SSブログ

A Kind of HushのUSプロモ盤 [Carpenters]

カーペンターズ(Carpenters)"A Kind of Hush"(日本盤タイトルは『見つめあう恋』)のUSオリジナルを取り上げたしばらく前の記事で、プロモ盤を見つけて発注したという話をしたが、その後まったく報告していなかったので、今日はその報告である。

プロモ盤は、発注後10日ぐらいで無事到着した。


20200301-01.jpg


ジャケットの表、向かって左下隅にプロモ盤であることを示すステッカーが貼ってあり、右上隅にはプロモ・ホールがある。

インナースリーブについては、うまく折られていると、このプロモ・ホールの被害から逃れられることがあるって話を前にしたことがあるが、このレコードのインナースリーブは厚紙製で、折られることはまったく考えられていない。

つまり、当然に、プロモ・ホールの被害は及ぶのである。


20200301-02.jpg


ジャケットやインナースリーブの色味は、前回取り上げた2枚との比較では、ジャケットはナチュラル系だったのに対して、インナースリーブは赤味が若干強めという感じで、どうにも中途半端である(笑)

結局、このジャケットやインナースリーブの色味の違いは個体差の可能性が高い気がする。

レーベルについては、カスタム・レーベルのせいか、ホワイト・レーベルではなく、通常のカスタム・レーベルに"NOT FOR SALE"という黒文字が印刷されたものだ。
”PROMOTION COPY"といった記述はない。

この”NOT FOR SALE"は両面に印刷されている。


20200301-03.jpg
20200301-04.jpg
(Side 1にシールの剥がし後のようなものがあるのがちょっと残念。)


カスタム・レーベルの場合、そのカスタム・レーベル自体もプロモーションの材料になるだろうから、ホワイト・レーベルを使わないで、通常盤のカスタム・レーベルにプロモ盤であることを示す"NOT FOR SALE"などの記述を印刷で追加したり、シールを貼ったりして示すということには、合理性がある。

この場合、通常盤をプロモ盤として使ったというより、徹頭徹尾プロモ盤として作られたが、レーベルには通常盤のカスタム・レーベルが使用されたというのが、正しい理解だと思う。

もちろん、通常盤をプロモ盤として使った例もないわけでないだろう。
そうだとすると、どちらであるかを区別するのは、外観上は難しい。
聴いてみて、鮮度が一つ上ならば正真正銘のプロモ盤、通常盤と変わらなければ通常盤の転用プロモ盤というところだろうか。

いずれにせよ、この手のカスタム・レーベルを使ったプロモ盤というのがUS盤には割と存在するので、ホワイト・レーベル・プロモ(White Label Promo)=WLPと区別する意味で、カスタム・レーベル・プロモ(Custom Label Promo)=CLPと呼ぶことにしたい。
あくまでこのブログでの呼び方であって、一般的な呼び方ではない(笑)

さて、今回入手したものが正真正銘のCLPだったのか、それとも単なる通常盤のプロモ転用なのかだが、これがなかなかに判断が難しい(笑)

最初に聴いたときには、「流石の鮮度!」と感じたのだが、以前から持ってたもののうち鮮度の高い方と比較してみると、確かに違うことは違うのだが、そこまで大袈裟には違わないのである。

以前から持っていた盤(鮮度の高い方)はマトT2/P5という「ピットマンかテレホートかどっちのプレスなんじゃいっ!」というものであったのに対し、今回手に入れたのものは、モナーク・プレスのマト両面M3だった。

Discogsにもモナーク・プレスについてはマトM3より若いものは出ていないが、マトM1やM2も存在するのかもしれない。
まぁ、この時期のマトについては、仮に複数の種類があったとしても同時に切られてたんだと思うが。

とりあえず、「マトT2/P5盤もかなりの初期盤なので、真正プロモ盤とそんなに違わない」という仮説のほうを信じておくことにしたい(精神衛生上の問題です 笑)。
もちろん、「通常盤転用プロモ盤なので、通常盤とそんなに違わない」(モナーク・プレスなので若干鮮度が高いだけ)という可能性もあるんだけどね(笑)

さて、話はかわるのだが、今回入手したプロモ盤、裏面にこんな書き込みがある。


20200301-05.jpg


シングル・カットされた曲に#数字なので、ヒットチャートの最高位を示すことは想像に難くない。
その前は日付なので、シングル・リリースされた日付か、ヒットチャート最高位を達成した日付のいずれかだろうと推測される。

ところが、実際調べてみると、これがズレているうえに混乱していておもしろい(笑)

ジャケ裏の書き込みでは次のようになっている。

There's a Kind of Hush #12 2-28-76
Goofas #56 9-4-76
I Need to Be in Love #25 6-12-76

この最高位は、下記ページで確認できるbillboard HOT100のそれと一致している。

https://www.billboard.com/music/carpenters/chart-history

この最高位到達日を上記ページで確認すると、下記のようになっている。

There's a Kind of Hush #12 4-24-76
Goofas #56 9-25-76
I Need to Be in Love #25 7-24-76

”Goofas"は微妙なズレだが、他の2つはズレすぎだ。

ってことで、Wikiでリリース日のほうを確認すると、下記のようになっていた。

There's a Kind of Hush 2-12-76
Goofas 6-11-76
I Need to Be in Love 5-21-76

こっちは、"There's a Kind of Hush"と"I Need to Be in Love"のほうは微妙なズレだが、"Goofas"はズレすぎである。

リリース日にせよ、チャート最高位到達日にせよ、多少のズレがあって確定できないというのもおもしろいが、その点を多少のズレはあるとして見逃してやると、この書き込み、"There's a Kind of Hush"と"I Need to Be in Love"についてはリリース年月日を、”Goofas"についてはチャート最高位到達日を示していることになる。

ボクが興味をもつのは、その点だ。
チャート最高位の隣に同じように日付が書き込まれているのに、意味が違う。
どうして、こんなことが起こったんだろう?

