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考レコ学研究者の地味な精進 [国内盤研究]

オーディオ的な「とある理由」で(これについては、そのうち記事にするが、まだ秘密 笑)、ついでに、クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)"With Strings"の日本盤(日本盤だから『ウィズ・ストリングス』が適切かな?)を聴いてみることにした。

何故日本盤かって?
それはホワイト・レーベルの見本盤だからである。


20220430-3.jpg


それに、この茶色帯は、フォントも含めて、いかにも昭和な感じがしていいよねぇ。

見本盤なんで、送り溝を見れば、マトは当然・・・

当然?

えっ、なんで?

MG 36005 A 121+ GH(+は※の点が1つもないもので、1を意味する。)
MG 36005 B 123※(※は点が4つあるので、5を意味する。)

ビクター・プレスの送り溝の読み方は、最初の数字はほぼ1(たぶん、リミックスやテイク違いといったマスターテープの変更とかがない限り1)で、次が何番目のカッティングかを示すラッカー・ナンバー、その次がマザー・ナンバー、最後の※印がスタンパー・ナンバーのはず。
(このあたりのことは、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-04-17 もどうぞ。)

Side 1の121+はともかく(最初のカッティングつまりマト1がボツなら、121+が最初のスタンパーになるはず)、Side 2の123※は進みすぎだろー
まぁ、でも、そういうこともあるか・・・

と思いかけたのも束の間・・・
ボクは気づいてしまった。

裏ジャケットを見ればわかるが、日本フォノグラムのマーキュリー・レーベルから、BT-1327のカタログ番号でこのレコードがリリースされたのは1974年である。
一方、PMのGHは奇数年の7月と8月を意味する(ビクターのPMについては、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2020-08-31 をどうぞ。)。
辻褄が合わないんである。
何月リリースかわからないが、1974年リリースなら、PMはM~Xじゃなきゃダメだろー

って、ホワイト・レーベルの見本盤てところに惑わされなければ、とくに不思議でもなんでもないんだけどね。
帯を見ればわかるように、このシリーズは「特別価格1,300円完全限定発売」なわけで、要するに廉価再発盤なのだ。
以前に通常価格でリリースされていたのである。

ってことで、調べてみると、どうやらSFX-7367のカタログ番号でリリースされていたものが、先行の通常価格盤ぽい。
しかし、Discogsではリリース年は不明となっているし、解像度の低いジャケット画像を、目を凝らして確認したが、リリース年は印刷されていないようだ。

それでも、なんとかリリース年が確定できないかと、あちこち見ていたら、手持ち盤の裏ジャケットに印刷された油井正一さんの解説の中に「10年前のことになるが、1964年3月、日本ではじめて『四大ドラマー世紀の競演』という催しが行われたことがある。」という一文を見つけた。
1974年だから10年前は1964年になるが、同じ解説が流用されたものなら、ここの数字はもしかして書き換えられてる?

またもやDiscogsの解像度の低い画像で、解説が印刷されたインサートを確認する。

ビンゴ!

「7年前のことになるが、・・・」となってるじゃないか。
これで、SFX-7367のカタログ番号でリリースされたのは、1971年だと確定できた。
1971年なら、PMはGHでなんの問題もない。
通常盤として最後のプレスに使用されたスタンパーが流用されたのだ。

ん?

あれ?

でも、1974年にプレスされたときのPMは?
GHまでは、流用されたスタンパーに元から刻印されていたPMだとしても、1974年にプレスされたときには、追加でPMが刻印されるはずじゃ?

あーそうか。
1974年だと、まだビクターも、見本盤にはPMを刻印してなかったのか?
東芝だって1970年代半ばまでは見本盤にPMを刻印してなかったじゃないか(見本盤のPMについては、https://sawyer2015.blog.ss-blog.jp/2021-10-12もどうぞ。)。
十分にありうる話である。

なーんてことを、調査して考えている雨のGWなのである。
特に大きな発見があったわけでもないが、こういう地味な作業を積み重ねていると、いざというときに重大な発見の鍵を思いついたりするのだ。
考レコ学研究には、日々の地味な精進も大切なのである(笑)


そうそう、お約束ですが、ビクター・プレスなので、


20220430-4.jpg


透けます(笑)

タグ:Clifford Brown
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