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The Wailers, Catch a FireのUKオリジナル(続報) [Bob Marley]

先週の記事では、ザ・ウェイラーズ(The Wailers)のメジャー・デビュー・アルバム"Catch a Fire"のUKオリジナルのレーベル変遷がカオスに陥っていることを明らかにしたのだが、その後、有賀幹夫さん、タカツさん、ランブリンボーイズさん、kossさんから情報をいただき、さらに、ヤフオク出品にDiscogs未登録のバリエーションを確認した。

まず、いただいた情報を含めて、パブリシャー表記によるレーベル・バリエーションを整理しておこう。

Side 1には、次の4つのバリエーションがある。
①1.3.4.Tuff Gong Music(ASCAP) 2.5.Copyright Control
②1.3.4.Rondor Music (L) Ltd. 2.5.Copyright Control
③All Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.
④Published By Rondor Music (L) Ltd.(③のAll Tracksがとれたバリエーション)

Side 2には、次の4つのバリエーションがある。
①1.Tuff Gong Music(ASCAP) 2.3.4.Copyright Control
②1.Rondor Music (L) Ltd. 2.3.4.Copyright Control
③All Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.
④Published By Rondor Music (L) Ltd.(③のAll Tracksがとれたバリエーション)

ピンク・リム・レーベルの次の1975年から使用されるブルー・リム・レーベルになると、Side 1もSide 2もともに④のバリエーションしかないので、これが変遷の最終形であることは間違いない。

その前にAll Tracksが付くバリエーションがあるのは、当初、楽曲の一部の出版権が未確定でCopyright Controlだっただめだろう。
一部のみだったRondorの出版権が全曲に及ぶことになったので、All Tracks~という表記になったというわけだ。

最終的にRondorがすべての楽曲の出版権をもつことになるわけだし、Tuff Gong Musicは(ASCAP)という表記からもわかるようにアメリカの出版社だから、①→②と変遷したと考えるのが合理的なので、ボクは、次のようにレーベルが変遷したのだと考えた。

1 Side 1 ① / Side 2 ①
2 A:Side 1 ① / Side 2 ② または B:Side 1 ② / Side 2 ①
3 Side 1 ② / Side 2 ②
4 A:Side 1 ② / Side 2 ③ または B:Side 1 ③ / Side 2 ②
5 Side 1 ③ / Side 2 ③
6 Side 1 ④ / Side 2 ④

で、前の記事のときに実在が確認できていたのが、2B、3、4B、5、6だったので、1→2B→3→4B→5→6と変遷したのだと思った。

2Aは、先にSide 2のCopyright Controlが消えたことを意味しているのに対して、2Bは、逆に、先にSide 1のCopyright Controlが消えたことを意味しているから、両者は同時に存在し得ない。
2Bがあるなら、2Aは存在しないはずなんである。

しかし、ヤフオクの出品に2Aのバリエーションを発見してしまった。
2Aと2Bが同時に存在するということは、もはや、2Aも2Bも変遷のプロセスの中に位置づけられるものとは考えられない。
レーベルは、1→3と変遷したんだと思う。
で、3の時期に、残余レーベルの①を使用したのだ。
だから、2Aと2Bがともに存在するんである。

そう考えていたところに、タカツさんとランブリンボーイズさんから、まったく予想外の情報をいただいた。

タカツさんからいただいた情報では、レーベルのバリエーションが5(両面とも③All Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.表記)なのに、マザー/スタンパーは1A/1Tだというのだ。
一桁スタンパーの盤のレーベルが5ってことは、初回盤レーベルが5だったってことか?

さらに、ランブリンボーイズさんからは、1のバリエーション(両面ともTuff Gong&Copyright Control)の情報をいただいた。
やはり存在したのである。


CatchAFireSide1.jpg
CatchAFireSide2.jpg


しかし、マザー/スタンパーは、それこそ1G/1Gかと思いきや、1RA/1RRだというのだ。
Side 2はうちのより微妙に若いが、Side 1はうちのより進んでるじゃないか。
要するに、うちのと似たようなマザー/スタンパーなんである。

ってことは、最初の推理を根本的に考え直さないといけないのか?
でも、合理的に考えれば、やっぱり、1→3→5→6(つまり両面同時に①→②→③→④)と変遷したとしか思えない。

そうだとすると、考えられるのは、「レーベルの製造順と使用順が一致していない」という可能性である。
つまり、レーベルは、①→②→③→④の順に製造されたのだが、③から使用されたということだ。

最初、既発表の曲については出版権をTuff Gong、新曲についてはCopyright Controlとするレーベルを作った。
ところが、思ったより早く英国での出版権をRondorが獲得した。
そこでTuff GongをRondorに変更するレーベルを作ったが、実は全曲についてすでにRondorが出版権を獲得していた。
そこで、すぐさま全曲の出版権がRondorにあるというレーベルに作り直した。
③All Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.のレーベルは、初回プレスが行われる前に出来上がっていたのだと思う。

ってことで、①のレーベルも②のレーベルも、初回プレス前に作られた未使用レーベルだったんじゃないだろうか。
だから、初回盤は両面とも③のレーベルでプレスされた。
思った以上の売れ行きで、すぐさま追加プレスが行われることになって、レーベルが足りなくなった際、未使用レーベルの①とか②とかがどこかから出てきて、パブリシャー表記なんてあまり気にしないで使ってしまった。

そう考えると、うちにあるSide 1が①でSide 2が③というレーベルも、無理なく説明できる。

現時点で集まった情報を矛盾なく説明するためには、このように考えるしかないんじゃないかと思うのだがどうだろう?

結論的には、初回盤は、両面ともAll Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.表記のレーベルということになる。
で、ごく初期の追加プレスで、廃棄予定だった①や②のCopyright Control併記の未使用レーベルが使用されてしまった、ということなんじゃないかと思うのである。

あまりにもカオスすぎて、他の説明はまったく思いつかない(笑)

ちなみに、①や②のCopyright Control併記の未使用レーベルが使用された後に、あるいは、同時に、あらたに追加で作られたAll Tracks Published By Rondor Music (L) Ltd.表記のレーベルでのプレスも行われたと考えられるので、最初に示したレーベル変遷の表の1から5までは、全部ファースト・プレスでいいんじゃないかと思うんだけど、どうだろう?

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