ふしぎなプロモ [Carpenters]
ふしぎなプロモを手に入れた。
カーペンターズ(Carpenters)”Now & Then”のUS盤(A&M Records SP-3519)プロモである。
このレコードのUS盤を買うのはこれで6枚目になる(プロモも2枚目になる)が、好きだから、いいのだ(笑)
それに何と言っても「ふしぎなプロモ」(以下「ふしぎなプロモ」と呼ぶことにする。)である。
買わないという選択肢はない。
このプロモ、どこが不思議かといえば、すでに持っているプロモ(以下「通常プロモ」と呼ぶことにする)といろいろ違っているのである。
まずはレーベルだ。
通常プロモはこうなっている。
ふしぎなプロモはこうである。
そう、A&Mロゴの下に”PROMOTION COPY NOT FOR SALE”がない。
まぁ、この記載がないだけなら、単純なミスということも考えられるが、他にも少し違っているところがある。
たとえば、Side 1では、スピンドルホール上下のスペースがずいぶん違う。
どーも単純なミスとも思えない。
それに、レーベル以外のところも、あれこれ違うのだ。
Side 2の溝を見てみよう。
通常プロモはこうなっている。
ラジオ局が使いやすいようにバンドが切ってある。
ふしぎなプロモはこうである。
通常盤と同じように、バンドが切られていない。
「要するに通常盤と同じなんでしょ?」と思った貴方!
違うんである。
通常プロモのMatrixは、次のようなものだ。
Side A: A+M SP3555-M1 -EX (MR) Δ17883(5)
Side B: A+M SP3556(DJ VERSION)-M2 (MR) Δ17936(3)
ふしぎなプロモのMatrixは次のようなものである。
Side A: SP3555
Side B: SP3556
ウソではない。
ホントにこれだけだ。
SPの前のA+Mさえない。
で、通常プロモより、さらに鮮度の高い音がする。
何だこれ?
一番不思議なのは、Runoutのどこにも製造工場を示す刻印がなく、しかも、レーベル形状が、この時期にA&Mが使っていたどの工場のものとも一致しないことだ。
この縁が少し隆起したレーベル形状ってどこだ?
知らないぞ・・・
「フェイクなんじゃないの?」と思った貴方!
ボクも一瞬そう思ったのである。
しかし、こんな売れまくってゴロゴロしているレコードなんか、フェイクを作るとも思えない。
マニア向けにプロモ・オンリーのフェイクとかならありうるかと一瞬思ったが、そんなもの元がとれるほど売れるとも思えない。
それに、音は確かに、以前から持っていたプロモより鮮度が高いのだ。
しかも、入っていたジャケットの鮮明度も、以前から持っていた5枚のどれよりも高い。
(車の中のリチャードとカレンの顔がどれよりもはっきりわかる。)
そもそも、紙質が違っていて、通常盤のジャケットよりも上質っぽいが薄く、大きさも数ミリだが小さい。
重量を計ってみると、以前から持っていたものが210g~230gぐらいなのに対して、185gしかないのだ。
どーも、試作品の匂いがする。
まぁ、ただの直感だけど(笑)
ちなみに、音の方は、鮮度が高いというだけではなく、かなり違っている。
ミックス違いに聴こえるくらい違う。
ただ、ミックス違いと断定できるようなところはいまのところ発見できていないので、マスタリング違いなだけかもしれないが、少なくとも、かなり大袈裟に違うことだけは確かである。
というわけで、ボクはこの「ふしぎなプロモ」、テストプレスとWLPの中間的なものの気がしているんだが、どうだろう?
平成最後の日に、ツイッターのTLで数多の教えをいただいている廃盤廃人界重鎮の方々(昨日、関東では天上会議が開かれたとのこと。おそろしやおそろしや 笑)の審判を乞うのである。
カーペンターズ(Carpenters)”Now & Then”のUS盤(A&M Records SP-3519)プロモである。
このレコードのUS盤を買うのはこれで6枚目になる(プロモも2枚目になる)が、好きだから、いいのだ(笑)
それに何と言っても「ふしぎなプロモ」(以下「ふしぎなプロモ」と呼ぶことにする。)である。
買わないという選択肢はない。
このプロモ、どこが不思議かといえば、すでに持っているプロモ(以下「通常プロモ」と呼ぶことにする)といろいろ違っているのである。
まずはレーベルだ。
通常プロモはこうなっている。
ふしぎなプロモはこうである。
そう、A&Mロゴの下に”PROMOTION COPY NOT FOR SALE”がない。
まぁ、この記載がないだけなら、単純なミスということも考えられるが、他にも少し違っているところがある。
たとえば、Side 1では、スピンドルホール上下のスペースがずいぶん違う。
どーも単純なミスとも思えない。
それに、レーベル以外のところも、あれこれ違うのだ。
Side 2の溝を見てみよう。
通常プロモはこうなっている。
ラジオ局が使いやすいようにバンドが切ってある。
ふしぎなプロモはこうである。
通常盤と同じように、バンドが切られていない。
「要するに通常盤と同じなんでしょ?」と思った貴方!
