SSブログ

SPU-GTと現代ジャズ [オーディオ]

昨日TLを見ていて、ジャズオーディオ普及委員さんが新たに入手されたカートリッジ、ortofon SPU Ethosに激しく食指を動かされた。

世界限定500個ということで、急がなければ買えなくなる可能性が高い。
いや、もはや買えないのか?

この「限定」ってのに踊らされるのは癪に障るのだが、現代的SPUが、Meister Silverにしても、Synergyにしても、Royalにしても、20万前後の価格設定であるところからすると、Ethosの12万というのは破格の価格設定なわけで、だからこそ世界限定500個なのだとすると、SPUファンなら踊らされなければ損とも言える。

そんなことを考えながら、メインアームのカートリッジをSPU-GTに交換した。


20210221-1.jpg


相変わらず、独特の色気のある音を奏でてくれる。
古いジャズのステレオ盤なら、手持ちのカートリッジの中ではこいつが最も好みの音で再生してくれる。

「現代的SPUは、どんな音で再生してくれるんだろう?」といつも思うのだが、「現代的SPUを導入したら、この古いSPU-GTは二軍に落ちて二度と一軍に復帰することはないんだろうな」と思うと、なんとなく哀れになって、なかなか現代的SPUの導入に踏み切れない。
そういう愛着を優先するから、ボクはオーディオ・マニアにはなれないんだろうな(笑)

このSPU-GTって、20年くらい前に中古で手に入れたものだから、そろそろ寿命がきてもおかしくない。
ってことで、寿命がくるまで、付き合おうかな。

「針先はどうなんだろう?」とスマホ用マクロレンズで撮ってみたが、元を知らないので摩耗しているのかどうか判断できない(笑)


20210221-2.jpg


でも、音を聴く限り、まだ、まったく大丈夫な気がする。


古いジャズのステレオ盤だけでなく、現代ジャズも十分おいしいぞ。


20210221-3.jpg


このレコード(アヴィシャイ・コーエン・トリオ)(Avishai Cohen Trio)"‎Gently Disturbed")、現代ジャズに疎いボクは、ちょっと前に紙ジャケ探検隊が名盤だとツイートしていて初めて知った。
CDは2008年リリースだが、Discogsを見ると、2010年にアナログ化(Razdaz Recordz RDLP4607)されたあと、再発はされていないようだ。
もう買えないかと思いきや、Amazonのマケプレでは、まだ普通の価格で売っていた(いま確認したら、もはやプレミア価格の出品しかない)。
ってことで、買ってみたのだが、これすっごく良い。
探検隊ありがとー

ただねぇ、なんだか音がいまひとつだったんだな・・・
もともと音が悪いレコードというより、剥離剤がしつこくこびりついているような音に聴こえた。

マトはA-1/B-1で送り溝に他になんの刻印もないので追加プレスがあったのかどうか判定できないのだが、なんとなく初回プレスのみで追加プレスはなかった気がする。
そうだとすると、ボクが今回入手したものは、10年前にプレスされたものが、シールドのまま保管されていたものということになる。
その間に、剥離剤が盤面にしっかり定着してしまったか?

ってことで、繰り返し洗浄を試みていたのだが、ようやく本来の音がもどってきたようだ。

いやぁ、内容といいウーハーをふるわすベースの音といい(ピアノの音はまだいま一つだけど)、ホント、いいわ。
ベーシスト名義のレコードは、S4700の38センチ・ウーハーが本領発揮するなぁ。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

歪まない! [オーディオ]

『木綿のハンカチーフ』のスタンパー調査は、ノイさんが「中古レコードのタチバナ」さんに取材に行ってくれたおかげで一気に7枚分の情報が入手できた(ノイさん、「中古レコードのタチバナ」さん、ありがとうございましたー)こともあって、現在17枚分のデータが集まっているが、こういうのはやはり数が必要で、何らかの推理をするには50枚分くらいのデータが必要かなぁと思っている。
そんなわけで、気長に待っておりますので、「『木綿のハンカチーフ』のシングル盤持ってるよ」という方、ぜひ送り溝を見て、スタンパー情報をお寄せください。

さて、本日は、まったく別の話題である。

ここに一枚のピンク・フロイド(Pink Floyd)"Animals"のUKオリジナル(Harvest SHVL 815)がある。


20210131-1.jpg


外見上は、ファースト・プレスの特徴を備えている一枚である。
ワイド・スパインのジャケットに、厚紙のインナースリーブは四方がラウンド・カットで、取り出し口に切り込みがある。
マトも両面2Uだ。

しかし、このレコード、たいへん珍しい一枚なのである。
スタンパー刻印がどこにもないのだ。

「無知だなー。このアルバムにはスタンパー刻印のないオーレイク(Orlake)・プレスがあるんだよー。そりゃちょっとは珍しいかもしれないけど、『たいへん珍しい』というのは言いすぎだと思うなー」と思った貴方!

