Joni Mitchell, Court and SparkのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]
さて、考レコ学※クイズの解答編だ。
※考レコ学とは?
いちいち説明しなくてもわかってもらえると思って説明していなかったが、「レコード」を対象とする「考古学」のようなものという意味の造語で、二つの言葉を合体させてボクが勝手に造った言葉である。当初は「考レ古学」と表記していたが、わかりにくいかなと思って、最近は「考レコ学」と表記している。
正解は、No.3のジャケット内側を撮影した画像である。
順を追って説明しよう。
出題に使ったレコードは20年くらい前に手に入れたものだが、ボクはこれをずっとファースト・プレスだと思っていた。
ところが、しばらく前にDiscogsを見ていたら、ボクが持っているものはどうやらセカンド・プレスらしいということがわかった。
ってことで、どうせならと思ってWLPを入手してみた。ボロいけどね(笑)
どちらも、ジャケットはザラ紙風のテクスチャー加工で、表側(No.1画像)は、中央の絵を囲む枠、上部のタイトル”Court and Spark”、下部のアーティスト名”Joni Mitchell”が、いずれもエンボス加工されている。
No.1画像
WLPジャケのほうが若干色味が濃いが、これが個体差なのか、それともファースト・プレスは濃いめなのかはわからない。少なくとも、色味が薄いというだけでセカンド・プレス認定をするのは無謀だと思う。
(ちなみに、エンボスで盛り上がっている枠と文字がWLPでは黒く見えるのは、擦れて黒ずんでしまっているだけである。)
ジャケット裏側(No.2画像)は、下部の住所表記が気になるところだが、少なくともAsylum Recordsの場合、レーベル上の住所表記が変更されても、ジャケット上の住所表記は変更されなかったので、レーベルについて、「ジャケットの住所表記」と「レーベルの住所表記」が同じならファースト・プレス・レーベルだと推測できるという使い方はできるが、ジャケットの住所表記でセカンド・プレス認定はできない。
No.2画像
(ジャケの下端に住所表記があるが、写真を撮ったときに、ジャケットの住所表記のことに触れることを考えていなかったので、住所表記そのものは写っていない。)
で、レーベル(No.4画像)だが、ジャケットの住所表記と同じ住所表記(下部リム最後の住所表記が15 Columbus Circle, New York, N.Y. 10023でWロゴがない)なので、ファースト・プレス・レーベルである(おそらく1975年から住所が962 North La Cienega Blvd., Los Angeles, California 90069にかわりWロゴがつく)。
No.4画像
WLPもこのレーベルのホワイト・レーベルである。
したがって、レーベルではセカンド・プレス認定はできない。
Runout(No.5画像)は、B-2を消してA-2にし、さらにA-2を消してあるという微妙なものだが、その前のSD5072もいっしょに消してあるのがわかる。その隣に7Eではじまるレコード番号とMatrixが続く(7は写真で確認できるよね)。
No.5画像
末尾が2だからセカンド・プレスという推測は、この時期のUS盤の場合にはまったく見当違いだというのは、ちょっとUS盤を集めてみればわかる。
むしろ、文字消しの事実からは、当初はSD5072というレコード番号でリリース予定だったものが、7E-1001という新しい規格でリリースされることになったことがわかるので、Runoutとしてはファースト・プレスであることを推測させるものである。
実際、以前から持っていた盤のRunoutはWLPのRunoutとまったく同じで、下記のようなものだった。
Side 1:SD5072 B-2 B A-2 7E-1001-A2
Side 2: 7E-1001-BSD5072 B
このレコードはジャケット裏側にクレジットされているようにBernie Grundmanのマスタリングだが、消されているSD5072のほうが彼の筆跡であるのに対し、7E-1001のほうは彼の筆跡ではない。おそらくメッキ処理段階で修正されたんだろう。
Discogsを調べてみると、SD5072が消されているものにはAで末尾なしというものもあるようだが、A-3/B-3というものまであるようだ。Disicogsで確認できる限りで、少なくともSide1で4枚(A、A-1、A-2、A-3)のラッカーが最初から切られていたと思われる。
いずれにせよ、SD5072が消されているRunoutであればファースト・プレスの可能性は残るのであって、セカンド・プレス認定はできない。
さて、最後は、ジャケット内側(No.3画像)である。
No.3画像
No.3画像は、見開き内側、向かって左側の下部を撮影したものだが、この部分に次のようなクレジットがある。
All songs composed by Joni Mitchell, 1973 Crazy Crow Music/BMI. All rights reserved. Used by permission. Except ‘Twisted’, written by Rose & Grey, 1965 Prestige Music/BMI. All rights reserved. Used by permission.
このクレジットは、ファースト・プレスのジャケットには存在しないのである。
つまり、このクレジットが存在する場合には、セカンド・プレス以降であることを示している。
他の画像はすべてファースト・プレスと同じであることを示す画像だから、セカンド・プレス以降であることを示すNo.3の画像が正解ということになる。
さて、今回は出題編と解答編にわけるという新しい試みをしてみたわけだが、次も同じ形式にするかは未定である(笑)
※考レコ学とは?