違うんである。
通常プロモのMatrixは、次のようなものだ。
Side A: A+M SP3555-M1 -EX (MR) Δ17883(5)
Side B: A+M SP3556(DJ VERSION)-M2 (MR) Δ17936(3)
ふしぎなプロモのMatrixは次のようなものである。
Side A: SP3555
Side B: SP3556
ウソではない。
ホントにこれだけだ。
SPの前のA+Mさえない。
で、通常プロモより、さらに鮮度の高い音がする。
何だこれ?
一番不思議なのは、Runoutのどこにも製造工場を示す刻印がなく、しかも、レーベル形状が、この時期にA&Mが使っていたどの工場のものとも一致しないことだ。
この縁が少し隆起したレーベル形状ってどこだ?
知らないぞ・・・
「フェイクなんじゃないの?」と思った貴方!
ボクも一瞬そう思ったのである。
しかし、こんな売れまくってゴロゴロしているレコードなんか、フェイクを作るとも思えない。
マニア向けにプロモ・オンリーのフェイクとかならありうるかと一瞬思ったが、そんなもの元がとれるほど売れるとも思えない。
それに、音は確かに、以前から持っていたプロモより鮮度が高いのだ。
しかも、入っていたジャケットの鮮明度も、以前から持っていた5枚のどれよりも高い。
(車の中のリチャードとカレンの顔がどれよりもはっきりわかる。)
そもそも、紙質が違っていて、通常盤のジャケットよりも上質っぽいが薄く、大きさも数ミリだが小さい。
重量を計ってみると、以前から持っていたものが210g~230gぐらいなのに対して、185gしかないのだ。
どーも、試作品の匂いがする。
まぁ、ただの直感だけど(笑)
ちなみに、音の方は、鮮度が高いというだけではなく、かなり違っている。
ミックス違いに聴こえるくらい違う。
ただ、ミックス違いと断定できるようなところはいまのところ発見できていないので、マスタリング違いなだけかもしれないが、少なくとも、かなり大袈裟に違うことだけは確かである。
というわけで、ボクはこの「ふしぎなプロモ」、テストプレスとWLPの中間的なものの気がしているんだが、どうだろう?
平成最後の日に、ツイッターのTLで数多の教えをいただいている廃盤廃人界重鎮の方々(昨日、関東では天上会議が開かれたとのこと。おそろしやおそろしや 笑)の審判を乞うのである。
タグ:Carpenters
Wes Montgomery, A Day in the LifeのUSオリジナル [Rudy Van Gelder(RVG)の仕事]
さて、考レコ学クイズ5の解答編である。
正解は、3の「1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス」だ。
まぁ、レーベル画像だけでは、1968年産であることまでは判定できない(1968年~1973年の間に製造されたものであることまでしかわからない)のだが、択一問題だからいいのである(笑)
では、解説にうつろう。
まず、このブログの読者であれば、A&Mロゴの大きさからモナーク工場産であることを導けるはず(わからない方は、「Carpenters, Now & ThenのUSオリジナル」の記事https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-02-10をご覧ください)だから、答えは1か3に限定される。
問題は、ファースト・プレスかセカンド・プレスかである。
このレコードには、MONO盤(A&M Records LP-2001)もあるが、リリースされたのが1967年の後半のこと(リリース月までわからないのだが、録音は6月に行われている)なので、MONO盤にもセカンド・プレスがあるかどうかはわからない。
少なくともDiscogsには1968年以降に製造されたセカンド・プレスは掲載されていない。
一方、STEREO盤(A&M Records SP-3001)のほうは、1974年にレーベルがシルバー・グレイに切り替わるまでのブラウン時代でも、少なくともサード・プレスまでは区別する必要があるので、厄介だ。
ボクは、20年くらい前に、まず、ロックのオリジナル盤を集め始め、しばらく経ってからジャズのオリジナル盤にも手を出し始めたのだが、最初は、レーベルとMatrixしか気にしていなかった。
だから、このサード・プレスもオリジナルだと思って買ったんである。
ブラウン・レーベルでMatrix末尾は両面P1だ。
(これはSide 1のRunoutだが、Side 2も同じくMatrix末尾はP1である。)
しかし、「ブラウン・レーベルでマト1なんだからファースト・プレスに違いない」なんていうのは浅はかな思い込みにすぎない。
これは間違いなくサード・プレスである。
別にサード・プレスでも音が良けりゃいいんだが、このレコードは、サード・プレスじゃダメなんである。
このブログの読者であれば、ボクが最初に手に入れたのが、レーベルのA&Mロゴの大きさとP1というMatrix末尾から、コロンビア・レコードのピットマン工場プレスだということはすぐにわかったかと思うが、別にピットマン工場産だからダメというわけではない。
