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Joe Sample, Rainbow SeekerのUSオリジナル [Bernie Grundman(BG)の仕事]

ジョー・サンプル(Joe Sample)"Rainbow Seeker"(邦題は『虹の楽園』)というアルバム、内容が素晴らしいだけでなく音も良い。
おまけに、ノーマン・シーフ(Norman Seeff)の写真を使ったジャケットも秀逸で、まさに三拍子そろった名盤である。
しかも、USオリジナル(ABC Records ‎AA-1050)が格安でそのへんにゴロゴロ転がっている。
アナログ・コレクターにとっては実においしいレコードである。


20180819-1.jpg


しかし、ゴロゴロ転がっているだけに、いろいろ落とし穴がある。
何を隠そう、ボクもつい最近までこのレコードの落とし穴にはまっていて、ようやく脱出できたところなのだ。

最初の落とし穴はレーベルである。

最初にボクが買ったレコードは、A面とB面でレーベルデザインが違っていた。
A面は、黒丸の中にabcの入ったロゴがトップにあるマルチカラー・ターゲット・レーベルだった(便宜上「黒丸レーベル」と呼ぶ)。


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そして、B面は、音符の中にabcの入ったロゴがトップにあるマルチカラー・ターゲット・レーベルだ(便宜上「音符レーベル」と呼ぶ)。


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ABCレコードのレーベルは70年代後半に、黒丸レーベルから音符レーベルに変更されたのだが、問題はいつ変更されたのかだ。

Goldmine第3版の簡易レーベルガイドを見ると、1977年中に黒丸レーベルから音符レーベルに変更されたことになっている。
この記述が正しいとすると、"Rainbow Seeker"のリリースは1978年だから、音符レーベル初盤でいいはずである。
そうだとすると、ボクが持っているレコードのA面が黒丸レーベルなのは、音符レーベルに切り替わったばかりの頃に残余レーベルが使われたためということになる。

これが一つ目の落とし穴だ。

Goldmineといえども簡単に信用してはいけない。
試しに、オークションサイトとかで、"Rainbow Seeker"を検索してみてほしい。
両面黒丸レーベルのレコードが山ほど出てくる。
"Rainbow Seeker"が78年の何月にリリースされたのかわからないのだが、少なくともこのレコードがリリースされたときにはまだ黒丸レーベルが使われていたと考えるのが自然だ。

いずれにせよ、このレコードの初盤は、両面黒丸レーベルだろう。

実際、ボクが以前から持っていたレコードのMatrixは次のようなものだった。

A面: AA 1050A-1B
B面: AA 1050-B 1A 1C RE

初盤にしては、B面のMatrixが怪しすぎる(笑)
それによくよく見ると、A面とB面では筆跡が違う。
このレコードは、A&MスタジオでBernie Grundmanがマスタリングしたとクレジットされているのだが、A面は確かに彼の筆跡だと判定できるものの、B面の筆跡はどうも彼の筆跡ではない。

REとあるのはおそらくリカッティングで、BG以外の別のエンジニアの手によるものだろう。
これはもうセカンド・プレス確定である。

このレコード、A面ラストの"Melodies of Love"がとにかく名曲として有名だが、B面ラストの"Together We'll Find a Way"も美しさでは負けていないし、ボクは後者のほうが好きなんである。
ファースト・プレスはおそらくB面もBGカッティングだろうと思ったら、もう居ても立ってもいられなくなってしまった。

で、両面黒丸レーベルを探していたのだが、ここにもう一つ落とし穴があった。
もっとも、ボク自身は、この落とし穴は避けられたのだが、それは偶然にすぎない。

そのへんにゴロゴロしているレコードである。
探そうと思えば両面黒丸レーベル盤も簡単に見つかる。
かくして、ボクも簡単に両面黒丸レーベル盤を手に入れた。
A面はまったく同じだったので、B面の写真のみ載せておこう。


20180819-4.jpg


このレコードのMatrixは次のようなものだった。

A面: AA 1050A-1B
B面: AA 1050B-1A

B面の筆跡もBGのものに間違いない。
両面末尾1Aもあるかもしれないが、まぁ、これもファースト・プレスでいいだろう。

それより、問題はジャケットである。
裏ジャケットが、以前持っていたものと違うのだ。


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向かって左側(右端のクレジットが少ないほう)が今回手に入れたもので、右側(右端のクレジットが多いほう)が以前から持っていたものだ。
何故これほどクレジットの量に違いがあるかと言えば、左側は誰がどの楽器を演奏しているのかのみのクレジットであるのに対して、右側はどの曲でやっているのかも書いてあるからだ。

いずれにも、西海岸のサンタマリア工場プレスの盤が入っていたから、地域による差ではなさそうだ。
ということは、時間的な差ということになる。

クレジットの量をわざわざ減らす変更というのも考えにくい。
むしろ、ファースト・プレスのリリース後、「誰がどの曲でやっているのか、ちゃんとクレジットしろ」というリクエストがあって、裏ジャケットを変更したと考えるのが自然だ。
したがって、クレジットの少ない左側が初盤ジャケットの可能性がきわめて高い。

ここで問題は裏ジャケットの変更がいつ行われたかだ。
Discogsやオークション・サイトに山ほど出ているものをチェックしてみると、まぁ数がけっこう出ているので、ちょこちょこ初盤ジャケットも出ているが、両面黒丸レーベル盤でもジャケットについてはクレジットの多いセカンド・ジャケットというパターンもかなり多く見つかる。
黒丸レーベルってだけで探すと、セカンド・ジャケットの盤を掴む可能性もかなり高そうなのだ。

これが、二つ目の落とし穴である。
ボクはたまたま運よく落ちなかったが、けっこうな確率で落ちそうな落とし穴だ。

まぁ、セカンド・プレスでも三拍子そろった名盤であることに違いはないんだけどね(笑)

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