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緑のチューリップ~チューリップ『夏色のおもいで』 [国内盤研究]


     ♪ きみをさらってゆく 風になりたいな
     ♪ きみをさらってゆく 風になりたいよ


『夏色のおもいで』という曲、WIKIによると、松本隆さんの作詞家としての初めての仕事らしいが、このサビのインパクトたるやとんでもないな。

こんな恋はしたことがないが、一度くらいはしてみたかったかもしれない(笑)


って、そんなことより、シングル盤の話である。

1973年10月5日にリリースされたチューリップ『夏色のおもいで』(EXPRESS ETP-2906)のシングル盤のPSには、二つのバリエーションがある。


20210328-1.jpg


チューリップの文字が緑のものと黄色のものがあるのだ。
レコード番号ETP-10120の再発盤は黄色しかないので、当初緑だったものが黄色にかわったということは間違いないとして、問題はいつどうして変更されたのかである。

「どうして」の部分は推測するしかないのだが、見比べてみると、緑のほうは目立たないし全体的な色バランスもよくないので、そのあたりに理由があったような気がする。
そもそも、チューリップは「あか、しろ、きいろ」であって、緑なんてないだろう。
と思ったのだが、試しにググってみたら、緑のチューリップというのもあるらしい(笑)
でも、やっぱり、チューリップといえば、あか、しろ、きいろよね。

ってことで、この緑文字のPS、実は間違いだったんじゃないかとボクは推測している。
チューリップの文字は黄色指定だったのだが、間違って緑で刷られてしまったんじゃないかと思うのである。
間違いだったのだが、時間の関係か予算の関係か、作ってしまったものはそのまま使ってしまった。
だから、発売日には、緑文字PSと黄文字PSはどちらも店頭に並んでいたんじゃないだろうか。

というのも、ボクの持っている二枚には、ほぼ前後関係がないからである。
まぁ、PSが入れ替えられた可能性がないわけではないので断定はできないのだが。

このレコードがリリースされた1973年10月5日というのは、かなり微妙な時期である。
『心の旅』の記事の中でも触れたことだが、東芝は、キャピトルEMIの資本参加によって、1973年10月1日に、東芝音楽工業から東芝EMIへと改称したからだ。

つまり、『夏色のおもいで』は、東芝EMIから10月5日にリリースされたのだが、製造されたのは9月以前の東芝音楽工業の時代なのである。

PSは最後に製造されたらしく、どちらも東芝EMI表記である。


20210328-2.jpg


CSはどちらも東芝音楽工業時代のものだ。


20210328-3.jpg


まぁ、CSについては、東芝EMIのものがまだできてなかったのかもしれないし、大量に余っている東芝音楽工業時代のものを捌く必要があったのかもしれない。


しかし、レーベルまでどちらも東芝音楽工業というのは、いかがなものか・・・


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まぁ、どっちもPMから9月製造であることがわかるので、製造した時点の名称は確かに東芝音楽工業ではあったのだが・・・

ちなみに、緑文字PSのほうのPMはこうなっている。


20210328-5.jpg


3-9Tということは、東洋化成プレスである。
『心の旅』の大ヒットがあったので、自社プレスだけでは間に合わなかったのだろう。


黄文字PSのほうのPMはこうなっている。


20210328-6.jpg


3-9なので、こちらは東芝の自社プレスだ。

マトを見ても、いずれも東芝カッティングで、緑文字PSのほうが1S2 16/1S 10なのに対して、黄文字PSのほうが1S2 12/1S 16とほとんど差がない(Side 1は黄文字がほんの少しわかくて、Side 2は緑文字がほんの少し若い)。

そんなわけで、発売日には、緑文字PSと黄文字PSのどちらも店頭に並んでいたんじゃないかと思うのである。

ちなみに、カッティングは同じでもプレス工場が違うと微妙に音が違うが、それはUS盤の工場違いと同じで好みの問題だ。
オリジナルはどっちかと言えば、そりゃ東芝自社プレスなんだろうけどさ。

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