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オリジナルはUS盤なれど・・・―Living in the Material World [George Harrison]

先月25日のジョージ(George Harrison)の誕生日に、"Living in the Material World"のUKオリジナル( Apple Records PAS10006)を聴いていたら、いやーなことを発見してしまった。

内ジャケにこんなクレジットがあったのである。


20220312-2.jpg


へ?
Thank You Doug Sax - Mastering Lab?

ってことは、オリジナルはTMLカッティングってことなのか?
しかし、UKオリジナルは、TMLカッティングであることが確認できない。

うちのはマト4U/2Uだったので、若いマトはTMLカッティングなのかと思ってDiscogsで確認したのだが、どうやら4U/2Uしかないらしい。
一方、US盤の登録情報を見ると、しっかり送り溝にT.M.L.があるみたいじゃないか。
ってことは、US盤がオリジナルなのか?

Apple Studio録音だし、当然UK盤がオリジナルだと思ってたので、US盤もってないよ・・・

仕方がないので、US盤も買ってみた。


20220312-1.jpg


UK盤はフルコーティングされているが、US盤にはコーティングはない。
コーティングはないのだが、どうも普通の感触ではない。
テクスチャーと言っていいのかどうかよくわからないが、なんだかザラっとしている。

UK盤のほうも、フルコーティングされているので気づかなかったが、どうも、そのコーティングの下は、ザラっとした感じに仕上がっているように見える。
あまり見たことがない仕上がりなので、意図的にこういう仕上がりにしたんだろう。

歌詞の印刷された厚紙の見開きインサートと茶色のテクスチャー紙でできたインナースリーブが付属しているのは、UK盤もUS盤も同じだ(インナースリーブは紙の厚さとか取り出し口のカットとかに違いはあるが)。

そこまでは大差はないのだが、Discogsの登録情報通り、US盤の送り溝には、手書きのT.M.L.が燦然と輝いていたのであった(いや、もちろん、実際には輝いていない 笑)。


20220312-3.jpg


しかも、明らかにUK盤とはカッティングが違う。

このレコード、A面の送り溝に"HARE KRSNA"、B面の送り溝に"HARE RAMA"と手書きで刻まれているのだが、その筆跡がUK盤とUS盤では明らかに違うのである。

US盤は、読みやすい比較的綺麗な文字で刻まれている(ちなみにウィンチェスター・プレスでマトは両面Z-3)。


20220312-4.jpg


一方、UK盤は、非常に読みにくい汚い文字で刻まれている(笑)


20220312-5.jpg


T.M.L.がないうえに、"HARE KRSNA"の筆跡も違うとなれば、UK盤はどう考えてもTMLカッティングではないだろう。
ってことは、やはり、US盤がオリジナルということになるんじゃないかと思う。

それじゃ、音のほうも、US盤がオリジナルとして優位かというと、少なくともうちにある2枚の比較ではそうとも言えない。
ボクの耳には、UK盤のほうが良い音に聴こえる。
低域がグーンと沈み込む感じとかマスタリングのレシピに関わる部分にくわえて、全体的な鮮度感もUK盤のほうが若干高い気がする(ただし、低域の出方が歴然と違うのに対して、鮮度感の差は微妙な差である)。

うちのUK盤のマザー/スタンパーは3AM/1ALで、まぁ3桁スタンパーに比べれば相対的に若いとはいえるが、それほど若いスタンパーではないので、鮮度感の高さがスタンパーの若さに由来するとも思えない。

4U/2Uというマトの進み方からして、もしかしたらUK盤も、マト1U/1UはTMLカッティングの輸入ラッカーだったのかもしれない。
それがなんらかの理由でボツになり、英本国で独自にカッティングすることになったが、Apple Studioレコーディングということもあって、そのとき使用されたマスターテープがとても状態の良いものだったのかもしれないなー、なんてことを妄想したりするのである。


NO WAR PLEASE
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