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Lindisfarne, Nicely Out Of TuneのUKオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

<西の魔王教授が、プレーンジャケ初盤説を裏付ける補強証拠を発見してくれたので、追記しました。2018年10月5日>

先日、ツイッターのTLに、リンディスファーン(Lindisfarne)のUKオリジナルを引っ張り出してスタンパー確認をしているツイートが流れてきた。
こういうツイートを目にすると、「さて、うちのはどうだろう?」と気になるのは、コレクターの性(さが)である。
ボクも例にもれず、釣られてうちのを確認してしまった(笑)

結果は、UK盤だと思っていたらオランダ盤だったというのが一枚あってガックリした以外はそんなに悪くはなかったのだが、その中で一枚、両面1Gという大当たりがあった。


20180908-5.jpg


ファースト・アルバムの"Nicely Out Of Tune"(Charisma CAS 1025)である。
Matrix末尾は両面1Uだし、マザー/スタンパーは両面1Gだ。実に気持ち良い(笑)

ただ一つ、気になったことがあった。
ボクのもっているものは、そっけないシングルスリーブのジャケットに、真っ白のインナースリーブに入ったレコードが放り込んであるだけで、付属物は何もない。
歌詞インサートとかついてなかったんだろうか?

早速Discogsで調べてみたが、歌詞インサートがついていたというような情報はない。
胸をなでおろした瞬間、ボクの目にいやーな情報が飛び込んできた。

UKオリジナルはテクスチャー・ジャケットだって書いてあるのだ。

手持ちのそっけないシングルスリーブのジャケットは、背表紙の上端と下端がつぶれたいわゆる背絞りジャケではあるが、まったくテクスチャー加工はされていない。プレーン・ジャケである。
ってことは、両面1Gのくせに初盤じゃないってことか?
それとも、どっかで入れ替わったのか?

とりあえず、テクスチャー・ジャケットの盤を手に入れないことには始まらない。
ってことで、買ってみたものが、今日届いた。


20180908-1.jpg


奥(下)にあるほうが今日届いたものだ。
テクスチャー加工がわかるように近づいてみよう。


20180908-2.jpg


テクスチャーがわかりやすい写真をもう一枚。


20180908-6.jpg


確かに二つ並べると、どうにもテクスチャーがオリジナルっぽい。
とはいえ、テクスチャー加工をのぞけば、両者は、いずれもE.J.Day製でほぼ同じである。若干の色味の違いを個体差だとすれば、プレーン・ジャケのほうの紙が若干厚いというのがほとんど唯一の違いだ。
最初は特に加工せずにリリースしたが、その後セカンド”Fog On The Tyne"のヒットに伴ってファーストも売れ始めたときに、テコ入れ的にテクスチャー加工を加えたという可能性も否定できない気がする。

なにせ前月にリリースされたジェネシス(Genesis)の"Trespass"(リンディスファーンの"Nicely Out Of Tune"が1970年11月リリースで、ジェネシスの"Trespass"が同年10月リリース)との扱いの違いが、笑ってしまうほど歴然としているからである。

"Trespass"の初盤は、ポール・ホワイトヘッド(Paul Whitehead)のジャケットアートも見事な見開きジャケットで、表裏両面にテクスチャー加工が施された豪華なものであった。おまけに、歌詞インサートまで付属していた。

それに比べて、"Nicely Out Of Tune"は、いかにもお金のかかってなさそうなアートワークのシングルスリーブで歌詞インサートもついていない。
ここまで扱いが違うと、せめてテクスチャーぐらいは・・・というお情けなんて、リリース当初にはなかった気がしてくる。

予想に反してそこそこ売れたんで、セカンドにはそれなりにお金をかけて作ったら、これが大ヒット。
ご褒美にファーストもテクスチャー仕様に模様替えしてあげちゃった。
なーんて筋書きも、ありえない話ではないような気もするのである。
まぁ、妄想だけどね(笑)

ってことで、ボクとしては、テクスチャーなしのプレーン・ジャケが初盤という説も捨てきれないのだ。

両面1Gスタンパーの盤が入っていたのがプレーン・ジャケで、今回届いたテクスチャー・ジャケに入っていた盤のスタンパーは1O/2RMだったしね(Matrix末尾は、もちろん、どちらも両面1U)。

ちなみに、盤のほうは、これはもう明らかに1Gスタンパーの盤が初盤だと思う。
聴き比べると、まさにスタンパーの若さの差を実感することができる(笑)
仮にテクスチャー入りジャケが初盤ジャケだったとすると、うちのはどこかでジャケがすり替わったということだ。
ボクとしては、すり替わりはなかったと考えてるけどさ。

ちなみに、Charismaピンク・スクロール・レーベルは、この"Trespass"や"Nicely Out Of Tune"がリリースされた頃に微妙に変更されている。

二つのレーベルを見比べて、違いが発見できるだろうか?


