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The Amazing Bud Powell Volume 1 [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]

RVG追悼をきっかけに始めたブルーノート1500番台と4000番台の旅、もう一歩くらいは進めておこう。
(昨日書き始めたのに今日までかかってしまったし、このシリーズは時間的に余裕があるときにボチボチ進めることにします。自分用の覚書みたいなもんだしね 笑)

1503番"The Amazing Bud Powell Volume 1"と1504番"The Amazing Bud Powell Volume 2"は、10インチLPとして1951年にリリースされた"The Amazing Bud Powell"(BLP 5003)の収録曲(8曲)と1954年にリリースされた"The Amazing Bud Powell Volume 2"(BLP 5041)の収録曲(8曲)にそれぞれの別テイク(5曲)と未収録曲(3曲)を合わせた計24曲を、2枚の12インチLPに再構成したものだ。

BLP 5003は1949年8月9日録音の4曲と1951年5月1日録音の4曲で構成されたもので、BLP 5041は1953年8月14日録音の8曲で構成されたものだったが、基本的には1503番はBLP 5003を、1504番はBLP 5041をベースにしているものの、単純にそれぞれの別テイクや未収録曲を追加したわけではなく、若干の組み替えを含めた再構成がなされている。

完全に自分用の覚書だが(笑)、10インチLPと12インチLPの曲構成をメモしておこう。


The Amazing Bud Powell(BLP 5003)―1951年
 A1 Un Poco Loco―1951年録音
 A2 Over The Rainbow―1951年録音
 A3 Ornithology―1949年録音
 A4 Wail―1949年録音
 B1 A Night In Tunisia―1951年録音
 B2 It Could Happen To You―1951年録音
 B3 You Go To My Head―1949年録音
 B4 Bouncing With Bud―1949年録音

The Amazing Bud Powell Volume 2(BLP 5041)―1954年
 A1 Reets And I
 A2 Autumn In New York
 A3 I Want To Be Happy
 A4 Sure Thing
 B1 Glass Enclosure
 B2 Collard Greens And Black Eyed Peas
 B3 Polka Dots And Moonbeams
 B4 Audrey

The Amazing Bud Powell Volume 1―1955年
 A1 Un Poco Loco(1stテイク)―1951年録音
 A2 Un Poco Loco(2ndテイク)―1951年録音
 A3 Un Poco Loco―1951年録音
 A4 Dance Of The Infidels(1949年録音―10インチ未収録)
 A5 52nd St. Theme(1949年録音―10インチ未収録)
 A6 It Could Happen To You(別テイク)―1951年録音
 B1 A Night In Tunisia(別テイク)―1951年録音
 B2 A Night In Tunisia―1951年録音
 B3 Wail―1949年録音
 B4 Ornithology―1949年録音
 B5 Bouncing With Bud―1949年録音
 B6 Parisian Thoroughfare(1951年録音―10インチ未収録)

The Amazing Bud Powell Volume 2―1955年
 A1 Reets And I
 A2 Autumn In New York
 A3 I Want To Be Happy
 A4 It Could Happen To You―1951年録音
 A5 Sure Thing
 A6 Polka Dots And Moonbeams
 B1 Glass Enclosure
 B2 Collard Greens And Black Eyed Peas
 B3 Over The Rainbow―1951年録音
 B4 Audrey
 B5 You Go To My Head―1949年録音
 B6 Ornithology(別テイク)―1949年録音
(表記がないのは1953年録音)

RVGリマスター(2001年)のCDは、さらに別テイク11曲が加わった計35曲が2枚のCDにおさめられており、1949年録音と1951年録音の分がVolume 1(20曲)に、1953年録音の分がVolume 2(15曲)に収録されている。
だから、1503番や1504番として聴こうと思うとリッピングして組み替えないといけないが、ボクはその必要がない。
そう、アナログを持っているからである。

しかもオリジナル盤である(エッヘン)。
(自慢なんて見苦しいけど、けっこうがんばって手に入れたので許してね 笑)

ちなみに、何故このアルバムについてはがんばってオリジナル盤を手に入れたかというと、マックス・ローチ(Max Roach)が1951年のセッションでドラムを叩いているからだ。
ボクは彼のドラムが大好きで、彼がかかわっているレコードについてはオリジナル盤で集めることにしているのである。

ってことで、ここからは1503番のオリジナル盤判定の話になる。

まずはジャケット。


20160829-1.jpg


ラミネート・コーティングなしの額縁ジャケである。


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裏ジャケの住所は"767 Lexington Ave., New York 21"だ。
(ところどころ掠れて消えかかってるけどσ^_^;)


20160829-3.jpg
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レーベルはもちろん青白で、住所表記は両面とも"767 Lexington Ave NYC"である。
DG(Deep Groove)も両面にある。

