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SONNY ROLLINS, ALFIEのUSオリジナル [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

すっかり忘れていたが、思い出したので、ソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)”ALFIE”のUSオリジナルについて書いておくとしよう。

1966年にリリースされたこのアルバム(モノラルはA-9111、ステレオはAS-9111)、内容も素晴らしいが、音質も素晴らしい。
カッティングは、当然ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)だが、当時のImpulse!の数多あるヴァン・ゲルダー録音の中でも屈指の優秀録音じゃないだろうか。
USオリジナルも高くないので、是非手に入れて聴いてほしい一枚である。
ヴァン・ゲルダーにしてはステレオも素晴らしいので、モノラルにこだわる必要もない。

で、このUSオリジナル・ファースト・プレスについて何が書きたかったかというと、少なくとも日本では定説のように言われている「赤顔がオリジナル・ジャケット」というのは、果たして本当なのか、ということである。

「赤顔」というのは、表ジャケットのタイトル”ALFiE”の”i”の上の点になっているマイケル・ケイン(Michael Caine)の顔写真が赤く塗りつぶされているものを言う。
これが塗りつぶされていないものを「白顔」という。


20190212-1.jpg


ボクは「赤顔」のジャケットは持っていないのだが、何故かというと、どうにも所有欲がわかないからである。
それにボクは「赤顔がオリジナル・ジャケット」説に大いに疑問を持っている。

そもそも赤顔ジャケットは、デザインとして破綻しているとしか思えない。

表ジャケットのタイトルは”ALFiE”となっていて、”i”以外は大文字である。
その赤い文字の中に女優たちの顔が描かれ、それは赤く塗りつぶされているが、この女優たちの顔はイラストもしくは写真をイラスト風に加工したものであるのに対して、マイケル・ケインの顔は写真そのままだ。

どう考えても、マイケル・ケインの顔を赤く塗りつぶすことは、デザイン的にありえない。
この赤顔は、ミスによって生じたエラー・ジャケットにしか思えないのである。
ってことで、ボクは、この赤顔を「オリジナル・ジャケット」とはどうしても呼びたくない。

さて、エラー・ジャケットだとすると、「ファースト・プレスはエラー・ジャケットだった」ということは、よくある話だ。
では、この”ALFIE”もそうなのだろうか。
ボクは違うんじゃないかと思っている。

第一に、Discogsを見てもそんなことはどこにも書いていない。
まぁ、Discogsの場合は、書いてあったとしても俄かに信用できないのではあるが(笑)、逆に、書いてないということは、少なくとも、世界的には赤顔がファースト・プレスというのが定説ではないということだと思う。

第二に、ボクの持っているモノラル盤は、ホワイト・レーベルのプロモ盤なのだが、そのジャケットは赤顔ではなく、白顔である。
ちなみに、Discogsに出ているWLPのジャケットも白顔である。


20190212-2.jpg


もちろん、西海岸か東海岸か中部かわからないが、ミスから生じたエラー・ジャケットがそのまま使用された可能性、したがって、ファースト・プレスの一部に赤顔があった可能性はある。
しかし、すべてのファースト・プレスが赤顔だったとは、どうしても思えない。

それから、これは先日Discogsを見ていて気づいたのだが、キャピトル・レコ―ド・クラブ盤(ステレオはSMAS-91026、モノラルはMAS-91026)のジャケットが赤顔なのである。
そこで、ふと思ったのが、赤顔ジャケットは、このクラブ盤の発注にからんで生まれたエラー・ジャケットなんじゃないかということだ。
もしそうだとしたら、赤顔ジャケットは、ファースト・プレスでもなんでもないことになる。

真相は不明なので、もし「赤顔がオリジナル・ジャケット」説の根拠を御存じの方がいらしたら、ぜひ教えてくださいな。


レーベルによるオリジナルの判定については、下記の記事をご覧ください。

https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-01-14

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