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Bobby Caldwell, Bobby CaldwellのUSオリジナル [STERLINGの仕事]

<論寒牛男さんからSteve Kimballのサイン画像をいただき、他力本願児さんから情報を提供していただいて追加考察を行い、さらに、それに関連して新たに発見したことがあるので、かなり大幅な追記をしました。>(2023年3月18日13:00)
<satoshi ojima / maxさんから、イエロー・ビニールについての貴重な情報をいただいたので、追記しました。>(2023年3月21日15:00)

ゆうべ、追悼で聴いていたボビー・コールドウェル(Bobby Caldwell)のファーストだが、このレコードのUSオリジナル(Clouds – CL 8804)はちょっとややこしくて、よくわからないので、メモ代わりに記事にしておこう。

ファーストについては、うちに3枚あることは前の記事に書いた。


20230317-01.jpg


画像から明らかなように一枚は帯付きの日本盤だ。
残りはUS盤と言いたいところだが、US盤とカナダ盤である。

日本初回盤(CBS/SONY 25AP 1354)は簡単で、うちにあるこの緑色の帯の盤が初回盤だ。
オレンジ色の帯の盤は、『風のシルエット』(What You Won't Do for Love)の後、日本限定でシングルカットされた『カム・トゥ・ミー』(Come to Me)と『スペシャル・トゥ・ミー』(Special to Me)の3枚のシングルがヒットした後に、3枚のヒットシングル入りを謳っている帯なので、Discogsでは初回盤と同じ1978年リリースということになっているが、おそらく1979年のリリースではないかと思う。

マトは、うちの初回帯盤もA2/B8と進んでいるが、これ以上若いのは存在しない気がする(でも、確認はしていない)。

カナダ盤は、カナダ盤が欲しくて買ったわけではなく、US盤だと思って買ったら、カナダ盤だったんである。
弘法ではないから、しばしば筆を誤るのだ(シクシク)。

さて、US盤の話である。
US盤は、はっきり言って、どれが初回盤なのかわからない。

プロモとして登録されているイエロー・ビニール盤が存在する(レーベルにもジャケットにもプロモであることが明記されていないので、プロモ盤だったのか限定盤だったのかわからないが)が、これはまぁ、特別な盤なので措いておくとして、Discogsには16枚のUS盤が登録されている。

※イエロー・ビニール盤について、貴重な情報をいただいた。
下記サイトによれば、ヘンリー・マークス(Henry Marx)に直接尋ねたところ、ファースト・プレスをイエロー・ビニールにしたという回答だったとのこと。

https://muuseo.com/bobbycaldwell/items/13

ってことは、イエロー・ビニールがSTERLINGカッティングなのか、Criteriaカッティングなのか、非常に気になるのである。

工場が明記されているものもあれば、明記されていないものもあり、ボクの所有盤も工場は不明である(送り溝に何の手がかりもない)。

問題は、レーベルが二種類あることだ。
クレジット部分の印刷の違いで言えば全部違うんじゃないかと思うが、レーベル・デザイン自体が違うものが存在するんである。

ボクの所有盤のレーベルはこんなデザインだ。


20230317-02.jpg


Cloudsのロゴが小さくて、上部に雲が少しあるだけで、下部には何もなく、青空が広がっている。
このレーベルを、便宜上、小雲レーベルと呼ぶことにしよう。

もう一つは、Cloudsのロゴが大きくて、レーベル全体に雲がたくさん浮かんでいて、下部に島があるものだ。
うちにあるセカンドの"Cat In The Hat"がこのレーベルだったので、代わりに載せておこう。


20230317-03.jpg


このレーベルを、便宜上、大雲レーベルと呼ぶことにしよう。

1980年リリースの"Cat In The Hat"が大雲レーベルなわけだから、小雲レーベルから大雲レーベルへと変遷したかと思いきや、DiscogsでCloudsレーベルのカタログを見てみると、どうも大雲レーベルのほうが先に存在したようだ。
ってことは、大雲レーベルから小雲レーベルへと変遷したんだろうか?
つまり、うちの盤は、"Cat In The Hat"のセカンド・プレスの頃の盤なんだろうか?