Side1の青が若干滲んでいるのは、洗浄中に少し濡れたためで、ブルーノートはこういうところにも気を付けないといけない(水溶性のインクなんて使わないでよ・・・)。
ボクの場合、レコードの洗浄に超音波洗浄機を利用しているのでちょっとしたミスでレーベルを濡らしてしまうのだが、最近、洗浄中にレーベルを保護できる器具を手に入れたので、失敗はなくなった。

盤の特徴としてはフラットエッジだが、これは写真に撮りにくい(写真を撮ってるときに落としそうで・・・)のでご容赦いただこう。


20160829-5.jpg
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Runoutには、両面に手書きRVGの刻印と耳マーク(イヤーマーク)がある。
ちなみに、耳のように見えるので耳マークと言われるが、耳のように見えるのは実は筆記体のPで、プラスティライト社(Plastylite)(ブルーノートが1966年までプレスを依頼していた会社)によるプレスであることを示す。

9Mの手書き刻印もあるが、これはRVGカッティングのスタンパーを利用したリバティとかUAでのリイシュー盤にも見られるので、オリジナル盤判定の役には立たない。
ちなみに、LondonJazzCollectorというHPのこちらのページによると、この9M刻印、プラスティライト社がレーベル識別のために刻印したものらしい。プレスティッジ(PRESTIGE)は7E、ダイヤル(DIAL)は3R、デビュー(DEBUT)は19Hだったという。

同じプラスティライト社が刻印したものでも、耳マークはリイシューでは消えていて、9Mは残っているというのがおもしろい。
おそらく、9Mはラッカーもしくはマザーに刻印されたのに対して、耳マークは個々のスタンパーに刻印されたんだろう。
いずれにせよ、9Mについては、オリジナル判定には関係なさそうだ。

ということで、ボクの所有する盤もオリジナル盤と判定できるのだが、これがファーストプレスかというとちょっと微妙である。

いろいろ調べていたら、Matrix末尾にピリオドがないのがファーストプレスだという情報を見つけたのだ。
確かに、手持ちのブルーノート・オリジナル盤で(ついでにRVG刻印入りリイシュー盤も含めて)確認してみると、Matrix末尾にピリオドがあるものとないものがある。さらには、ピリオドが3つくらい並んでいるものもあった。
根拠があまり明白ではないので未確認情報だが、ピリオドがないのがファーストプレスという可能性は確かに高い気はする。


20160829-7.jpg


そうだとすると、ボクのはセカンド・プレスである(シクシク)。
研究が進むと不幸になるなぁ・・・

とはいえ、1950年代のジャズのレコードなんて、そもそも大量生産品じゃないから、現存するファーストプレス盤の数なんてごく少数だろう。
ファーストプレスにこだわると、身動きがとれなくなりそうだ。

そう考えて、10数年前まで熱心にオリジナル盤集めをしていたときも、大量生産以前のジャズのレコードについては、ファーストプレスにこだわるのはやめようと思っていたんだった。
ハンパなコレクターだから、それでいいのである(笑)

では、セカンドプレスかもしれないオリジナル盤(シクシク)で、1503番を聴いてみよう。

なんといってもSide 1冒頭の"Un Poco Loco"3連発が圧倒的である。

マックス・ローチが最初に自然に叩いたわかりやすいリズムは、おそらくバド・パウエルがイメージしたものとは違っていた。演奏は途中で終ってしまい、ドラムソロから最後のテーマにいたる展開にまでたどりつかない(1stテイク)。

「こんな感じでやってくれ。」とパウエルが指示したのかどうかわからないが、リズムがかわる。しかし、どうにも落ち着かないリズムだ。微妙にずれている気もする。それでもなんとか最後までたどりつく(2ndテイク)。

しかし、そこはマックス・ローチである。パウエルの意図をしっかりと読み取る。
「バド、おまえのやりたいことはわかったぜ。もう一度やってみようか。」なんてローチが言ったかどうかわからないが、奇妙なリズムが絶妙にはまる。
「それよ、それ。のってきたぜ。」と、パウエルの繰り出すソロは、信じられないような輝きを放ってきらめく(完成テイク)。

ドラムソロに続く最後のテーマがピタッと決まって曲が終わった瞬間、誰もが叫ぶだろう。

「アメイジング!」

確かに、完成テイクだけでも十分アメイジングではあるが、こうやって3連発で並べられたときの感銘力は凄いのである。


ところで、あらためてオリジナルのアナログ盤で聴いていて気づいたことがある。

前の記事では、「1954年録音になると、ハッケンサックでRVG録音だから、正真正銘ブルーノートの音になる。」なんて書いていたが、CDで聴く限り、所詮CDの音である。RVGリマスターだって、そこはやっぱり超えられない。

オリジナルのアナログ盤で聴くと、RVGがリマスターしているとはいえ1949年のセッションも1951年のセッションも(ついでに言えば1953年のセッションも)NYCのWORスタジオでダグ・ホーキンス(Doug Hawkins)による録音なのに、RVG録音&リマスターのCDよりずっと「ブルーノートの音」なのである。

やっぱり、ボクにとっての「ブルーノートの音」って、アナログの音なのだよなぁ・・・

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