確かに、A&Mは西海岸の会社だから、モナーク工場産が良さそうだが、別にピットマン工場産でもアレがあればいいのだ。
しかし、このサード・プレスには、アレがないんである。
(サード・プレスの内ジャケットから、RVG録音であることのクレジット。)
そう、オリジナルがRVG(Rudy Van Gelder)録音でRVGカッティングである以上、レイトプレスで満足するにしても、最低限VAN GELDER刻印がRunoutになきゃいけないのだが、このMatrix末尾両面P1盤のRunoutにはVAN GELDER刻印がないのだ。
もうこれは絶対にダメである。
それに、ジャケットも違うのだ。
このレコードのオリジナル・ジャケットは、艶消しラミネート・コーティングされていて、吸い殻画像ともあいまって何とも雰囲気のある風情なのだが、このサード・プレスはラミネート・コーティングされていないのである。
ジャケットの内側も、オリジナルはカーキ色なのだが、サード・プレスは真っ白だ。
何もかもダメである。
ブラウン・レーベルだから1973年までのプレスであること(ゴールドマインの簡易レーベルガイドによる)は間違いないのだが、もう73年ギリギリのプレスに違いない。
そう思ってCSを見ると、住所がBeverly Hills, California 90213になっている。
A&MがBeverly Hillsに本拠を移転したのは1973年なので、ほら、やっぱり1973年産じゃないか。
そんなわけで、これはもう聴く前からダメなことがわかる。
実際、聴いてみても、RVGらしく鳴らないという以前に、マスターの劣化をひしひしと感じるもので、とうてい満足できるものではないのだ。
だから、すぐさまVAN GELDER刻印のある盤を探した。
A&Mは西海岸の会社だから、二枚目ということもあるしモナーク工場産がいい。
売れたレコードなので、VAN GELDER刻印のあるブラウン・レーベルでモナーク工場産、艶消しラミネート・コーティングのジャケットという限定で探しても、簡単に見つかった。
(クイズの出題に使ったレコードである。)
(ジャケットの表裏は艶消しラミネート・コーティングが施されている。)
(内ジャケットはカーキ色だ。)
(これはSide 1のRunout。Side 2のRunoutには、3002-3とある。)
Matrix末尾は4/3と微妙だが、VAN GELDER刻印はしっかりある。
音もRVGらしく鳴るし、悪くない。
(Side 1のRunoutにあるVAN GELDER刻印。Side 2にも、もちろんある。)
ってことで、この考レコ学クイズ5の出題に使ったレコードも、ファースト・プレスのバリエーションだと信じて、ずっとこれで聴いてきたのである。
しかし、他のA&Mのレコードを掘っている過程で、ボクはこのレコードがセカンド・プレスであることに気づいてしまった。
気づいてしまうと、やはり、ファースト・プレスが欲しくなる。
で、ebayで探してみたら、運よくモナーク工場産のWLPが出ていたので買ってみた。
もちろんVAN GELDER刻印ありで、Matrix末尾は2-RE/1と若い。
(メッキ処理番号も、4/3が△11031だったのに対して、WLPは△10835と若い。)
(Side 1のRunout。Side 2のRunoutには、3002-1とある。)
ジャケットは、艶消しのラミネート・コーティングで、内側はカーキ色だ。
裏側にはプロモ盤であることを示す”AUDITION RECORD”のスタンプがある。
「ちょっと待て。WLPだったら、レーベルが違うのは当たり前だろう。」と思った貴方。
貴方は正しい(笑)
まず、レーベル上のどこに注意しなければいけないかだが、A&Mのロゴの中、右下の角のところ、トランペットのベルのすぐ下のあたりである。
A&Mのブラウン・レーベルは、ここにRが付いていないものから、Rが付いたものへと変遷する。
もっとも、WLPのホワイト・レーベルでは、Rが付く時期がずれていて、通常レーベルではR付きがファースト・プレスになっても、WLPではあいかわらずR無しだったりする。
だから、WLPのホワイト・レーベルがR無しだからといって、通常レーベルもR無しがファースト・プレスということにはならない。
"A Day in the Life"の通常レーベルR無し盤は持ってないので、とりあえず状況証拠として手持ち盤を引っ張り出すと、SP-3005のナット・アダレー(Nat Adderley)”You, Baby”がR無しである。
SP-3001の”A Day in the Life”のファースト・プレスもR無しがあるはずだ。
CSを見てみると、WLPに付属していたCS上のA&MロゴはR無しである。
やはり、通常レーベルのファースト・プレスもR無しと考えてよさそうだ。
って、このアルバムの通常レーベルR無し盤て、別にレアでも何でもないので、Discogsで検索してもebayで検索しても、ざくざくと画像がひっかかる(笑)
"A Day in the Life"のファースト・プレスは、レーベル上のA&MロゴにRが付いていないものだと断定してよい。
