そんなに近寄らないでくれたまえ〜The Police, The SinglesのUKオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]
♪ Don't stand, don't stand so
♪ Don't stand so close to me
♪ Don't stand, don't stand so
♪ Don't stand so close to me
いやぁ、こんなことを歳が半分の女の子に言わなきゃならない状況になってみたいものである(笑)
それはさておき、ポリス(The Police)のこの"Don’t Stand So Close To Me"(邦題は『高校教師』だった)という曲、新型コロナ・パンデミックの状況下で、ソーシャル・ディスタンスを保つ啓発ソングとして生まれ変わって、ちょっと注目されたりした。
1986年には、ポリス自身によって新バージョンとして生まれ変わったことがあるから、これで2度目の生まれ変わり?(笑)
そんな風に記憶を喚起させられたこともあって、"Don’t Stand So Close To Me '86"が聴きたくなったのだが、あいにくアナログを持っていなかった。
ってことで、86年リリースのベスト盤"Every Breath You Take (The Singles)"のアナログ盤を、どこかで見つけたら買おうと思っていたのである。
そしたら、3週間ほど前に、近所のブックオフ(例の最近よく掘り出し物を見つけるブックオフである)で、UKオリジナルを発見した。
盤もジャケットもインナースリーブもピカピカの美品が、マーチャンダイズ・シート(ビデオやTシャツの注文票付き広告チラシ)付きで、税込980円だったから、「またもや掘り出し物を見つけてしまったー」とホクホク顔で帰宅したのであった。
ところが帰宅してじっくりと送り溝やレーベルを眺めていると、なんかおかしい。
送り溝には次のように刻まれている。
EVERY 1 A // 1 ▽ 420 C 11 timtom
EVERY 1 B // 1 ▽ 420 C 11 TY
見ての通り両面マト1である。
1986年だと、420は通常PRS(79年1月まではPhonodisc)製造であることを示す。
また、Cとtimtom/TYのサインがあるので、ロンドンのCBSスタジオでティム・ヤング(Tim Young)によってマスタリング&カッティングが行われたことがわかる。
しかし、PRSプレスなら、このレーベル形状は絶対におかしいだろー
PRSプレスなら、レーベルは、あの独特の凸リム形状のはずだ。
このレーベル形状は、どちらかといえばCBSプレスのものだ。
ってことは、CBSスタジオでマスタリング&カッティングして、PRSでメッキ処理して、CBSにもどしてプレスしたってこと?
実に不可解なのである。
そこでボクは気づいた。
両面にあるCの後の11は、マスターが1でマザーが1であること意味するが、スタンパー刻印がない。
その代わりにA面にはこんな刻印がある(B面は⑫)。
これがスタンパー・ナンバーを表すんじゃないか?
だとすると、CBSスタジオでカッティングされたラッカーは、PRSでメッキ処理されてマザーが作られ、そのうちの最初のマザー1が別の工場にまわされ、そこでメッキ処理されてスタンパーが製造され、そのスタンパーでプレスされたのが、ボクの手に入れたレコードということになる。
それに気づいて送り溝を見ると、こんな刻印もある(B面は、L-18129)。
ってことで、Discogsで確認してみると、どうやらLyntone Recordings Ltd.というところでプレスされたもののようだ。
Discogsでは再発ということになっているが、その根拠ははっきりしない。
レーベル外周部の形状の違いはスタンパーに由来するものと思われるので、再発ではなく、PRSで製造したマザーの一部が提供された初回プレスの工場違いバリエーションだと思う。
『クリムゾン・キングの宮殿』UKオリジナルのPhonodiskプレスとOrlakeプレスの関係みたいなもんである。
Lyntone Recordings Ltd.という工場、1961年創業だというから、かなり歴史のある工場だ。
今後またどこかで、ここの工場でプレスされたレコードに遭遇するかもしれない。
憶えておこう。
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