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RI工場はいつアトランティックのメイン工場になったのか? [アナログ・コレクターの覚書]

一昨日、ちょっと時間を作って、近所のハードオフを2軒とブックオフを1軒まわってきた。
風の『windless blue』にB面マト1の盤があると聴いて、探しに行ったのである。
ジャンクコーナーを漁れば、1軒あたり3~4枚、合計10枚以上は見つかると思ってでかけたのだが、見つかったのはたった1枚だった。
しかも、B面のマトは3。
マト3まであるんかーい!

結局『windless blue』については収穫なしだったのだが、ジャンクコーナーで2枚ばかり拾ってきたものがある。
そのうちの1枚がこれだ。


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エマーソン・レイク・アンド・パーマー (Emerson, Lake & Palmer)が1970年11月にリリースしたファースト・アルバムのこれはUSオリジナルになる。
USオリジナルのリリースは2か月遅れの1971年1月だったようだ。

日本盤を卒業するときにUKオリジナルを買ってしまったので、USオリジナルに食指が動いたことは一度もないのだが、110円で聴けるなら、とりあえず聴いてみたくなるよね(笑)

ジャンクコーナーに転がっているだけあって、ジャケだけでなく盤もボロくて、かなりチリパチが聴こえるが、静かなところ以外ではそんなに気にならない。

音の方は、UKオリジナルのほうが鮮度的にもマスタリング的にも上だと思うが、USオリジナルも決して悪くない。
いまの中古市場の価格差を考えたら、これで十分なんじゃないかと思ったりもした。

とはいえ、ボクはUKオリジナルで聴くので、いらないといえばいらないレコードなのだが、しかし、このレコードは、別の意味で貴重なレコードなのだ。
実は、このレコードのおかげで、誤った思い込みをしていたことに気づいたのである。

レーベルを見てみよう。


20210925-2.jpg


下部にST-CTN-702073 RIと印刷されていて、RI工場でプレスされたものであることがわかる。

RIは、通常、インディアナ州リッチモンドのPRC Recording Companyを意味するものと考えられているが、ここは元はMercuryの工場で、PRC Recording Companyという名称になるのは1972年4月である(1972年12月という説もある)。

だから、ボクは、RIという略称が用いられるようになったのは1972年4月からだと思い込んでいた。
で、アトランティックの中部メイン工場として利用されるようになるのも、この頃からだと思い込んでいた。

そうだとすると、このレコードは1971年1月リリースだから、ボクが手に入れたRI工場プレスの盤はリリースから1年以上経ったあとにプレスされた相当なレイト盤ということになる。
まぁ、ジャンクだからいいんだけど(笑)

でも、なんとなくあれこれDiscogs上の情報を見ていたら、おかしなことに気づいた。
1972年4月以前にリリースされた盤にもRI工場プレスは普通に存在するのだ。
最初は、それは全部、1972年4月以降のレイト・プレスだろうと思ったのだが、それにしちゃ、普通にありすぎる。
そこでようやく、ハッと気づいた。

オールマン・ブラザーズ・バンド(The Allman Brothers Band)”At Fillmore East”のUSオリジナル初回盤にもRI工場プレスがあるじゃん!
"At Fillmore East"は1971年7月リリースだ。

誤った思い込みに気づいてあらためて調べてみると、1970年6月までがMercury Record Manufacturing Company、1970年6月から1972年4月までがPhilips Recording Company, Inc.、1972年4月からがPRC Recording Companyという名称になるらしい。

RIの略称の前の略称がMEだったとすると(このあたりの話は、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2018-07-17をどうぞ。今回の記事に合わせて修正してあります。)、それは1970年6月までで、すでに1970年6月のPhilips Recording Company, Inc.への名称変更の時点で、RIの略称が使われるようになったんだと思われる。
これで、全部辻褄があう。

では、アトランティックの中部メイン工場として利用されるようになったのも、1970年6月からなのだろうか?
それは違うんじゃないかと思っている。

周知のようにRI工場プレスの場合、マトの末尾がAAAとかBBBとかアルファベットが3つ並ぶのだが(”At Fillmore East”のRI工場プレス初回盤を思い浮かべてくれればわかるよね?)、当初はアルファベット1つで終っていて、しかも、PR工場やMO工場に送られるのとは違うラッカー(つまりマトのアルファベットが違う)から作られたマザー(またはスタンパー)が送られていた。
ちなみに、ボクが今回入手したELPのマトの末尾は両面ともEである(EEEではない)。

この三連アルファベット・マト(ボクが勝手に命名した 笑)が、アトランティックのメイン工場になった証だとすると、RI工場がアトランティックの中部メイン工場になったのは、1970年6月よりも、もうちょっと後のようだ。

では、いつだろう?
1971年7月6日リリースの”At Fillmore East”の初回盤は、すでにCCCという三連アルファベット・マトだった。
ちょうどELPの"Tarkus"がその前月の1971年6月14日リリースで、Discogs情報によるとマトの末尾はBのみでまだ三連アルファベット・マトは採用されていないようだ。

たまたまピンポイントで見つかったので、同時期にリリースされた他のレコードのRI工場プレス盤のマト状況はまだチェックしていないが、三連アルファベット・マトの登場は1971年6月頃とみていいんだろうか?