それじゃ、SP-3005の後、どこまでR無しがファースト・プレスかというと、これはジャケット上のA&Mロゴで判断できるんじゃないかと思う。
ジャケット上のA&Mロゴは、ファースト・プレスのときからレイトになってもずっと変わらないのだ。
”A Day in the Life”のジャケット上のA&Mロゴは、ずーっとR無しのままである。
(サード・プレスのコーティングのないジャケットでも、A&MロゴはR無しのままだ。)
だから、逆に、ジャケット上のA&MロゴにRが付いていれば、レーベル上のA&MロゴにもRが付いていたと考えるのが合理的だと思う。
Discogsでジャケット上のA&MロゴのRの有無を確認すると、ロゴにRが付くのは1968年だ。
SP-3009のSoul Flutes , Trust In MeまではR無しで、SP-3010のRichard Barbary, Soul MachineからRが付く。
おそらくレーベル上のA&MロゴもSP-3010以降がR付きだろう。
(ただし、レコードは必ずしもカタログ番号順にリリースされたとは限らないので、おおよその目安とお考え下さい。)
ってことで、”A Day in the Life”も、レーベル上のA&MロゴにRがついているのは、1968年以降のプレスということになる。
ちなみに、ボクの持っているものを1968年産と特定したのは、付属していたCS(もちろん掲載されているロゴもR付き)にSP-4141のLiza Minnelliまでしか出ていないからだ。
(R付きのA&MロゴとSP-4141のLiza Minnelliの部分の拡大。)
こうして、クイズの答えは、3の「1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス」ということになるわけである。
音の方は、マトが若いからなのか、WLPだからなのか、ファースト・プレスだからなのかはわからないが、同じようにRVGらしく鳴るといっても、やはり鮮度感が違う。
厄介なことに、ちょっとどころじゃなく違う(笑)
セカンド・プレスしか持っていない人は、とりあえずファースト・プレスを買って聴いてみるべきだと思うよ。
正解は、3の「1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス」だ。
まぁ、レーベル画像だけでは、1968年産であることまでは判定できない(1968年~1973年の間に製造されたものであることまでしかわからない)のだが、択一問題だからいいのである(笑)
では、解説にうつろう。
まず、このブログの読者であれば、A&Mロゴの大きさからモナーク工場産であることを導けるはず(わからない方は、「Carpenters, Now & ThenのUSオリジナル」の記事https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-02-10をご覧ください)だから、答えは1か3に限定される。
問題は、ファースト・プレスかセカンド・プレスかである。
このレコードには、MONO盤(A&M Records LP-2001)もあるが、リリースされたのが1967年の後半のこと(リリース月までわからないのだが、録音は6月に行われている)なので、MONO盤にもセカンド・プレスがあるかどうかはわからない。
少なくともDiscogsには1968年以降に製造されたセカンド・プレスは掲載されていない。
一方、STEREO盤(A&M Records SP-3001)のほうは、1974年にレーベルがシルバー・グレイに切り替わるまでのブラウン時代でも、少なくともサード・プレスまでは区別する必要があるので、厄介だ。
ボクは、20年くらい前に、まず、ロックのオリジナル盤を集め始め、しばらく経ってからジャズのオリジナル盤にも手を出し始めたのだが、最初は、レーベルとMatrixしか気にしていなかった。
だから、このサード・プレスもオリジナルだと思って買ったんである。
ブラウン・レーベルでMatrix末尾は両面P1だ。
(これはSide 1のRunoutだが、Side 2も同じくMatrix末尾はP1である。)
しかし、「ブラウン・レーベルでマト1なんだからファースト・プレスに違いない」なんていうのは浅はかな思い込みにすぎない。
これは間違いなくサード・プレスである。
別にサード・プレスでも音が良けりゃいいんだが、このレコードは、サード・プレスじゃダメなんである。
このブログの読者であれば、ボクが最初に手に入れたのが、レーベルのA&Mロゴの大きさとP1というMatrix末尾から、コロンビア・レコードのピットマン工場プレスだということはすぐにわかったかと思うが、別にピットマン工場産だからダメというわけではない。
確かに、A&Mは西海岸の会社だから、モナーク工場産が良さそうだが、別にピットマン工場産でもアレがあればいいのだ。
しかし、このサード・プレスには、アレがないんである。
(サード・プレスの内ジャケットから、RVG録音であることのクレジット。)
そう、オリジナルがRVG(Rudy Van Gelder)録音でRVGカッティングである以上、レイトプレスで満足するにしても、最低限VAN GELDER刻印がRunoutになきゃいけないのだが、このMatrix末尾両面P1盤のRunoutにはVAN GELDER刻印がないのだ。
