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そんな時代もあったのか? [国内盤研究]

先日のハードオフ&ブックオフめぐりでの収穫の紹介がまだ残っていた。
久しぶりだったせいか、大収穫だったのである。

今日紹介するのは、掘り出し物というわけではないものの、資料的にとても興味深いアイテムだ。
ハードオフのジャンク・コーナーには、たまにこんなものが紛れ込んでいる。


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シアリング・ムード・ラティーノ(The George Shearing Quintet, MOOD LATINO)のペラジャケに入っているが、中身は、表ジャケットにでっかく貼られたシールに書かれているものである。
東芝音工からリリースされたクリュイタンス(André Cluytens)指揮パリ音楽院管弦楽団のラヴェル(Joseph Maurice Ravel)『マ・メール・ロワ/高雅にして感傷的な円舞曲』で、レコード番号はSCA 1073だ。

シールには「見本盤」と印刷されているが、こんな状態であちこちに配布されるとも考えられないので、おそらくテスト・プレスだろう。
テスト・プレスの段階だと、まだジャケットが出来上がっていないことも多いので、プレーンのダイカット・スリーブとかに入っていることも多いが、別のレコードの(余った?)ジャケットを間に合わせに使ったりすることも(少なくとも東芝音工では)あったのね。

調べてみると、この演奏、1962年4月の録音らしい。
表ジャケットに貼られたシールの端っこに「38.11」とあるが、これが昭和38年11月という意味だとすると、昭和38年は1963年だから、録音の1年半後だ。
海外録音のクラシックが、当時、どのぐらいのタイムラグで日本盤リリースに至っていたのか、まったくわからないのだが、日本初回盤のテスト・プレスだろうか(SCA 1073の登録はDiscogsでも発見できなかった)。

当時の東芝音工のレコードは赤盤だったが、テスト・プレスも赤盤だったのね。


20220830-2.jpg


まぁ、そりゃそうか。
テストなわけだから。
なんだか、赤盤のテスト・プレスってだけで、持ってるのが嬉しくなってくるよね(それはビョーキだろー 笑)。

それはともかく、このレコードで、一番興味深かったのはこれである。


20220830-3.jpg


画像ではっきりと確認できると思うが、1Gと刻印されている(両面とも1Gで同じだ)。
UK盤と刻印場所こそ違うが、同じ意味なんだろうか?
「そんな時代もあったのかぁ・・・」と思ったのだが、いや、でも、違う意味かもしれないぞ。
何かご存知の方、ぜひ教えてくださいな。


クリュイタンスのラヴェルって初めて聴いたが(いや、クリュイタンス自体初めて聴いたが)、色彩感豊かなラヴェルの管弦楽曲が、実に美しく繊細に表現されていて、なんとも気品あふれる演奏だ。
ボクは、とても気に入ってしまったのである。

タグ:Andre Cluytens
コメント(2) 
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コメント 2

阪蔵

この時代の東芝やコロムビアでは余った(廃盤回収品?)別のジャケットを再利用して見本盤を配布するのが普通だったようです。当時はまだガリ刷りの見本盤ではなくテスト・プレスのようなラベルの見本盤であちこちに配布されていました。東芝の見本盤専用のダイカット・スリーブが使われるようになったのは60年代後半あたりからだと思います。
by 阪蔵 (2022-08-31 01:05) 

想也

えっ、この状態で配布してたんですか?(◎_◎;)

あっ、そうか。
この時代って、まだレコードは高級品で大量生産品じゃありませんから、大量生産時代に入ってからのプロモーション用見本盤みたいに、ラジオ局とかに配りまくるわけじゃなかったでしょうね。
というか、そもそも、ガリ刷りのプロモーションシートがついた見本盤の登場が、たぶん、プロモーション用見本盤の始まりでしょうか。

このクリュイタンスなんかは、発売月も記入されていませんから、裏ジャケットの解説をお願いする評論家とかに渡したものでしょうかね。
そういう配布なら、この状態でもまったく違和感ありませんし。

by 想也 (2022-08-31 14:13) 

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