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The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート4) [アナログ・コレクターの覚書]

<The Police, SynchronicityのUSオリジナルについては、現在でも探究を続行しており、後に誤りが明らかになったものについては、打消し線で対応しています。正しい情報については、新しい記事をご覧ください。>

またもやポリス(The Police)"Synchronicity"USオリジナルの話である。

必死になって探しているわけではないが、一応ES(Electrosound Group Midwest, Inc.)工場産の半透明盤を手に入れる努力はしている。
といっても、ヤフオクで定期的に検索をかけている程度ではあるが(笑)

でも、そんなことをしてると気づくこともある。

何に気づいたかというと、10年前の紙ジャケ探検隊の特集記事に掲載された一枚とボクが入手したもののジャケットが同じ版だったことは、実は、「シンクロニシティ♪」なんて言うほど珍しいことではなかったんじゃないか、ということに気づいたのである。

確かに93種もあれば、同じ版にめぐりあうのは奇蹟に近い。
しかし、それは、初期盤に限った話なんじゃないか。

いや、だってね。
探検隊とボクとがシンクロしたジャケットと同じ版のジャケットが、現時点でヤフオクに2点出ているんである。

3日ほど前までは3点出ていたのだ。
そのとき、ヤフオクにはUS盤は7枚しか出品されていなかったのだ。
93種もあるのに、US盤が7枚しか出品されていないヤフオクで、なんで3つも同じのがあるわけ?

そこで、ボクは気づいた。

ボクの手持ちの盤は、ステッカーは貼ってあるがうそつきステッカーで、初期盤ではなく、透けないレイト盤であることは前に書いた。
そうだとすると、一番可能性の高い仮説は、レイトになるとジャケットの種類はぐーんと減って、場合によっては日本盤みたいに1種類になってしまうというものだ。

レイトのジャケットが1種類だとすれば、同じジャケットのがゴロゴロしててもなんの不思議もないのである。

ってことで、このジャケットと同じ版の場合は、透けないレイト盤の可能性がかなり高いんじゃないかと思う。
まぁ、93分の1で初期盤にも存在するはずなので、必ずレイトとも言い切れないのだが・・・

ステッカーが貼ってあっても要注意なので、ジャケット表裏両面の写真を載せておこう。
初期盤を手に入れたいなら、これと同じ版のジャケットは避けるのが無難である。


20170524-1.jpg
20170524-2.jpg


さて、この事実に気づいたので、逆に、このジャケットと違う版のものであれば、初期盤の可能性が高いだろうと、もう一枚買ってみたのが、今日届いた(笑)
ワンコイン価格だったので、もちろんマトなんぞ聴かなかったのだが、日本でテキトーに買えばRCA工場産が届くのか、もう一度実験してみたかったというのもある。

ところが、届いたのはなんと末尾M2/M1というモナーク工場産だった。
でもって、この盤、実に興味深い特徴を備えていたのである。

両面にMASTERDISK刻印があり、Side1にのみRL刻印があるのは当然として、問題は、透けるか透けないかである。

透けるか透けないかと言えば、透ける。

確かに透けるのだが、その透け方が問題なのである。

まず、初期盤の透け方を確認しておこう。
初期盤(マトRCA3/RCA1盤)はこんな風に青紫に透ける。


20170524-3.jpg


今回入手したM2/M1の盤は、こんな風に透けるのである。


20170524-4.jpg


青紫じゃない!

モナーク工場産はこうだったのか?

念のため、スティング(Sting)のソロと比較してみよう。
たとえば、1985年の"The Dream Of The Blue Turtles"と同じような透け方なら、同時期にプレスされた可能性が浮上する。


20170524-5.jpg


"The Dream Of The Blue Turtles"は透けまくりである(笑)
どうやら、これと同時期ではなさそうだ。

では、1987年の"...Nothing Like The Sun"はどうだ?