もうこれは絶対にダメである。
それに、ジャケットも違うのだ。
このレコードのオリジナル・ジャケットは、艶消しラミネート・コーティングされていて、吸い殻画像ともあいまって何とも雰囲気のある風情なのだが、このサード・プレスはラミネート・コーティングされていないのである。
ジャケットの内側も、オリジナルはカーキ色なのだが、サード・プレスは真っ白だ。
何もかもダメである。
ブラウン・レーベルだから1973年までのプレスであること(ゴールドマインの簡易レーベルガイドによる)は間違いないのだが、もう73年ギリギリのプレスに違いない。
そう思ってCSを見ると、住所がBeverly Hills, California 90213になっている。
A&MがBeverly Hillsに本拠を移転したのは1973年なので、ほら、やっぱり1973年産じゃないか。
そんなわけで、これはもう聴く前からダメなことがわかる。
実際、聴いてみても、RVGらしく鳴らないという以前に、マスターの劣化をひしひしと感じるもので、とうてい満足できるものではないのだ。
だから、すぐさまVAN GELDER刻印のある盤を探した。
A&Mは西海岸の会社だから、二枚目ということもあるしモナーク工場産がいい。
売れたレコードなので、VAN GELDER刻印のあるブラウン・レーベルでモナーク工場産、艶消しラミネート・コーティングのジャケットという限定で探しても、簡単に見つかった。
(クイズの出題に使ったレコードである。)
(ジャケットの表裏は艶消しラミネート・コーティングが施されている。)
(内ジャケットはカーキ色だ。)
(これはSide 1のRunout。Side 2のRunoutには、3002-3とある。)
Matrix末尾は4/3と微妙だが、VAN GELDER刻印はしっかりある。
音もRVGらしく鳴るし、悪くない。
(Side 1のRunoutにあるVAN GELDER刻印。Side 2にも、もちろんある。)
ってことで、この考レコ学クイズ5の出題に使ったレコードも、ファースト・プレスのバリエーションだと信じて、ずっとこれで聴いてきたのである。
しかし、他のA&Mのレコードを掘っている過程で、ボクはこのレコードがセカンド・プレスであることに気づいてしまった。
気づいてしまうと、やはり、ファースト・プレスが欲しくなる。
で、ebayで探してみたら、運よくモナーク工場産のWLPが出ていたので買ってみた。
もちろんVAN GELDER刻印ありで、Matrix末尾は2-RE/1と若い。
(メッキ処理番号も、4/3が△11031だったのに対して、WLPは△10835と若い。)
(Side 1のRunout。Side 2のRunoutには、3002-1とある。)
ジャケットは、艶消しのラミネート・コーティングで、内側はカーキ色だ。
裏側にはプロモ盤であることを示す”AUDITION RECORD”のスタンプがある。
「ちょっと待て。WLPだったら、レーベルが違うのは当たり前だろう。」と思った貴方。
貴方は正しい(笑)
まず、レーベル上のどこに注意しなければいけないかだが、A&Mのロゴの中、右下の角のところ、トランペットのベルのすぐ下のあたりである。
A&Mのブラウン・レーベルは、ここにRが付いていないものから、Rが付いたものへと変遷する。
もっとも、WLPのホワイト・レーベルでは、Rが付く時期がずれていて、通常レーベルではR付きがファースト・プレスになっても、WLPではあいかわらずR無しだったりする。
だから、WLPのホワイト・レーベルがR無しだからといって、通常レーベルもR無しがファースト・プレスということにはならない。
"A Day in the Life"の通常レーベルR無し盤は持ってないので、とりあえず状況証拠として手持ち盤を引っ張り出すと、SP-3005のナット・アダレー(Nat Adderley)”You, Baby”がR無しである。
SP-3001の”A Day in the Life”のファースト・プレスもR無しがあるはずだ。
CSを見てみると、WLPに付属していたCS上のA&MロゴはR無しである。
やはり、通常レーベルのファースト・プレスもR無しと考えてよさそうだ。
って、このアルバムの通常レーベルR無し盤て、別にレアでも何でもないので、Discogsで検索してもebayで検索しても、ざくざくと画像がひっかかる(笑)
"A Day in the Life"のファースト・プレスは、レーベル上のA&MロゴにRが付いていないものだと断定してよい。
それじゃ、SP-3005の後、どこまでR無しがファースト・プレスかというと、これはジャケット上のA&Mロゴで判断できるんじゃないかと思う。
ジャケット上のA&Mロゴは、ファースト・プレスのときからレイトになってもずっと変わらないのだ。
”A Day in the Life”のジャケット上のA&Mロゴは、ずーっとR無しのままである。
(サード・プレスのコーティングのないジャケットでも、A&MロゴはR無しのままだ。)