20180908-4.jpg
<プレーン・ジャケ、両面1Gスタンパーの盤のレーベル>



20180908-3.jpg
<テクスチャー・ジャケ、1O/2RMスタンパーの盤のレーベル>


割とすぐに気づくのが、レーベル下部のリムへの距離が、両面1Gスタンパーの盤のほうが若干狭いことだ。
それに気づくとリムの"Manufactured and Distributed by B&C Records Ltd."の字の太さの違いにも気づく。

Discogsの"Trespass"のUKオリジナルのところに書いてあるが、この時期に、Charismaピンク・スクロール・レーベルは、レーベル中央左の"℗ 1970"と下部リムの "Manufactured and Distributed by B&C Records Ltd."が太字(両面1Gスタンパーの盤)から細字(1O/2RMスタンパーの盤)に変更されたようだ。

もっとも、切り替え期には太字の古いレーベル・ベースの残りと細字の新しいレーベル・ベースがともに使われた可能性があるので、"Trespass"にしても"Nicely Out Of Tune"にしても、どちらのレーベルも初盤に使われた可能性がある。

このあたりのことは、下記URLにも詳しく載っている。
"Trespass"には"℗ 1970"小文字というパターンもあるようだ。

http://www.green.dti.ne.jp/ridingthescree/genesisoriginals.html


"Trespass"といえば、Discogsによると、UKオリジナルのジャケには二種類あって、表裏とも深いテクスチャーのジャケと、表のみ浅いテクスチャーで裏はプレーンのものがあるという。
後者を見たことはないが、ピーター・ハミル(Peter Hammill)のソロのファーストとセカンドが後者みたいな仕様だから、いっしょに発注することがあったりしたときに、間違えてそんな仕様で作っちゃったのがあったのかもしれない。
そうだとすると、それは初盤ジャケではない(笑)


<追記 2018年10月5日>

西の魔王教授がLindisfarne, Nicely Out Of TuneのUKオリジナルを新たに2枚手に入れて、プレーン・ジャケ初盤説をかなり補強してくれたので、追記である。

教授が新たに手に入れた1枚目は、このレコードでは一般的なボックスタイプのテクスチャーではなく、次の写真のような、絹目タイプのテクスチャーだという。


nicely_hyon01.jpg


確かに、テクチャーの感じが違っている。
この盤は、メインのMatrix末尾はもちろん両面1Uで、スタンパーは1G/1GPだったそうだ。

レーベルは次の写真のようなもので、下部リムの "Manufactured and Distributed by B&C Records Ltd."は細字だ。


nicely_hyon02.jpg


レーベルについては、上述したように最初から太字も細字もあったんじゃないかと思うのだが、スタンパー片面1GPは、初盤というには少々微妙である。
むしろ、プレーン・ジャケ→絹目タイプ・テクスチャー・ジャケ→ボックスタイプ・テクスチャー・ジャケと短期間に変遷した可能性が高いように思う。

この仮説をさらに補強する証拠が、教授が新たに入手した2枚目である。
それは、プレーンジャケで、メインのMatrix末尾はもちろん両面1Uで、スタンパーは1T/1Lと両面一桁だったというのだ。

もっとも、一桁とはいってもTとLだから、9番目と8番目なわけで、まったくの初回プレスかというと、これまた少々微妙である。
実際、この1T/1L盤のレーベルは次のようなもので、うちにある1G/1Gと少々違っている。


nicely_hyon03.jpg


パブリシャー表記について、内容には変更がないものの、その位置は、レーベル左の"℗ 1970"の下からレーベル下部のリムの上に移動している。
また、"NICELY OUT OF TUNE"のフォントが小さくなっていたり、"Prod. John Anthony"ではなく、"Producer: John Anthony"と表記されていたりといった違いもある。

レーベルが作り直されているということは、素直に考えれば、やはり追加プレスということだろう。

もっとも、このレーベル、ボクは、新たに作り直されたものではない気がする。
レイアウトほかすべての点で改悪としか思えないからである。
むしろ一番最初に作られてボツになったレーベルなんじゃないだろうか。
想定外に売れて慌てて追加プレスをしたために、間違ってボツになったレーベルを使ってしまったってところなんじゃないかと思うのである。
ってことで、ほんの一時期しか使われなかったレア・レーベルだと思う。

いずれにせよ、こうしたレーベルの小刻みの変化からうかがうことができるのは、想定外に売れたが最終的にどのくらい売れるかわからないので、少量のプレスを繰り返して対応したというような事情である。

その少量の追加プレスの繰り返しの過程で、プレーン・ジャケ→絹目タイプ・テクスチャー・ジャケ→ボックスタイプ・テクスチャー・ジャケと短期間に変遷したんじゃないかと思うのである。

もっとも、西の魔王教授は、プレーン・ジャケでスタンパー2HM/1GTなんてのもレコード店で見つけてくれっちゃっていて、悩ましい(笑)
とりあえず、これは、ボロになったジャケ(テクスチャーのほうがボロになりやすい)が入れ替えられただけだと考えているのだが・・・
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