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80年代USワーナーの罠 [アナログ・コレクターの覚書]

先日、なんとなくヤフオクを見ていたら、思わず目が点になってしまったことがある。

1979年にリリースされたリッキー・リー・ジョーンズ(Rickie Lee Jones)のファースト・アルバムのオークションだったのだが、USオリジナル「両面マト1完全初回」という謳い文句で出品されていたのが、なんと80年代半ばの再発盤だったのだ。

まぁ、確かに、再発でカッティングしなおされて両面マト1にはなってるんだが、ぜんぜんまったくこれっぽっちも初回ではない(笑)

USワーナーは、1983年頃にレーベル・デザインを変更した。
リッキー・リー・ジョーンズで言えば、サード・アルバムの"The Magazine"から新しいデザインのレーベルが使用されたのだが、「両面マト1完全初回」という謳い文句でヤフオクに出品されていたファースト・アルバムのレーベルは、この"The Magazine"と同じデザインだったのである。
初回であるはずがない。

もっとも、このUSワーナーの80年代半ばのレーベル・デザイン変更には、ちょっとした落とし穴がある。
日本盤のレーベル・デザインは本国と同時には変更されなかったからである。

たとえば、"The Magazine"で言えば、USオリジナルは、下部のワーナーロゴがなくなり、横線が消えて、大きな透かしロゴが散りばめられた、新しいレーベル・デザインである(便宜上「透かしレーベル」と呼ぶ)。

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それに対して、日本盤は、下部にワーナーロゴがあり、横線の入った、従来のレーベル・デザインである(便宜上「ノートレーベル」と呼ぶ)。

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日本盤のレーベル・デザインのイメージが頭にこびりついていると、レーベルによるUSオリジナルの判断の際に混乱してしまう危険性がある。
「これ透かしレーベルでよかったっけ?あれ?でも、もっと後までノートレーベルだった気がするなー」なんて、せっかく発見した初盤をレイトだと思ってリリースしちゃったりね。
「80年代USワーナーの罠」である(笑)
(いや、ただの思いつきのオヤジギャグです、すみませんσ^_^;)

いずれにせよ、USワーナーは1984年には、透かしレーベルにデザインを変更している。
有名なところでは、1984年1月9日にリリースされたヴァン・ヘイレン(Van Halen)"1984"のUSオリジナルが、すでに透かしレーベルである。

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では、透かしレーベルに切り替わったのは、正確にはいつなのか?
キリよく1984年から切り替わったのか?
それとも、1983年中のいつかの時点で切り替わったのか?

こういうときにわりと便利に使っているのが、GoldmineのRecord Album Price Guide(第3版)だ。Introductionの中にRecord Label Identifierという項目があり、16頁にわたって、主だったレーベルの変遷が非常に簡単にではあるがまとめられている。

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ってことで、早速ワーナーのところを見てみると、ノートレーベルが「1978-83?」で透かしレーベルが「1983?-present」となっている。
どうやら、「1983年中らしいが、よくわからん」ということらしい。

第3版が出版されたのが2003年、すでに15年も経っている。
「もしかして、新しい版には、いろいろ研究が進んで新しい情報が盛り込まれてるかも?」なんて思ったら、いてもたってもいられなくなって、昨年出版された第9版を買ってしまった。

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ところが・・・

Record Label Identifierという項目は、きれいさっぱり消えてなくなっている。

役に立たねー(涙)

もうこうなったら、わが家のレコード棚とDiscogsのデータベースを地引網探索である。

そんなこんなで、ここにたどり着いた。

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ロッド・スチュワート(Rod Stewart)"Body Wishes"が1983年6月10日リリースでノートレーベル。

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カーリー・サイモン(Carly Simon)"Hello Big Man"が1983年8月31日リリースで透かしレーベルである。

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ってことで、1983年7月あたりが境目になりそうな気がするんだが、どうだろう?

レコードって、リリース年はわかってもリリース月まではわからないものが多かったり、必ずしもカタログ番号順にリリースされているわけではなかったりするので、いろいろ難しいのだが・・・

ちなみに、ジョー・ウォルシュ(Joe Walsh)" You Bought It - You Name It"(うちのレコード棚にはありませんσ^_^;)が1983年10月9日リリースなのにノートレーベルだったりして、7月説と矛盾してしまうのだが、カタログ番号的にはカーリー・サイモンの"Hello Big Man"より前なので、プレス自体は7月までに終っていたもののリリースだけが遅れた(遅らせた?)のだと考えると、一応矛盾なく説明できる気はする。

さて、真相やいかに?

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