だから、逆に、ジャケット上のA&MロゴにRが付いていれば、レーベル上のA&MロゴにもRが付いていたと考えるのが合理的だと思う。
Discogsでジャケット上のA&MロゴのRの有無を確認すると、ロゴにRが付くのは1968年だ。
SP-3009のSoul Flutes , Trust In MeまではR無しで、SP-3010のRichard Barbary, Soul MachineからRが付く。
おそらくレーベル上のA&MロゴもSP-3010以降がR付きだろう。
(ただし、レコードは必ずしもカタログ番号順にリリースされたとは限らないので、おおよその目安とお考え下さい。)
ってことで、”A Day in the Life”も、レーベル上のA&MロゴにRがついているのは、1968年以降のプレスということになる。
ちなみに、ボクの持っているものを1968年産と特定したのは、付属していたCS(もちろん掲載されているロゴもR付き)にSP-4141のLiza Minnelliまでしか出ていないからだ。
(R付きのA&MロゴとSP-4141のLiza Minnelliの部分の拡大。)
こうして、クイズの答えは、3の「1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス」ということになるわけである。
音の方は、マトが若いからなのか、WLPだからなのか、ファースト・プレスだからなのかはわからないが、同じようにRVGらしく鳴るといっても、やはり鮮度感が違う。
厄介なことに、ちょっとどころじゃなく違う(笑)
セカンド・プレスしか持っていない人は、とりあえずファースト・プレスを買って聴いてみるべきだと思うよ。
考レコ学クイズ5~Wes Montgomery, A Day in the LifeのUSオリジナル [考レコ学クイズ]
次の画像は、ウェス・モンゴメリー(Wes Montgomery)” A Day in the Life”のUS盤(A & M Records SP-3001)のレーベルを撮影したものです。
レーベル画像から、このレコードは、下記の4つのうちのどれだと判定できるでしょうか?
1 1967年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたファースト・プレス
2 1967年にニュージャージーのコロンビアレコード・ピットマン工場で製造されたファースト・プレス
3 1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス
4 1968年にニュージャージーのコロンビアレコード・ピットマン工場で製造されたセカンド・プレス
解答編はこちら。
https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
レーベル画像から、このレコードは、下記の4つのうちのどれだと判定できるでしょうか?
1 1967年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたファースト・プレス
2 1967年にニュージャージーのコロンビアレコード・ピットマン工場で製造されたファースト・プレス
3 1968年にカリフォルニアのモナーク工場で製造されたセカンド・プレス
4 1968年にニュージャージーのコロンビアレコード・ピットマン工場で製造されたセカンド・プレス
解答編はこちら。
https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2019-04-29
Irina Milan, Milankoliaのフィンランド・オリジナル [ジャケ買い倶楽部]
記事にしたいネタはいくつかあるのだが、いざ書こうとすると説明が億劫になってしまって書けないσ^_^;
ってことで、木曜日に仕事が終わったあと、RSDの残りものの中に欲しいものが残ってないかとレコード・ショップに行ったときに拾ってきたものの紹介で、お茶を濁すのである(笑)
(RSDものについては、ボクの欲しかったものはやはり残っていなかった 涙)
今日紹介したいのは、Irina Milanの"Milankolia"という1974年リリースのアルバム(Blue Master Special SPEL 313)だ。
って、ボクも、まったく知らないレコードをジャケ買いしただけなので、詳しいことはわからないのだが。
詳しいことどころか、名前の読み方さえわからない。
そのままイリーナ・ミランでいいんだろうか?
とりあえず調べてみると、この人、フィンランドのシンガー&女優らしい。
1970年代に5枚ほどアルバムをリリースしている(その後にも、かなり間隔をあけてリリースはある)。
レコード・ショップで見つけたときもフィンランドのシンガーだというようなことは書いてあった。
北欧というと、この前アンニ=フリッド・リングスタッド(Anni-Frid Lyngstad)(ABBAのメンバー)のソロにハマったことを思い出し、あんな感じの内容なら気に入るに違いないと思った。
それにジャケットである。
上記のジャケット写真を見て、そんなに良いか?と思ったあなた!
