サンタ・マリア工場産テスト・プレスの位置づけ~ホテル・カリフォルニアへの長い旅3~ [アナログ・コレクターの覚書]
最初にことわっておくが、サンタ・マリア工場産のテスト・プレスを手に入れたなどという景気の良い話ではない(笑)
この記事は、「サンタ・マリア工場産テスト・プレスの存在は、SP工場オリジナル説と矛盾しないのか?」という疑問に対する、ボクなりの回答である。
イーグルス(Eagles)の『ホテル・カリフォルニア』にサンタ・マリア工場産のテスト・プレスが存在するのは有名な話だ。
何より紙ジャケ探検隊が所有している(MUSIC BIRDの田中伊佐資さんの番組に持っていって田中さんを悶絶させたらしい話は記憶に新しい。MUSIC BIRDの田中さんの番組のページ(2018年3月のページ)には、紙ジャケ探検隊と田中さんといっしょにテスト・プレスも写っている。)し、Discogsにも出ている。
このテスト・プレスが、アーティスト側の音の最終チェックのために使用されたものだとすれば、サンタ・マリア工場がオリジナル工場である決定的な証拠と言えるだろう。
紙ジャケ探検隊の言葉を借りれば、「オリジナル盤で重要なのは、元のマスターがどこにあって、初めてプレスされたのはどの盤かということ」(初盤道第18回「レガッタで困った」レコード・コレクターズ2018年10月号)である。
アーティスト側の音の最終チェックがサンタ・マリア工場でプレスされたテスト・プレスで行われたとすれば、それは、元のマスターが西海岸にあったこと、サンタ・マリア工場で最初のプレスが行われたことを意味しているといえるだろう。
すなわち、サンタ・マリア工場がオリジナル工場となる。
しかし、どうやらこのサンタ・マリア工場産のテスト・プレスは、そういう用途で作られたものではなかったようなのである。
現在、ebayに、このサンタ・マリア工場産のテスト・プレスが2枚出ている。
一枚は、アメリカはロサンジェルスのセラーからでBuy It Nowの5000ドル(57万円弱!)。
https://www.ebay.com/itm/Eagles-Signed-Hotel-California-Test-LP-Epperson-COA/183459010559?ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT&_trksid=p2060353.m1438.l2649
もう一枚は、イギリスはロンドンのセラーからでやはりBuy It Nowの1850ポンド(26万超!)。
https://www.ebay.com/itm/THE-EAGLES-HOTEL-CALIFORNIA-USA-COLUMBIA-TEST-PRESS-HAND-SIGNED-LP-UACC-DEALER/232742779256?ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT&_trksid=p2060353.m1438.l2649
いずれにせよ手の出る金額ではないが、イギリスのセラーが商品説明に興味深いことを書いている。
すなわち、このテスト・プレスは、「わずか20枚しかプレスされなかったものだが、Top Radio Stationにプロモーションのために配られたもの」だというのである。
情報源がどこなのか明確ではないが、ボクはこの話、かなりの信憑性があるように思う。
まず、DiscogsにはLP#11というのが出ているが、これは、20枚のうちの11番目ってことだろう。
しかも、これについているシートが、通常、音の最終チェックに使うテスト・プレスについているシートと違って、曲目とタイムしか載っていない。
いかにもラジオ局向けである。
紙ジャケ探検隊が持っているものやebayに出ている二枚は、ナンバーがふられていないのでラジオ局向けのものではなさそうだが、プレーンの白いスリーブの上にメンバーのサインがあって、いかにも誰かに送ったものっぽく見える。
もちろん、音の最終チェックに使ったテスト・プレスを、サインをつけて誰かに送るということもありうるのだが、プロモ用に作ったものを、サインをつけて誰かに送るというのも同じくらいありうる話である。
また、当時のアメリカには、いわゆるWLPに先行してテスト・プレスをプロモーション用に配るという例もあったようで、たとえば、Aristaのものだが、『ホテル・カリフォルニア』と同じ1976年にリリースされたパティ・スミス・グループ(Patti Smith Group)” Radio Ethiopia”のテスト・プレスは、レーベル上にもデモ用であることが明記されている(なお、通常のプロモ盤も存在することはDiscogsで確認できる)。
(Patti Smith Group, ” Radio Ethiopia”のUSオリジナル(AL 4097)のテスト・プレス。ボクの持っている数少ないテスト・プレスの一つである。)
ちなみに、音の最終チェック用テスト・プレスは、通常、関係者以外は聴いちゃダメというものなので、レーベルにもそう書いてあったりする。
(ワーナーのものだが、Bill LaBounty, Rain in My LifeのUSオリジナル(BSK 331)のテスト・プレス。)
実を言うと、同様の記載は、サンタ・マリア工場産テスト・プレスのレーベル下部にも書いてある。
というのも、もともとあのレーベルは、音の最終チェック用テスト・プレスに使うものだからである。
Aristaと違って、デモ用テスト・プレスのレーベルはサンタ・マリア工場には存在しなかったのだろう。
わずか20枚ほどのプレスということで、通常のテスト・プレスのレーベルを転用したのだと思う。
そんなわけで、ボクは、「サンタ・マリア工場産テスト・プレスは最初期プロモ盤」だと考えている。
プロモ盤は、オリジナル工場でなくても各工場で作られるものだし、イーグルスはもともと西海岸を本拠とするバンドなのでサンタ・マリア工場では特別仕様のプロモ盤が作られたというだけで、その存在は必ずしもオリジナル工場を特定する決定的証拠にはならないというわけである。
東部SP工場産の音の最終チェック用テスト・プレスが、どっかから出てこないかなぁ?
