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シングル・マン [RCサクセション]

先週倉庫から持ち帰った「シングル・マン」のLP、なんだかドタバタしていて、まだ聴いていなかった。
ようやくさっき、ターンテーブルに載せて針を下ろしてみた。


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ボクがこのLPを購入したのは1982年の春のこと。
当然、1980年リリースの再発盤(MR 3236)である(ちなみに、1976年リリースのオリジナル盤のレコード番号はMR 5077らしい)。
まぁ、当時も新譜を買ったわけではなく、国立駅前のディスク・ユニオン(当時は国立にもあったんだなー)で中古盤を買ったんだけどね(貧乏学生はめったに新品は買わないのである 笑)。
買ったときから帯もインサートもついてなかったから、帯に書かれたお詫びもインサートの存在も知らなかった。

先週の「名盤ドキュメント」の中でも言われていたことだけど、このレコード、実に音が良い。
レコードを聴いてたら、別にハイレゾ買わなくても、これでいいやって気になってきた(笑)
だって高いんだもんσ^_^;

それにしても、この「シングル・マン」というアルバム、本当に名盤である。

後にロックバンドとしてブレイクするRCの萌芽を感じさせる「ファンからの贈りもの」「やさしさ」「ぼくはぼくの為に」で特徴づけられる「動」のA面が、フリージャズ的な実験作「レコーディング・マン」を挟んで、珠玉のジャズ・バラード「夜の散歩をしないかね」で終わるところなんざ、清志郎さんの引き出しの多さに舌を巻くばかりである。

「冷たくした訳は」をのぞけばすべてバラード曲という「静」のB面には、「ヒッピーに捧ぐ」「甲州街道はもう秋なのさ」「スローバラード」という珠玉の名バラードが3曲もおさめられている。
「ヒッピーに捧ぐ」なんて、むせび泣くような清志郎さんの声を聴いていると、胸が張り裂けそうになってしまうよ・・・

「名盤ドキュメント」の中でアレンジャーの星勝さんが「キング・クリムゾンなんかのプログレを意識していた」みたいな発言があって、ちょっと意外だったのだけど(実際、最終的には、アレンジャー抜きで、つまりメンバーとエンジニアのみでトラックダウンをやり直したせいで、プログレ色は相当に薄められたんだろう)、あらためて聴いてみると、ホーンやストリングスの使い方にかなりプログレ風味はある。

「名盤ドキュメント」では、「甲州街道はもう秋なのさ」のマルチトラックテープから豪華ストリングス・バージョンが紹介されていたけれど、「やさしさ」の「ぼくに背負わせないで~」のあとの展開なんて、"21st Century Schizoid Man"の影響がものすごーく色濃い。
今まで気づかなかったのが不思議なくらいだ。

さて、外はだんだん暗くなってきたことだし、A面最後の「夜の散歩をしないかね」をもう一度聴こうかな。
この曲、清志郎さんのボーカルも良いけど、柴田義也さんのピアノが実に良いのである。
それに楽器の定位がはっきりしていて、ジャズのレコードっぽい。
センター奥にブラシのドラムがいて、その前にベース、左側にピアノがいて(その外側というか前あたりにギターがちょこっと入る)、右側にボーカルである。
センターに女性のささやきが入っているのだが、音量は小さいのにセンターの真ん中にふんわりと浮かび上がる。

実はこのセンターの演出、よく聴くと歌詞とリンクしている。

「ぼくは口笛にいつもの歌を吹く」と歌ったあとに、「あっ」と女性の声。
つまり、口笛の合図に気づいたって設定。
そのあとに女性が窓の鍵を外すような効果音が入り、うれしそうな笑い声。
「きれいな月だよ 出ておいでよ」のあとには、ヒンジがきしむような効果音が入って、窓をあけたんだってことがわかる。
この後は、窓越しの二人の会話なんだけど、設定上、ボーカルの清志郎さんが男性のほうなんで、「ぼくの名前を読んで何かをささやいてる」女性の声だけがセンターに浮かびあがるわけだ。
まぁ「ねぇ見てあそこ・・・」とか「ちょっと待って」ぐらいしか聞き取れないけど。

たぶん、こういう解釈で合ってると思うんだけど、どうだろう?

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