その意見を認めるのも吝かではない(笑)
ボクが気に入ったのは裏ジャケなんである。
写真部分を拡大してしまおう。
このフィンランド・オリジナルが1640円で落ちてたら、まぁ拾うでしょ(笑)
って、Discogsで調べてみると、そもそも本国フィンランドでLPとカセットがリリースされた以外は、海外でのリリースもなく、CD化もされていないようである。
つまり、そもそもこの世にオリジナル盤しか存在していないのか?
いや、それでも、ファーストプレスとかセカンドプレスとかいうのはあるかもしれない。
とりあえずレーベルを確認してみるのだが・・・
フィンランド盤なんて一枚も持ってないので、レーベルでファーストプレスかどうかの判定なんてできるわけないだろー
Discogsに出ているレーベルと同じものだと確認できたので、もうファーストプレスと認定してしまうのである。
Runoutも枝番なしのPP125/PP126の凸マトのみで、音も鮮度抜群だし。
ちなみに、このレコードを買う決め手になったことが、裏ジャケット以外にもう一つある。
(赤い点の落書きは前所有者が気に入った楽曲につけたものか?)
レオン・ラッセル(Leon Russel)の"A Song for You"をやってるんである。
しかも、フィンランド語のタイトルになってるってことは、フィンランド語カバーってことだろう。
こりゃ、どうしても聴きたくなるよね。
ほかにも、サイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)の"Keep the Customer Satisfied"やバート・バカラック(Burt Bacharach)の"One Less Bell To Answer"と"A House Is Not A Home"のメドレーをやってたり(どちらもフィンランド語)するし、B面におさめられているオリジナル曲らしきものも含めて、アルバム全体をかなり気に入ってしまった。
RSDのお祭り騒ぎもいいけど、ボクにとっては、こういうレコードとの出逢いこそが、レコード・ショップに足を運ぶ理由なんだよなぁ。
ってことで、木曜日に仕事が終わったあと、RSDの残りものの中に欲しいものが残ってないかとレコード・ショップに行ったときに拾ってきたものの紹介で、お茶を濁すのである(笑)
(RSDものについては、ボクの欲しかったものはやはり残っていなかった 涙)
今日紹介したいのは、Irina Milanの"Milankolia"という1974年リリースのアルバム(Blue Master Special SPEL 313)だ。
って、ボクも、まったく知らないレコードをジャケ買いしただけなので、詳しいことはわからないのだが。
詳しいことどころか、名前の読み方さえわからない。
そのままイリーナ・ミランでいいんだろうか?
とりあえず調べてみると、この人、フィンランドのシンガー&女優らしい。
1970年代に5枚ほどアルバムをリリースしている(その後にも、かなり間隔をあけてリリースはある)。
レコード・ショップで見つけたときもフィンランドのシンガーだというようなことは書いてあった。
北欧というと、この前アンニ=フリッド・リングスタッド(Anni-Frid Lyngstad)(ABBAのメンバー)のソロにハマったことを思い出し、あんな感じの内容なら気に入るに違いないと思った。
それにジャケットである。
上記のジャケット写真を見て、そんなに良いか?と思ったあなた!
その意見を認めるのも吝かではない(笑)
ボクが気に入ったのは裏ジャケなんである。
写真部分を拡大してしまおう。
このフィンランド・オリジナルが1640円で落ちてたら、まぁ拾うでしょ(笑)
って、Discogsで調べてみると、そもそも本国フィンランドでLPとカセットがリリースされた以外は、海外でのリリースもなく、CD化もされていないようである。
つまり、そもそもこの世にオリジナル盤しか存在していないのか?
いや、それでも、ファーストプレスとかセカンドプレスとかいうのはあるかもしれない。
とりあえずレーベルを確認してみるのだが・・・
フィンランド盤なんて一枚も持ってないので、レーベルでファーストプレスかどうかの判定なんてできるわけないだろー
Discogsに出ているレーベルと同じものだと確認できたので、もうファーストプレスと認定してしまうのである。
Runoutも枝番なしのPP125/PP126の凸マトのみで、音も鮮度抜群だし。
ちなみに、このレコードを買う決め手になったことが、裏ジャケット以外にもう一つある。
(赤い点の落書きは前所有者が気に入った楽曲につけたものか?)