20170524-6.jpg


"The Dream Of The Blue Turtles"ほどじゃないが、けっこう透けていて、これと同時期でもなさそうだ。

写真だとわかりにくいが、実際は、青紫か否かという違いはあるが、透明度的には青紫に透ける盤と同じくらいな気がする。
やっぱりモナーク工場産だけ、青紫じゃなかった?

ここで、ボクは、重大なことに気づいてしまった。
モナーク工場の△番号の刻印である。

△26117/△26117-X

なんとこの番号は、うそつきステッカー盤のRunoutに刻印された番号と同じなのである。

レコードコレクターズ最新号(2017年6月号)掲載の「初盤道」第2回によれば、この番号はメタル処理されたときに刻印されるもので、この番号が同じならほぼ同時期にメタル処理されたものとみていいらしい。

もっとも、キャロル・キング(Carole King)"Tapestry"がリリースされた70年代初頭まではそうだったとしても、80年代のこの盤にも同じことが言えるのかはわからない。
わからないが、こういうルールはそんなにかわるものでもないだろうし、同じだと仮定しよう。

そうすると、EUR工場のマザーがモナーク工場に送られメタル処理を施されてスタンパーが作られた時期と、モナーク工場向けのラッカーが切られてモナーク工場に送られメタル処理を施されてスタンパーが作られた時期が、ほぼ同時期ということになる。

手持ちのEURマトの盤は透けないので、プレス時期自体はずっと後なのだろうが、スタンパーは同時期に作られたわけだ。

では、その時期はいつだったか?

EUR工場のマザーがモナーク工場に送られるという事態が最初期に生じていたのというのはちょっと考えにくい気がする。

それに、聴いてみると、マトM2/M1盤より、マトRCA3/RCA1盤のほうが圧倒的に鮮度の高い音だ。

ってことで、少なくとも、このマトM2/M1盤は、最初期ではなくてちょっと後のプレスってことなんだと思う。
だから、透けるには透けるが、青紫には透けないんだと。

この透けるけど青紫じゃない盤てのが、モナーク工場産以外にも存在するのかは現時点では不明だ。
(Discogs上には末尾M以外の盤で透けるけど青紫じゃない盤てのも存在するのだが、なにせモナーク工場は、少なくともレイトプレスでは、他工場向けのマザーを持ってきてスタンパー作ってプレスしていたので、末尾Mじゃないからといってモナーク工場産ではないとは言い切れないのである。)

逆に、モナーク工場産にも青紫に透ける盤があるのかというと、これはDiscogsで確認できた。
確かに存在する。

ってことで、今回入手した盤は、セカンドプレスと認定するのである(笑)

それにしても、あと何枚買えば、沼の底が見えてくるんだろうなぁ?σ^_^;


<続きの記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート5)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート6)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート7)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート8)

<前の記事はこちら>

The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート1)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート2)
The Police, SynchronicityのUSオリジナル(パート3)

タグ:THE POLICE
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コメント 8

雷の道

はじめまして,Electrosound Group Midwest, Inc. を検索していてここに辿り着きました。一点伺いたいのですが,1980年代前半でこの工場でプレスされた LP は基本的には半透明盤なのでしょうか? ブログの本筋とは関係なく申し訳ないのですが,収集対象の米 Columbia のアーティストのものもそうなもので(マトに手書き EMW あり,ただしこのアーティストで ES 盤は滅多にお目にかからないのですが)。
by 雷の道 (2017-07-09 12:41) 

想也

雷の道さん、はじめまして。

私も80年代前半のアメリカのプレス状況について詳しいわけではないので確実なことは言えないのですが、当時の半透明盤というのは、高品質ヴィニールを使用したもの(当然一枚あたりのコストは少々高くつく)のようなので、工場によってではなく、アーティストやレコード会社の意向で、アルバム毎に半透明盤にするかどうかを決めていたんじゃないでしょうか?

by 想也 (2017-07-09 15:43) 

