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それは幻?―Hall & Oates, Big Bam BoomのUSオリジナル [Bob Ludwig(RL)の仕事]

昨日、TLでちょっと話題になったので、ホール&オーツ(Daryl Hall & John Oates)"Big Bam Boom"のUSオリジナル(RCA ‎AFLI-5309)―1984年10月12日リリース―を引っ張り出した。

実は、このレコード、ちょっと気になることがあって、レコード・ショップで見かける度に確認していることがあるのだ(って、新型コロナの影響で、もうずいぶんとレコード・ショップには行けてないのだが)。

何が気になっているのかって?
その話は最後にするとして(勿体ぶるのである 笑)、まずは、USオリジナルがどんなものなのか確認しておこう。

ボクの手許にあるUS盤は2枚だ。
いずれもレコード番号がAFLI-5309のもので、AJL1-5336の再発(レコード番号をCD番号に合わせたもの)は持っていない。


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「写真もまともに撮れないのか?ジャケットが寝転んでるぞ。」と思った貴方、これでいいんである。
この状態で向かって左側つまりダリルの足の先に背表紙があるのだ。


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まぁ、背表紙が底にあるトップオープンと理解してもいいのだが、便宜上、サイドオープンの寝転びジャケと理解しておく(笑)
この仕様は二枚とも同じである。

インナースリーブも二枚とも同じだ。
このレコード、Side AがBam Side、Side BがBoom Sideとなっていて、インナースリーブもそれに対応している。


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Bam Sideのほうには、"Mastered by Bob Ludwig"というクレジットも確認できる。


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レーベルもBam SideとBoom Sideという仕様で、これも二枚とも同じである。


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うちにある二枚の違いは、マトの違いとステッカーの有無である。

一枚はA10/B10で、もう一枚はA11/B11だ。
いずれも両面にMASTERDISK RLの刻印がある。


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送り溝の詳細は次の通りだ。

AFLI-5309-A-10 MASTERDISK RL I A1f
AFLI-5309-B-10 MASTERDISK RL I A1m

AFLI-5309-A-11 MASTERDISK RL I A3o
AFLI-5309-B-11 MASTERDISK RL I A4u

IはRCAのインディアナポリス工場を示す刻印なので、A10/B10のほうはスタンパーがA1f/A1mで、A11/B11のほうはスタンパーがA3o/A4uということだろう。

A11/B11のほうはずいぶん進んでいる感じだが、まぁ、少々レイトのプレスだと推測されるので仕方ない。
このA11/B11の盤のほうには、このステッカーが貼ってあったのだが、このステッカー、おそらく1985年3月~4月頃に使用されたものだと推測できるからである。


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ステッカーの最上部には"INCLUDES THE HITS"とあり、上からシングルカットされた順番に曲名が並んでいる。
"Out of Touch"は先行シングルで1984年10月3日リリース。
セカンドシングルの"Method of Modern Love"は1984年12月15日リリース。
サードシングルの"Some Things Are Better Left Unsaid"は1985年3月16日リリースだ。
"INCLUDES THE HITS"はこの3曲を示しているのだろう。
フォースシングルの"Possession Obsession"のリリースは1985年6月8日になるが、最後から二番目に鎮座しているから、このステッカーが使われたのは、1985年3月~4月頃だと推測できるんじゃないかと思う。

じゃ、このA11/B11、音はダメダメかというと、まったくそんなことはない。
それどころか、ボクにはA10/B10よりずっと良く聴こえる。

マト違いによる音の差はあまり大きくないという意見もあったので、微妙な差がortofon VNLで増幅された結果、まるで違うものに聴こえているのかもしれないが、うちで聴く限り、マスタリングのレシピが違うんじゃないかというくらい違う。

A10/B10は低域が重くて重厚だが高域の抜けがいま一つだ。
それに対してA11/B11は、低域が軽やかにはずみ、高域は爽やかに抜ける。
そのせいか音場が倍くらいに広がって、そこにキラキラとした80年代らしい音空間が充満している。
圧倒的にA11/B11が心地よいのである。

それにしてもA10とかA11とかって、どういうことだろう?
9枚もボツカッティングがあったんだろうか?
謎である。

カナダ盤とかオーストラリア盤とか、INTのついた海外向けカッティングには一桁の数字のものがあるが、Discogsを見る限り、MASTERDISK刻印のみでRL刻印はなさそうだ。
カナダ盤のINT-2/INT-2にはTD刻印があるようなので、これがTony Dawseyのカッティングだとすると、海外向けカッティングには基本的にラディックはタッチしていなかったのかもしれない。

ちょうどCDへの移行期で、ラディックは、自分はCDのマスタリングだけにして、アナログは若いのに任せようと思っていたところ、国内向けのものだけでもラディック自身に切ってもらいたいという要望があって、急遽10と11のラッカーを切ったのかもしれない。
まあ、ただの妄想だけど(笑)


さて、いよいよ、「ずっと気になっていること」の話である。

ボクは、このアルバム、もう一枚持っている。
日本盤の見本盤である。


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写真のとり方は、これで良い(笑)
そう、日本盤はサイドオープンで寝込んでいないジャケットなのである。
向って左、つまり帯側に背表紙がある。


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それだけではない。
裏ジャケットが、US盤と日本盤は全然違うのである。


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日本盤には赤い見本盤シールが貼ってあるのですぐわかると思うが、向かって右がUS盤で左が日本盤だ(全体がわかるように帯は外した)。

個別に見てみよう。


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US盤の裏ジャケには、表ジャケと同じ(ただし色違いの)Hall & Oatesロゴが右上にでーんと鎮座している。


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日本盤の裏ジャケには、Hall & Oatesロゴがないが、Big Bam Boomの文字に寄り添うように収録曲が印刷されている。
左上を拡大してみよう。


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実は、UK盤とかドイツ盤とかも、日本盤と同じ裏ジャケである。

で、何が言いたいかというと、こうしたジャケ違いが起こる理由としてもっとも考えられるのは、初回ジャケットが作られ、その版下が各国に送られた後、本国でジャケット変更があったというパターンなので、もしかしたら、US初回ジャケも、日本盤のような裏ジャケだったかもしれない、ということなのである。

そんなわけで、レコード・ショップでこのレコードのUS盤を見かける度に、裏ジャケを確認しているのだ。
でも、どうもなさそーなんだよなー

ふと思いついたのが、実はCD用のジャケを日本ほか各国はLPに使っちゃったんじゃないかということ。
で、US盤CDの裏ジャケを確認してみると、確かに曲名は散りばめられているのだが、Hall &Oatesロゴが右上に鎮座しているのだ。
ビミョーだなぁ。

ということで、この問題はなお未解決なのである。
ボクが存在するかもしれないと思っっているUS初回ジャケ、それはただの幻なのだろうか?



そうそう、お約束ということで・・・


20201231-20.jpg


日本盤はビクタープレスなので、透けます(笑)

タグ:Hall & Oates
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