何かご存知の方、ぜひ情報提供をお願いいたしますm(_ _)m

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Hannah James & Toby Kuhn [TRAD]

ハナ・ジェイムス(Hannah James)について最初の記事を書いたあと、「たまにしか呟かないんだなぁ
」と思いつつ、一応彼女のツイッター・アカウントをフォローしたのだが、そしたら、昨日だったか、怒涛のツイートが流れてきた(笑)

どうやら来月下旬から、“SLEEPING SPIRALS” というアルバムのリリース・ツアーが始まるらしい。

日本で行われるライブだって家庭の事情でなかなか足を運べないんだから、イギリスで開催されるツアーになんか行けるわけもないのだが、なんだか無性に行きたいのである。

いまは無理でも、なんとかユウに、いっしょにライブを観に行けるようになってもらえるといいなぁ。
そしたら、いつかいっしょに、ヨーロッパ各地をめぐってトラッドのライブを観るのだ。
そんな老後の楽しみを思い描いてしまうのである(笑)


最近のハナは、トビー・キューン(Toby Kuhn)というフランス人チェリストと活動しているようで、この秋のツアーもトビーとのデュオでまわるようだ。





アコーディオンとバイオリンの組み合わせってのが妙に気に入っていたのだが、アコーディオンとチェロというのも悪くない。





こちらの"The Vine Dance"はクロック・ダンスとチェロのデュオだが、こういうのもいいよねぇ。





まぁ、でも、個人的に一番聴きたいのは、こういうトラッドかなぁ。

タグ:Hannah James
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ARTISAN (30th Anniversary Edition) [山下達郎]

オーディオ・テクニカのヘッドシェル ATLT13Aのおかげで低域がぐっとタイトになったので、もともと低域がしっかり入っているレコードを、シュアM44-7で聴いてみようという気になった。

最近手に入れたレコードで低域がしっかり入っているレコードといえば、先日初アナログ化された山下達郎さんの『ARTISAN (30th Anniversary Edition)』である。

って、気づいたら発売からもう一か月以上経ってるじゃん!
Amazonで確認したら、案の定、すでにプレミア価格のマケプレ出品しかない状況になっている。
これじゃ、おススメできないじゃないか。
まぁ、でも、欲しい人は予約して買ってるよね(笑)


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このレコードは、質の良い低域がホントにしっかり入っているので、低域を引き締めて再生するカートリッジのほうがバランスよく鳴ると思う。
その低域に支えられて、気持ちよく音が広がる。
良いリマスタリング&カッティングである。

リマスタリングとカッティングはMIXER’S LABで行われている。
リマスタリングは菊地功さん、カッティングは北村勝敏さんだ。
Side AとSide Cの送り溝には"K"と手書きで刻まれているが、これは北村さんのサインだろう。

このレコード、音量をあげると、ホント気持ち良く鳴るレコードだよ。


YouTube上に『さよなら夏の日』のMVがあるので貼り付けておこう。





タグ:山下達郎
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重さは大事 [オーディオ]

シュアM44GとM44-7は、どちらもTechnicsの軽量シェルに装着していたのだが、オルトフォンのダイナミック・バランス型トーン・アームRS-212Dでは、ウエイトをはさんでも、ゼロバランスがギリギリとれる重さだった。

で、直感的に、もう少し重さが欲しい気がしていた。

ってことで、とりあえず、M44-7用に、オーディオ・テクニカのヘッドシェル ATLT13Aを使ってみることにした。
ロングセラー・モデルでコストパフォーマンスの高さには定評があるので、一度使ってみたかったのだ。


(画像をクリックするとAmazonにとびます。)


M44GもM44-7も、シュアがカートリッジ生産から撤退したせいで妙なプレミアがついているが、もともと高いカートリッジではない。
高いシェルより、このぐらいのシェルのほうが、身の丈にあっている。

さっそくM44-7を装着して、何枚か聴いてみた。


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当初は低域の量感に感動していたM44-7なのだが、そのうち少々膨らみすぎていると感じるようになっていた。
そのぼやけ気味の低域が、ぐっとタイトになった。
ある程度針圧をかけるカートリッジでは、やっぱり、重さは大事だと思う。

もっともタイトになりすぎて、ちょっと物足りない気がしないでもない。

ぽっちゃりしていて可愛かった女の子が、すっかりスマートになって、確かに綺麗になったのだけど、なんだか少し残念みたいな(笑)

とりあえずファースト・インプレッションでございました。

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Hannah James & The Jigdoll Ensemble [TRAD]

昨日Apple Musicで聴いてすこぶる気に入ったので、ハナ・ジェイムス&ザ・ジグドール・アンサンブル(Hannah James & The Jigdoll Ensemble)”The Woman and Her Words"を今日も聴いていた。

いやぁ、聴けば聴くほど好きになるぞ。

あまりにも気に入ったのでCDを買おうかと思ったのだが、Apple Musicではロスレス配信だし、うちのシステムじゃ、CDで聴いても音質的に大差はない気がする。
それに、このジャケットはねぇ・・・あんまりそそられない(笑)



(画像をクリックするとAmazonにとびます。)


アナログ化されたら当然買うんだけどな・・・
ジャケ的に魅力はないんだけど、アナログで聴いてみたい音楽なのよ。

YouTubeにライブ動画があがっていたので、貼り付けておこう。
2017年のマンチェスター・フォーク・フェスティヴァルでのデビュー・パフォーマンスとのこと。





この”Tuulikki's Tune”という曲は、CDでは最後から2番目に収録されている曲だが、CDにおさめられていない曲の動画もあって、この"Carpenter"という曲なんかはとても気に入った。





この"Karen's Tune"という曲では、ハナがクロッグ・ダンス(clog dance)を披露している。





なんか、映画部屋の80インチ・スクリーンに映し出して、スコッチのグラスでも傾けながら観たら、気持ちよさそうだな。
週末にでも試してみよっと。

タグ:Hannah James
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