もちろん、その可能性もあるのだが、気になるのは、"Cat In The Hat"よりもカタログ番号が前で、1979年リリースのFreddy Henry, "Get It Out In The Open"のWLPが、小雲レーベルのデザインなんである。
さらに、ボビー・コールドウェルのファーストには、レーベル上のマスター・ナンバーCL-8804の後にRE1というのが入った盤が存在する(マスター・ナンバーにREがついているのは、リミックスまたはリマスターなので、リカッティングされたレイト・プレスのはず。)のだが、これが大雲レーベルにも小雲レーベルにも存在するのだ。

前後関係という点でいえば、大雲レーベルから小雲レーベルに変遷したのだろうが、どうも同時期に、工場違いで、両方のレーベルが使用されていたことを疑わせるのである。

ってことで、「大雲レーベルでなければ、初回盤ではない。」とまで言えるかどうかは、あやしいと思う。

さらにややこしいのは、ボビー・コールドウェルのファーストには、STERLINGカッティング盤とCriteria(Criteria Recording Studios)カッティング盤が存在するんである。
DiscogsにはSKとかSLKとかSJKとかSRとかいろいろ登録されているが、Criteriaのエンジニアであるスティーヴ・キムボール(Steve Kimball)のサインをどう読むかの違いだというのは、Discogsに登録されている彼のサインの画像を見たら一目瞭然だ(笑)

Discogsから勝手に写真を借用するのもまずいだろうと思って画像を載せることができなかったのだが、論寒牛男さんから画像を提供していただいた。
ね?SKにも見えるし、SLKにも見えるし、SJKにも見えるし、SRにも見えるでしょ?(笑)


SteveKimball.jpg


ってことで、存在するのは、STERLINGカッティング盤とCriteriaカッティング盤の二種類である。

しかし、これまた、どっちが先なのか、それとも最初から両方あったのか、よくわからない。

CloudsレーベルはT.K. Productions配下のフロリダの会社だから、フロリダのスタジオであるCriteriaがオリジナルの可能性が高そうなのだが、セカンドの"Cat In The Hat"がCriteriaカッティングしかないことからすると、セカンド・プレスをSTERLINGにカッティング依頼したというのも、なんだかいまひとつ腑に落ちないのである。
STERLINGが先か、最初から両方あったかの方が、可能性が高そうな気もする。

他力本願児さんから、ジャケットにもバリエーションがあるよというご指摘をいただいた。
裏ジャケット左下の"Special Thanks to the entire T.K. staff"の下に、"Personal Management : Henry Marx"という1行が加えられているものが存在するというのである。

Discogsで確認したところ、確かにそのようなジャケットが存在する。
こうしたクレジットの追加は、後から行われた可能性が高いとは思うが、最初あったものが何らかの事情で削除された可能性もないわけではない。

では、どっちだったんだろう?
ボクは、後から追記されたんだと思う。
つまり、二行表記がレイトだというのがボクの結論である。

根拠は3つある。
第一に、さっき話に出てきたレーベル上のマスター・ナンバーにRE1がついている盤のジャケットが二行表記である。
第二に、RCAレコードクラブ盤(レコードクラブ盤は、ヒットしたレコードから厳選したものだろうから、初回盤仕様ではないだろう。)が二行表記である。
第三に、セカンドの"Cat In The Hat"のインナースリーブには、"This Album is dedicated to Henry Marx"という記載がある。


20230317-05.jpg


と思ったら、反対の面には、そのまんま"Personal Management : Henry Marx"があるじゃないか。


20230317-08.jpg


とくに第三の根拠は、「最初あったものが何らかの事情で削除された可能性」を否定する大きな根拠になると思う。

ってことで、ボクは、初盤は1行表記説をとりたい。


このHenry Marxクレジット問題に絡んで、もう一つ気づいたことがある。
うちのUS盤のこの部分(つまり、裏ジャケ左下部分)のクレジット文字が、白文字ではなく、ピンク文字なんである。