お名前(必須)

ありがとうございます。実は Bruce Springsteen の The River (Columbia PC2 36854) なのですが,1980年にリリースされたこのダブルアルバムで通常見かけるのは Santa Maria, Terre Haute 或いは Pitman でプレスされたもので全て黒盤ヴィニールですが,数が少ないES盤のみ半透明なのです(しかもES盤のレーベルデザインは通常のColumbia赤とは少し違う)。そんなところに貴ブログで Police のES盤も半透明ということを知り,お尋ねした次第です。事情はわかりませんが,やはりこれは仰有るとおりアーティストかレコード会社の意向ということかもしれませんね。コレクターの視点からもとても興味深いブログを書かれておられるので,ゆっくりと読ませていただきます。
by お名前(必須) (2017-07-09 16:17) 

想也

ボスのThe Riverですか。
うちにあったの何だっけ?と見たら日本盤でした(笑)
でも、おもしろい情報ありがとうございます。

レーベルデザインが違うというのは、どう違うんですかね?
このCBS Special Productsってのとは違うんですよね?
https://www.discogs.com/ja/Bruce-Springsteen-The-River/release/8684626

これはレコード会社系の特別プレスですが、他にレコードクラブ盤とか特別プレスがあるので、そういうので半透明盤になったんでしょうかね。
この特別プレスは半透明盤でいこーみたいな。
あくまで想像ですが。
by 想也 (2017-07-09 17:10) 

雷の道

わざわざ調べていただきありがとうございました。実は当にそれなんですが,残念ながらここに書かれている情報は信用できません(というか "just prior to distribution of regular stock copies" はマト番号やスリーブ仕様などから明らかに誤りと判じられます)。当方,このアーティストに関してはかなり詳しいと自負しているのですが(https://manattop.blogspot.jp/),このプレスだけはよくわからないのです。藁にもすがる思い(笑)で ES盤について質問させていただきました。お手数をおかけしました。
by 雷の道 (2017-07-09 19:05) 

想也

Discogsは確かにときどきウソが書いてありますねぇσ(^_^;)
そうですか、CBS Special Productsなんですね。
こちらの情報はご存知ですか?
https://www.discogs.com/ja/label/59590-CBS-Special-Products
CBS Special Products自体がどういうものかっていう説明です。
The Riverがどういう経緯でこのレーベルで出されたのか不明ですが、レコード会社系の特別プレスであること自体は間違いなさそうな気がしますが。

ブログのほう拝見させていただきましたが、素晴らしいですね!
ボスのレコードを買うときには、参考にさせていただきます(^^)

by 想也 (2017-07-09 20:03) 

雷の道

CBS Special Products のレーベルデザインは必ずしも統一されていないようで年代によっても異なるようですが,お示しいただいた Discog のページに掲載の盤のレーベルを片っ端からチェックすると,確かに問題の THE RIVER と同じレーベルデザインのものが,ジャンルは違いますが1980年代前半にリリースされた他のアーティストやグループのもののなかにありました。実は同じレーベルデザインの盤を見たことがなく,(可能性は低いものの)フェイクもありうるとも考えていました。やはりきちんと捜してみるものですね。拙ブログでは最初に取りあげたままほったらかしにしていましたが,(半透明盤としてプレスされた経緯は依然分からないものの)特別な盤であろうことは認識を深めることができました。ありがとうございました。
by 雷の道 (2017-07-10 23:45) 

想也

このポリスのシンクロニシティは高品質素材(だから半透明)ってことを売りにしてたわけで、80年代半ばにかけて高品質素材ブームみたいのがあったんじゃないですかね?
ですから、このThe Riverも「あの名盤が高品質素材によって高音質で蘇る!」みたいな謳い文句で、TVショッピングとかメールオーダーで限定リリースされたものだとか。
まぁ、妄想ですが(笑)

by 想也 (2017-07-11 23:22) 

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