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Rory Gallagher, TattooのUKオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

<他力本願寺さんから、Side 2のRunoutの”MA"に見える文字について、目から鱗のご指摘をいただきましたので、該当箇所を修正しました。 2017年11月16日21:30>

ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)"Tattoo"のUKオリジナル(Polydor 2383 230)を買ってみた。

1973年11月11月(つまり、44年前の今日)にリリースされたこのアルバム、キャッチ―な"Tattoo'd Lady"で始まるSide 1も良いが、ボクはSide 2の2曲目"Who's That Coming"から"A Million Miles Away"の流れが好きで好きでたまらない(笑)


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UKオリジナルのジャケットは、マットな薄手の紙でペラペラなのだが、これはこれで独特の雰囲気があって良い。

ぐっと近寄ってみると、なんとなく3D的に見えたりもするし(気のせいだっちゅうの)。


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スタジオ風景の写真を並べた裏ジャケットも実に素敵だ。


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裏ジャケットの片隅に、何やら書き込みが・・・


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どうやら、このレコードの以前の所有者は”Wendy"さんというらしい。
"Wendy"かぁ、きっと、可愛い女の子に違いない。
って、今はすでにばあちゃんか(笑)

なーんてことはどうでもいいよね(笑)

さて、今回入手したのはUKオリジナル・ファースト・プレスだ。
1973年のPolydorなので、レーベルはこの通り、リムに凸のないフラット・レーベルである。


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Matrix末尾については、DiscogsにはA1/B2しか出ていないが、今回ボクが入手したものはA1/B1なので、これがファースト・プレスでいいんだと思う。

まず、Side 1のMatrixを見てみよう。


20171111-06.jpg


次のように刻印されているのがわかるだろうか。

2383 233 A//1 1 1

2383 233が消されているのは、番号を間違えたからだ。
正しいカタログ番号は2383 230なのである。

ってことで、隣に手書きで書いてある。


20171111-07.jpg


ちなみに、A//1 1(凸) 1(凹)の右側には何も刻印はない。
つまり、このSide 1は、Matrix末尾A//1のラッカーから作られた最初のスタンパーでプレスされたもののようだ。

手書きの2383 230の左側には、こんなサインがある。


20171111-08.jpg


"Bilbo"といえば、Denis Blackhamが自分のマスタリングしたラッカーに刻むサインだ。
ってことで、Side 1はDenis Blackhamによるマスタリングであることがわかる。

では、Side 2も彼のマスタリングかというと、どうやら違うようだ。

まずSide 2のMatrixを見てみよう。


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次のように刻まれているのがわかるだろうか。

2383 233 B//1 1 1(ちなみに、Side 2のほうは、このあと凸の10が刻まれている。)

Side 1と同じように2383 233が消されている。その左側に手書きで正しい番号が書かれているのも同じだ(同じなので写真は割愛)。

しかし、そのさらに左にあるのは、こんなサインなのである。


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そして、"Bilbo"も"DB"もない。
この"MA"(?)ってのが誰かはわからないが、マスタリング・エンジニアのサインなんじゃなかろうか。

他力本願寺さんのご指摘で気づきました。
ここの"MA"に見える文字、天地ひっくりかえすと尖った文字で"DB"に見えます!
ってことで、Side 2もDenis Blackhamのカッティングということでよろしいかと。

さて、さっき書いたように、DiscogsにはA1/B2の情報しか出ていないが、その情報と比較すると、なんとなく経緯が見えてくる気がする。

Side 1についてはA//1なのでスタンパー番号が進んでいるだけなのだが、Side 2のB//2は、ボクの手に入れたB//1と比べると大きな違いが二つある。

一つは、B//2には、Matrixのカタログ番号間違いがない、つまり、正しく"2383 230 B//2"と刻印されていて訂正されていない。
もう一つは、B//2にはスタンパー番号の前に420という数字が刻まれている。この420はB//1にはない。

このレコードがリリースされたのが1973年11月11日である。
そして、Denis BlackhamがI.B.C. Studiosを去ったのも1973年なのだ。
Discogsを見ると、彼は、I.B.C.を去った後、Phonodisc Ltd.を含むさまざまなスタジオで仕事をしたとある。
420という数字はPhonodisc Ltd.でプレスされたことを示すが、外部マスタリングを示すイニシャルがなければマスタリングもPhonodisc Ltd.で行われたということだろうし、その420が刻まれたSide 2のRunoutには"DB"のサインも刻まれているようだ。

ここから次のようなストーリーが浮かび上がる。

"Tattoo"の最初のマスタリングは、I.B.C. Studiosに依頼された。
そこで、Side 1はDenis Blackham、Side 2は"MA"(?)というイニシャルのエンジニアがマスタリングを担当した。

その後、Side 2のラッカーの切りなおしが必要になったとき、リカッティングはI.B.C. Studiosではなく、Side 1のカッティング・エンジニアだった(そして、その時にはすでにI.B.C.を去っていた)Denis Blackhamに依頼された。
そんなわけで、420とDBサインの入ったB//2が出来上がった。

まぁ、ただの推論だけどね(笑)


さて、肝心の音のほうだが、このUKオリジナル・ファースト・プレスはすこぶる鮮度の高い音がすると思う。
とりわけ(アコギも含めて)ギターの音色が秀逸だ。

US初期盤(Polydor PD-5539)は、STERLINGでBob Ludwigがマスタリングを担当していて(ボクのもっているのは、A-3C-REPL/B-1Cで両面にSTERLING RL刻印がある)、ラディックらしい迫力のある音で鳴るが、鮮度的にはUKオリジナルに一歩譲る。

そんなわけで、"Who's That Coming"から"A Million Miles Away"への流れを楽しむには、UKオリジナルで聴くんである。


そうそう、ボクの入手した盤は、軽針圧のカートリッジでかけると"Tattoo'd Lady"で針飛びが激しく起こる。
それこそ、カートリッジが盤上でダンスしてるんじゃないかってくらい飛ぶ。
SPUならまったく飛ばないが、それでも”ぷっ”という軽い音が頻繁に聴こえる(おそらくそこで軽針圧のカートリッジなら飛んでいる)。
長いことアナログレコードを聴いているが、こんな飛び方をするやつは始めてだ。

特に傷はないし、A//1のラッカーはずっと使われているところをみるとカッティングの問題でもなさそうだから、スタンパーを作ったときのメッキ処理になんらかのトラブルでもあったんだろうか?

同じような症状があるという方がいらしたら、ぜひ教えてくださいな。

タグ:Rory Gallagher
コメント(2) 
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コメント 2

他力本願児

遅いですが何も反応なさそうなので。
一番下の画像、天地逆さまにして見ると想也さんが「MA」と読んだイニシャル、横に尖った(?)「DB」に見えませんか?(下段のもうひとつのは何を表しているのか皆目?ですが)
私はそのように解釈しておりますがどうでしょう。
もひとつ。A//1 11(凹) 12(凸) B//1 11(凹) 5(凸)で針飛び無しです。
by 他力本願児 (2017-11-16 03:28) 

想也

おぉ~
他力本願寺さん!
おっしゃる通り、「DB」に見えます!
ありがとうございます。
修正しておきます。

それから、やっぱりA//1は飛びませんか。
B//2になってもA//1ですから、そうですよね・・・

by 想也 (2017-11-16 21:24) 

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