そしたら、全部解決なのにな(笑)
この記事は、「サンタ・マリア工場産テスト・プレスの存在は、SP工場オリジナル説と矛盾しないのか?」という疑問に対する、ボクなりの回答である。
イーグルス(Eagles)の『ホテル・カリフォルニア』にサンタ・マリア工場産のテスト・プレスが存在するのは有名な話だ。
何より紙ジャケ探検隊が所有している(MUSIC BIRDの田中伊佐資さんの番組に持っていって田中さんを悶絶させたらしい話は記憶に新しい。MUSIC BIRDの田中さんの番組のページ(2018年3月のページ)には、紙ジャケ探検隊と田中さんといっしょにテスト・プレスも写っている。)し、Discogsにも出ている。
このテスト・プレスが、アーティスト側の音の最終チェックのために使用されたものだとすれば、サンタ・マリア工場がオリジナル工場である決定的な証拠と言えるだろう。
紙ジャケ探検隊の言葉を借りれば、「オリジナル盤で重要なのは、元のマスターがどこにあって、初めてプレスされたのはどの盤かということ」(初盤道第18回「レガッタで困った」レコード・コレクターズ2018年10月号)である。
アーティスト側の音の最終チェックがサンタ・マリア工場でプレスされたテスト・プレスで行われたとすれば、それは、元のマスターが西海岸にあったこと、サンタ・マリア工場で最初のプレスが行われたことを意味しているといえるだろう。
すなわち、サンタ・マリア工場がオリジナル工場となる。
しかし、どうやらこのサンタ・マリア工場産のテスト・プレスは、そういう用途で作られたものではなかったようなのである。
現在、ebayに、このサンタ・マリア工場産のテスト・プレスが2枚出ている。
一枚は、アメリカはロサンジェルスのセラーからでBuy It Nowの5000ドル(57万円弱!)。
https://www.ebay.com/itm/Eagles-Signed-Hotel-California-Test-LP-Epperson-COA/183459010559?ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT&_trksid=p2060353.m1438.l2649
もう一枚は、イギリスはロンドンのセラーからでやはりBuy It Nowの1850ポンド(26万超!)。
https://www.ebay.com/itm/THE-EAGLES-HOTEL-CALIFORNIA-USA-COLUMBIA-TEST-PRESS-HAND-SIGNED-LP-UACC-DEALER/232742779256?ssPageName=STRK%3AMEBIDX%3AIT&_trksid=p2060353.m1438.l2649
いずれにせよ手の出る金額ではないが、イギリスのセラーが商品説明に興味深いことを書いている。
すなわち、このテスト・プレスは、「わずか20枚しかプレスされなかったものだが、Top Radio Stationにプロモーションのために配られたもの」だというのである。
情報源がどこなのか明確ではないが、ボクはこの話、かなりの信憑性があるように思う。
まず、DiscogsにはLP#11というのが出ているが、これは、20枚のうちの11番目ってことだろう。
しかも、これについているシートが、通常、音の最終チェックに使うテスト・プレスについているシートと違って、曲目とタイムしか載っていない。
いかにもラジオ局向けである。
紙ジャケ探検隊が持っているものやebayに出ている二枚は、ナンバーがふられていないのでラジオ局向けのものではなさそうだが、プレーンの白いスリーブの上にメンバーのサインがあって、いかにも誰かに送ったものっぽく見える。
もちろん、音の最終チェックに使ったテスト・プレスを、サインをつけて誰かに送るということもありうるのだが、プロモ用に作ったものを、サインをつけて誰かに送るというのも同じくらいありうる話である。
また、当時のアメリカには、いわゆるWLPに先行してテスト・プレスをプロモーション用に配るという例もあったようで、たとえば、Aristaのものだが、『ホテル・カリフォルニア』と同じ1976年にリリースされたパティ・スミス・グループ(Patti Smith Group)” Radio Ethiopia”のテスト・プレスは、レーベル上にもデモ用であることが明記されている(なお、通常のプロモ盤も存在することはDiscogsで確認できる)。
(Patti Smith Group, ” Radio Ethiopia”のUSオリジナル(AL 4097)のテスト・プレス。ボクの持っている数少ないテスト・プレスの一つである。)
ちなみに、音の最終チェック用テスト・プレスは、通常、関係者以外は聴いちゃダメというものなので、レーベルにもそう書いてあったりする。
(ワーナーのものだが、Bill LaBounty, Rain in My LifeのUSオリジナル(BSK 331)のテスト・プレス。)
実を言うと、同様の記載は、サンタ・マリア工場産テスト・プレスのレーベル下部にも書いてある。
というのも、もともとあのレーベルは、音の最終チェック用テスト・プレスに使うものだからである。
Aristaと違って、デモ用テスト・プレスのレーベルはサンタ・マリア工場には存在しなかったのだろう。
わずか20枚ほどのプレスということで、通常のテスト・プレスのレーベルを転用したのだと思う。
そんなわけで、ボクは、「サンタ・マリア工場産テスト・プレスは最初期プロモ盤」だと考えている。
プロモ盤は、オリジナル工場でなくても各工場で作られるものだし、イーグルスはもともと西海岸を本拠とするバンドなのでサンタ・マリア工場では特別仕様のプロモ盤が作られたというだけで、その存在は必ずしもオリジナル工場を特定する決定的証拠にはならないというわけである。
東部SP工場産の音の最終チェック用テスト・プレスが、どっかから出てこないかなぁ?
そしたら、全部解決なのにな(笑)
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