このアルバムにオーレイク・プレスがあることは、ボクも知っているのである。
しかし、ボクのもっているのはオーレイク・プレスではないのだ。


20210131-2.jpg


ほらね。
どう見ても、オーレイク・プレスのレーベルじゃないでしょう?

オーレイク・プレスのレーベル形状を知らないという方は、Vernon Fitch氏による"The Pink Floyd Archives"というWEBサイトの関連ページで確認できるので、こちらをどうぞ。

http://www.pinkfloydarchives.com/DUKLPPF.htm#Anim2

で、このWEBサイトにも、スタンパー刻印のないバリエーションについては、オーレイク・プレスしか掲載されていない。
つまり、ボクの持っているレコードは、この膨大な情報量を誇るWEBサイトにも掲載されていないバリエーションなのである。
「たいへんに珍しい」というのも過言ではないでしょ?

このレコード、スタンパー刻印はないが、マザー刻印はある。
Side 1のマザーは3、Side 2のマザーは2で、通常の英EMIプレスと同様、メイン・マトの2Uを6時とすると9時か10時の位置に刻印されている。
レーベル形状的に言っても、限りなく英EMIプレスに近い。
しかし、繰り返すがスタンパー刻印がないのである。

しかも、このレコードには、とても大きな特徴がある。
盤面は塩ビ焼けの気配もなく美しいのに、盛大に歪むのである。
歪み方も塩ビ焼けのような歪み方ではなく、特定の帯域でバリバリと音割れするような歪みが盛大にのるのがずっと続く。
これはやはり塩ビ焼けではない(見た目、まったくくもりもないし)。
長いことレコードを聴いているが、こんな歪み方をするレコードはこれしか聴いたことがないので、原因は皆目見当がつかない。
スタンパー刻印もないことだし、何かプレス上の問題だと思うのだが、いずれにしろ、とても聴けた代物ではないのである。

ただ、SPU-GTで聴いたときは、歪みが多少緩和された。
なんだかその記憶がふっと甦って、同じく針圧の重い丸針カートリッジであるVNLだとどうなんだろう?と思い立ち、交換針Ⅲ針圧4.2gでかけてみたのだが・・・

歪まない!

あれほどバリバリいっていた歪みがすっかり消えて、ストレスなく両面聴き通してしまった。
これは非常にありがたい。

ためしに針圧を3.2gまで軽くすると、多少歪みっぽさが戻ってくるので、針先の形状だけでなく針圧も関係しているようだ。


歪みといえば、グリーンスレイド(Greenslade)のファースト・アルバムのUKオリジナル(Warner Bros. ‎K 46207)である。

詳しくは、ノイさんのWEBサイト(http://www.green.dti.ne.jp/ridingthescree/greenslade.html)を見ていただくとして、このレコードも歪む。
まぁ、うちの"Animals"みたいなひどい歪み方ではないが、カートリッジによってはかなり気になる歪み方だ。
多少ましに再生できるカートリッジもあるので、まぁ聴けないことはないレコードではあるのだが、これを交換針Ⅲ針圧4.2gのVNLでかけてみると・・・


20210131-3.jpg


"Sundance"のイントロのピアノだって、まったく歪まないぞ!


歪みの拾い方がカートリッジによって大分違うというのは経験上わかってはいたが、ここまで違うことがあるというのは驚きだった。

アナログの奥深さをあらためて思い知らされた2021年1月最後の日曜日の午後なのであった。


コメント(0) 
共通テーマ:音楽

JICOのN44-7 [オーディオ]

先日、SHURE M44-7を導入したことを書いたが、装着されていた交換針の素性もわからないのに、正しい評価はできないんじゃないかと、書いた後で気づいた。

とはいえ、SHUREはすでに交換針の製造もしていないので、純正品を新品で手に入れるのは難しい。
新古品がオークションに出ることはあるが、プレミアがついていて、ちょっと買う気になれない。
それに、純正針も、メキシコ製になってからは個体差が激しいとも聞く。
プレミア価格で買ったうえに、ハズレをひいたら目も当てられない。

