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リイシューじゃないわい!~Barbara Acklin, Seven Days of NightのUSオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

毎年RSDは蚊帳の外で、今年も例外ではなかったのだが、なんとなくきまぐれに、どんなアイテムがリリースされたのかチェックしていたら、7月17日発売ものの中に見覚えのあるジャケットを見つけた。
バーバラ・アクリン(Barbara Acklin)の"Am I the Same Girl"と、同曲のインスト・バージョンで先行リリースされてヒットしたヤング・ホルト・アンリミテッド(Young Holt Unlimited)の"Soulful Strut"をカップリングした7インチである。

この「奇跡のカップリング」には、バーバラ・アクリンが1969年にリリースしたアルバム"Seven Days of Night"(もちろん、"Am I the Same Girl"も収録されている)のアートワークが、文字部分だけ差し替えられて使用されていた。

"Seven Days of Night"ならUSオリジナル(Brunswick ‎BL 754148)を持っている。
ってことで、久しぶりに引っ張り出して、聴いてみた。


20210809-1.jpg


ソウルには詳しくないので、内容については語れない(笑)
このレコードを手に入れたのも、RSDアイテムとしてリリースされた"Am I the Same Girl"が収録されている(この曲は、スウィング・アウト・シスター(Swing Out Sister)によるカバーで知っていた)ことと、USオリジナルっぽかったというだけの理由なのである。
あっ、あと、バカラック/デヴィッドの"This Girl's in Love with You"をやっているというのもあった。
"This Girl's in Love with You"、好きなんだよねぇ。

音の方は、曲によってかなり印象が違って、ボーカルにエコーがかかっている曲は時代を感じはするもののなかなか良い音だが、ボーカルにあんまりエコーがかかってない曲は、なんだか少々もっさりした印象だ。
とはいえ、これは録音あるいはミックスの問題っぽいので、マトは機械刻印で末尾両面2だったが、うちの盤も初回盤と考えてよさそうな気がしていた。

しかし、Discogsで確認すると、うちの盤はリイシューだと書いてある。
正確に言うと、US盤については、プロモ、オリジナル、リイシューの3種類の登録があるのだが、プロモは黄色の専用レーベルなので別として、オリジナルとリイシューではレーベルがちょっと違っていて、うちの盤のレーベルは、リイシューとして登録されている方のレーベルと同じだった。
とはいえ、見分け方はまったく書かれていない。
書かれてはいないが、どんなに見比べてもレーベルの違いしか発見できなかったので、この曲名の横にタイムと著作権管理団体が表記されたレーベルを、Discogsではリイシューとしていると考えざるをえない。


20210809-2.jpg


しかし、それは納得がいかない。

まず、オリジナルとして登録されているもののマトは両面3だが、うちのは両面マト2である。
そして、プロモも両面マト2である。
マト的にはリイシューっぽくない。

それに、レーベル画像にSide 2を選んでいるところからすでに気づいている方もいるかと思うが、Discogs上でオリジナルとされている盤とリイシューとされている盤は、工場違いなのである。

うちの盤の工場識別記号の部分を拡大してみよう。


20210809-3.jpg


米Brunswickはレーベル・デザインから推測できるように米Decca系で、米Decca盤同様、Side 2のマスター番号の後に工場識別記号が付く(詳しくは、初盤道第6回@レコード・コレクターズ2017年10月号をご覧ください)。

レコード番号下のマスター番号7-11955の後の◉という記号は、デッカの第一工場であるGroversville(東部)でプレスされたことを表している。
一方、Discogsでオリジナルとして登録されている盤のSide 2のレーベルを見ると、マスター番号の後の記号は◆だと確認できる。
これは、Pincknyville(イリノイ州なので位置的には中部だが、西部向けもここでプレスされていたようだ)でプレスされたことを表している。
さらに言えば、プロモ盤のSide 2にも◉が確認できるのでGroversvilleプレスだが、レーベルデザインこそ独自であるものの、曲名の横にタイムと著作権管理団体表記がある点はうちの盤と同じだ。

つまり、Groversvilleプレスのレーベルには曲名の後にタイムと著作権管理団体表記があり、Pincknyvilleプレスのレーベルには曲名しかないというだけなんだと思う。

最後に、状況証拠をもう一つ。
Discogs上にオリジナルとして登録されているものにはCSが附属していることが確認できるが、同じCSがうちの盤にも附属していた。


20210809-4.jpg


このCSには、"Seven Days of Night"よりも後のレコード番号のレコードは一枚も掲載されていない。
したがって、初回盤に付属していたCSと考えて差し支えないと思う。

ってことで、うちの盤はリイシューじゃないわい!

タグ:Barbara Acklin
コメント(2) 
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コメント 2

koss

想也さん
以前からずっと欲しかったこのレコード、私も手に入れました。
promoの黄色ラベルです。CSは白のプレーンでしたが、マトは両面2でした。
間違いなく宗也さんのはオリジナルですよ。
Discogsも最近?を感じることがたまにあります。
このような検証とてもためになり、好きです。

このレコード、気持ちのいい音で、Lady Soulの名盤に入れてもおかしくないと思います。
by koss (2021-12-14 12:30) 

想也

kossさん

ありがとうございます(^^)
Discogs情報は鵜呑みは禁物かと思いますので、合理的に考えて矛盾がないものだけ信用するようにしてます~
今後も、気が付いたら記事にしていきますので、よろしくお願いします。

Seven Days of Nightのプロモ盤とは良いですね。
うらやましいです。
by 想也 (2021-12-14 19:56) 

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