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USオリジナルではない(涙)― On the Cornerの謎 [Miles Davis]

7月9日放送のジャズ・トゥナイト@NHK FMを、タイムフリーで聴いた。
いや、NHK FMだから、タイムフリーじゃなくて、聴き逃し配信か。

特集は、マイルス(Miles Davis)の"On the Corner"である。
正直、あんまり聴かないアルバムなのだが、大友良英さんの熱い解説を聴いていたら、なんだか無性に聴きたくなったので、引っ張りだした。


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ボクの持っているのはUSオリジナル・・・
のはずだったのだが・・・
違った(涙)

これがオリジナルでいいんだろうなとDiscogsで確認したら、ファースト・プレスは見開きジャケットだと書いてある。
うちのはシングル・ジャケットなんである。

しかも、レコード番号まで違う。
ファースト・プレスは、KC 31906だというのだが、うちのはKがついてなくて、C 31906なんである。

「もしかして、最初はシングル・ジャケットでリリースされたのかも」と思ったのだが、そんな淡い期待は簡単に打ち砕かれた。
裏ジャケットを見たら、"Inside Cover Photo: Allen Morgan"とクレジットされている。
本来は見開きジャケットで、内ジャケにアレン・モーガンによる写真が使われていることは歴然なんである。

ちぇっ・・・

それにしても、ボクは何故、このシングル・ジャケットの"On the Corner"をUSオリジナルだと思い込んだのだろう?

そのわけは、ジャケットの中にあったコレを見て思い出した。


20220715-2.jpg


このThe Inner Sleeve、1973年の第1号なのだ。
"On the Corner"のリリースは、オフィシャル・サイトによれば1972年10月11日、Discogsによれば1972年11月14日で、いずれにしても1972年の終り頃である。
1973年第1号のThe Inner Sleeveが付属しているんだから、ファーストプレスだと考えるのが当然じゃないか。

それに、このThe Inner Sleeve、裏面にはこんな記事があるのだ。


20220715-3.jpg


"On the Corner"を新譜として紹介する記事である。
マイルスの写真付きだ。
これで、ファーストプレスと考えるなというほうが無理がある。

とはいえ、本来は見開きジャケットのレコードが、シングル・ジャケットなのだから、これはどう考えてもオリジナルではない。
オリジナルではないが、このThe Inner Sleeveが後から挿入されたものじゃないのなら、シングル・ジャケット盤も、ファースト・プレスとほぼ同時期にリリースされたものだということになる。
これって、いったい、どういう代物なんだ?

さらに不思議なのは、マトである。
この時期、コロンビア・スタジオでカッティングされていれば、マトはスタンプである。
実際、オリジナルのマトは、1A/1Aとか1B/1Bとか1C/1Cとからしいが、Discogsを見ると、どうやらスタンプのようだ。

しかし、うちの盤は手書きなんである。


20220715-4.jpg


マトは1F/1Gで、両面手書きなのだが、これは、やっぱり、外部カッティングなのか?

そういや、Customatrixでメッキ処理されたことを示す〇マークも見あたらない。

しかし、このマークはある。


20220715-5.jpg


コロンビアのピットマン工場でプレスされたことを表すマークだ。

いずれにせよ、コロンビアのスタジオでカッティングされたものではなさそうだし、ジャケットはシングルだし、これは絶対オリジナルと言ってはいけない代物なんだろうな。

ただ、元の録音が素晴らしいのか、このレコードも、かなり凄い音で鳴る。
ちょっと調べると、USオリジナルも、いまやかなりのお値段になっているようなので、ボクはもうこれでいいや(笑)

それにしても、このシングル・ジャケットで外部カッティングで、オリジナルと同時期にリリースされていた盤て、いったいどういう素性の盤なんだろう?

セカンドプレスかといえば、それも違うんじゃないかと思う。
なぜなら、PCプリフィックスの再発でさえ、見開きジャケットだからである。

とすると、レコードクラブ盤の類か?
あるいは、輸出用?

何かご存知の方は、ぜひ教えてくださいませm(_ _)m

タグ:Miles Davis
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