ってことで、安心の日本製、JICOの交換針N44-7(DJ用ではないノーマルの方)を使ってみることにした。


20210126.jpg


JICO.JPの刻印が、品質に対する自信を物語っている気がする(笑)

早速交換してみたのだが、刺さり具合からして違う。
しっかり刺さってホールドされる感じが頼もしい。
元から刺さっていた交換針はちょっと緩かったのだ。

使い始めたばかりなので、確定的な評価はできないが、出てくる音は確実に良くなっていると思う。

ortofon VNLとSHURE M44-7、もう少し使い込んでみよう。

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

SHURE M44-7 [オーディオ]

しつこいようだが、ortofon VNLは、7インチを今までに聴いたことがないような素晴らしい音で鳴らしてくれる(笑)

ってことで、最近は7インチを聴く機会が多いのだが、7インチをとっかえひっかえ聴いていたら、なんだかまた悪い虫が騒ぎ出した。

前にも書いたことだが、「今までに聴いたことがないような次元の違う音に聴こえるのは、重い針圧をかけるMMカートリッジが初体験という部分も大きいかもしれない」という考えに取りつかれて、確認せずにはいられなくなってしまったのである。

重い針圧をかけるMMカートリッジといえば、以前から興味があったSHURE M44-7がある。
このカートリッジ、標準の針で適合針圧1.5g~3.0g、JICOのDJ用の針なら3.5g~4.5gだ。

しかも、出力が9.5mVもある。
この高出力は魅力だ。
なぜって、うちはエアコンを入れると、MMカートリッジにはモスキート・ノイズが載ってしまうからである。

ortofon VNLを導入したとき、SHURE V15 VxMRに比べるとモスキート・ノイズがほとんど気にならないことに気づいた(M44Gを導入したときは、秋だったので、エアコンをつけてなくて、気づかなかった 笑)。
これは、V15 VxMRの出力が3.0mVなのに対して、VNLの出力が6.0mVで、二倍だというのが大きい。
モスキート・ノイズは、アンプのボリュームが10時を過ぎたあたりから微妙に感じるようになり、11時くらいではっきりわかるようになるが、カートリッジの出力が大きければ、そこまでアンプのボリュームをあげる必要がないからだ。

VNLでもほとんど気にならないが、さらに出力の高いM44-7ではまったく気にする必要がないんじゃないか。
これまた、確認せずにはいられなくなってしまった(笑)

そんなわけで、SHURE M44-7を手に入れてみた。
これまた、カモメじゃなくて近年ものである。
しかも、針はオリジナルでさえない。
(どこの交換針かもわからない。少なくともJICOの刻印はない。)


20210121-1.jpg


それでも、このカートリッジ、7インチをかなり魅力的に鳴らす。
PhasemationのDG-100でしっかり消磁した(もちろん、針は外しましたよ 笑)後、とりあえずスターダストキッズを聴きながら最適針圧を探したのだが(うちのシステムでいまの季節なら2.4gと確定)、ぶっとい音がぐいぐいと前に迫ってくるのは、VNLと変わらないのである。
いや、VNLは高域のシャープさも兼ね備えている(繊細さまでは兼ね備えていない)が、M44-7は高域が甘くなって少々明快さに欠けるぶん、音の太さという点では、VNLに優る。
(ちなみに、どちらも負荷容量は400pFに設定している。)

この「ぶっとい音がぐいぐいと前に迫ってくる」感じこそ、ボクが「次元の違う音」と感じた核心のようで、ボクは、M44-7の鳴らす7インチの音もすこぶる気に入ったのである。

もっとも、VNLとM44-7ではかなり出音の傾向は違う。
シャープでタイトなVNLに対して、M44-7は、高域のキレは若干甘いものの重くて豊かな低域の量感がすごい。
質感的には、VNLがクールなのに対して、M44-7はかなりウォームだ。

ってことで、VNLとM44-7、7インチを聴くときに、内容によって使い分けたり、あるいは、その日の気分によって使い分けたりしたら、実に楽しそうなのである。

ちなみに、写真を撮ったときにかけていたのは、ヴァン・ヘイレン(Van Halen)の”You Really Got Me"のUS盤プロモ(STEREO面)だが、これはVNLだと低域が少々タイトすぎるので、M44-7のほうが合っている気がする。
まぁ、ボクの好みではってことだけど。