最初は、書き込まれた時期が違う(つまり、”Goofas"のみ後から書き込まれたのだが、そのとき、隣の日付をチャート最高位到達日だと誤解したのでこうなった)のかと思ったのだが、これ、違う時期に書き込まれたようには思えない。
いずれも鉛筆書きであるうえに、筆跡的にも明らかに同一人物によるもので、何かの準備のために一気に書いたものにしか見えないのである。

そうだとすると、「日付の意味が曲によって違うが、それで間違っていない」と考えるのが合理的だ。

ここからは完全な妄想だが、これは、ラジオ局が1976年の9月頃にカーペンターズの特集番組を組んだときに、その準備のために書き込んだものなんじゃないだろうか。

つまり、次のような曲紹介を想定した準備の書き込みだったんじゃないかということだ。
「今年2月28日にリリースされ、最高位12位に達した"There's a Kind of Hush"」
「今年6月12日にリリースされ、最高位25位まで達した"I Need to Be in Love"」
「現在ヒットチャート上昇中で、9月4日時点で54位の"Goofas"」

まぁ、完全な妄想だけどね(笑)

書き込みひとつで、こんな妄想を展開できてしまうというのも、アナログ収集の醍醐味だよねぇ(そうか?)

タグ:Carpenters
コメント(7) 
共通テーマ:音楽

コメント 7

中條和彦

すみません ここに書くコメントじゃないんですけどプロモということで書かせてください
先日DユニオンでソングフォーユーのUSオリジナル盤がシールドでありました
マト確認できないので躊躇しました(値段も含めて)が状態の良いのが欲しかったので度胸一発買っちゃいました
届いてびっくりモナークプレスM1のプロモ盤でした
鮮度最高でカレンの歌声に涙してます
ビートルズのレア盤大金叩いてまあそれなりに満足してますが、このソングフォーユーは私の神盤として君臨しております
by 中條和彦 (2020-06-01 21:59) 

想也

中條さん

"A Song for You"のモナークプレスのプロモ盤とは羨ましいです。
うちにもM1はありますが、プロモだとまた一段と鮮烈な音だと推察します。
いいですねぇ。
おめでとうございます!(^^)
by 想也 (2020-06-02 19:38) 

中條和彦

ありがとうございます
コロナ騒ぎの中で起きた我が家(喜んでいるのは私だけですが)の奇跡です
しかしM1持ってるのですね さすがです
より一層他の盤のM1も欲しくなっちゃいました
by 中條和彦 (2020-06-02 21:04) 

中條和彦

こんにちは 私も先日この盤のM3入手しました 通常盤ですがマト以外にも手書きでA面は20973(10) B面には20973X(13)と書いてあります
プロモ盤にもありますか? 
これやはりAでしたら10番目に作られたスタンパーということですかね???
by 中條和彦 (2020-06-05 18:59) 

想也

中條さん

Δ OOOOO(Oは数字でSide Bは最後にXがつく)というのは、モナーク工場でメッキ処理の際にふられる番号で、その後のカッコの数字が、マザー番号なのかスタンパー番号なのか、それとはまた別の番号なのかは、わかりませんが、やはり数字が若いほうが、メッキ処理が先に行われているのだと思います。
うちのプロモはSide Aが(3)でSide Bが(5)でしたが、他のアルバムのWLPでもそのぐらいの数字のがありました。まぁ、でも、WLPだとだいたい(1)か(2)のことが多いですが。
でも、そこを気にするのはほどほどにしないと、大枚叩いてテストプレスを手に入れないと満足できなくなっちゃいますよw

by 想也 (2020-06-05 22:29) 

中條和彦

こんにちは
やはり順番なんでしょうね

仰るようにあまり気にしすぎるのは良くないとは思ってます
大きな違いはないだろうし、
同じマトでの差がわかってしまうほどの耳・再生環境にはないですから....
あまり東京行く機会もないのと、通販だとここまで調べて買うのも難しいから、わかる範囲で極力若いマト選びと盤質に重きを置いて値段を加味してのスタンスです
しかしカーペンターズはUS盤につきますね 
UK盤も興味ありますが!
これからもブログ楽しみにしてます
ありがとうございました

by 中條和彦 (2020-06-06 17:48) 

想也

中條さん

カーペンターズのUS盤は、バーニー・グランドマンが力入れてカッティングしてますからね(^^)

こちらこそ、ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。

by 想也 (2020-06-07 09:28) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント