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The Sensual WorldのUK盤とUS盤 [Kate Bush]

<"The Sensual World"と"This Woman's Work"のMVを追加しました。>

昨日7月30日はケイト(Kate Bush)の誕生日ということで、今年は、このレコードを聴いていた。


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1989年10月にリリースされた6枚目のオリジナル・アルバム"The Sensual World"である。
奥のシュリンクに入っている方がUS盤で、手前がUK盤だ。

UK盤とUS盤、どっちがオリジナルかと言えば、そりゃケイトだから、UK盤の方がオリジナルだろう。
実際、US盤には実にオリジナルらしくない特徴がある(笑)

薄手の黒い紙で作られたインナースリーブは、いかにもUS盤ぽいが、だからといってオリジナルらしくないとも言えない。
問題は、ここである。


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"Cut by Bob Ludwig at Masterdisk, New York City"と明記されている。
しかし、このレコードのUS盤には、RLカットどころかMASTERDISKカッティング盤も存在しない(よね?)。
うちのもMASTERDISKではないし、Discogsにも出ていない。
MASTERDISKにもカッティングさせたもののボツになったのか、そもそも、予定変更でMASTERDISKにマスターテープが送られることがなかったのかはわからないが、US盤も、UK盤と同じくTOWNHOUSEカッティングなのである。


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うちの盤の(というかUS初盤はたぶんすべて)マトは両面1Aだが、このように"TOWNHOUSE DMM"と手書きされている。
TOWNHOUSEでDMMカッティングされたことが明らかなのである。

一方、厚手の白い紙で作られたUK盤のインナースリーブには、"Cut by Ian Cooper at The Townhouse"と明記されている。


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送り溝にもしっかりとTOWNHOUSEと手書きされている。


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もはや、UK盤の方がオリジナルであることに何の疑いもない。

それはいいのだが、うちのUK盤とUS盤、どちらもTOWNHOUSEカッティングであるにもかかわらず、かなり音が違う。
うちのUK盤はマトが2U/2Uだし、送り溝の手書きTOWNHOUSEにしても、US盤にはDMMがついているが、うちのにはついていない。

もしかして1U/1Uが存在していて、そっちにはDMMがついていて、イアン・クーパーがカッティングしたのは1U/1UのUK盤やUS盤で、うちの2U/2Uは別のエンジニアがカッティングしたのか?
だとしたら、うちのはUKオリジナルじゃないのか?

おそるおそるDiscogsを確認してみると、まさに予想通りじゃないか・・・
いや、予想通りだったのは、「UK盤には1U/1Uが存在していること」と、「その送り溝のTOWNHOUSEにはDMMがついていること」までで、「2U/2Uがイアン・クーパーのカッティングではない」ということまではわからない。
実際、送り溝に手書きされたTOWNHOUSEの筆跡は、US盤とUK盤で、別人のものには見えない。

ここで、ボクは、誤った思い込みをしている可能性に気づいた。
送り溝のTOWNHOUSEが、スタンプならラッカー・カッティング、手書きならDMMカッティングと思い込んでいたが、DMMがついてない手書きは、もしかしてラッカー・カッティングなのか?

DiscogsのTOWNHOUSEの項目を見ると、手書きのTOWNHOUSEでもラッカー・カッティングの場合があると書いてある。
また、手書きTOWNHOUSEにDMMがついてない場合でもDMMの場合があるが、EMIでメッキ処理やプレスが行われている場合は、D刻印があるというようなことも書かれている。
あぁ、80年代のEMI盤でよく見る、あのD刻印ね。
やっぱり、あれってDMMカッティングの意味だったのか。

"The Sensual World"のUK盤は、メッキ処理からプレスまでEMIだ。
それにもかかわらず、うちの2U/2Uの盤にはD刻印がない。
やはり、2U/2Uは、ラッカー・カッティングってことなんじゃ?

そもそも、1989年といえば、CDへの移行がかなり進んで、そろそろアナログ・リリース自体がなくなろうかというような時代である。
そんなときに、マトが進むということ自体、不可解である。
マトが進んだというより、DMMカッティングとラッカー・カッティングの両方を試してみて、良い方を選ぶことにしたんじゃないだろうか。

で、US盤ではDMMカッティングが選ばれたが、UK盤ではどっちも採用された。
いや、もしかしたら、UK盤でもDMMカッティングが選ばれたのにラッカー・カッティングの方も間違って使われてしまっただけって可能性もある。
その逆の可能性もあるのか?

いずれにしろ、US盤とUK盤の音の違いは、DMMカッティングとラッカー・カッティングの違いだと思って聴くと、腑に落ちる感じがする。
ってことで、2U/2UのUK盤は、ラッカー・カッティング盤だと断定してしまうのである。

ラッカー・カッティングのUK盤(2U/2U盤)もUKオリジナルと言っていいのか微妙なのだが、1U/1UのDMMカッティング盤は、US盤とあまり音が変わらない気もする。
そうだとすると、むしろUK盤として持っていたいのは、2U/2Uのラッカー・カッティング盤の方だという気がしないでもない(笑)


オフィシャル・チャンネルにMVが置いてあったので、追記で貼り付けておこう。
(貼り付け禁止になっているので貼れませんが、"Love and Anger"も、YouTube上では観られます。)








タグ:kate bush
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