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カッティング・エンジニアは複数?~Journey, FrontiersのUSオリジナル [Bob Ludwig(RL)の仕事]

1月22日はスティーヴ・ペリー(Steve Perry)の誕生日だと、TLに教えてもらった。

ってことで、このレコードを引っ張り出して聴いていた。


20220122-1.jpg


ジャーニー(Journey)が1983年2月にリリースした8枚目のスタジオ・アルバム"Frontiers"のUSオリジナル(Columbia QC 38504)である。
同時期にマイケルの"Thriller"がヒット・チャートの1位を独走していたので2位にとどまったが、それでも9週連続2位の大ヒット・アルバムだ。
アメリカ国内だけで600万枚を売り上げているという。

個人的にも、初めてジャーニーのことを知ったアルバムで、当時本当によく聴いた。
一番思い入れのあるアルバムである。

そんなわけでちょっとだけ掘ったことがある。


20220122-2.jpg


マスタリングがボブ・ラディック(Bob Ludwig)だということはインナースリーブに明記されているので、当然RLカットがあるはずだと思って探したのである。


20220122-3.jpg


しかし、2枚ほどヤフオクでついで買いしてみたものの、RLカットではなかった。
それで、レコード店で見つけたらめくってみる作戦に変更したのだが、結局RLカット盤は見つからなかった。

Discogsで確認してみても、RLのサインのある盤は登録されていない。
どうやらカッティングは他のエンジニアにまかせてしまったらしい。

ところで、うちにある3枚だが、マトは次の通りで、キャロルトン工場プレスが1枚とピットマン工場プレスが2枚だ。
問題なのは、これらの盤、どうも複数のエンジニアによってカッティングされている気がするのである。

G1 PAL-38504-1E MASTERDISK
G1 PBL-38504-1C MASTERDISK

P PAL-38504-1G MASTERDISK
P PBL-38504-1L

P PAL-38504-1L MASTERDISK
P PBL-38504-1G MASTERDISK

二枚目のSide 2にMASTERDISKがないのは間違いではない。
実際、刻印されていないのである。
Discogsで確認すると、マト1AGとか1AHとかまでMASTERDISK刻印があるようなので、1LだけがMASTERDISKではないというは非常に考えにくい。
ってことで、刻印忘れの可能性が濃厚である。
ほかにもいくつかこういう例に遭遇したので、同じマトで片面にMASTERDISK刻印がなくても、単に刻印忘れだろうと気にしなくなった(笑)

さて、複数のエンジニアによるカッティングではないかと推測する根拠だが、まず、送り溝の幅の違いがあげられる。

Side 1の送り溝の幅はどれも10mm前後で大差ないが、Side 2の送り溝の幅がだいぶ違っているのである。
1Cが7mmで1Gが9mmというのはそんなに大きな差ではないが、1Lでは13mmで1Cと比べると倍ぐらい違う。
これはカッティング・エンジニアの違いを推測させる。

それに筆跡が違う感じがする。
PALとPBLの部分がわかりやすいので、PALで比べてみよう。

マト1G盤のPALの筆跡はこうである。


20220122-4.jpg


それに対して、マト1LのPALの筆跡はこうだ。


20220122-5.jpg


筆圧的な違い(マト1Lの方は筆圧が少し弱くて文字が少し斜めになっている)で全体的に違うが、PとAの特徴は明らかに異なってる気がするんだがどうだろう?
この筆跡の特徴は、盤を交差するが、末尾1G同士、末尾1L同士では同じである。
つまり、1G/1Gをカッティングしたエンジニアと、1L/1Lをカッティングしたエンジニアは、別人じゃないかと思うのだ。

で、マト1EのPALの筆跡はこうなっている。


20220122-6.jpg


筆圧が強くて文字がまっすぐだし、Pについては中間的な感じもしないでもないが、頭が丸まってないAは1Gの方の筆跡に近いんじゃないだろうか。

Side 2の1CのPBLの筆跡は、1GのPBLの筆跡と同じだと思う。
これは送り溝の幅の違い(1Cと1Gは大差ないが、1Lは倍くらい違う)とも一致する。

ってことで、とりあえず、少なくとも1Gまで(可能性としては1Kまで)をカッティングしたエンジニアと少なくとも1L以降(可能性としては1K以降)をカッティングしたエンジニアが違うのかなと思っている。

音はどれも悪くないが、やはり1E/1Cの盤が一番良い。
音場の広さや低域の切れが素晴らしく、ボーカルやギターの輪郭が明快だ。
音量をあげると実に気持ち良く鳴るのである。

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