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Wynton Kelly, Kelly GreatのUSステレオ・オリジナルのこと [アナログ・コレクターの覚書]

先々週、レコード・コレクターズ11号を買いにいったレコード店で、1960年にVee Jay Recordsからリリースされた(録音は1959年8月)ウィントン・ケリー(Wynton Kelly)"Kelly Great"のUSステレオ盤を手に入れた。


20171022-1.jpg


コーティングの美しい(写真にコーティング感が出ていないのはカメラの腕のせいです 笑)ジャケットは、オリジナルの風格を醸し出しているが、これは初盤ジャケットではない。

なぜなら、上部のアルバム・タイトル"Kelly Great"の"Kelly"と、下部に筆記体で書かれた"Wynton Kelly"の"Kelly"のいずれもが、初盤ジャケではスペルを間違って"Kelley"となっているからである。
ボクの手に入れたものは、写真の通り、正しく"Kelly"となっている。

そもそも、レコード番号も違っている。
このレコード、初盤はモノラルがVJLP-1016で、ステレオがVJSR-1016だが、1960年中に、モノラルがVJLP-3004、ステレオがVJSR-3004にレコード番号を変更して再発されている。
ボクの手に入れたものはVJSR-3004なのである。

レーベルも変更されていて、初盤はモノラルがマルーン、ステレオがシルバー(Discogsにはゴールドと書いてあるが画像がないし、LondonJazzCollecorのHPにはシルバーの画像が出ているので、シルバーとゴールドの関係自体もよくわからないが、シルバーということにしておく)だが、再発では、モノラル・ステレオともにレインボーリム楕円ロゴの黒レーベルとなる。
ってことで、ボクの手に入れたもののレーベルはこれだ。


20171022-2.jpg


DGがないから初期盤でもないだろーって声も聞こえてきそうだが、DGはプレス機由来なので、60年代になると、プレス時期よりは、旧型のプレス機でプレスされたか新型のプレス機でプレスされたかの違いにすぎない場合もある。
仮に新型のプレス機ってのがステレオ盤のプレス用に導入されたとすると、ステレオ盤の場合には、むしろDGがないほうがいいってこともあるんじゃないかと思ったりもする。
だから、DGなしでいいのである(笑)

ってことで、ジャケット・レコード番号・レーベルの三点セットで、セカンドプレスに認定である。
当時のジャズ・レコードのステレオ盤のプレス枚数から考えて、セカンドプレスの初期盤は、音質的にはほとんどファーストプレスと変わらないだろう。

Vee Jayのレーベルは、1963年には、ロゴデザインが括弧ロゴに変わるので、ボクの手に入れたものは1960年から1963年の間にプレスされたものである。
ステレオ盤ということも合わせて考えれば、初期プレスと認定していいんじゃないかと思う。
ってことで、音質も、ファーストプレスとほとんど変わらないに違いない。

しかも、前に"Kelly At Midnite"のことを話題にしたことがある(WYNTON KELLY: KELLY at midnite)が、Vee Jayの当時のステレオ録音て、かなり力が入っていて凄いのである。

このレコードの裏面には、"SOUNDATA"と題されたクレジットが、ステレオ録音にいかに力を入れているかを誇示するかのようにデカデカと掲載されている。


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実際、かなり凄い音がする。
ジャケに難ありの部分もあったせいで格安だったので、実に良い買い物だったと思う。


しかーし、ボクは気づいてしまったのである。
(やっぱり、そういう展開か!って声が聞こえてくるなぁ 笑)

何に気づいたかと言えば、「ファーストプレスとほとんど変わらない」とは言えないということに気づいてしまったのである(涙)

レーベル写真を見ていただければわかるように、このレコードのマスター番号は60-1346/60-1347である。
このスラッシュの前の60は、マスタリングをした年を表しているんだと思う。

ところが、ボクの手に入れた盤のRunoutを見ると、Side 1にはST-61-1346とある(Side 2はST-60-1347で間違えていない)。
60を61と間違えるというのは、カッティングが60年に行われているとすると、ちょっと考えられない。カッティングした時点で61年になっていなければ、61と間違えることはないだろう。

そう思って、Runoutをよく見てみると、薄く次のように刻まれている。

Side 1 8-4-61
Side 2 8-9-61

これ、どう考えても、Side 1は61年8月4日に、Side 2は61年8月9日にカッティングしましたってことだよねぇ。。。


なんてことだっ!
ボクの手に入れたセカンドプレスは、リリース翌年にリカッティングされた盤だったのだっ!

しかし、当時のステレオ盤なんてほとんど売れなかっただろうし、何故こんなにすぐにリカッティングなんてしたのか、まったく見当がつかない。

最初のカッティングに重大な欠陥でも見つかったんだろうか?
そうだとすると、Side 1のST-61-1346も間違いではなく、61年にリマスタリングー場合によってステレオリミックスもありうるか?―が行われてマスターテープ自体が更新されていた可能性だってある。

うーん、ステレオ初盤が聴いてみたいなぁ。

何かご存知の方、ぜひ教えてくださいな。

タグ:Wynton Kelly
コメント(2) 
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コメント 2

hirara

私も以前にKelly GreatのUSステレオ盤を手に入れていたので、
興味深く拝見させていただきました。
私のLPは レーベルがAll-black/VJ bracket (circa 1964) (LondonJazzCollecor HP)
ですのでかなり後の再発と思われます。ただ、61-1346がレコードA面余白に刻まれています。B面にはありません。
レーベルにVJLP-3004 60-1346 / 60-1346ジャケット表 LP 3004 裏 VEE JAY LPS 3004となっています。STEREOPHNICの黄色い記載がないのですが、ステレオ盤です。
(日本盤再発のモノ盤も所有しています。)
KELLY at midnightのUS盤もいっしょに購入したのですが、レーベルデザインは同じで再発です。見たところ、AB面のレコード余白にST-60-1502 ST-60-1503と刻まれています。
よくわかりませんが、(レコード特有のノイズ等はあっても)ステレオ盤はどちらも良い音だと思います。Kelly GreatはCDステレオ盤を探していたのですが、発売されてなかったように思いますが、どうなんでしょう。
自分のレコードを引っ張り出して見直すいい機会をありがとうございました。

by hirara (2018-08-24 18:10) 

想也

hiraraさん、はじめまして(^^)
情報ありがとうございます。

おっしゃる通り、うちのKELLY at midnightもRunoutにST-60-1502 /ST-60-1503とあります。
ついでに、薄く8-1-61/8-9-61とあるのを発見してしまいました。
これがカッティングの日を表すとすると、Kelly Greatのセカンドプレスとほぼ同時にカッティングされていることになります。
こんなことがあるんですねぇ。。。
ちょっとビックリです。

CDのことは、まったく考えたことがありませんでした。
というか、CDは当然にステレオだと思っていたんですが、違うんですね。
Discogs見てもわからないので、ツイッターできいてみます。
by 想也 (2018-08-24 21:42) 

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