レオン・ラッセル(Leon Russel)の"A Song for You"をやってるんである。
しかも、フィンランド語のタイトルになってるってことは、フィンランド語カバーってことだろう。
こりゃ、どうしても聴きたくなるよね。
ほかにも、サイモンとガーファンクル(Simon & Garfunkel)の"Keep the Customer Satisfied"やバート・バカラック(Burt Bacharach)の"One Less Bell To Answer"と"A House Is Not A Home"のメドレーをやってたり(どちらもフィンランド語)するし、B面におさめられているオリジナル曲らしきものも含めて、アルバム全体をかなり気に入ってしまった。
RSDのお祭り騒ぎもいいけど、ボクにとっては、こういうレコードとの出逢いこそが、レコード・ショップに足を運ぶ理由なんだよなぁ。
タグ:Irina Milan
Begin Againのアナログ盤 [Norah Jones]
ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)の新譜"Begin Again"のアナログ盤が届いたので聴いている。
YouTube上で聴いていたときは、"Wintertime"以外はピンとこなかったのだが、こうしてアナログで聴いていると(アナログでなくても、CDでもハイレゾでも良い音ならいいんだけど 笑)、なんとなくそれぞれの楽曲の意図がわかるような気もする。
さまざまなコラボレーションによって生じた化学反応が、確かに、多様性と独創性を生み出していると思う。
ただ、アルバム単位で聴いても、いまひとつ掴みどころがない(笑)
ジャケットについては、かなり気に入った。
内容を象徴するという意味でも、美しさという意味でも、なかなか秀逸なジャケットだ。
裏側はこんな感じ。
より象徴的で、美しい。
歌詞付きのインナースリーブも付属している。
このほか、mp3のDLコードが載ったカードもついている。
この手のカードは味も素っ気もないものが多いが、このレコードの場合は、カードの裏面にジャケットと同じデザインが印刷されているのもうれしい。
ジャケットと同じなので写真は割愛するが。
レーベルは、真っ白で味もそっけもないかと思いきや、A面とB面でちょっと色をかえてあって、芸が細かい。
Discogsを見ると、案の定、このレコードにもUS盤とEU盤がある。
ノラのレコードだからUS盤がよかったのだが、届いたのはやはり、残念ながらEU盤だった。
ジャケット裏には、しっかりと"Made in the EU"の文字が・・・
レーベルのリムにもしっかり"Made in the EU"とあるので、ジャケット製造がEUだというだけでなく、盤のプレスもEUである。
マスタリングは、インナースリーブ上はSterling SoundのChris Gehringerということになっているが、少なくともカッティングは彼ではない。
というのも、Runoutには、STERLING刻印の隣にJN-Hとあるからだ。
つまり、カッティングはSterling SoundのJoe Nino-Hernesによって行われている。
で、音は良いと思う。
音は良いので、もう少し聴きこんでみよう。
全7曲で30分にも満たないしね。
ノラとしては、ただただ自分のやりたい音楽をやっているんだろう。
でも、現時点で、ボクはまだ、そこに追いついていない。
そんな感じ(笑)
YouTube上で聴いていたときは、"Wintertime"以外はピンとこなかったのだが、こうしてアナログで聴いていると(アナログでなくても、CDでもハイレゾでも良い音ならいいんだけど 笑)、なんとなくそれぞれの楽曲の意図がわかるような気もする。
さまざまなコラボレーションによって生じた化学反応が、確かに、多様性と独創性を生み出していると思う。
ただ、アルバム単位で聴いても、いまひとつ掴みどころがない(笑)
ジャケットについては、かなり気に入った。
内容を象徴するという意味でも、美しさという意味でも、なかなか秀逸なジャケットだ。
裏側はこんな感じ。
より象徴的で、美しい。
歌詞付きのインナースリーブも付属している。
このほか、mp3のDLコードが載ったカードもついている。
この手のカードは味も素っ気もないものが多いが、このレコードの場合は、カードの裏面にジャケットと同じデザインが印刷されているのもうれしい。
ジャケットと同じなので写真は割愛するが。
レーベルは、真っ白で味もそっけもないかと思いきや、A面とB面でちょっと色をかえてあって、芸が細かい。
Discogsを見ると、案の定、このレコードにもUS盤とEU盤がある。
ノラのレコードだからUS盤がよかったのだが、届いたのはやはり、残念ながらEU盤だった。
ジャケット裏には、しっかりと"Made in the EU"の文字が・・・
レーベルのリムにもしっかり"Made in the EU"とあるので、ジャケット製造がEUだというだけでなく、盤のプレスもEUである。
マスタリングは、インナースリーブ上はSterling SoundのChris Gehringerということになっているが、少なくともカッティングは彼ではない。
というのも、Runoutには、STERLING刻印の隣にJN-Hとあるからだ。
つまり、カッティングはSterling SoundのJoe Nino-Hernesによって行われている。
で、音は良いと思う。
音は良いので、もう少し聴きこんでみよう。
全7曲で30分にも満たないしね。
ノラとしては、ただただ自分のやりたい音楽をやっているんだろう。
でも、現時点で、ボクはまだ、そこに追いついていない。
そんな感じ(笑)
タグ:Norah Jones