いちいち説明しなくてもわかってもらえると思って説明していなかったが、「レコード」を対象とする「考古学」のようなものという意味の造語で、二つの言葉を合体させてボクが勝手に造った言葉である。当初は「考レ古学」と表記していたが、わかりにくいかなと思って、最近は「考レコ学」と表記している。
正解は、No.3のジャケット内側を撮影した画像である。
順を追って説明しよう。
出題に使ったレコードは20年くらい前に手に入れたものだが、ボクはこれをずっとファースト・プレスだと思っていた。
ところが、しばらく前にDiscogsを見ていたら、ボクが持っているものはどうやらセカンド・プレスらしいということがわかった。
ってことで、どうせならと思ってWLPを入手してみた。ボロいけどね(笑)
<先日入手したWLPと出題に使ったセカンド・プレスのツーショット。>
どちらも、ジャケットはザラ紙風のテクスチャー加工で、表側(No.1画像)は、中央の絵を囲む枠、上部のタイトル”Court and Spark”、下部のアーティスト名”Joni Mitchell”が、いずれもエンボス加工されている。
No.1画像
WLPジャケのほうが若干色味が濃いが、これが個体差なのか、それともファースト・プレスは濃いめなのかはわからない。少なくとも、色味が薄いというだけでセカンド・プレス認定をするのは無謀だと思う。
(ちなみに、エンボスで盛り上がっている枠と文字がWLPでは黒く見えるのは、擦れて黒ずんでしまっているだけである。)
ジャケット裏側(No.2画像)は、下部の住所表記が気になるところだが、少なくともAsylum Recordsの場合、レーベル上の住所表記が変更されても、ジャケット上の住所表記は変更されなかったので、レーベルについて、「ジャケットの住所表記」と「レーベルの住所表記」が同じならファースト・プレス・レーベルだと推測できるという使い方はできるが、ジャケットの住所表記でセカンド・プレス認定はできない。
No.2画像
(ジャケの下端に住所表記があるが、写真を撮ったときに、ジャケットの住所表記のことに触れることを考えていなかったので、住所表記そのものは写っていない。)
で、レーベル(No.4画像)だが、ジャケットの住所表記と同じ住所表記(下部リム最後の住所表記が15 Columbus Circle, New York, N.Y. 10023でWロゴがない)なので、ファースト・プレス・レーベルである(おそらく1975年から住所が962 North La Cienega Blvd., Los Angeles, California 90069にかわりWロゴがつく)。
No.4画像
WLPもこのレーベルのホワイト・レーベルである。
したがって、レーベルではセカンド・プレス認定はできない。
<WLPのレーベル。>
Runout(No.5画像)は、B-2を消してA-2にし、さらにA-2を消してあるという微妙なものだが、その前のSD5072もいっしょに消してあるのがわかる。その隣に7Eではじまるレコード番号とMatrixが続く(7は写真で確認できるよね)。
No.5画像
末尾が2だからセカンド・プレスという推測は、この時期のUS盤の場合にはまったく見当違いだというのは、ちょっとUS盤を集めてみればわかる。
むしろ、文字消しの事実からは、当初はSD5072というレコード番号でリリース予定だったものが、7E-1001という新しい規格でリリースされることになったことがわかるので、Runoutとしてはファースト・プレスであることを推測させるものである。
実際、以前から持っていた盤のRunoutはWLPのRunoutとまったく同じで、下記のようなものだった。
Side 1:
Side 2: 7E-1001-B
このレコードはジャケット裏側にクレジットされているようにBernie Grundmanのマスタリングだが、消されているSD5072のほうが彼の筆跡であるのに対し、7E-1001のほうは彼の筆跡ではない。おそらくメッキ処理段階で修正されたんだろう。
Discogsを調べてみると、SD5072が消されているものにはAで末尾なしというものもあるようだが、A-3/B-3というものまであるようだ。Disicogsで確認できる限りで、少なくともSide1で4枚(A、A-1、A-2、A-3)のラッカーが最初から切られていたと思われる。
いずれにせよ、SD5072が消されているRunoutであればファースト・プレスの可能性は残るのであって、セカンド・プレス認定はできない。
さて、最後は、ジャケット内側(No.3画像)である。
No.3画像
No.3画像は、見開き内側、向かって左側の下部を撮影したものだが、この部分に次のようなクレジットがある。
All songs composed by Joni Mitchell, 1973 Crazy Crow Music/BMI. All rights reserved. Used by permission. Except ‘Twisted’, written by Rose & Grey, 1965 Prestige Music/BMI. All rights reserved. Used by permission.
このクレジットは、ファースト・プレスのジャケットには存在しないのである。
<WLPのジャケット(上)とセカンド・プレスのジャケット(下)>
つまり、このクレジットが存在する場合には、セカンド・プレス以降であることを示している。
他の画像はすべてファースト・プレスと同じであることを示す画像だから、セカンド・プレス以降であることを示すNo.3の画像が正解ということになる。
さて、今回は出題編と解答編にわけるという新しい試みをしてみたわけだが、次も同じ形式にするかは未定である(笑)
2019-01-04 21:33
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