これは正しいアナログの楽しみ方だよね?(笑)

コメント(0) 
共通テーマ:音楽

ortofon VNLの地味な検証 [オーディオ]

大晦日のボクのTL上で、ortofon VNLを推奨針圧の4gで使うとカンチレバー沈み込みすぎてこわいという話題になった。

12月30日の記事にも書いたように、ボクは、交換針をざっと一通りちょい聴きして、ダンパーが一番硬いⅢを選んだので、針圧4gでもとくにカンチレバーが沈み込みすぎるという感じもなかったのだが、言われてみれば、Ⅰを試したときには「ずいぶん沈むな~」とは思ったのだ。

ってことで、正月だが坊主と二人で地味に過ごしていることもあり、地味に検証してみることにした(笑)

まずは、交換針をⅠにして二枚ばかり暖機運転。
馴染んできたところで確認してみると、こりゃ確かに沈んでますなぁ。


20210102-01.jpg


まぁ、ずっとこの状態というわけではなく、僅かに波打っているレコードで、柔らかいダンパーが針圧4gのためにカンチレバーをかなり上下に動かすので、これはその最も沈み込んだ状態である。

カートリッジの腹が盤面を擦るということはなかったので、これでも大丈夫といえば大丈夫かもしれないが、レコードの波打ち具合がもう少し大きくなるとやばいかもしれない。

それに、音の方も、少々団子気味で、音場がせまくて窮屈な感じがする。

大晦日のTLでは、針圧を軽くしてやればいいんじゃない?というアドバイスももらっていたので、とりあえず、許容針圧幅の下限である3gで試してみることにした。

針圧3gだと、やわらかいダンパーでもそれほどカンチレバーは上下しないし、沈み込んでいるという感じもない。

音の方も、音場が広がって見通しが良くなるので、全体的に4gのときより好印象なのだが、アームがコントロールしきれていない感じで、歪みというほどではないのだが、ときどき微妙な雑味を感じる。

ってことで、少しあげて針圧3.2gにしてみたところ、ほぼ雑味が消えた感じだ。
沈み具合も3gのときと変わらない。
3gのときの写真も撮ったのだが、変わらないので、3.2gのときの写真を載せておこう。


20210102-02.jpg


交換針Ⅰについては、うちのシステムでいまの季節なら、これがベストだと思う。

交換針ⅡやⅢについても、それぞれ検証する必要があるが、これは後の楽しみにとっておこう(笑)
さしあたり、せっかく調整した交換針Ⅰの3.2gを楽しむのである。


さて、カートリッジの沈み込み具合を写した写真ですでにおわかりかと思うが、検証に使ったレコードは、ゲイリー・バートン&チック・コリア(Gary Burton & Chick Corea)"DUET"である。

このレコードがこの検証に特に向いていると思った、ということでは全くない。
たまたまTLを遡っていたら出てきたので聴いてみたくなっただけである(笑)


20210102-03.jpg


手持ちはドイツECM盤(ECM 1140)だが、特に掘ったわけでもないので、初盤かどうかはわからない。
ラミネートではないが、ニス塗りのような光沢のある美しいジャケットである。


20210102-05.jpg


裏ジャケットも同じ様に光沢があり、少しセピアっぽいモノクロ写真がとても良い雰囲気である。
オリジナルっぽい風格があるぞ(思い込みかもしれないが 笑)。

レーベルはこんな感じだが、このアルバムがリリースされた1979年以降のECMのレーベルの変遷なんてまったく知識がないからいつ頃のものか判定できない。


20210102-04.jpg


送り溝の情報は次の通りである。


2301 140 S 1  320  2 E
2301 140 S 2  320  1 I


320刻印があるので、1979年ということはPRS Hannoverでのカッティング&プレスということになる(1978年2月までなら、Phonodisc GmbH)。
アルファベットがスタンパーナンバーということなので、Side 1がマザー2でスタンパーE(5番目)、Side 2がマザー1でスタンパーI(9番目)ということか。
一応、ファーストプレスだろうか?

いやぁ、熱いのにクール。
で、どこまでも透明。
この二人のレコーディングは、どれも素晴らしい。
ラストの"La Fiesta"は圧巻!

コメント(0) 
共通テーマ:音楽