20230317-06.jpg


えっ?わからない?
では、マクロ撮影してみよう。


20230317-07.jpg


赤点が確認できる。

Discogsの画像確認では、白文字が多い気がするが、断定することまではできない。
日本盤は一見したところでは、微妙にピンクっぽいとはいえ白文字のように見えるのだが、ルーペで見ると赤点が確認できるので、ピンク文字だ。
カナダ盤はルーペで確認しても完全に白文字だった。

断定はできないが、こういう微妙な細工をレイトで追加するというのも考えにくいので、おそらくピンク文字が初回ジャケットだと思う。


そんなわけで、ボビー・コールドウェルのファーストは、実に掘り甲斐があるレコードだと思うのだが、昔は1000円以内で買えたはずなのに、いまやけっこうなお値段になっている。
うちのはSTERLINGカッティングなので、Criteriaカッティング盤をもう一枚買おうかと思ったのだが、ちょっと挫けてしまった・・・

ちなみに、うちの盤のSTERLING刻印は9mm刻印である。


20230317-04.jpg


9mm刻印はジョージ・マリノ(George Marino)というのが、現時点でのボクの結論だ。
(詳しくは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2022-09-03 をどうぞ。)

日本盤やカナダ盤に比べると、ずっと鮮度の高い音で、実に気持ちよく鳴る。
ジョージ・マリノ、良い仕事をしているんである。

でも、やっぱり、Criteriaカッティング盤も聴いてみたいなぁ。

タグ:Bobby Caldwell
コメント(8) 
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コメント 8

他力本願児

またお邪魔させて頂きます。
レーベルは「雲」ですか、成程。
私はClouds「斜め」ロゴか「水平」ロゴかで見てました。

それで私は斜めを初期物と思って今まで聴いていました。
何故か?確かに1979Freddy Henryは水平ですが
我が家に有る1977Chi Coltrane/Road To Tomorrowが斜めなのでてっきり…。

SLK(Criteria)とSTERLING、どちらも斜めの物で持っていますが私には音の違いは判りません。
RE-1の物なんぞA面STERLING、B面SLKで何がなんやら。

ついでにジャケットにも違いが有りまして。
多くの物は裏左下に「Special Thanks~」との記載が有りますが
その下にもう1行「Personal Management: Henry Marx」と記載されている物が存在します。
後先に関係有るのか無いのか。
日本盤はソニー版、ポリドール版どちらも1行記載の様ですが。

惑わせてすみません。
by 他力本願児 (2023-03-18 04:07) 

想也

他力本願児さん

貴重な情報ありがとうございます。
レーベル・デザインをどう呼ぶか、いろいろ考えたんですが、小雲/大雲だと、ロゴの大小と雲の多少をダブル・ミーニングで表せて良いかなーと思ったのでした。

レーベル変遷的には、大雲→小雲で間違いないと思うんですが、ある時期からアメリカ全土でスパッと切り換わったわけではなくて、78年から80年まで混在していたんじゃないかという推測です。

ジャケ違いについては、気づいてませんでした。
確かに、Discogsでも確認できますね。
前後関係は、3つほどの根拠で推測したので、今日中に追記しますね。

by 想也 (2023-03-18 11:36) 

他力本願児

またお邪魔を。
「ファースト・プレスをイエロー・ビニールにした」と言うのは製品盤の初回プレスを黄色にしたんでしょうか?
プロモのみ黄色にしたんでしょうか?どうなんでしょう。

一応手元にある物のマトリクス周辺の記載を以下に。研究材料になれば。

Can't Say Goodbye 5:20物

1. 斜めロゴ SLK(Criteria) 不明
A面 in CL-8804~ 'A' (4) SLK SCIENCE *n ACTION
B面 in CL 8804~ 'B' (2) SLK

2. 斜めロゴ SLK(Criteria) サンタマリア(横向きS) 黄プロモ センターラベル下部にPromotional Copyの記載有り
A面 CL-8804~ 'A' (4) SLK SCIENCE *n ACTION S
B面 CL 8804~ 'B' (2) SLK S

3. 斜めロゴ SLK(Criteria) Monarch
A面 CL 8804-A (6) SLK △23478 ②
B面 CL 8804~ 'B' (6) SLK △ △23478-X ③

