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Tommy Flanagan, Giant Steps (In Memory Of John Coltrane) [アナログ・コレクターの覚書]

9月16日、ジャズ・ベーシストのジョージ・ムラーツ(George Mraz)が亡くなった。
夥しい作品に参加している巨匠だが、ジャズについてはボクはとても偏った聴き方をしているので、彼が参加した作品ですぐに思い浮かぶのはこのレコードしかない。


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トミー・フラナガン(Tommy Flanagan)が1982年にリリースしたピアノ・トリオ作品"Giant Steps (In Memory Of John Coltrane)"である(ドラムはアル・フォスター(Al Foster))。

「コルトレーンとオリジナルの"Giant Seps"を録音したときには、納得のいく演奏ができなかったトミー・フラナガンが、リベンジで録音した」とか言われているが、全6曲中5曲が"Giant Seps"からの曲(残り1曲ももちろんコルトレーンの曲)というこのアルバム、とにかく素晴らしい演奏である。
ジョージ・ムラーツのベースもとても良い。

で、今夜はずっとこれを聴いていたのだが、一応Discogsをチェックしてみたところ、いやーなことに気づいてしまった。

うちにあるのはドイツ盤(Enja 4022)なのだが、Discogsには二種類のドイツ盤が登録されているのである。
しかし、どちらがオリジナルなのかは、はっきりと書かれていない。

二種類というのは、Bellaphon(Sound-Service Bellaphon International)配給のものとそうでないものだ。
確か、Enja RecordsってBellaphon配給で1983年ごろから一時的に他の配給になったんじゃなかったっけ?
ってことは、Bellaphon配給がオリジナルで、そうでないのが再発?


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うちのはBellaphon配給ではない(Bellaphon配給盤はレーベルの下部中央にDistributed by Bellaphonロゴの記載がある)。
ってことは、うちのは再発なのか?

しかし、うちの盤、もう一つ気になることがある。
そう、GEMAの記載がないんである。

落ち着いてもうちょっと調べてみると、確かに、Enjaの配給は1983年頃に一時的にBellaphonから別の会社に移るが、それはTISだ。
うちのはTIS配給ではなく、Polygram配給である。

それに、Enja Recordsの住所は、1983年には"Nymphenburger Str. 209"から"Frundsbergstr. 36"に移る(DiscogsのEnja Recordsの項目のところでは住所変更が86?となっているが、トミー・フラナガンの83年のアルバム"THELONICA"(Enja 4052)の住所表記がすでに"Frundsbergstr. 36"なので、住所変更は83年で間違いないと思う)のだが、うちのPolygram配給盤の住所は"Nymphenburger Str. 209"になっている。


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どうにも再発とは考えにくいのである。
GEMAがないことも合わせて考えてみると、再発ではなく、輸出用だったんじゃないだろうか。
Bellaphonに配給権がない国への輸出用として、Polygram配給盤が製造されたと考えると辻褄が合う。

そう思いついてよく見ると、裏ジャケ下部には、"Marketed by Polygram Classics, Inc., 137 West 55th St New York, N.Y. 10019."という記載もある。
これって、US市場向け輸出盤てことなんじゃ?

しかし、Bellaphon配給盤もPolygram配給盤もどちらもドイツ盤でありながら、別々に製造されたようだ。
うちのPolygram配給盤は、送り溝に320の刻印もあるし、PRS(PolyGram Record Service GmbH)でカッティングからプレスまで行われたことは間違いない(ジャケットにPRS HANNOVERのスタンプもある)。
Bellaphon配給盤のほうは、Discogs情報を見る限り、どうやらPRS製造ではなさそうだ。

こういう場合、Enja Recordsはドイツの会社だから、オリジナルはBellaphon配給盤ということになるんだろうな。
ってことは、うちのはオリジナルじゃないってことかー
ドイツ・オリジナルだと思って買ったんだけどな・・・

まぁ、でも、同時期に同じ国で製造されているレコードだし、音の良し悪しに関しては、必ずしもオリジナルが優位とも限らない。
実際、うちのPRS製造盤、素晴らしい音で鳴る。

とはいえ、Bellaphon配給のオリジナルも気になるなぁ・・・

R.I.P.

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