia(別テイク)―1951年録音
 B2 A Night In Tunisia―1951年録音
 B3 Wail―1949年録音
 B4 Ornithology―1949年録音
 B5 Bouncing With Bud―1949年録音
 B6 Parisian Thoroughfare(1951年録音―10インチ未収録)

The Amazing Bud Powell Volume 2―1955年
 A1 Reets And I
 A2 Autumn In New York
 A3 I Want To Be Happy
 A4 It Could Happen To You―1951年録音
 A5 Sure Thing
 A6 Polka Dots And Moonbeams
 B1 Glass Enclosure
 B2 Collard Greens And Black Eyed Peas
 B3 Over The Rainbow―1951年録音
 B4 Audrey
 B5 You Go To My Head―1949年録音
 B6 Ornithology(別テイク)―1949年録音
(表記がないのは1953年録音)

RVGリマスター(2001年)のCDは、さらに別テイク11曲が加わった計35曲が2枚のCDにおさめられており、1949年録音と1951年録音の分がVolume 1(20曲)に、1953年録音の分がVolume 2(15曲)に収録されている。
だから、1503番や1504番として聴こうと思うとリッピングして組み替えないといけないが、ボクはその必要がない。
そう、アナログを持っているからである。

しかもオリジナル盤である(エッヘン)。
(自慢なんて見苦しいけど、けっこうがんばって手に入れたので許してね 笑)

ちなみに、何故このアルバムについてはがんばってオリジナル盤を手に入れたかというと、マックス・ローチ(Max Roach)が1951年のセッションでドラムを叩いているからだ。
ボクは彼のドラムが大好きで、彼がかかわっているレコードについてはオリジナル盤で集めることにしているのである。

ってことで、ここからは1503番のオリジナル盤判定の話になる。

まずはジャケット。


20160829-1.jpg


ラミネート・コーティングなしの額縁ジャケである。


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裏ジャケの住所は"767 Lexington Ave., New York 21"だ。
(ところどころ掠れて消えかかってるけどσ^_^;)


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20160829-4.jpg


レーベルはもちろん青白で、住所表記は両面とも"767 Lexington Ave NYC"である。
DG(Deep Groove)も両面にある。

Side1の青が若干滲んでいるのは、洗浄中に少し濡れたためで、ブルーノートはこういうところにも気を付けないといけない(水溶性のインクなんて使わないでよ・・・)。
ボクの場合、レコードの洗浄に超音波洗浄機を利用しているのでちょっとしたミスでレーベルを濡らしてしまうのだが、最近、洗浄中にレーベルを保護できる器具を手に入れたので、失敗はなくなった。

盤の特徴としてはフラットエッジだが、これは写真に撮りにくい(写真を撮ってるときに落としそうで・・・)のでご容赦いただこう。


20160829-5.jpg
20160829-6.jpg


Runoutには、両面に手書きRVGの刻印と耳マーク(イヤーマーク)がある。
ちなみに、耳のように見えるので耳マークと言われるが、耳のように見えるのは実は筆記体のPで、プラスティライト社(Plastylite)(ブルーノートが1966年までプレスを依頼していた会社)によるプレスであることを示す。

9Mの手書き刻印もあるが、これはRVGカッティングのスタンパーを利用したリバティとかUAでのリイシュー盤にも見られるので、オリジナル盤判定の役には立たない。
ちなみに、LondonJazzCollectorというHPのこちらのページによると、この9M刻印、プラスティライト社がレーベル識別のために刻印したものらしい。プレスティッジ(PRESTIGE)は7E、ダイヤル(DIAL)は3R、デビュー(DEBUT)は19Hだったという。

同じプラスティライト社が刻印したものでも、耳マークはリイシューでは消えていて、9Mは残っているというのがおもしろい。
おそらく、9Mはラッカーもしくはマザーに刻印されたのに対して、耳マークは個々のスタンパーに刻印されたんだろう。
いずれにせよ、9Mについては、オリジナル判定には関係なさそうだ。

ということで、ボクの所有する盤もオリジナル盤と判定できるのだが、これがファーストプレスかというとちょっと微妙である。

いろいろ調べていたら、Matrix末尾にピリオドがないのがファーストプレスだという情報を見つけたのだ。
確かに、手持ちのブルーノート・オリジナル盤で(ついでにRVG刻印入りリイシュー盤も含めて)確認してみると、Matrix末尾にピリオドがあるものとないものがある。さらには、ピリオドが3つくらい並んでいるものもあった。
根拠があまり明白ではないので未確認情報だが、ピリオドがないのがファーストプレスという可能性は確かに高い気はする。


20160829-7.jpg


そうだとすると、ボクのはセカンド・プレスである(シクシク)。
研究が進むと不幸になるなぁ・・・

とはいえ、1950年代のジャズのレコードなんて、そもそも大量生産品じゃないから、現存するファーストプレス盤の数なんてごく少数だろう。
ファーストプレスにこだわると、身動きがとれなくなりそうだ。

そう考えて、10数年前まで熱心にオリジナル盤集めをしていたときも、大量生産以前のジャズのレコードについては、ファーストプレスにこだわるのはやめようと思っていたんだった。
ハンパなコレクターだから、それでいいのである(笑)

では、セカンドプレスかもしれないオリジナル盤(シクシク)で、1503番を聴いてみよう。

なんといってもSide 1冒頭の"Un Poco Loco"3連発が圧倒的である。

マックス・ローチが最初に自然に叩いたわかりやすいリズムは、おそらくバド・パウエルがイメージしたものとは違っていた。演奏は途中で終ってしまい、ドラムソロから最後のテーマにいたる展開にまでたどりつかない(1stテイク)。

「こんな感じでやってくれ。」とパウエルが指示したのかどうかわからないが、リズムがかわる。しかし、どうにも落ち着かないリズムだ。微妙にずれている気もする。それでもなんとか最後までたどりつく(2ndテイク)。

しかし、そこはマックス・ローチである。パウエルの意図をしっかりと読み取る。
「バド、おまえのやりたいことはわかったぜ。もう一度やってみようか。」なんてローチが言ったかどうかわからないが、奇妙なリズムが絶妙にはまる。
「それよ、それ。のってきたぜ。」と、パウエルの繰り出すソロは、信じられないような輝きを放ってきらめく(完成テイク)。

ドラムソロに続く最後のテーマがピタッと決まって曲が終わった瞬間、誰もが叫ぶだろう。

「アメイジング!」

確かに、完成テイクだけでも十分アメイジングではあるが、こうやって3連発で並べられたときの感銘力は凄いのである。


ところで、あらためてオリジナルのアナログ盤で聴いていて気づいたことがある。

前の記事では、「1954年録音になると、ハッケンサックでRVG録音だから、正真正銘ブルーノートの音になる。」なんて書いていたが、CDで聴く限り、所詮CDの音である。RVGリマスターだって、そこはやっぱり超えられない。

オリジナルのアナログ盤で聴くと、RVGがリマスターしているとはいえ1949年のセッションも1951年のセッションも(ついでに言えば1953年のセッションも)NYCのWORスタジオでダグ・ホーキンス(Doug Hawkins)による録音なのに、RVG録音&リマスターのCDよりずっと「ブルーノートの音」なのである。

やっぱり、ボクにとっての「ブルーノートの音」って、アナログの音なのだよなぁ・・・

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