4. 水平ロゴ STERLING 不明
A面 CL- 8804-A STERLING
B面 CL-8804- B STERLING

5. 斜めロゴ SLK(Criteria) Rainbo
A面 CLOUDS ~ CL - 8804 'A' RR -2 SLK S-6222
B面 CLOUDS- CL -8804 'B' ~ RR-2- SLK S-6223

Can't Say Goodbye 3:40物

斜めロゴ STERLING, SLK(Criteria) Rainbo
A面 CL-8804-A-RE-1 S-6222 STERLING
B面 CLOUDS- CL -8804 'B' ~ RR-2- SLK S-6223

1番目のはセンターラベルがチョット怪しい。
4番目(想夜さんお持ちの物と同じ)同様テキスト部があっさりタイプ。

と、こんなとこです。
by 他力本願児 (2023-03-22 03:51) 

想也

他力本願児さん

貴重な情報ありがとうございます!
プロモは、税金関係で非売品表記をするでしょうから、イエローは初回限定盤だったんだと思いますよ。

サンタマリア産の西のプロモがCriteriaカッティングってことなので、STERLINGが先って可能性はなさそうですね。
東海岸だけSTERLINGで、ほかは全部Criteriaだったのかも。

あと、RE1って、"Can't Say Goodbye"がシングルバージョンに差し替えられてるんですね。
ってことは、1979年後半から1980年プレスでしょうか。

そういえば、ジャケはどうなってますか?
"Personal Management : Henry Marx"入りは白文字だと思いますが、"Personal Management : Henry Marx"なしでも白文字ってあるんですかね?

by 想也 (2023-03-23 01:57) 

他力本願児

放置プレーですみません。

真っ白ではありませんがほぼ白はあります。
わずかながら赤、黄の点がはみ出てはいるものの、ほぼ白。
個人的にはこの手の色味の違い、ズレ?等は個体差だと思ってます。
絵画のカタログ?の様な色に厳密にこだわって作られる物ほどレコードジャケットの印刷が厳格に作られているとは思えないので。

昔知り合いが某輸入レコード店でバイトしておりまして好きだったバンドの新作が500枚位入荷したのですが微妙な色違いが有り3枚だったか5枚だったか買った物を見せてくれたことが有りましたがとても、とても微妙。
まとまって入荷した500枚位のなかでの微妙な色違い。
個体差で良いんじゃない?1枚あれば良いんじゃない?と思った記憶が。
by 他力本願児 (2023-03-28 01:23) 

想也

他力本願児さん

いえいえ、お返事ありがとうございます(^^)
これ、背景がブラック一色なので、そこにマゼンタやイエローが使われているはずはなく、ほんのわずかでもマゼンタやイエローが残っていればピンクですし、色の濃淡とかは、ボクも個体差だと思います。
カナダ盤は完全に真っ白なんですよ。

ボクも、以前は、全部個体差で片付けていたんですが、印刷技術の知識を前提としてルーペで見ると、専門家ではないので断定まではできないんですが、個体差と仕様の違いはわかるかと思います。

by 想也 (2023-03-28 13:23) 

ニブ

こんばんは

STERLING と SKサインの聴き比べをしてみました。

どちらも大雲レーベルです。

「special to me」を比べてみましたが、STERLINGは重心が低くてベースやタムがよく鳴っていますね。SKは見通しが良くてヴォーカルや高音がキレイで晴れやかです。ブリッジの所ではSKでは各楽器がよく見えます。STERLINGはSKに比べるとほんの少し曇ってますかね。
比べなければ問題ないというレベルでしょうけど(笑)
「can't say goodbye」はこれは断然 STERLINGの3分ヴァージョンですね。SKの5分ヴァージョンはベースのスラップの鳴りが足りてないと思います。
by ニブ (2023-03-31 19:26) 

想也

ニブさん

聴き比べ報告ありがとうございました(^^)
Criteriaカッティング盤も良さそうですね。
私も見つけたら、買ってみようと思います。

by 想也 (2023-04-01 00:47) 

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